巻柏こぼれ話
    お化けだぞ〜 


 愛培している巻柏の思いもよらぬ品種に、白又は黄色の爪斑が出現する事が有る。
  
玉麒麟
黒牡丹
 
墨染錦
錦昇龍

  以前「玉獅子」に出た爪斑を持つ葉を挿し芽したが、其の特徴は子孫に遺伝せず、
七年程の育苗中に爪斑の出現を見ることはできなかった。


 同様の現象に芯芽が白色になって成長する事があるが、芯に出るこのような斑は、
ある程度の成長後に、変色してその部分の芽は消滅する。
その期間は約2〜3年であり、専門的な事は解らないが、多分葉緑素が不足して
いる為に自活出来ないのでは無いかと思われる。
 
 
黒牡丹
 
銀 盃

 健全の内に斑の部分を挿し芽しても、発芽率が極めて悪く、発芽しても成長せず、
周りの緑の部分を挿し芽すると、発芽苗に斑は出現しない。
この様な斑は遺伝性が低く、其の特徴が子孫の伝承されることが少ない一時的な
ものであり、私はこの様な斑を「お化け斑」と称している。

 しかし一度この様な斑が出現した事のある「銀盃」を親木に使用して、毎年挿し芽を
している私が作る「銀盃」子苗には、3年生頃時折白芽を持った物を見かける事もあり、
全く遺伝しないとは言い切れないが、この様な白斑を持つ品種を挿し芽で繁殖させて、
独立した品種として固定させるのは不可能に近いと思われる。

 この「お化け斑」に近い白斑を持ちながら、その特徴を高い確率で子孫に伝承する
品種が有る、「玉織姫」の変化種で「織姫錦」とも言われているが、この「織姫錦」は、
私の概念を打ち破る存在である。
 
織姫錦

 「織姫錦」と言う名を知ったのは平成8年の事だが、今思えば当品種と思われる
白芽を持つ「玉織姫」中株二鉢が、その数年前の県外交換会に出品された事がある。
物好きな私は早速入手しようと思ったが、物好きは私一人だけではなく競り合いになり、
頭のなかを「お化け斑」の考えがよぎったことにより入手を断念した。
物好きは私一人だけでは無い事に安心したが、入手できずに「ガッカリ」であった。
 
 平成8年に「織姫錦」名の品を入手して、早速挿し芽をして30鉢の子苗を作ったが、
幼苗で斑が出現した物は1鉢だけであった、しかし成長すると白葉が出現する物もあり
その後の交換会等でも同種を何度か見掛たので、固定品種である事はまちがいない。

 しかし意識的に白芽を持つ小苗を作ろうと思い、挿し葉を択んで挿し芽しても結果は、
前述道理確率が低い、また白斑の出ない「織姫錦」は、まったくの「玉織姫」であり、
挿し芽繁殖を楽しむには不向きである。


「出るとは言えど、何時出るのか解らない、やはりお化けだ、お化けだぞ〜。」


私の秘密   巻柏に華が咲く   日光の名水   浮気癖は直らない 


トップ・メニュー