銃弾不法投棄の米兵2人は不起訴
長崎地検が「公務中」と判断

 12月25日、長崎地検は、佐世保基地から約3300もの銃弾を持ち出して佐世保港の制限水域内に不法投棄し、書類送検されていた米兵2人を不起訴処分にしたと発表しました。長崎地検が米兵の行為を「公務中」と判断したためです。日米地位協定では、米軍関係者の犯罪が公務中に行われた場合、第一次裁判権は米側にあると定めています。

 しかし主要任務が弾薬管理だとか、軍用車を使ったとかが「公務中」という根拠にはならないでしょう。米兵は午前2時半ごろに基地を出て、同3時から4時過ぎにかけて、針尾弾薬庫、前畑弾薬庫及び赤崎貯油所近くの制限水域の海中に銃弾を投棄しているわけです。真夜中に弾薬を処理するようにという命令が本当に出されていたのか、多いに疑問が残ります。

 佐世保署は米軍の主張を鵜呑みにせず、「銃弾の基地外持ち出し」を問題視して、公務外であることも視野に入れて火薬類取締法違反などで書類送検したものです。

 一方、12月24日、外務省は01年〜07年に起きた米軍犯罪の検察庁の受理人数と起訴人数(法務省まとめ)を公表しました。受理人数は合計5498人、うち起訴されたのは2428人で起訴率は平均44%と半数にも満たないことが明らかになっています。

 背景には日米両政府が1953年に交わした「重要案件以外は日本側は第1次裁判権を放棄する」と密約の存在でしょう。もう地位協定の改定は待ったなしです。

(2008年12月26日)

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