人工尿素

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「有機化学」は、ドイツの化学者フリードリヒ・ヴェーラー(1800−1882)が、

塩化アンモニウムとシアン化銀からシアン酸アンモニウムを合成しようと実験しているときに、

偶然にも、有機物である尿素ができたことがきっかけである・・・と言われています。

しかし、ヴェーラー本人は、塩化アンモニウムは鉱物由来なので無機物と見なして良いとしても、

シアン酸銀の出発点が、素をたどれば動物由来になることが気がかりだったようです。

ただ、ヴェーラーの師匠であり、当時の化学界の権威であったイェンス・ベルセリウスが

物質を、有機物と無機物に分別する際に、次のように決めたため、

シアン酸銀は自動的に無機物に分別され、無機物から有機物が合成されたことになったわけです。



“病は気から”という言葉があります。

そんなに大したことない体調不良であっても、「しんどいな・・・。」と弱気になると、

本当に、どんどん体調が悪くなってしまうことがあります。

気持ちの持ち様というのは、大事なものですね。

当時の化学界で気体を無機物と見なしたことの妥当性について、現代人があれこれ議論しても仕方ありません。

今から振り返ればおかしい・・・と思うようなことであっても、

少なくとも、当時は、その考えが受け入れられたわけです。

アインシュタインが登場する前の物理学界ではニュートン力学がすべてだったように。

いずれにしても、このヴェーラーの研究がきっかけで、有機化学という学問がスタートしました。

“人をその気にさせる”というのは、大事なことなのですね。



【シアン化水素】


(※)事前に、「プルシアンブルー」について学んでおくと良いです。→ こちら

(01)
ピエール・マケ・・・1751年、プルシアンブルーから人工的に黄血塩を作りました。

(02)
ジェームズ・キア・・・マケが1766年に出版した「化学辞典」を、1776年に翻訳しました。

(03)
カール・シェーレ・・・1782年、黄血塩を塩酸で処理して、シアン化水素を得ました。

(04)
シェーレ酸・・・シアン化水素の水溶液。 プルシアンブルー由来なので「青酸」とも言います。



【シアン酸】


(05)
シアン化ナトリウム・・・シェーレ酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応により生成します。

(06)
ルイ・ヴォーグラン・・・シアン化ナトリウムからシアン酸ナトリウムを生成しました。



【人工尿素】


(07)
イェンス・ベルセリウス(1779−1848)・・・物質を有機物と無機物に分けました。

(08)
有機物・・・「生物のみが生成し得る物質」と定義しました。

(09)
無機物・・・それ以外の鉱物や気体などが含まれます。

(10)
シアン化水素・・・気体だったので無機物に分類されていました。

(11)
シアン酸・・・シアン化水素由来だったので無機物に分類されていました。

(12)
フリードリヒ・ヴェーラー・・・ベルセリウスの弟子。 1828年に尿素を人工合成しました。

(13)
シアン酸銀・・・シアン酸由来だったので無機物に分類されていました。

(14)
塩化アンモニウム・・・鉱物由来だったので無機物に分類されていました。

(15)
尿素・・・生物由来だったので有機物に分類されていました。

(16)
人工尿素・・・シアン酸銀と塩化アンモニウムから尿素が生成しました。



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