医療新聞ダイジェスト(歯科版)

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安心・安全な歯科医療提供体制

 患者は安心かつ安全に歯科医療が提供されることを望んでいる。これを実現すべく、歯科医師やデンタルスタッフは日夜診療に取り組んでいる。
 もっとも、課題は山積している。良質な医療を行うための財源は逼迫しており、医療費削減を求める圧力も依然として根強い。こうした状況を踏まえ、患者、医療関係者の双方が様々な努力を行っている。

人生100年時代の8020運動(日歯)

 日本歯科医師会は、東京・千代田区のイイノホールで「8020運動30周年記念式典・シンポジウム」を開催。この30年間で国民の残存歯数が劇的に改善した点を評価するとともに、オーラルフレイルの考え方を盛り込み、同運動をさらに展開していく方針を確認した。
 柳川副会長の趣旨説明で開会した同記念式典は、まず初めに堀会長が8020運動スタートからの歯科の状況を解説。「平成元年当時は8020達成率が1割にも満たず、(80歳の平均残存歯数は)4本程度だったが、平成28年には達成率が51.2%となり、国の目標よりも6年早く“2人に1人が達成”との成果が得られた」、「230万の膨大な医科と歯科の情報を統合して分析した結果、残存歯数が20本以上の者は、(19本以下の者より)医科の医療費が低い、つまり健康であることが明らかになった」と要旨解説。
 その上で、「達成率は50%を超えたが、これで良いという訳ではない。今後も口腔機能の向上を図り、(達成率を)しっかり上げていく」とまとめた。
 続いて、根本匠・厚労大臣が来賓挨拶。「8020は国民運動として広く定着した。人生100年時代を迎え、口腔保健はますます重要となっており、厚労省としても総合的に推進していく」と語った。
 柴山昌彦・文科大臣(代読)は、「8020の達成には学齢期からの歯科保健対策が不可欠であり、地域医療機関と連携しながら適切な指導を行っていく」とした。
 その後、8020運動功労者表彰が行われ、サンスターやライオン、ロッテ、日本歯科商工協会など11団体・企業が堀会長から賞状を受け取った。

健康寿命延伸など重視(日歯)

 日歯は都道府県会長会議を開き、歯科を取り巻く諸課題について各県歯会長と協議した。この中で堀会長は、患者調査などのデータに基づき、「歯科による口腔機能管理を実施することによって誤嚥性肺炎のリスクが軽減され、医療費が減少する」と解説。歯科専門職が関与する口腔機能管理を徹底すべきとの考えを強調した。
 また、周術期等口腔機能管理による新生物医療費の削減効果についても言及。現状では約1割の病院でのみ実施されている同管理を全医科病院で徹底することにより、約6千億円の医療費を削減できる可能性も示唆した。
 近年は約64%前後で推移している歯科医師国家試験では、一部県歯の会長から「国試浪人が増えており、何とか善後策を講じて頂きたい」との意見が上がり、引き続き議論を深めていく方針。
 災害が発生した際の歯科保健医療対策では、「(歯科関連11団体が参画する)災害歯科保健医療連絡協議会を機能させ、被災地の歯科医療救護や被災者の歯科支援活動を迅速に提供できるよう準備していく」とした。
 この他、レセプトの審査についても一部県歯会長から「厳しい共同指導が行われており、対策が必要だ」との声が上がり、「日歯としても、各県から要請があれば現地に出向くなどの対応を講じていきたい」と答弁した。

会務の取組み状況を解説(県歯会長会議)

 日歯は「都道府県会長会議」を開き、歯科を取り巻く諸課題への取組み状況を各県歯会長に説明した。このうち歯科活性化会議では、「直近の7年で見ると、診療報酬改定の行われなかった年度でもマイナストレンドから脱却している」と解説。歯科医療費への影響が大きい金パラの価格変動分を除いても右肩上がりで推移している状況が示された。
 新病名に関しても、歯科疾患管理料の加算要件の中に口腔機能低下症と口腔機能発達不全症が導入される見通しとなっており、「超高齢社会の疾病構造に対応するための制度が前進した」と解説。
 また、日本歯科総合研究機構によるナショナル・データベース分析に於いて「残存歯数が多いほど医療費は低くなる」、「現在歯数が少ないほど誤嚥性肺炎による医科受診が多い」などの結果が示されたことを踏まえ、「こうしたデータを活用していく」との方針を強調。これに対し、出席者からは「国民に向けて積極的にアピールして頂きたい」との声が上がった。
 また、本年は8020運動がスタートしてから30年の節目となるため、各種事業を展開。この一環として、歯科関連職種の男女を軸に据えた映画を製作・上映していくことが報告された。
 この他、一部県歯の会長から「(レセ請求に対する)共同指導が高圧的に行われており、是正が必要」との指摘があり、執行部は「難しい問題ではあるが、対応していきたい」と答弁した。

需給問題など諸課題の対策加速(日歯代議員会)

 日歯は定時代議員会を開き、平成29年度の会計収支など全議案を賛成の挙手多数により可決確定するとともに、歯科を取り巻く諸課題への対応策を協議。歯科医師需給問題や歯科健診、口腔管理普及、オーラルフレイル対策など主要16項目について、さらに加速して取り組む方針を確認した。
 牧野副会長の挨拶で開会した同代議員会は、物故会員に対する黙祷などに続き、堀会長が執行部を代表して重要施策を説明。「平成30年の診療報酬改定を通じて“歯科の新病名”が実現した」、「口腔機能管理などによって医療費が削減することなど、その有用性を示すことが出来た」と要旨発言。財務省から受診時定額負担や県別診療報酬点数の設定などの考え方が浮上していることについても、「日医と緊密に連携し、国民医療に支障が出ないよう取り組んでいる」と述べた。
 続いて来賓挨拶があり、歯系の石井みどり・参院議員は「国民に貢献できる歯科医療提供体制が浸透するよう努力してまいる」と語った。日歯連盟の高橋会長も、国民歯科の重要性に言及した上で、「皆保険を今後も堅持していくことが重要であり、政権与党としっかり連携していく」と発言。
 その後、諸課題に対する質疑応答が為され、厚労省・歯科口腔保健推進室の省令化では「うれしいニュースだが、具体的にどのような活動を行うのかが見えてこない。日歯の意向をどのように反映させていくのか」との質問に対し、執行部は「歯科関連の司令塔的な役割を担うものであり、これからが正念場だ。生涯を通じた切れ目のない歯科口腔保健施策が展開されるよう、我々もバックアップしていく」と答弁した。
 この他、医科歯科連携、組織拡充策、歯科衛生士の登録制度の法制化など幅広いテーマについて議論が交わされ、閉会した。

30年度事業計画など決議(日歯代議員会)

 日歯は東京・市ヶ谷の歯科医師会館内で臨時代議員会を開き、平成30年度の事業計画や会費の徴収額、収支予算など、全議案を賛成多数により可決確定した。
 佐藤副会長の挨拶で開会した同代議員会は、まず堀会長が執行部を代表して挨拶。「会長就任当時に示した28項目の課題について、多くの成果が上がった」、「今次会に於いても、この10年間、主張し続けてきた口腔機能の維持・向上で一定の成果が得られた」と語った。
 続いて来賓挨拶があり、組織代表である石井みどり・参院議員は「(全国の歯科医師会の会員が)国民医療の発展に力を尽くしてくれており、感謝している」、「私自身も様々な歯科の課題を解決すべく国会で引き続き取り組んで参りたい」と発言。島村大・参院議員(神奈川選挙区)も「多くの関係者の努力によって今回改定でも成果が得られた」と語った。
 その後、各代議員と①歯科訪問診療の推進策、②地域格差に配慮した施設基準、③国民に対するPR活動、④歯科技工士の人材確保、⑤周術期口腔機能管理の普及、⑥歯科健診の受診率向上策などについて議論が交わされるとともに、平成30年度の収支予算などの議案についても慎重審議の上で可決した。

全議案を可決確定(日歯)

 日本歯科医師会は東京・市ヶ谷の歯科医師会館内で代議員会を開き、全議案を賛成多数により可決確定。理事選任議案では、堀憲郎候補(新潟県歯所属)など24名全員を承認した。
 また、29年度の事業計画では、歯科を取り巻く厳しい環境を是正するため、診療報酬と介護報酬の同時改定に全力で取り組む方針を強調。堀憲郎・会長は「歯科医療の重要性が(患者・国民や医療関係職種の間で)理解されつつあるがが、勿論、楽観視できる状況ではない」と解説したうえで、「平成30年度の同時改定に向け、執行部が一丸となって対応していく」と語った。

今次改定内容を周知(県歯社保理事協)

 日歯は「都道府県歯・社保担当理事連絡協議会」を開き、平成30年度歯科診療報酬・介護報酬改定のポイントを解説した。本年4月以降、各歯科医院で適正な点数の算定が為されるよう、各県歯の社保理事に留意点を周知。厚労省と日歯執行部から①院内感染防止対策、②在宅歯科医療、③周術期等の口腔機能管理などの詳細が報告された。
 山口理事の司会で進行した同協議会は、まず堀会長が改定の骨子を説明。「財源が非常に限られており、(改定すべき数多くの項目の中から)優先順位をつけて対応せざるを得なかった」と述べた上で、「生涯に亘る口腔機能の維持・向上を目指し、必要な改定を行った」、「新規医療技術、医療機器・材料についても積極的に評価した」と要旨解説。
 続いて、厚労省の小椋・歯科医療管理官が医科・歯科・調剤の改定率の配分根拠を説明。その上で、小嶺・課長補佐が「(今次改定では)ペリオやカリエスではない『噛めない』という主訴に対応すべく、口腔機能管理をより積極的に取り入れた」、「院内感染を防止する観点から、基本診療料を見直した」と解説。
 その後、社保担当の遠藤常務理事が具体的な中身を分かりやすく述べ、柳川副会長の挨拶で閉会した。

歯科はプラス0.57%(平成31年度改定)

 政府は平成31年度の改定率(実施時期は2019年10月)をプラス0.41%とすることで合意した。消費税率引き上げに伴い、医業経営への影響が懸念される中、医科はプラス0.48%、歯科は同0.57%、調剤は同0.12%。なお、医科と歯科の上げ幅の違いは医療本体の比率によるものであり、実質的には同水準。
 薬価は、消費税対応分として0.42%アップされるが、実勢価格の下落などによって0.93%引き下げられるため、全体ではマイナス0.51%。
 材料価格は、消費税対応がプラス0.06%、実勢価改定などがマイナス0.02%であり、全体ではプラス0.03%。
 また、介護報酬は0.39%の引き上げ。さらに、新たな経済政策パッケージに基づく介護人材の処遇改善のため約210億円の国費が投入される。

新規医療技術の保険導入重視(日歯)

 日歯は、東京・市ヶ谷の歯科医師会館で臨時代議員会を開き、議長に芦田欣一・代議員(滋賀県歯)、副議長に森永和男・代議員(茨城県歯)を決定。候補者がいずれも1名であったため選挙には至らず、賛成の挙手多数で信任された。
 各県歯を代表する140名の代議員全員が出席した同会議は、まず初めに柳川副会長が挨拶、「(47都道府県歯のうち)12県で新会長が誕生し、代議員も53名が交代(新任・再任)した」と要旨説明。その後、堀会長が執行部を代表して諸施策への取り組み状況を解説。「成人期以降の歯科健診等が具現化するよう、(厚労省などに)要求していきたい」、「口腔健康管理がさらに理解されるよう尽力する」と語った。
 また、医療保険に関しては、新規歯科医療技術の迅速な保険導入に言及。新規技術の開発件数が医科と比較して極めて少ない現状を打破していくため、歯科関連の学会や歯科メーカー等と連携して対応する方針を強調した。
 その後、担当役員が①各種部外審議会の状況、②平成30年度の制度・予算要望、③予防・健康づくり、④介護・地域包括ケア関連の対応状況などを説明し、定刻通りに終了した。

「まだ組織再構築の時期だ」(日歯連盟)

 日歯連盟は定例理事会後に記者会見し、医政の状況を報告。
 この中で高橋会長は、本年7月の参院選挙への対応について、組織代表は擁立しないとの現行方針に変化はないとの基本姿勢を強調したうえで、「まだ組織の立て直しを図る時期であり、各ブロックの関係者に直接お会いして説明していく」と語った。
 参院選挙での協力体制に関しては、「既に説明している通り、政権与党に協力してまいる」、「我々が持っている30万(の集票力)を国民のため有効的に活動していく」と要旨解説。
 また、医科で導入された診療報酬上の妊婦加算について、「歯科に於いても、レ線や投薬、さらには妊娠性の歯肉炎、母子感染への対策など、様々な面で気を使った診療を行っている」とし、点数上の配慮が必要だとの立場を強調した。

従来型の組織代表選挙を断念(日歯連盟)

 日歯連盟は評議員会に於いて次期参議院選挙への対応策を議論。各県歯連盟を代表する出席者から幅広い意見が上がったが、最終的には賛成多数により「組織代表を擁立することは控える」との理事会方針が了承された。
 また、高橋会長は「歯科医療を通じて国民のお役に立てる組織にしていく」、「国の政策にも歯科医療・保健の重要性が盛り込まれているが、これが更に充実するよう尽力していく」と要旨発言。政権与党と連携して歯科の大切さをアピールしていく方針を確認した。
 質疑応答では、「歯周疾患健診の実績値が向上するよう働きかけて頂きたい」との要望も上がった。同健診は全市町村の約80%で行なわれているが、実際に受診したのは対象者の9.2%に留まっており、早期発見・早期治療に繋げることが課題となっている。そのため、日歯などと連携して実施率の向上に努める方向性も示された。

政権与党としっかり連携(日歯連盟)

 日歯連盟の執行部はこのほど、理事会終了後に記者会見を開き、歯科を取り巻く諸課題への対応策を報告。この中で高橋会長は、「骨太の方針にも記載された歯科対策を如何にして具現化するのかが喫緊の課題だ」と発言。一歩でも前進するよう政治活動していく方針を強調した。
 また、今後の医療保険制度の見通しに関し、「医療費が増加し続けている状況の下で持続可能な制度にしていかねばならない」と述べたうえで、「早期発見・早期治療が基本であり、政権与党としっかり手を取り合って(生涯を通じた)定期健診制度の導入などを目指していきたい」と要旨まとめた。

組織代表候補の擁立断念(日歯連)

 日本歯科医師連盟執行部は、理事会を開いて次期参院比例代表選挙の対応を議論。組織代表候補の擁立を断念する方針を決定した。
 同会を取り巻く諸情勢を勘案した結果、日歯連が中心となる組織代表選挙は不可能だと判断。高橋会長は「政権の中枢とは非常に良好な関係を築けており、(候補者を)出さないからと言って組織が衰退する訳ではない」と説明。その上で、「歯科議連や若手の歯科関係国会議員の会、スポーツ歯科推進議連などをサポートすることによって国民歯科医療の確保に努めたい」と語った。
 なお、日歯連としては組織代表を擁立しない方針だが、各県の歯科医師連盟の中には「出来るならば歯科医師を候補者にしていきたい」との声もあるため、各県歯連盟が主体となって対応していくのかが今後の焦点となっている。

国庫補助削減を懸念(全歯連)

 全国歯科医師国民健康保険組合連合会(全歯連)は通常総会を開き、平成30年度の事業計画や歳入歳出予算など全議案を承認するとともに、歯科国保を取り巻く諸課題を論議した。
 各歯科国保の理事長らが出席した同総会は、まず山口会長が執行部を代表して挨拶。「国保組合への国庫助成金が前年度比2.6%(約76億円)も減少し、激変緩和措置を受けられる組合も減りそうだ」と説明したうえで、「医療費の増加によって運営が厳しくなっており、組合相互の連携を密にして協調していきたい」と語った。
 続いて来賓挨拶が行われ、歯系の石井みどり・参院議員は「高齢者支援金は増加、各国保組合への特別調整補助金は見直し(削減)という状況のため、積立金の取り崩しや被保険料の引き上げをせざるを得ない組合も出ている」としたうえで、「国民の健康を支えている歯科医師が安心して治療に従事できるよう努力していく」と語った。
 島村大・参院議員も「組合運営は厳しさを増しており、しっかりと諸問題に取り組んでいきたい」と意欲を示した。
 国保組合の全国組織である全協の真野章・会長も出席。「全体としては国庫補助金が減っているが、この背景には被保険者数の減少もある」と指摘するとともに、「被保険者への健康づくりに力を尽くし、予防対策に取り組み、将来の医療費増に備えて頂きたい」と語った。
 その後、議案審議に入り、30年度事業計画案では「保険者努力支援制度など国の政策への対応に関する調査を行う」との事業を追加したうえで承認。歳入歳出予算案では、(東京近郊のみならず)全国どの県の理事長が全歯連会長に就任したとしても、支障なく会務執行が行えるための準備が進められたほかは概ね前年並みで了承。三塚副会長の挨拶で閉会した。

「口腔を通して全身を診ていく」(日学歯)

 日学歯は臨時総会を開き、平成30年度の事業計画と収支予算議案を賛成多数により可決確定した。齋藤副会長の挨拶で開会した同総会は、物故会員への黙祷などに続いて川本会長が学校歯科を取り巻く状況を説明。「数十年前には児童・生徒のう蝕歯の本数が非常に多く、『12歳児のDMF歯数が3を切ればいいな』などと話していたが、直近(平成29年)のデータを見ると0.82本にまで改善している」と述べたうえで、「う蝕は減少したが、口の中の全体を見ると、新たに様々な課題が浮き彫りになっている」、「口腔を通じて全身を診ていく必要性も出てきた」と指摘。「この総会が新しい日学歯の第一歩だ」とまとめた。
 続いて文科省の三谷卓也・健康教育食育課長(代読)が同省の立場を説明。「学校歯科医や学校関係者の御尽力によってう蝕などの状況は良くなっているが、口腔機能の未発達などの問題も起こっている」と解説したうえで、「効果的な歯科保健指導など、今後も課題解決に向けて取り組んでいく」とした。
 また、日歯の堀会長は、8020運動への取組みを説明する中で、「言うまでもなく高齢期になってから対応しても遅いのであり、小児・学童期からの歯科対策が重要だ。日学歯と連携して諸事業を進めたい」と語った。
 その後、予算決算特別委員会(山口委員長)からの報告があり、平成30年度に実施予定の私立高校向けアンケート調査に関しては「日本私立中学高等学校連合会などにご助力いただけるようアプローチしており、(全国規模での実施が)困難であれば、大都市などを抽出する方法も検討している旨の回答があった」と説明。これらを踏まえ、出席委員全員が承認した事が報告された。
 なお、30年度の事業計画の具体的内容は概ね前年度の方針を踏襲しているが、学校歯科保健に関する調査研究事業では、歯科健康診断のGとGOを判定するための資料を新規提供する方針。
 普及啓発・研修事業では、生涯研修制度の円滑運営のため、会員データベースの再構築を推進する。また、表彰事業では、図画・ポスターコンクールの高校生の部に於いて「コンピュータ・グラフィック作品の応募も可とし、より広範な参加を実現する」とした。その後、全議案を賛成多数により可決確定し、柘植副会長の挨拶で閉会した。

全国学校歯科保健研究大会

 日学歯や文科省、日本学校保健会などは、青森市のリンクステーションホール青森で全国学校歯科保健研究大会を開き、「生き抜く力」を育む歯・口の健康づくりの展開を目指して議論を交わした。
 開会式では、当番県である青森県歯の工藤副会長を皮切りに各主催者や来賓出席者が挨拶。文科省の林芳正大臣(高橋道和・初等中等教育局長が代読)は「新しい中学校学習指導要領解説編において、歯周病や歯肉炎などの生活習慣病の予防について明記したほか、学校と地域の医療機関等との連携によって課題を解決するなど、学校保健の充実に努めている」、「更なる充実のため、関係者のご支援・ご協力をお願いしたい」と説明。
 日学歯の川本強会長は、子供の自主、自律、自助による歯科保健を担っている全国の学校歯科医や関係者に感謝の意を示した上で、「学校歯科健診等の更なる充実に向け、本大会を有意義なものとしたい」と語った。
 今大会の実行委員長である山口勝弘・青森県歯会長は、「子供が生涯にわたり健康で生き抜くためには、かかりつけ歯科医や学校関係者、地域住民などが連携して支援していくことが重要だ」と指摘。
 また、学校歯科保健活動を特に熱心に行っている優良校の表彰式も行われ、優秀賞(文部科学大臣賞)には幼稚園1校、小学校3校、中学校1校、特別支援学校1校の計6校(高校は該当なし)。日学歯会長賞は計8校、日歯会長賞は11校、そして奨励賞では107校が表彰された。
 その後、東北大学大学院の辻一郎・教授(公衆衛生学)が「健康長寿社会の実現に向けたライフコース・アプローチ」をテーマに基調講演。主に健康寿命を如何にして延伸させるかについて、「残存歯の本数を確保してくことが重要」、「喪失歯数が増えていった場合でも、適切な歯科補綴物を装着することにより、プラスの効果が得られる」と解説した。

収支決算など全議案可決(都歯)

 東京都歯科医師会は定時代議員会を開き、平成29年度収支決算など全議案を賛成多数により可決確定した。また、歯科を取り巻く諸課題を論議。周術期の口腔ケアに積極的に関与していくことや、国家試験合格後の臨床研修歯科医に向けた入会促進策などを重視していく方針を示した。
 また、歯科衛生士の養成と確保の乖離についても協議したが、解決が難しい領域でもあり、引き続き善後策を検討していくこととなった。衛生士の必要性は高まっており、積極的に養成していくことが求められるが、全国の歯科衛生士学校の約半数が定員割れになっており、如何にして人材を確保していくのかが大きな課題。
 特に、東京の場合は法学や経済学、文学、理工学などの四年制大学や短大、専門学校が非常に多く、衛生士学校の志望者減少が顕著(歯科大学系の学校を除く)。1歯科医院当たりの歯科衛生士数も全国平均の1.5人を大きく下回り、0.9人に留まっている。そのため、免許は有しているが歯科衛生士業務に従事していない者の復職支援を強化するなど、総合的な対策を進めていくことになった。
 この他、会員の現況に関しては、本年5月末時点での正会員数は7,816名であり、前年度対比で50名の減少。但し、終身会員は71名増加し、1,906名となった。
 また、前回の代議員会での報告の後に連絡のあった逝去会員数は27名。内訳は、50歳未満が1名、50歳以上65歳未満が1名、65歳以上75歳未満はゼロ、75歳以上85歳未満が2名。言い換えると、全体の約85%が85歳以上の長寿であり、「ミクロベースでは様々な疾患等で逝去するケースも当然に存在するが、マクロベースでは90歳前後まで長生き」との状況。

歯科技工の将来像など論議(日技)

 日本歯科技工士会(杉岡範明・会長)は東京・新宿区の歯科技工士会館で社員総会を開き、平成28年度の会計収支決算や会費規定一部改正など、全議案を賛成の挙手多数により可決するとともに、歯科技工業界が抱える諸課題について各県技から選出された代議員と議論を交わした。
 物故会員に対する黙祷などに続き、杉岡会長は「社会の信頼に応える歯科技工士のナショナルセンターとして、さらに充実発展させるよう取り組んでいく」と発言。歯科技工の質を確保するため、技工士養成施設の修業年限を3年以上に引き上げるよう行政当局等と折衝していく方針を強調した。
 また、会務執行の重要な柱として位置付けている日技新発展『7』プランの進捗状況も説明。懸案事項解決のための「総合政策審議会」を設置したことや、スマートカードの導入による会員情報の一元化などが順調に達成される一方、歯科技工技術の研究・開発に関する助成制度は依然として進展していない状況が報告された。

国民医療を守るため総決起大会

 日医や日歯、日薬、日本看護協会、日本歯科技工士会、日本歯科衛生士会など40団体が参加する「国民医療推進協議会」は、東京・千代田区の憲政記念館で総決起大会を開き、①国民が将来にわたり必要な医療・介護を安心して充分に受けられるための適切な財源確保、②国民と医療機関等に不合理な負担を強いている医療等に係る消費税問題の抜本的な解決、を求める決議を採択した。
 日医の今村定臣・常任理事の司会で進行した同大会は、まず横倉義武・会長が挨拶。「国民は社会保障の充実を期待している。皆保険制度を堅持し、医療格差が生じないよう対応していかねばならない」、「地域医療が崩壊するという事態に陥らないよう一致団結して運動しよう」と呼びかけた。
 都医の尾﨑治夫・会長も「補助金の少ない民間の医療機関が頼るのは診療報酬であり、ここをきちんと手当てしていかないと医療提供体制に問題が生じる」と指摘。適正な点数確保を求めた。
 来賓挨拶では、自民党の高村副総裁が同党を代表し、「国民が求めている持続可能な医療保険制度、生涯を通じた全世代型の制度を作っていくべきであり、必要な財源が確保されるよう強い決意でのぞむ」と語った。
 また、日歯の堀会長は「(診療報酬改定は)伸びている医療費をただ削減すれば良いのではない。皆保険制度を次の世代に引き継いでいけるような制度が必要だ」と発言。日薬の山本会長は「薬剤の価値に見合った点数を実現すべき」と主張。日本看護協会の福井会長は「医療機関に勤務している人の環境改善などが必要」と説明。これらの後、全日病の猪口会長が決議文を読み上げ、全会一致で採択された。