共有結合
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原子番号が17である塩素原子の電子配置は 1s22s22p63s23p5 であり、閉殻していません。 このため、単独の原子としては不安定です。 まわりに、ナトリウム原子など、陽イオンになりやすい原子があれば、 その原子が放出する電子を受け取ることで陰イオンになることができます(イオン結合)。 しかし、陽イオンになりやすい原子がないときは、電子をもらうことができません。 そんな場合でも、塩素原子どうし、お互いの軌道を重ね合わせ、各原子が、 それぞれの軌道内に2個の電子をもつことができ、閉殻構造をとることができます。 ![]() 学ぶ項目を、ステップを細かく分けて一覧にしました。 「この項目は大丈夫だな。」と思うものは飛ばしてもらって結構です。 自分に必要な項目だけを学べば良いでしょう。 カッコ内は、文部科学省の学習指導要領に従った、目安となる履修学年です。 【共有結合】・・・陽イオンになりやすい原子が周りにいないときは、どうしよう? (01)塩素原子・・・ 3p 軌道を詳しく見ると、3px23py23pz1 です。 (02)不対電子(高1)・・・ 3pz 軌道には電子が1個しかなく、対を成していません。 (03)原子価(高1)・・・“結合の手”の数です。 不対電子の数に等しいです。 (04)共有結合(高1)・・・2個の塩素原子が、お互いの 3pz 軌道の電子を共有します。 (05)塩素分子(Cl2)・・・その結果、それぞれの塩素原子が閉殻し、安定します。 (06)共有電子対(高1)・・・共有結合による電子対です。 (07)フッ素分子(F2)・・・2個のフッ素原子が、お互いの 2pz 軌道の電子を共有します。 (08)臭素分子(Br2)・・・2個の臭素原子が、お互いの 4pz 軌道の電子を共有します。 (09)ヨウ素分子(I2)・・・2個のヨウ素原子が、お互いの 5pz 軌道の電子を共有します。 【異核二原子分子】 (10)二原子分子(高1)・・・2個の原子でつくられた分子です。 (11)等殻二原子分子・・・同一元素で構成される二原子分子です。 フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、など。 (12)異核二原子分子・・・異なる元素で構成される二原子分子です。 (13)結合の極性(高1)・・・異なる原子間の共有結合では、共有電子対が偏って存在します。 (14)電気陰性度(高1)・・・原子が、どれだけ負の電気を帯びやすいか示した値です。 (15)ライナス・ポーリング・・・1932年に「電気陰性度」の尺度を初めて導入したアメリカの化学者。 (16)17族元素の電気陰性度・・・フッ素(4.0)>塩素(3.0)>臭素(2.8)>ヨウ素(2.5)。 (17)一フッ化塩素(ClF)・・・電気陰性度の差により、共有電子対はフッ素側に偏ります。 (18)一フッ化臭素(BrF)・・・電気陰性度の差により、共有電子対はフッ素側に偏ります。 (19)一フッ化ヨウ素(IF)・・・電気陰性度の差により、共有電子対はフッ素側に偏ります。 (20)一塩化臭素(BrCl)・・・電気陰性度の差により、共有電子対は塩素側に偏ります。 (21)一塩化ヨウ素(ICl)・・・電気陰性度の差により、共有電子対は塩素側に偏ります。 (22)一臭化ヨウ素(IBr)・・・電気陰性度の差により、共通電子対は臭素側に偏ります。 (※)単に「フッ化塩素」ではなく、わざわざ「一フッ化塩素」と呼ぶのは、 塩素に結合するフッ素の数が1個ではないフッ化塩素があるからです。 えっ、どういうこと?・・・原子価が1どうしだから、1個と1個で結合するんじゃないの? 1個の塩素に複数個のフッ素が結合するなんて、どういう結合を考えたら良いのだろう? → こちら 「元素の周期表」に戻る |
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