メンテナンスのノウハウ (その2)

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私がメンテナンスから得たノウハウを紹介します。

水洗い

コリンズを購入してから必ず実施するのが水洗いです。コリンズの機器は既に製造されてから長い年月が経ち、その間に種々の環境で使用されて来たと想像されます。このため、ヤニ、埃、砂、劣化した油等の汚れが筐体や部品に付着しており、これを綺麗に清掃する事から始めています。

この手順を別ページで紹介します。


51S1ダイヤル機構部組み立て手順

51S1はSライン等のアマチュア無線機と異なり、プロフェッショナルユースなので、一挙動で周波数を切り替えることが要求されます。この為、メインダイヤルとPRESELECTORのスラグラックが連動し、更に100KHzの周波数表示機構に連動しているので、ダイヤル機構を組み立てる時には、これらのシンクロが必要となります。

この手順を別ページで紹介します。


PTOの分解掃除

メインダイヤルの回転が重いときは、メインノブを取り外し、PTOシャフトの取り付け部にある調整ナットを調整しますが、駄目な場合はダイヤル機構を分解して清掃する必要があります。なお、この時にダイヤル機構に絶対に注油をしてはいけません。それでも改善しない場合は、意を決してPTOの分解掃除に挑戦する必要があります。

PTOの分解手順に関しては、WB4HFNのサイトにN4BE Jim Millerが詳細に解説しているので、これを参照すると良い。または、上銘氏著「コリンズのメンテナンス」(2.ダイヤルメカニズムのメンテナンス)や、HI-RES COMMUNICATIONS, INC.のコリンズのメンテナンス・ビデオ(KWM2版)があります。同ビデオは、米国で有名な DENNIS BROTHERS が出演し、PTO(70K-2)の分解掃除の手順を実演で教えてくれます。


情報源

コリンズをメンテナンスする上で有効な資料や部品等の調達先を紹介します。なお、他にも良い情報源や部品等の調達先も考えられますが、私が実際に利用しているものを紹介する事とします。

Collins Collector's Magazine 前記の、CCAが発刊していた機関紙(現在は廃刊)。歴史、技術と興味深い内容が毎回満載されている。また、Classified Ad (売ります・買います)は当時の米国の中古市場の取引価格が良く判ります(驚くくらい安いです!)。 私は本紙を、オークション、ハムフェア、ハムズオフィスで入手しています。
Collins Monthly Jounal W3STが主宰しているCollins Radio Association (CRA)が発刊していた機関紙(現在は廃刊)。上記の、Collins Collector's Magazine (CCM) と伴に、コリンズの歴史や技術を知るよい情報源。調達方法も、CCM と同じ。
コリンズのメンテナンス JA3FR 上銘氏が執筆された技術紙で、メンテナンスのノウハウが満載されている。まずは、メンテナンス技術の参考書として、この本を読まれる方も多いと思います。非常に有名な本なので、これ以上の解説は不要と思います。
KWM-2メインテナンス 上記の「コリンズのメンテナンス」と同じく、上銘氏が執筆された、KWM2に特化したメンテナンス技術の解説本。CQ出版社のRadio Classics Books のシリーズとして、04年に出版された。KWM2のメンテナンスの参考書として、非常にまとまった内容。
Amateur Single Side Band コリンズ社から発刊された、アマチュアの為のSSBの技術解説本。A5版、百数十ページの本で、情報量は余り多くないが、SSBの機械に使われている、基本的な回路(ALC、DBM、フィルター回路、AGC、等)の動作原理が解りやすく解説されている。コリンズは元より、一般的なアマチュアのSSBの機械を理解する上でも、非常に良い解説書。また、随所に、コリンズのアマチュアの機械に使われている回路が例示として解説されており、特性の測定方法の解説もあり、メンテナンスの参考書としての価値も高い。
Fundamentals of SSB コリンズ社から発刊された、SSBの技術解説本。A4版、二百数十ページの本で、上記の本と比べると、やや専門的、かつ広範囲に、SSBの技術が解説されている(エキサイター、リニアアンプ、受信機、標準発信器、サーボ、空中線、電波伝播、データ伝送、等)。コリンズのプロフェッショナル・ユースの機械に適用されている技術も含まれており、広範囲に亘るコリンズの機械を理解する上で、一助となる本。
Collins Instruction Book コリンズの無線機をメンテナンスする上で、必須の資料。メンテナンスをする時に必要な、調整方法、回路図、部品配置、部品の仕様を参照する。
Service Bulletin

Service Information Letter

コリンズ社が出した、オフィシャルな機能改善に関する情報で、Service Bulletin (SB) 、Service Information Letter (SIL) がある。改善の目的、手順、部品の配置等を詳しく解説してある。例えば、初期のKWM2のAGC特性を改善する情報として、非常に有名なSB8は、この情報に属す。
部品カタログ 部品調達先のカタログ。取り寄せておくと、部品探しに便利。私が持っているカタログは、MOUSER ELECTRONICSSurplus Sales of NebraskaAntique Electronic Supply のもので、Webサイトで申し込むと、送ってくれる。また、ある程度、購入実績があると、定期的に新しいカタログを送ってくれる様です。
情報の切り抜き これは、単なる個人的な情報ファイル。インターネットのサイトや雑誌等で集めた、コリンズのメンテナンスに関する情報を、ファイルに保存しています。
CCAメールングリスト Collins Collector's Association (CCA)のメールングリスト。日々新しい情報が飛び交い、情報量が豊富で、メンテナンスの情報源として利用している。参考になる情報はプリントをして前記の情報の切り抜きにファイルしている。また、Archiveもあり、過去の情報も検索出来る。行き詰まった時には、質問を投げかけますが、皆で寄ってたかってヒントを出してくれるのが嬉しい。CCAのメンバーではなくてもメーリングリストの登録が出来る。
ビデオ HI-RES COMMUNICATIONS, INC.が製作した、コリンズのメンテナンス・ビデオ。米国で有名な DENNIS BROTHERS が出演し、コリンズのメンテナンスのノウハウを教えてくれる。私は、Sライン、KWM-2のビデオを持っているが、参考になる程度で、むしろ見て楽しむ内容。このメンテナンス・シリーズの他に、第2次世界大戦から現在に至るまでのコリンズの機器を紹介するビデオが有り、こちらは見ていて非常に楽しく、買う価値は有る。エイチアンドエムで扱っている。
エフアール・ラジオラボ コリンズの特殊部品の日本の調達先として利用。前出のコリンズのメンテナンスをはじめ、情報源としても有効。コリンズ機器の販売、修理もしている。
三和鋲螺 インチネジの調達先として利用。「インチネジのコンビニを目指している」と宣伝しているだけあり、どんなインチネジもある。販売基本単位はあるが、単価が高い特殊なネジは1本から売ってくれる。
テクノラボ キットのツートーン・ジェネレータの調達先。その他で、市販のツートーン・ジェネレータは余り見たことがない。
MOUSER ELECTRONICS 主に、コンデンサ、抵抗等の部品の調達先として利用。その他、クリスタルマイクのエレメントの調達等で利用した。
Surplus Sales of Nebraska 主に、コリンズの特殊部品の調達先として利用。価格は高いがコリンズの特殊パーツの供給量は最も多い。
Antique Electronic Supply 真空管関連が強い様で、真空管と真空管ラジオの本を調達するのに利用したことがある。
ハムズオフィス コリンズの雑誌(Collins Collector's Magazine)の日本の調達先として利用。同雑誌は、コリンズに関する歴史や技術情報が掲載され、良い情報源となる。なお、コリンズの特殊部品の販売もしており、一度Extention Footを調達した事がある。
Advanced Optics コリンズのレプリカの調達先として利用。516F2のキャビネットを購入。非常に完成度が高かった。
エイチアンドエム 上質のコリンズの機器や、メンテナンスビデオ等のコリンズ・グッズを扱っている。