話し方総合
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平成14年 イベント
11月 情緒・情感・心情の
   表現表
 9月 論理的な構成法
 7月 慰める・咎める
    話し方
 5月 話し言葉の検定
 3月 語彙の訓練
 1月 新・話し方
    カリキュラム
 
 
 
 
 
 
 



             






平成14年11月勉強会抄録


 [情緒・情感・心情の表現法]





 論理的に表現することはもちろん大切だが、情的な側面をはたらかしての表現もまた大切である。これは単にウエットな印象を与えるだけのものでなく、知的側面とは違った大事なはたらきがあるからである。

 1,知的な側面のはたらき

 論理的に思考し、物事を知的に理解する機能を持つ。また事実はどうなっているかの認識や、過去や未来を推測し判断するはたらきをもっている。

 2,情的な側面のはたらき

 感化性、情緒性をはたらかせ、潤いや安らぎを生み出すはたらきをもつ(芸術の世界など)。また物事を選択し、行動を決断させるのは、情的な側面のはたらきによる。
 わたしたちはものごとを理解しそれをよしとしても、実行に移すまでには心理的な距離がある。よしとわかっていても踏み切れないためらいがある。これらの距離を埋め、実行へ踏み切らせていくのは、情的側面のはたらきによるのである。

 3,情的に訴える要素

 情的に訴え、聞き手の心情を揺り動かす要素には2つがある。

 @話の内容、話題
  話の話題をもって聞き手の心情にふれていくもので、俗に「聞かせる話」と
  いわれるものである。条理を尽くして話しても相手は領いてくれなかったの
  に、涙を誘う話に簡単にOKするなどというのは世間でよく聞くことである。

 A話しぶり、表現
  話の技術、技法によって心情に訴えていくものである。ボソボソと事務的に
  話しては相手は心を開かない。「理屈では人は動かない」といわれるゆえん
  である。
 そこで今回は心情に訴え相手を動かすための、「話の技術、技法」について取り上げたのである。

 4,学習法

 @「おあややお謝りなさい」を極端に変化をつけて朗読する練習。
 A果物、野菜、動物等を取り上げ、その言葉を用いてある心情を表現する練習。

例;「あなたが好き」ということを、「バナナ、トマト」等の言葉で表現する等

     付録;「情」のつく言葉と意味     

     







平成14年 9月勉強会抄録


 「論理的な構成法」





 1,論理的な話とは  
 
 2,論理的な話の組み立ての流れ

 @まず詳細緻密な描写をする。
   話の原点はイメージを詳細緻密に描写するところから始まります。
   それには注意力、観察力をはたらかせ、多くの言葉を用いて表現して
   いくので。当然語彙の豊かさが求められます。
 A省略を行う
  イメージを描写することは話の原点ですが、それだけでは論理的な話と
  はなりません。論理的に話すには省略やまとめが必要となります。
 B論理的に組み立てる
   論理的な組み立てをするには、つぎの3つのステップを踏んでいきます。
          
 ●結論を述べる
  結論とは、自分がいいたいこと全体を一口にまとめたもの。発表する意見
  の主題であったり、報告する事柄の概要であったりします。
 ●理由を述べる
  理由とは、結論に対する理由のこと。「なぜこの話をするのか」とか「これこ
  れなので報告します」といったことです。
 ●裏付けを行う
  裏付けとは、結論を証明し裏付ける資料を示すこと。それによって結論が
  正しいことを証拠立てるわけです。

 3,話のブロックを組み合わせて、話全体を組み立てる

 前項の話の組み立ては、話全体の一部分の組み立てです。つまり全体の中の一ブロックだといえます。話は論理的にまとめた話のブロックを組み合わせて、全体を完成させていきます。
 このブロックの組み合わせ方に基本が幾つかあります。


 @ 内容の性質面からみた配列
 A 対置的関係の配列
 B 相対的関係の配列
 C 対応的関係

 4,話を伝える技術・技巧

 どれほど論理的に組み立てられた話でも、聞き手に聞いてもらえる技術、技巧が伴っていなければ効果がありません。
 これを「話の技能」といいます。
 「技術」と「技能」はすこし違います。その違いを述べますと、

 ●「技術」 … 個人の能力とは離れた客観的な方法論(例えば料理のレシ
        ピ等)
 ●「技能」 … 技術を使いこなす個人的な能力(例えば上手に料理を作れる
        腕等)

 5,話の価値性(思想性)を高める

 話の最後に行き着くのは、思想性高く価値ある話をするところにあります。そこに話の評価がなされるわけです。
 話の評価にはつぎの2つの面があります。

 @「話の表現の評価」
  「表現の評価」とは、話のわかりやすさ、楽しさ、おもしろさ、聞き手の満足
  さといったものです。
 A「話の価値の評価」
  「価値の評価」とは、内容の深さ、真理・真実の突き方、創造性の高さとい
  ったものです。

 話すことの究極の目的は、話したことの価値の評価を高めることにありますので、話には話す人の思想性が求められてまいります。
 思想性とは「パーソナリティ」という言葉で表すこともできます。話には意識、無意識にかかわらず、常に話し手のパーソナリティが現れています。ただパーソナリティは、ふつうキャラクターという目に見えるものを通して現れてきます。そしてパーソナリティとキャラクターは、内と外の関係にあってお互いに影響し合っています。つまりパーソナリティという内側が変われば、キャラクターという外側に影響を及ぼし、外側の変化は内側の変化を促します。

 話し方の学習は話の表現技術を磨くことが基本ですから、いわば外側に現れた形を磨くことだといえます。しかしそれは外側の変化だけで終わるのでなく、外の変化はうちの変化を促すのです。技術を取り入れ「技能」と化し、その技能を磨き、高めるプロセスにおいて、自然に人格の涵養がなされるのだと考えたいのです。
 つまり、話の表現の評価を高める努力は、すなわち話の価値の評価を高めることにつながるのだというのが、わたしの考えなのです。

       






平成14年 7月勉強会抄録


 [慰める・咎める話し方]




 はじめに  人間の人柄や性格をあらわすものに、パーソナリティとかキャラクターとかいう言葉が使われます。
 パーソナリティはその人を内面から形作っているもので、その人の生き方、人生観に根ざしていjます。また人間性、人格、個性ともいわれます。ただ、その人のパーソナリティを理解するには、ある程度の時間と観察が必要となります。

 対してキャラクターはその人らしさを表に出しているものなので、相手の五感に認識される印象評価といってよいでしょう。性格、人柄、特異性などともいわれ、比較的短い時間の中で認識できたり、初対面においても理解できたりするものです。
 これは人間を内側から見たものと、外側から見たもの評価といえましょう。ただ内側と外側は連動しており、お互いに影響し合っています。内が変われば表にも影響を及ぼし、表の変化は内の変化を促すのです。

 話し方の学習は、外側を変えることで内側を変革しようとするのが大きな目的です。話すことの技能、技術、技巧、コツといったものを磨き高めることは、これは外側を変える努力だといえます。それによって内側にある人間性、人間力を高めようとするものなのです。

 1,話の決定権ということ

 話し方の世界では「話の決定権」を重視しています。話の決定権とは「話したことの解釈と評価は聞き手にゆだねられる」ということです。
 つまり自分ではわかりやすく話したつもりでも、わかったかどうかは聞き手次第であり、話の上手下手の評価は、聞き手が下すということなのです。
 「話の誤解」というものがあります。これは話の「発案権」(話す権利)と「決定権」(聞き取られ方)の食い違いからおこるものです。そのため自分の話が過小評価されたり、不当の立場に置かれて苦しむ人が出るわけです。世間には言葉に飾りがなく、むきつけな話をして人に煙たがられているが、根は親切な男がいます。ガラッ八な話しぶりで無神経な人かと思うと、意外に細かく気のつく女性もいます。
 もし、こうした人たちが自分の話がなぜ誤解を招きやすいのかに気づき、話し方を変えたならば周りの評価はずいぶん変わってくるでしょう。だけでなく自身の内面をも変容させ、人間的な成長を促すに違いないのです。

 話し方は言ってみれば人間の外面です。その外形、外面、外側を変化させることで、内面の変化を促そうというのが、話し方学習の目標だと考えたいのです。
 話し方が変われば人間が変わるといわれる所以です。

 2,慰める、励ます話し方

 沈んでいる人を慰めたり励ましたりするにも、テクニックが伴うのです。いうまでもなく相手が「慰められた、励まされた」と受け取らなければ効果はありません。どんな話し方が必要かを取り上げてみました。

 [話すときの心構え]
  @同情(相手と同じ気持ちになる)の心で接する
  A相手の心を解放する(アロア)の方向に導く
  B自分の感情におぼれない
  C相手の長所、努力、行為を肯定する

 [具体的な話し方(表現法)]
  @穏やかな表情態度で接する
  A言葉数を多く使用し、センテンスは長目にとる
  B話すテンポは緩やかにする
  C声はやや押さえ気味に出す
  D語尾表現は断定口調は避ける
  E声の表現を工夫する
   (柔らかく暖かな響きと、安らぐ気持ちにさせる言い方)

 3,咎める、非を指摘する話し方

 咎める、非を指摘するということは、叱りつける、感情をたたきつけるということとは大きく違うものです。冷静に、相手が理解するよう表現に配慮しながら話していく必要があるのです。

 [話すときの心構え]
  @倫理的、常識的に認められる内容である
  A感情的、情動的なものでないこと
  B理性的なものに裏付けられていること
  C冷静で、穏やかな態度物腰で話すこと
  D背景に教える、導くの意志があること

 [具体的な話し方(表現法)]
  @あいまいでなく具体的に表現する
  A語尾表現は言い切る形で表現する
  B言葉数は少なめに、センテンスは短めに表現する
  C語勢、語調は強めに言う
  D声のトーンはやや高めになる

      






平成14年 5月勉強会抄録



 「話しことば検定問題、リスニング編」




  リスニング問題は、3級と2級検定試験において行われ、1級にはありません。
 試験進行はまず後に示すような回答記入用紙が配布されます。次に問題アナウンスが流れ、受験者は正解と思う番号を、○印で囲んでいくものである。しかし問題は1度しか読まれず、休憩もなく30〜45分間続くのでやってみるとかなり疲れるものです。

 [問題例]

 [問題1]  「いい人」という言葉はいろいろな意味に使われますが、次のような場合どのような言葉に置き換えられるでしょうか。

 「お宅の弟さん、わたしが財布を落として困っているとき、2時間も一緒に探してくれたのよ。本当に『いい人』ね」というのは、以下のどの意味に当てはまるでしょう。

  @すなおな人
  A愛想のいい人
  B熱心な人
  C親切な人
 以上4つのうち正しい番号を○で囲めというものである。(正解はC)
このような内容のものが1問題に4番〜5番あり、これが10問題から13問題続くのがリスニング問題となっています。

全問題の掲出は省略します。希望される方は「日本話しことば協会」から購入されることをすすめます。

      






平成14年 3月勉強会抄録


 「語彙訓練」




 1,語彙とは何か

 「語彙」とは広辞苑によると「1つの言語の、あるいはその中の特定の範囲についての、単語の総体」と定義されています。
 単純にいえば、「単語、あるいは言葉の集まり」または「言葉数」と考えてよいでしょう。

 2, 語彙を訓練する必要性

なぜ語彙訓練は必要なのでしょうか。
 わたしたちは何か表現しようとするとき、とっさに言葉が出てこないことがよくあります。たとえば誰か知人の顔は思い浮かぶが、名前が出てこなくてイライラするなどです。こうしたイライラや戸惑いは、話すときよく経験することです
 そこで頭に描いたイメージを、すぐ言葉で言い表せるようにするのが、語彙訓練なのです。
 わたしたちが話をするということは、以下の行程を経て行われます。

  @頭にイメージをわかす
        ↓
  Aイメージを言葉に変換する
        ↓
  B言葉を組み合わせて話を作る
        ↓
  C相手に応じて表現する
        ↓
  D口から言葉が出る


 これまで話し方の学習では、B項以下のどうまとめたらよいかとか、内容の組み立てをどのようにしようかなどが中心でした。また発音や声の響き、あるいは話のテンポといったところもよく訓練してきました。 しかし頭に浮かぶイメージをスムーズに言葉に置き換えるという上図の@〜Aのところはあまり取り上げてはきませんでした。
 この部分の訓練に力を注ごうとするのが、語彙訓練の目的なのです。

 3,語彙訓練の実際

   @しりとり訓練
    子供たちの遊びと同じ尻取りです。「2語文尻取り」「3語文尻取り」「逆
    尻取り」等バラエティをもたすこともできます。
    この場合大事なことは、間をおかずできるだけ早く言葉を出すことです。
   A範囲語訓練
    ある場所、事柄を取り上げて、その中に存在する言葉をできるだけ取り
    出す訓練です。
    たとえば「病院にあるものを言ってみる」「人間の身体にあるもの(部分)
    を言ってみる」等。
   B擬音語、擬態語訓練
    「泣く」ことを表す擬音語、擬態語を出してみるものです。「笑う」という状
    態を表す擬音語、擬態語を言う等。
   C類語訓練
    語彙訓練の中心的なものでもあります。「死」を表す語彙、「誕生」を表
    す語彙、「女」を表すもの「男」を表すもの等。
   D連想語訓練
    言葉から連想する言葉を続けていく訓練です。
    例えば 「さくら」→「花見」→「酔っぱらい」→「ふらふら歩き」→「立ち小
    便」→「軽犯罪」→「警察」→「治安」といったもの

      






平成14年 1月勉強会抄録


 「新・話し方カリキュラム」





[1]話し方指導(話し方教室)は何を中心におくべきか

 話し方の学習目標には、2つの目標があるといわれています。

 @ためになる話し方を学ぶ
 A役に立つ話し方を習う

 の2つです。この2つは同じように見えますが、よく考えると少し違うのです。

 「ためになる話し方〜」とは、話し方とは何かとか、話すことと人間性などの学究的な見地から話し方を見ていくものです。
 「役に立つ話し方〜」とは、実利、即効を基本においた話の技法習得を目的としたものなのです。

  たとえれば、これは学校の教育と、塾の教育の違いにたとえられます。学校の教育は、生徒の学力向上から生活指導面まで、全人格指導を目指しているに対して、塾は学力アップを主体にしているわけです。
 これを話し方学習に当てはめると、前者は学校教育、後者は塾の教育いうことができましょう。
 どちらも優れて必要性の高いものですが、またどちらにも不十分な側面があります。
 さて現実の話し方のニーズはどちらが高いかというと、「話すことの技能修得、技能向上」にあ
り、つまり「役に立つ話し方」の方が高いと思わざるを得ません。

 1,素直にありのままに話すということ

 @「素直にありのままに話すこと」とうことについて
   「すなおにありのままに話す」ことは話すときのもっとも基本になるものです   が、また誤解されやすいことでもあります。
   なぜかといいますと「すなおにありのままに話す」ということは「思うがまま   に無技巧な話をすること」と同意義に取られやすいからです。これは大き   な誤解です。
  「すなおにありのままに話す」ということは、話をする人の「あるべき姿」であ   り、話し方を学ぶ者の最終目標の境地を指しているものなのです。

 A話し方学習は人格を高めるか
   もちろん高めます。話の技能向上に努め、実生活に生かす努力をしてい   れば、意識しなく ても好ましい人格が培われていきます。ただ誤解してはな  らないのは、話し方を学べば人格は磨かれるが、 人格を磨くために話し方  を学ぶのではないということです。
   もうひとつ言いたいのは、話し方から造られるのは話し方に適した人格で  あって、それはオールマイティの人格形成ではないということです。

 2,話し方学習の具体的目標

 話し方を学ぶ具体的目標は、つぎの2つだといえます。

  @わかりやすい話し方を身につけること
  A感じよい話し方を身につけること

 3,話し方指導と、問題点を持つ受講者について

 話し方を指導していると、受講生の中には次のような人がいて悩むことがあります。話し方学習をする上で気になる癖(性癖)を持つ人がいて、話の技能向上にその癖が障害となっている思える人です。だからいま以上の向上を望むなら、その人の生活行動から変えなければならない考えられる場合です。
 したがって指導する際にどこまで踏み込むかに悩む問題です。なぜなら徹底して解決を図るなら、その人のふだんの生活態度から、ものの見方考え方、人生観までフォローしなければならなくなるからです。

 こうした場合は話し方の技術指導を基本的な守備範囲と考えていくべきでしょう。具体的には、
  @技能アップをはかる話の技術的指導を原則とする。
  A指導上人間性に絡む問題が生まれたときは、その問題点を気づかせる
   までを指導の範囲とする。
  Bその後の問題点の解決は、本人の努力にゆだねる。

  と考えていくほかないと思えます