ボールミルvsロッドミル



市街地から約12qで山に入る。
石垣や煉瓦、碍子などの遺構にも留意しながら、
廃道を進む。 入山


すぐに斜面にはRC製の構造物がある。
廃線跡の擁壁のようにも見えるが、
選鉱所の一部かもしれない。 擁壁


擁壁の脇にはタイル張りの風呂がある。
恐らく鉱山事務所や宿舎があったのだろう。
これは遺構が残存していそうだ。 風呂


少し斜面を登るとすぐに廃祉が現れた。
選鉱所跡に到達だ。
森の緑に飲み込まれている。 遺構


厳しい斜面を少し登ると、そこには遺構が続く。
ここは最下部なので最終工程として、
選鉱後の黄銅鉱の熱処理がなされたのかもしれない。 斜面


選鉱後の銅鉱石には硫黄などの不純物が混合しており、
これは熱を加えることで酸化物となり蒸発、
ケイ素などの一部だけが残留することとなる。 遺構


残留物に石灰石やコークスを添加して熱すると、
酸化鉄や二酸化ケイ素は石灰石と反応、
残滓となり銅は溶けて流動的になる。 選鉱場



鉱石の通り道がある。
溶けた胴を 「転炉」(てんろ)金属を精製するための製鋼用洋ナシ形の炉で、底部から酸素を吹き込み回転して炉体を排出 に流し込み、酸素を吹き込むと
半製品である銅の粗鉱が完成する。 選鉱所


粗銅は硫酸水槽内で電気を流すことで、
+極にイオン化傾向の高いニッケルや亜鉛が析出、
−極に純銅、陽極底には金銀が析出しこれを電解精錬と呼ぶ。 隧道


更に登ると小さな平場がある。
斜面の段差を利用し、重力により
上部から下部へ鉱石を処理するカスケード方式だ。 平場


粉砕機の代表格と言えば、
図の『ボールミル』である。
高さは1.2m〜5mのものもある。 ボールミル


対してもう一方がこちらの『ロッドミル』。
『チューブミル』というものもあるが、
三種の機器の違いを見てみよう。 チューブミル


それぞれ調理器具の『ミル』と同様、
衝撃や磨り潰しの効果をもって、
大きな鉱石を粉砕する装置である。 ロッドミル


回転する太鼓のような筒の中でボール(鋼球)やロッド(太い鉄棒)を使用し、
鉱石とそれら鉄材を一緒に投入、回転させる。
鉱石は壁に当たり、鉄材の衝撃を受けて細かく砕かれてゆく。 ミル


円筒が速く回転すると遠心力で、
鉄材は容器の内壁に張り付いたままだ。
遅く回転すると低い位置で転がるのみとなる。 粉砕


その中間速度で回転すれば、鉄材はある高さから放物落下し、
また一部は円筒底部を転がり、衝撃と磨り潰しの効果を生み、
同封された鉱石は激しく磨り潰される。 遠心力


『ボールミル』は直径50o程度の鋼球を使用し、
複数のミルで粉化の強弱を調整したり、
鋼球の大きさで粉砕力を調整したりする。 産業遺産


その中でも円筒の一部を円錐にしたものが『コニカルボールミル』であり、
中心軸からの半径距離が異なることで粉砕度合いを調整し、
大小異なる鉱粒に粉砕力の強弱をつけることが可能となる。 コニカルボールミル


対して『ロッドミル』は鋼球の代わりに、
円筒の内面長にほぼ等しい長さの鉄棒を使い、
ロッドミル同様に回転にて内部の鉱石を粉砕する。 廃祉


『ボールミル』は粉砕が点で行われるのに対し『ロッドミル』は線で行われる。
鋼球の場合は粒の大小にかかわらず、同じ粉砕作用となるが、
ロッドの場合はその荷重線に大小異なる粒が同時に混入し、
大粒から順に粉砕、小粒がそれ以上粉砕されない二次的効果がある。 選鉱


つまり『ボールミル』はすべてが粉化するのに対し、
『ロッドミル』は細度が比較的揃ったものとなる。
これが利点であり、粉化しすぎないことが重要である。 擁壁


『チューブミル』は『ボールミル』を軸方向に長くしたもので、
長さの1/3を進む間に90%の粉砕が完了、
その後の2/3で徹底した粉化が行われセメントなどの分野で使用される。 選鉱施設


鉱石を粉砕・磨鉱した排出口がある。
高さは1m程度。
人が通り抜ける隧道とは雰囲気が異なる。 鉱石


頂上までは到達できなかったが、
巨大な選鉱所跡が、
人知れず森に佇んでいる。 選鉱所








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選鉱場
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