コンピタンス心理学センター 本文へジャンプ
コンピタンス心理学ってなに?

●「コンピタンス心理学」というのは?
  これまで、心理学とは「心の学」であるとか、「行動の学」と定義されています。しかし、「心とは」「行動とは」と問われると、一般の人に分かるように説明することは難しいと言わざるを得ません。
  それを、コンピタンス(「環境と効果的に相互作用する有機体(人)の能力」(White,R.1956))という概念を用いて定義しなおすならば、コンピタンス心理学とは、「有機体(人)のもつ5つのコンピタンス(24構成成分からなる)の相互作用を究明する学問領域である」と定義づけることができます。この定義は、現代物理学とは「自然界に存在する4つの力(核力、ベーター崩壊、重力、電磁気力)の相互作用を究明する学問領域である」とする定義に対応したものです。

図1. コンピタンスとは (White,R.) 図2. コンピタンスの5因子
図1. コンピタンスとは (White,R.) 図2. コンピタンスの5因子
       

●問題行動や精神的疾病とは?
  いろいろな悩みをはじめ、いろいろな問題行動(心身の疾病を含む)は、「コンピタンスの機能不全(有効に機能していない状態)」によって発現したものであると言うことができるでしょう。コンピタンスがうまく機能すれば、問題行動は発現しないからです。


●カウセリング・心理療法とは?
  カウンセリングを定義することは非常に難しいが、簡単に定義するとすれば、「悩みをもつ1人の人間を援助すること」と言えるでしょう。カウンセリングと似た言葉に心理療法がありますが、カウンセリングは、「比較的問題が軽い人や健康な人を対象とする」(非医療の領域で行われる)が、心理療法は「重い人や病気の人を対象とする」(おもに医療の領域で行われる)点で、使い分けられています。
   これをコンピタンス心理学的に解釈するとすれば、カウンセリングは「比較的問題(コンピタンスの機能不全)が軽い人や健康な人(コンピタンスの機能不全がさほど重篤でない人)を対象とする」と言いかえることができます。ですから、「カウンセリング」であろうと「心理療法」であろうと、「コンピタンスの機能不全を、心理学的技法を用いて、有効に機能できるように支援すること」を目的としてなされる点で、共通した課題をもっていると言えるでしょう。
  一般に、悩みや問題をもつことは、「良くない」「恥ずかしい」ことだと受け止める風潮がありますが、コンピタンス心理学的にみると、「良い」とか「悪い」とか「恥ずかしい」ことではありません。ただ、いろいろな事情で「コンピタンスがうまく機能していない状態にある」だけなのです。身体の病気であっても同じことです。「風邪を引いたら、悪いこと」なのでしょうか。「胃の調子が思わしくない」のは、「悪いこと」なのでしょうか、「癌になった」ら悪いことなのでしょうか。どの病気でも「身体的・生理的コンピタンスが、機能不全(うまく機能していない)」状態にあるだけなのです。恥ずかしいことではありません。だれだって、心身の調子が思わしくないことや、思わしくなくなることはあるのですから、「悪いこと」だとか「恥ずかしいこと」だとか「人に知られたら困ることだ」とかいうことはないはずです。
  CPC(コンピタンス心理学センター)では、このような姿勢で、いろいろな問題の防止(予防、危機介入、事後援助)に当たります。

上へ