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平成30年度の歯科診療報酬改定

 平成30年4月からの歯科診療報酬(点数)が一部改定される。具体的には、歯科初診料が原則として237点(現行234点)、歯科再診料が原則48点(同45点)となるなど、主に下記の通りの見直しが為される。

施設基準を充たせば初再診料アップ

  • 院内感染防止対策を講じるため、一定の施設基準を充たした歯科医療機関については「歯科初診料」を237点に引き上げる(現行234点)。「歯科再診料」は48点とする(現行45点)。この要件(施設基準)として、「院内感染防止対策に係る研修を修了した常勤歯科医師を1名以上配置」、「歯科医療機器等の滅菌や、患者ごとの交換などを講じる」などを新たに設ける。但し、当該研修の受講要件については、平成31年3月までは「要件を満たしている」と看做して取り扱う。
  • 上述の「院内感染防止対策に関する施設基準」の届け出がない医療機関については、初診料が11点減算され、226点となる。再診料についても7点減算し、41点となる。但し、平成30年9月末までの間は、一定の経過措置を設ける。
  • 上述の施設基準を届け出なかった場合には、「歯科訪問診療料1,2,3」についても、各々の点数から10点を減算する。但し、30年9月末までは経過措置を設ける。
  • 「歯科外来診療環境体制加算(25点)」は、名称を「歯科外来診療環境体制加算1」、「同2」に変更し、各々23点、25点とする。
  • 「再診時歯科外来診療環境体制加算(5点)」も、「同1」が3点、「同2」が5点とする。但し、30年9月末までは経過措置を講じる。なお、地域歯科診療支援病院歯科初診料の施設基準を届け出ている歯科医療機関については、実質的に変更なし(25点、5点)。
  • 電子レセプト請求が義務付けられている病院、診療所等については、患者に対する情報提供の観点から、公費負担医療に係る給付により「自己負担がない患者(全額公費負担の患者を除く)」についても、無料発行を原則義務とする。

かかりつけ歯科医機能や医科歯科連携を推進

  • 「歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)」の140点と、「在宅患者歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)」は廃止する。他方において、医科から「総合的医療管理が継続的に必要である」として診療情報の提供を受けた患者に対し、一定の医療管理を行った場合は、歯科疾患管理料や歯科疾患在宅療養管理料の所定点数から50点を加算できる(施設基準あり)。
  • 口腔機能の発達不全が認められる小児のうち、特に機能不全が著しく、継続的な管理が必要な患者に療養上必要な指導、管理計画の作成を行った場合は、歯科疾患管理料の「小児口腔機能管理加算」として100点を加算する。
  • 老化等により、所与の口腔機能低下症状(口腔乾燥や嚥下機能低下など7項目)のうち3項目以上がみられる患者であって、所定の要件を満たした場合、歯科疾患管理料の「口腔機能管理加算」として100点を加算する。
  • 「外来緩和ケア管理料(現行300点)」は290点に変更。
  • 「歯科医療機関連携加算」の算定要件として、在宅療養支援診療所などの医師が“摂食機能障害を有する患者”を歯科医療機関(要件あり)に対して情報提供した場合を追加する。
  • 全身的な管理が必要な患者に対し、当該患者の同意を得て医科医療機関が行った診療情報(検査や投薬内容など)を文書によって提供した場合、患者1人につき3か月に1回のみ算定可。なお、診療情報提供料Ⅰを算定した月には別算定できない。
  • 術前の管理計画策定が困難である脳血管疾患などの手術を実施し、術後の誤嚥性肺炎リスクが高い患者などについて、術後、早期に口腔機能管理を開始した場合には「周術期等口腔機能管理」の対象となるなど、対象患者の拡大および明確化を行う。
  • かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準について、う蝕や歯周病の重症化予防に関する継続的な管理実績や地域連携に関する会議等への参加実績を要件に追加し、関連要件を見直す。
  • 全身的な医学管理が必要となる特定疾患を有する患者に対する「歯科特定疾患療養管理料」の対象に、医科との連携が重要な骨吸収抑制薬関連顎骨壊死および放射線性顎骨壊死を追加する。
  • 「脳血管疾患等リハビリテーション料」の対象患者として、「舌悪性腫瘍による舌切除等による構音障害を有する患者」を追加する。

在宅歯科医療は一層重要に

  • 「歯科訪問診療1(現行866点)」は、算定要件を見直したうえで1,036点に変更。「同2(283点)」は228点。「同3(120点)」は175点とする。なお、同1~3に於いて、当該患者の診療時間が20分未満だったときは、原則として所定点数の7割となる。
  • 殆どの歯科訪問診療料の算定時に算定されている「在宅患者等急性歯科疾患対応加算(同一建物居住者57点、それ以外170点)」を廃止し、歯科訪問診療料に包括する。
  • 「歯科訪問診療補助加算」に関しては、まず“在宅療養支援歯科診療所のみ”の要件を見直す。その上で、在宅療養支援歯科診療所1、2などの場合は「同一建物居住者以外」が115点、「同一建物居住者」が50点。その他歯科医院の場合は、それぞれ90点、30点を加算できる。
  • 当該歯科医院の外来を受診している患者であって、在宅等で療養を行っているものに対して歯科訪問診療を実施した場合は、一定の要件を設けた上で「歯科訪問診療移行加算」を新設する。具体的には、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」が150て、「その他」が100点を算定できる。
  • 「訪問歯科衛生指導料」は、まず「複雑」、「簡単」という区分を撤廃し、「単一建物診療患者が1人のとき」が360点、「同2人から9人」が328点、「その他」が300点とする。
  • 「歯科疾患在宅療養管理料」は、在宅療養支援歯科診療所1が320点、同2が250点、それ以外が190点。

検査や投薬、リハビリテーション

  • 「口腔内写真検査(1枚につき10点)」は、削除する。そのうえで、歯周疾患に罹患している患者に対して歯周検査を実施して口腔内カラー写真を撮影するとともに、これを活用して患者等に対して療養上必要な指導を行った場合、「歯周病患者画像活用指導料」の10点を新設する(詳細の算定要件あり)。なお、1回につき口腔内カラー写真を2枚以上撮影した場合は、2枚目からは1枚につき10点を所定点数に加算(5枚目まで)。
  • 「有床義歯咀嚼機能検査」に関しては、まず区分1と2を設ける。このうち、下顎運動測定と咀嚼能力測定を併せて行う場合(現行480点)は、560点に変更。下顎運動測定と咬合圧測定を併せて行う場合は550点。咀嚼能力測定のみを行う場合(現行100点)は140点。咬合圧測定のみを行う場合は130点。
  • 「舌圧検査」は、対象患者を明確化するとともに、算定回数(現行は月2回)を「6カ月に1回に限る」と変更。但し、広範囲顎骨支持型補綴を装着する患者に対して行った場合は、従来通り。
  • 特定薬剤の算定方法を見直し、「薬価から15円を控除した額を10円で除して得た点数につき、1点未満の端数を切り上げて得た点数に1点を加算して得た点数」に変更。(現行の「薬価が40円以下のときは算定不可」が、「15円以下は算定不可」に見直される)。
  • 「摂食機能療法(1日につき現行185点)」は、時間区分を設け、「30分以上の場合」が185点、「30分未満」が130点。
  • 「歯科口腔リハビリテーション料1」に関しては、各区分の点数をそれぞれ4点ずつ引き上げる。「同2」も同様に4点アップする。

処置、手術

  • 「感染根管処置」は各6点ずつ引き上げ、「単根管」が150点、「2根管」が300点、「3根管以上」が438点。
  • 「根管充填」は各4点ずつ引き上げ、「単根管」が72点、「2根管」が94点、「3根管以上」が114点。
  • 「歯周基本治療」に関しては、「スケーリング(3分の1顎につき)」のみ2点アップし、68点となる。
  • 暫間固定の「著しく困難なもの(650点)」は削除する。暫間固定装置修理の「困難なもの(220点)」も削除。
  • 「床副子」については、まず、名称を「口腔内装置」に変更するとともに「簡単」、「困難」、「著しく困難」などの区分を削除する。その上で、義歯床用アクリリックレジン樹脂によって所定の口腔内装置を製作した場合は「口腔内装置1」として1,500点。熱可塑性シート等による場合は「同2」が800点、「同3」が650点。。
  • 「睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置」を新設し、その1が3,000点、その2が2,000点。「舌接触補助床(1顎につき)」も新設し、新たに製作した場合は2,500点、旧義歯を用いた場合は1,000点。また、「術後即時顎補綴装置(1顎につき)」も2,500点で新設する。
  • 歯冠修復物などの除去に関しては、「簡単なもの(現行16点)」が20点、「困難なもの(32点)」が36点、「著しく困難なもの(54点)」が60点に変更。
  • 周術期専門的口腔衛生処置は、「周術期等専門的口腔衛生処置」に名称変更し、その1を92点、その2は100点とする。
  • 歯科疾患在宅療養管理料を算定した患者に対し、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が専門的口腔清掃処置を行った場合には、新たに「在宅等療養患者専門的口腔衛生処置」を1口腔につき120点、算定できる(月1回のみ)。
  • 一定の施設基準に適合している歯科医療機関において、レーザー照射により「口腔粘膜処置」を行った場合には、1口腔につき月1回を限度として30点を算定できる。
  • 「機械的歯面清掃処置」に関しては、2カ月に1回に限り算定できる(例外あり)。
  • フッ化物歯面塗布処置に関しては、各区分の点数をそれぞれ10点ずつ引き上げる。
  • 抜歯手術は、「前歯(現行150点)」が155点、「臼歯(260点)」が265点に引き上げる。なお、「乳歯(130点)」と「埋伏歯(1,050点)」は据え置き。

手術、歯冠修復、欠損補綴

  • 「支台築造印象(現行30点)」は、32点に変更。
  • 歯冠修復の「印象採得」に於いては、各区分の点数を2点ずつ引き上げる。欠損補綴の「印象採得」についても、それぞれ2点ずつアップ。副子の場合も同様。
  • 「咬合採得」に関しては、各区分の点数を原則2点ずつ引き上げる(総義歯のみ3点アップ)。
  • 「充填」に関しても、各区分の点数をそれぞれ2点ずつ引き上げる。
  • 有床義歯は、「1歯から4歯(現行576点)」が584点、「5~8歯(708点)」が718点、「9~11歯(940点)」が954点、「12~14歯(1,364点)」が1,382点、「総義歯(2,132点)」が2,162点。
  • 「鋳造鉤」に関しては、各区分の点数を6点ずつアップ。「線鉤」や「コンビネーション鉤」も同様。
  • 「鋳造バー(現行444点)」は450点、「屈曲バー(254点)」は260点に変更。
  • 有床義歯内面適合法の「2 軟質材料を用いる場合」に於いて、有床義歯を預かった当日に床裏装を行い、当該義歯を装着した場合は、「歯科技工加算1」として50点を加算できる。また、当日に床裏装、翌日に装着した場合は、「歯科技工加算2」として30点を加算。この施設基準は「歯科技工士を配置していること(院内技工)」など。
  • 「埋伏歯開窓術」は2,820点とする。
  • 「口腔粘膜血管腫凝固術(一連につき)」は2,000点。
  • 一定の施設基準に適合している歯科医療機関において、レーザー照射により当該手術を実施した場合には、「レーザー機器加算」として、その1が50点、同2が100点、同3が200点をそれぞれ加算する。
  • 硬質レジンジャケット冠(1歯につき)は、「非金属歯冠修復(1個につき)」に名称変更したうえで、「レジンインレー・単純なもの」が102点、「同・複雑なもの」が154点。「硬質レジンジャケット冠」は768点。
  • 「ポンティック(1歯につき)」は、前歯部が746点、小臼歯部が200点、大臼歯部が50点とする。
  • 広範囲顎骨支持型補綴は、「ブリッジ形態のもの(3分の1顎につき)」が20,000点(現行18,000点)、「床義歯形態のもの(1顎につき)」が15,000点(現行13,000点)。
  • 有床義歯内面適合法のうち、「軟質材料を用いる場合(1顎につき)」は1,200点(現行1,400点)に引き下げる。
  • 先進医療会議における検討結果を踏まえ、金属代替材料としてグラスファイバーで補強された高強度のコンポジットレジンを用いた3ユニットブリッジである「高強度硬質レジンブリッジ(1装置につき)」を2,500点で保険導入する。
  • 有床義歯内面適合法の「2 軟質材料を用いる場合」に於いて、有床義歯を預かった当日に床裏装を行い、当該義歯を装着した場合は、「歯科技工加算1」として50点を加算できる。また、当日に床裏装、翌日に装着した場合は、「歯科技工加算2」として30点を加算。この施設基準は「歯科技工士を配置していること(院内技工)」など。