佐世保市にレーガン寄港反対の要請
重大な市長コメントに抗議!

 7月25日、外務省から佐世保市に対して、米原子力空母ロナルド・レーガンが7月28日から5日間、佐世保港に入港することが通報されました。入港目的は「休養・補給・維持」、乗員は4226名とされています。

 この通報を受けて佐世保市長は「市長コメント」を発表し、その中で「今般の寄港が、意義あるものとなることを期待」すると述べました。これは、これまで歴代の佐世保市長が執ってきた「国策だから仕方がない」とスタンスから、「米世界戦略を積極的に支持・協力する」というスタンスに大転換するものと言わざるを得ません。

 同日、佐世保原水協と平和委員会は、佐世保市長に対して寄港に反対するよう申し入れを行ないました。

 申し入れ書は、佐世保への原子力空母の再三の入港は5つの重大な危険(核事故、殴りこみ基地化、米軍基地の恒久化、米軍犯罪の拡大、非核三原則空洞化)をもたらすとして、佐世保に反対の立場を明確にし、政府に対して協力できないことを申し入れるよう要請しています。あわせて市長コメントの「期待表明」の撤回を要求しています。

 市当局側は副市長の末竹健志氏、基地政策局長の原口優秀氏が対応。そのスタンスは国策に協力する立場。安全性については政府が一貫して使用しているとしている。事件・事故がないように米軍には強く申し入れるというものでした。また市長コメントの「期待表明」については、「今回の入港には『一定のプログラム』があって、友好・親善のひとつとしてボランティア活動など組み込まれていることから、そうした友好・親善についての寄港の意義に期待するということ」と回答しました。

 まず第一に当局の視点には、原子力空母レーガンが核空母打撃群の中核として、イラク戦争への参加をするなど、最新鋭の「殴り込み」空母であるという点が欠けています。また基地があるゆえの犯罪、軍隊ゆえに起こる犯罪という視点もすっぽり抜け落ちています。「綱紀粛正の徹底」によっても一向に米犯罪が減らないことがそれを如実に示しています。

 前回のニミッツ入港の時に、ニミッツの爆発物処理部隊が陸海自と共同訓練を行なっていたことが発覚しました。また同時期の長崎港への米イージス艦入港に際して艦長が入港の目的を「友好と親善」以外に「反対運動(resistance)を克服する(overcome)こと」とあけすけに述べました。これは地域の住民との交流を少しづつ増やしていくことでやがては寄港に反対する勢力を押さえ込もうという長期的な戦略といえます。これこそが「一定のプログラム」なのではないでしょうか。

 佐世保では空母の準母港化実現のための「一定のプログラム」といえるでしょう。それを「期待する」とは、準母港の受け入れ表明につながりかねないものです。


佐世保市長 朝長則男 様

原子力空母レーガン佐世保寄港反対の申し入れ

2008年7月25日
原水爆禁止佐世保協議会理事長 山下千秋
佐世保市平和委員会会長    篠崎義彦

 原子力空母レーガンが28日に佐世保寄港するという連絡に接しました。今年2月にも原子力空母二ミッツが入港したばかりです。首都圏横須賀に原子力空母の母港にする、もう1隻の原子力空母を西太平洋に常時展開させるという、米海軍戦略の具体化をあくまで進めるという狙いです。

 原子力空母ワシントンの事故、横須賀市民をはじめ首都圏住民の強まる反対運動と世論の前に米軍は、横須賀母港化シナリオは、一定の困難に直面しています。その分、佐世保に寄せる期待はいっそう強まっています。24日には、米軍支援のために海自補給艦「はまな」、護衛艦「ゆうだち」がインド洋派遣されました。そしてワシントンの代役をになう今回のレーガン入港です。

 佐世保への原子力空母への再三の入港は、佐世保市民にとって、5つの重大な危険をもたらします。

 第一に核事故の危険です。第二にただでさえ強襲揚陸部隊配備で殴りこみ基地化されているのに、さらに空母打撃群まで加わった米世界戦略の最先端の殴りこみ基地化の危険です。第三に米軍基地の恒久化の危険です。第四に米軍犯罪の拡大の危険です。第五に核持込・非核三原則空洞化の危険です。

 佐世保市民の安全安心を守る立場から、非核三原則を厳守させるために、また基地強化を許さないために、原子力空母レーガンの佐世保寄港に反対の立場を明確にし、政府に対し原子力空母入港に協力できないことを申し入れるよう要請します。

 また、つい先ほど、市長コメントが明らかにされました。「今般の寄港が、意義あるものとなることを期待」を表明されています。「国策だから仕方がないという方針」から、自治体としても「積極的に米世界戦略を支持・協力方針」への大転換といわなくてはなりません。私たちは市長の「期待表明」に強く抗議するとともにそのコメント撤回を要求いたします。

要請事項

  1. 核兵器搭載していない証明がない限り、入港を認めないよう政府に申し入れすること。
  2. 核兵器廃絶のためにも、政府に非核日本宣言をおこなうよう申し入れること。
  3. 米軍犯罪、事故防止のために万全を尽くすこと。
  4. 市長の「期待表明」コメント撤回を強く求めます。

(2008年7月26日)


平成20年7月25日

市長コメント

 本日午前9時00分、米国原子力空母「ロナルド・レーガン」が7月28日から8月1日の間、佐世保に寄港する旨、外務省から通報がありました。
 昭和43年、米国原子力空母エンタープライズが、日本で初めて本市に寄港して以来、今回が通算10隻目の原子力空母の寄港となります。
 また、同艦は、昨年2月にも寄港しておりますので、およそ1年半ぶり、2回目の寄港となるものであります。
 原子力を推進機関とする艦船の寄港に関し、政府は一貫してその安全性に確信を持つとして、我が国への寄港を認めており、市といたしましても、国防・国策に協力してきたところであります。一方で、今般の空母寄港中、乗組員等により不測の事態を招くことのないよう、綱紀粛正等について、改めて、国及び米側へ要請したいと考えております。
 米原子力空母「ロナルド・レーガン」の寄港通報を受け、米海軍佐世保基地をはじめとする関係機関と、これまで以上に緊密な連携を図ってまいるとともに、今般の寄港が、意義あるものとなることを期待しております

[佐世保市基地政策局]