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  技術的な課題に対する討論・問題解決のためのページです。技術支援・調査研究のご相談に対する回答は原則としてこのページで公開します。

 ■ 正しい型枠設計用側圧は?
左図は、日本建築学会のJASS 5の型枠設計用側圧算定式により打込み高さ4mの柱、壁型枠について打込み速さ別に側圧を図式化したものである。型枠最下部の側圧は、液体圧よりも小さく、打込み速度が遅いとその傾向が大きい。市販の参考書の中には、型枠中間部で最大側圧を示し、最下部に行くにしたがって小さくなっているものもある。JASS 5と参考書とどちらが正しいのだろうか。最近になってそれが気になっている。コンクリートポンプ工法では独立柱や短い壁などは液体圧でいいだろうし、せき板のたわみを考えるとフォームタイの本数も減らせないだろうから、全て液体圧としてもいいのかも知れない。日本建築学会の「コンクリートポンプ工法施工指針・同解説」では打込み高さ4m以下の場合に液体圧としている。それよりも、型枠の崩壊事故も時々聞かれるが、低降伏点鋼を用いて支柱やフォームタイに遊びがない型枠設計法を考えてみてはいかがだろう。私にはもうそれをやる時間も馬力もない。

■ コンクリート充填鋼管の圧入口の誘導曲管は必要か?
コンクリート充填鋼管構造のコンクリートをポンプで圧入する工事が多くなった。この場合、鋼管の圧入口に図に示すような誘導管を設けている例が報告されている。35年ほど前になるが、池袋の高速道路の鋼管コンクリートの施工で、知り合いの圧送業者に相談を持ちかけられ、誘導管を用いることを進言した。それは、「コンクリートが輸送管内で個体栓を形成して流動しているので、圧入口付近での流れをスムーズにするためである」と、最もそうなことを言った覚えがある。その後何年かして圧入工法を採用する機会があり、実物大の鋼管で実験してみると、私の提言は全くの間違いであることが判明した。「百害あって一利なし」であることを知った。それは、圧入口付近では圧力が解放された状態で極めて小さくなり、ポンプ輸送管のように個体栓を形成しないからである。その後、恵比寿ガーデンプレイスオフィスビルをはじめとして誘導管を使用することがなかった。最近になって、規準類や参考書に堂々と誘導管の絵が描かれているのを見て、何か大きな罪を犯したような気がしている。                           

 骨材のアルカリシリカ反応性試験方法は適切か?
骨材のアルカリシリカ反応性については、JIS A5308の付属書において「化学法」あるいは「モルタルバー法」によって「無害」、「無害でない」を判定することになっている。いずれの試験の場合も単一の骨材を使用することになっている。アルカリシリカ反応ではペシマムが存在することも一般的に知られている。左図は、反応性骨材の混合率を変えた場合のモルタルバー法による試験結果である。これによると、普通ポルトランドセメントを用いた場合、反応性骨材を100%使用すると「無害」を示すものの、反応性骨材が30〜80%程度の範囲では「無害でない」ことを示している。ペシマムは40〜60%の間に存在する。一般のコンクリートでは、細骨材と粗骨材の岩種が異なり、いわゆる異種の骨材を混合使用している。このことから、ペシマムが存在する骨材を使用する現行の試験方法で「無害」と判定されても、コンクリートのアルカリシリカ反応性に対して「無害」を保証するものではないと言える。ただし、フライアッシュや高炉スラグを用いた混合セメントの場合には、アルカリシリカ反応性の抑制効果がある。


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