四元数
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【連載 面積(#07)】では、空間を目盛る数として「三元数」を考えましたが、ダメでした。 「三」でダメなら「四」でどうだ!・・・ということで、「四元数」に挑戦! @「共役四元数との積が、絶対値の2乗になる」 A「四元数の積も、やはり四元数」 これら2つの性質を四元数に期待できるか、チェックしていきましょう! 【共役四元数との積が、絶対値の2乗になる】 四元数 w + xi + yA + zB の共役四元数を、どのような形になるか分からないので、 ひとまず w + xC + yD + zE と置きます。このとき、 ![]() これが、絶対値の2乗である w2 + x2 + y2 + z2 と等しくなるためには、 ![]() これらより、まず、C = - i であれば良いことが分かります。 また、D = - A なので、- A2 = 1 すなわち、A2 = -1 であり、 A は虚数単位 i と同じような性質を持つべきであることが分かります。 ここでは、i と区別するために j としておきましょう( A = j、D = - j )。 同様に、E = - B なので、- B2 = 1 すなわち、B2 = -1 であり、 B も虚数単位 i と同じような性質を持つべきであることが分かります。 ここでは、i や j と区別するために k としておきましょう( B = k、E = - k )。 最後に、i と j と k の関係については、後ろ3つの式から、 i(-j) + j(-i) = 0、i(-k) + k(-i) = 0、j(-k) + k(-j) = 0 ⇔ ji = -ij、ik = -ki、kj = -jk。 したがって、第3の要素 j と第4の要素 k に対して、 j2 = -1、k2 = -1、ji = -ij、kj = -jk、ik = -ki という性質を持たせれば良いわけです。 【四元数の積も、やはり四元数】 四元数 w + xi + yj +zk と四元数 p + qi + rj + sk の積についても見ていきましょう。 ![]() となり、ij、jk、ki の項が余計です。 ij、jk、ki が a + bi + cj + dk の形に表すことができれば良いのですが、今回は上手くいくでしょうか? 試しに、ij の場合について考えてみましょう。ij = a + bi + cj + dk に対して左から i を掛けると、 ![]() ここで、ki = m + ni + uj +vk とおくと、 ![]() となるので、今回は、三元数のときとは異なり、まだ可能性が残されています。 【 ijk = -1 】 もう少し調べてみましょう。今度は、ij = a + bi + cj + dk に対して右から i を掛けてみると、 ![]() となります。iji については「 ji に左から i を掛ける」という、もう1通りの解釈ができます。 ![]() これら2つは同じものなので、a = 0、b = 0 でないといけません。このとき、ij = cj + dk となります。 jij に対しても同様に2通りの解釈ができます。 ![]() これら2つは同じものなので、c = 0 でないといけません。このとき、ij = dk となります。 同様のことをすれば、jk = ei、 ki = fj( e、f は実数)であることが分かります。 さらに欲張って、d、e、f の値を求めてみましょう! ij = dk に右から k を掛けると、ijk = -d となり、ijk の値が求まれば d の値が分かります。 ij + ji = 0 に右から k を掛けると ijk + jik = 0 ⇔ ijk = -jik = -j(-ki) = jki = (-kj)i = -kji。これを用いると、 ![]() となるので、d2 = 1 ⇔ d = ±1。d = 1 のとき ij = k となり、d = -1 のとき ij = -k となります。 ij = -k だと ji = -ij = -(-k) = k となり、ij = k のときと積の順序の違いに過ぎません。 そこで、ij = k と定義することにしました(したがって、ijk = kk = -1)。 どうやら「四元数」は上手くいきそうです。 4種類の要素を持つ「四元数」で、3種類の次元を表現するために、もうひと工夫したいところ。 ハミルトンは、いったいどのようにしたのでしょうか?・・・次回に続く。 |
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