複素数平面

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【連載 面積】における目標は、「球の表面積の公式」を理解することです。



連載 面積(#05)】の最後で、

「三角形 PQ'R' の面積を求めるにはどうすれば良いか?」・・・という疑問が浮かびました。

∠Q'PR' の大きさが分かれば高校数学の知識でも解けるのですが、

それが分からない現状を打破するには、どうすれば良いでしょう?



2次元の平面なら、高校数学の「三角比」で学ぶ方法が有効でしょう。

@:余弦定理で cosθを求める

A:sinθに変換する

B:三角形の面積を求める

という手順で簡単にできます。

しかし、3次元の空間となると、これが結構面倒くさい計算になります。

できれば避けたい。さて、どうしましょうか?



大学数学で学ぶ「ベクトルの外積(ベクトル積)」を学ぶ必要があります。

「ベクトルの内積」なら聞いたことはあるけれどな・・・という方は多いでしょう。

「内積」があれば「外積」もあるのです。

外積を学ぶ前に、ベクトルの起原になった「四元数」について知っておいた方が良いでしょう。

四元数を学ぶ前に、高校数学に登場する「複素数平面」について知っておいた方が良いでしょう。

・・・ということで、高校数学と大学数学のつながりが見えてきました。

「複素数平面」について学びましょう!



【正の数】


“物がある”と“物がない”は、質的な違いです。

一旦、“物がある”となった場合、

次の段階として気になるのは“どれくらいあるのか?”という量的な違いです。

量を表現する語(概念)として生まれた「数」の中で、最も素朴な“物を数える言葉”が「自然数」です。

例えば、リンゴの個数を1個、2個、3個、・・・と数えます。



1個のリンゴを分割する場合、分割されたリンゴの量が気になります。

全体に対する割合を定量的に表現するために「分数」が考えだされました。

「自然数は、分母が1の分数である。」と解釈すれば、自然数も分数に含まれます。



1を2乗すると1であり、2を2乗すると4になります。

では、2乗して2や3になる数は?・・・と問われると、もはや、分数の世界では対処できません。

根号を用いた「無理数」の登場です。

無理数を用いると、1辺の長さが1である正方形の対角線の長さも表現することができます。



【負の数】


長さや量を測ろうとするときなら、上に書いた「正の数」で十分間に合いますが、

左右に長く延びている直線を“目盛ろう!”とするとき、困った事態に陥ります。

すなわち、基準となる点(原点)を決める必要があるのです。

一旦、原点を決めれば、原点を起点に、長さの1単位分の距離を取って「1」を目盛れば、

後は、「1」との比率から、すべての正の数を目盛ることができます。

ここで仮に、原点より右側に正の数を目盛ったとき、原点より左側はどうなるのでしょうか?



右側に目盛った正の数と同じ比率で目盛っていけば良い。

ただし、方向が正の数とは反対なので、“反対の方向”を意味する記号を付けておいた方が良いでしょう。

この記号を「−」で表し、「マイナス」と呼びます。

マイナスの記号は「反対を向きなさい。」あるいは「180°回転しなさい。」という意味合いを持ちます。



【1次元から2次元へ】


“直線を目盛るための数”として実数が存在しました。

話を1次元から2次元に移しましょう。

“平面を目盛るための数”を作ってみよう!・・・というのです。



2次元の座標平面は、2本の数直線を、原点において直交させることで得られます。

この2本目の数直線は、実数の集合には含まれない新しい要素で表現する必要があります。

この“新しい要素”には、どのような性質が求められるのでしょうか?



(+1)×(−1)=(−1)です。これは、数直線上において、

原点から右に距離1の点が、180°回転して、原点から左に距離1の点に移ったことに相当します。

ということは、、原点で直交する2本目の数直線に求められるのは、

「+1に掛けると90°回転する。」という性質です。

これは「+1に2回掛けると180°回転する」ことを意味します。



つまり、実数の集合にない“新しい要素”は、「2乗すると−1」に相当する性質を持つことになります。

この“新しい要素”を記号「 i 」で表し、「虚数単位」と呼ぶことにしました。

“虚”は、“実”の対義語としての意味合いからでしょう。

この発想からすると、「1」は“実数単位”とでも言えるでしょうか。



【複素数平面】


実数の集合にない新しい要素として虚数単位「 i 」を定義しました。

これを用いて“平面を目盛るための数”を考えてみましょう。

“実数単位”である「1」と、虚数単位である「 i 」の線形結合として、



なる数を提案します( a、b は実数)。

そして、2つの単位、すなわち、複数の要素からなる数なので「複素数」と呼ぶことにします。

複素数は、“2次元の数”ということから、別名「二元数」ということもあります。



【三元数】


実数(一元数)が1次元の直線を目盛る数で、

複素数(二元数)が2次元の平面を目盛る数であることを考えると、

3次元の空間を目盛る数はないものか?・・・と興味が湧くのは自然な流れです。



この問題に取り組んだのは、イギリスの数学者ウィリアム・ハミルトン(1805−1865)でした。

平面を目盛る数である複素数が2種類の要素の線形結合で表されているのだから、

空間を目盛る数は3種類の要素の線形結合になるであろう。

この発想から、ハミルトンは、手始めに



で表される数を想定しました( x, y, z は実数、i は虚数単位、A は第3の要素)。

これを「三元数」と呼ぶことにしましょう。



この三元数を「空間を目盛る数」にするためには、A にどのような性質が必要なのでしょうか?

・・・次回に続く。


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