第14番福蔵院(ふくぞういん)

      山号 白鷺山(しらさぎさん)
      住所 中野区白鷺1-31-5
      参詣 2012年7月2日
          2012年7月21日
 

本堂の屋根にソーラーパネルがある
   
 前回訪れた日は閉門時間の5時を過ぎていたので、南蔵院に続いて出直す羽目になる。樹木が茂る鷺宮八幡神社の先に、福蔵院はある。築地塀と植え込みで整備された参道は、綺麗に掃き清められていた。山門を潜ると、右手に赤い涎掛けをつけた十三仏が並んでいる。十三仏は、死後の忌日を司る仏様である。あの世で、生前の審判を受ける死者の救済を願って祀られているのだと云う。石仏で十三体そろって祀られているのは、都内では珍しいそうだ。
 中野区教育委員会が建てた掲示板には、「…略…、右から不動明王(初七日)、釈迦如来(二七日)、文殊菩薩(三七日)、普賢菩薩(四七日)、地蔵菩薩(五七日)、弥勒菩薩(六七日)、薬師如来(七七日)、観世音菩薩(百か日)、勢至菩薩(一周忌)、阿弥陀如来(三回忌)、阿閦如来(七回忌)、大日如来(十三回忌)、虚空菩薩(三十三回忌)、…略…。銘によれば、八体は、寛文6年(1666)の大日如来像を最古として、貞享2年(1685)の普賢菩薩像に至る19年間に造立され、あとの五体は破損したものとみえ、現存のものは百余年後の寛政8年(1796)に、真言講中の27人よって再建されたものです。…略…」、との説明がある。
 縁起によれば、創建は戦国時代まで遡るらしい。開基は頼珍和上(不詳~1521)なる人物で、福蔵院に保存されている過去帳に、その記録があるそうだ。宝暦12年(1762)に、鷺宮八幡社ともども火災にあい、堂宇すべてが焼失したため、これ以上の詳しい寺伝は分らないようだ。現在の本堂は昭和35年(1960)、鐘楼堂は昭和38年(1963)に建て替えられたものだと云う。
 福蔵院の山号は「白鷺山」で、住所表示は鷺宮である。江戸郊外の里に鷺が群れ飛び、そのことが地名の由来になり、白鷺山という山号が名付けられたのだろう。植栽が整備された境内は、深い緑に取り囲まれている。すぐ近くを西武新宿線が走り、駅前繁華街が続いているのだが、街の騒音は伝わって来ない。
 般若心経を唱え終え、暫し、瞑想の境地にあったのだが、帰り際に本堂を振り返ったら違和感を覚えた。なんと、本堂の屋根一面に、ソーラーパネルが設置されさているではないか。太陽光発電と云うエネルギーの革新技術が、寺院の屋根にまで進出してきたのだ。あぁ、齢を感じる。我が思考では、ついて行けない。時代の移り変わりを思い知らされた。  (2012年8月28日 記)
               
 
  第15番 南蔵院←                 →第19番 青蓮寺

東京お遍路のtop頁へ

東京お遍路その9端書きへ


烏森同人のtop頁へ