フェノール
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製鉄に必要なコークスを石炭から得るときの“残りカス”として出てくる「コールタール」。 これを何とか利用できないものか・・・? コールタールの成分を調べていくうちに、酸性物質が見つかり、これを「石炭酸」と呼びました(1834年)。 後に「フェノール」と呼ばれる有機化合物です。 1865年に初めて消毒薬として利用されたフェノールは、以降、手術になくてはならないものとなりました。 当初、クロロベンゼンに水酸化ナトリウムを反応させるなどして合成されていたのですが、 反応条件が厳しいもので、もう少し何とかならないか?・・・と模索が続きます。 そして1944年に誕生したのが「クメン法」です。 高校化学でも教わるフェノール合成法の1つ「クメン法」ですが、 これが大変難しい反応の連続で、受験生の多くは“丸覚え”になっているのではないでしょうか。 どのような反応によって、ベンゼンとプロピレンからクメンはできているのでしょうか? ![]() 学ぶ項目を、ステップを細かく分けて一覧にしました。 「この項目は大丈夫だな。」と思うものは飛ばしてもらって結構です。 自分に必要な項目だけを学べば良いでしょう。 カッコ内は、文部科学省の学習指導要領に従った、目安となる履修学年です。 【マルコフニコフ則】 (01)付加反応(高3)・・・アルケンの二重結合が開裂して、塩化水素などが付加する反応です。 (02)カルボカチオン・・・π結合がプロトンに接近して生じます。 (03)求核的捕捉・・・求核剤がカルボカチオンを攻撃します。 (04)問題発生・・・プロペンに塩化水素を付加するとき、生成するのは、どちらのクロロプロパン? (05)ウラジミール・マルコフニコフ・・・1869年に「マルコフニコフ則」を発表したロシアの化学者。 (06)マルコフニコフ則・・・より多くの置換基が生じるような付加反応が生じます。 (07)2−クロロプロパン・・・(04)の答えです。 なぜ、こうなる? 【フリーデル・クラフツ反応】 (08)シャルル・フリーデル・・・1877年に「フリーデル・クラフツ反応」を開発したフランスの化学者。 (09)ジェームス・クラフツ・・・1877年に「フリーデル・クラフツ反応」を開発したアメリカの化学者。 (10)フリーデル・クラフツ反応・・・炭素−炭素結合をつくる反応です。 (11)塩化アルミニウム・・・アルミニウムが電子不足になっています。 (12)反応機構@・・・ハロアルカンからハロゲンが脱離し、カルボカチオンが生成します。 (13)反応機構A・・・カルボカチオンが、ベンゼンのπ電子を求電子攻撃します。 (14)反応機構B・・・脱プロトン化により、ベンゼンの水素がアルキル基に置換されます。 【フェノール】 (15)フリードリープ・ルンゲ(1794−1867)・・・1834年にフェノールを発見しました。 (16)ジョゼフ・リスター(1827−1912)・・・フェノールを消毒薬として利用しました。 【クメン法】 (17)リン酸・・・プロトンの供給源です。 (18)反応機構@・・・プロピレンのプロトン化。 「マルコフニコフ則」に従います。 (19)反応機構A・・・フリーデル・クラフツ反応により、クメンの生成。 (20)反応機構B・・・クメンからラジカルが生成。 (21)反応機構C・・・ラジカルに酸素が結合。 (22)反応機構D・・・クメンから水素を引き抜き、クメンヒドロペルオキシドが生成。 (23)硫酸・・・プロトンの供給源です。 (24)反応機構E・・・クメンヒドロペルオキシドのプロトン化。 (25)反応機構F・・・脱水。 (26)反応機構G・・・π電子による求核攻撃。 (27)反応機構H・・・転位。 (28)反応機構I・・・共鳴安定化。 (29)反応機構J・・・水の付加。 (30)反応機構K・・・脱プロトン化。 (31)反応機構L・・・プロトン化。 (32)反応機構M・・・フェノールの脱離。 (33)アセトン・・・フェノールが脱離したあと、アセトンが生成します。 「栄養素の代謝」に戻る |
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