果てしなく続く石垣



5月中旬、沢沿いに登り、
藪が育つ前の山中を進む。
付近には小さな村があったようだがもう痕跡はないかもしれない。 アプローチ


一画には崩れた鳥居がある。
かつては村の守り神である神社があったのかもしれない。
更に標高を稼ぐ。


砂防ダムを超えて進む。

選鉱の最初の重要な工程は粉砕だ。
つまり掘り出したばかりの鉱石は15p程度あり、これを砕くのである。 砂防ダム


まったく道が無いようだが、辛うじての獣道はある。

粉砕の目的は3つ、固体の表面積の増加、異種成分の分離、
薬剤との混合を綿密にするためである。 廃道


しばらく登ると藪の向こうに遺構が見える。
目的の選鉱所に到達だ。
選鉱の一番の目的は異種成分を分離することだ。 遺構


巨大な基礎も残る。

掘り出した原鉱を構成している成分の本質は変えずに、
複数の鉱物の特性を生かして分離するのが定石だ。 基礎


巨大な選鉱所の本丸に到着だ。

工業的な選鉱法は、色や光沢による目視の手選、比重差を利用した重液選別、
磁力、静電気を利用する方法、そして濡れやすさの差による浮遊選鉱などがある。 選鉱所


長大な石垣も残存する。

各種選鉱法に適した粒の大きさがそれぞれ存在する。
小さくても大きすぎても必要な選鉱法には適さないのである。 石垣


機器に合わせた布基礎も残る。

比重差を利用する 「重液選別」 が一番粒度が大きく、
3〜50o程度が適用可能な粒度範囲となる。 タンク


磁力や静電選鉱は100ミクロン(0.1o)〜3o程度。
「浮遊選鉱」 が最も小さく、
5ミクロン〜50ミクロン程度の粉状が必要となる。 選鉱施設


浮遊選鉱は特に粒度による選鉱成績の差が大きく、
撹拌と混濁を浮選機で行う際に偏りが出ないように、
慎重に決定される。 水位計


選鉱方法とそれに適した粒度の表である。
表下のメッシュという単位は網の目の大きさの単位で数字が大きいほど細かい。
これは1インチ(25.4o)の間にいくつマスがあるかということで、
例えば14メッシュなら25.4o間に14個、つまり1マス目は1.81oとなる。 粒度表


アンカーボルトの残る架台跡。

粉砕装置の代表的なものには、
ジョークラッシャーと呼ばれる固定顎と可動顎の間で鉱石を砕くものがある。 マウスon ジョークラッシャー


他にもロールクラッシャという回転する円筒の間に鉱石を挟み破砕するもの、
「ボールミル」 やロッドミルなどの衝撃破砕機など、
それぞれ選鉱に適した数多くの種類がある。 石垣


昭和38年度の国内選鉱工場は101か所。
粉砕については2〜3段回での多段破砕が一般的で、
それは細粒を狙う場合の機械トラブルへの事前対策のようだ。


多段破砕も2段階が最も多く、
3段階以降の多段は極端に少ない。
これは過破砕の防止、つまり細かくし過ぎないためであろう。 廃墟


選鉱所遺構は斜面に沿って山上へ延びる。
破砕/粉砕は選別の予備工程であり、
機械は大型化、そして系統の簡素化が進む分野であった。 遺構






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選鉱場
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