懐雲庵 ― 國重游のホームページ 本文へジャンプ
研究テーマ


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 わたしの研究領域は、オーストリアお東欧の現代小説です。(左の写真は、カフェ・ブロイナーホーフ)

 そもそも文学とは、政治・法といった支配者の言説に対する転倒、撹乱の試みです。自明に見える現実に揺さぶりをかけ、亀裂を走らせ、「いま・ここ」ではなかったかもしれない別の潜在的現実を垣間見させるものです。――その意味で、文学とはきわめて不穏な存在です。

 オーストリアや東欧の小国が、イギリスやフランス、あるいはドイツといった西欧の「大国」に対して、ゲリラ的にどのように対抗してきたのかに、わたしの関心はあります。具体的には、「嗤い(sarcasm)」、「ユーモア」、「韜晦」など、さまざまな手段で、圧倒的な支配者の言説を脱臼させてきました。(自己憐憫に陥ることもしばしばでしたが……。)この知恵を学んでいきたいと思っています。

 好きな作家 トーマス・ベルンハルト、エルフリーデ・イェリネク、エリーザベト・ライヒャルト、カトリン・レッグラ (以上オーストリア)、エステルハージ・ペーテル (ハンガリー)、ドゥブラヴカ・ウグレシッチ (旧ユーゴスラヴィア)など。日本では高見順。