あなたの知らない生田原ガイドツアー2024
2024年5月、遠軽町生田原、
北の王鉱山
及び隆尾鉱山、
共栄鉱山
跡を巡る探索ガイドツアーを開催。
今回は廃墟の製錬所を中心に巡る探索で、
男女16名の参加者が応募された。
まずは町内温泉に集合。
装備を整え簡単なミーティングの後、
分析所付近に向かい、探索をスタートする。
大正5年に農場で発見された金塊に端を発するここ北の王金山は、
東洋一と謳われた
鴻之舞鉱山をも凌駕することを願い、
北の王=ノースキングと命名された金山である。
金の現状価格、希少な理由、
金鉱山の採算性、都市鉱山の話題、
身近な金の話と合わせて解説する。
まずは配水池の遺構からだ。
付近から市街への水道の供給を担った施設跡だ。
大きな遺構の撮影に皆さん夢中だ。
苔むして残る階段に到達。
雨も上がり、映える廃墟だ。
当時、道内第四位の産金量を確保し、重要鉱山の一角を占めていた。
その上部は広範囲に広がる分析所の遺構だ。
金の含有量や製錬時の加温、適正な粒度について説明する。
しばしの自由時間を設け、各自撮影を行う。
青化製錬所跡に到達だ。
城壁のような巨大な石垣。
金鉱山が一斉に閉山した昭和18年、その理由を解説する。
広がる製錬所の脇を移動する。
堀り出した鉱石から必要な金属を抽出する工程、
それが製錬だ。
製錬所の内部にも足を踏み入れる。
青酸を用いた製錬、石灰を使う理由、
亜鉛との交換など製錬のメカニズムを解説する。
青酸カリ中のシアンの毒性、
金属と結びつきやすい性質。
そのシアンを用いた青化法について説明する。
その先には巨大なボイラー煙突の廃祉がある。
ここで完成したのは金+銀+パラジウムの合金であり、
その後瀬戸内海などに鉱送し、電解精錬を行ったことを解説。
製錬所の大穴に注意して進む。
昭和18年の『金山整備令』、戦争で孤立した日本が
直接戦況に影響しない金山の採掘を中止したことを説明する。
製錬所の奥深くも探索する。
世界的な金の価値が下落した戦時下
金を主鉱とするすべての鉱山は原則休・廃祉、
その生産施設や労働力は他の重要鉱山に配置転換するというのが指針だ。
昼食は予約した温泉ホテルでの幕の内弁当。
その後はしばし休息、そして団らんだ。
午前中で初参加者も常連もすでに馴染んでいる。
昼食後は近隣の隆尾鉱山跡に移動。
鉱山集落跡の浴場を探索する。
今は森に廃墟を残すのみとなっている。
浴場にはタイルが残存。
当時の生活や、
周辺の状況にも皆さんの想像が及ぶ。
やがて隆尾鉱山の青化製錬所に到達。
道内産金量14位の小さな規模を、
午前中の北ノ王鉱山と比較していただく。
小規模な製錬所前で鳥の巣を発見。
卵が残る珍しい光景だ。
皆さん何の鳥か、憶測が飛び交う。
付近のズリ山では珍しい鉱石を全員で探す。
目立った鉱石は無かったが、
石に詳しい参加者の談義が始まる。
隆尾鉱山探索後、少し移動。
参加者の体力的な状況を確認してから
共栄鉱山跡へ移動、再び種類の異なる青化製錬所を探索する。
アジテータの働きや段々に配置される遺構を解説。
三か所の金鉱山を比較しながらの探索、
炭鉱跡との違いも念入りに見ていただいた。
参加の皆様、お疲れ様でした。
また、大変ありがとうございました。