ニミッツの佐世保寄港時に
爆発物処理部隊が陸海自と共同訓練


共同訓練をする日米のEOD隊員(米海軍ホームページ)

 米原子力空母ニミッツが2月11日から15日にかけて佐世保に寄港しましたが、その際、ニミッツの爆発物処理部隊(EOD)が佐世保の陸上・海上自衛隊と共同訓練を行っていたことが明らかとなっています。

 外務省の2月8日付けの通知では寄港目的は「乗組員の休養や物資の補給・維持」となっていました。その中で共同訓練が行われていたとすれば入港目的を逸脱した行為であり、重大な問題です。

 米海軍ホームページはニミッツの第11爆発物処理移動部隊(EODMU11)の6名の隊員が寄港期間中に佐世保の海上及び陸上自衛隊基地を訪れて「passing exercises」(通りすがりの訓練)を行ったと書かれ、3枚の写真も掲載されています。崎辺の海自水中処分隊本部では基本的な潜水技術をみがき、陸自相浦駐屯地では西部方面普通科連隊のレンジャー隊員と訓練をしています(2月19日付記事)。

 部隊のリーダーは「他国の軍隊と一緒に潜水し、訓練できるのは素晴らしい。お互いはよく似ているし、このような共同作戦は両国にとっても良いことだ」と語っています。そして記事は「この訓練は単なる学習の機会だけでなく、お互いの関係を強化し、共同作戦での連繋を増すことにつながる」と、訓練の目的・性格を述べています。
 またこの訓練の一環として、10人の海自・陸自隊員がニミッツに乗船して爆発物処理部隊のスペースや装備を見て回っています。

 3月7日、佐世保市議会の代表質問で山下千秋議員がこの問題を取り上げ、市長は事前に知っていたのか、また訓練の目的は何かと問いただしました。

 朝長佐世保市長はこの訓練のことは知らなかったとし、もし事前に分かっていたら市民生活に与える影響があるかどうかを検討したはずだと述べました。また海自と陸自に問い合せをしたところ、次のような回答があったと紹介しました。「用意周到な訓練ではなく、表敬訪問的なものだった。海自隊員は素潜りの訓練をした。別のところでニミッツのEOD隊員が潜っていたようだ。一緒には潜っていない。陸自には7名のEOD隊員とカメラマン1名が来た。西部方面普通科連隊のビデオを見てもらうなどした」

 自衛隊の回答は「共同訓練」の事実を隠そうというものですが、米海軍ホームページの記事と写真は決して「表敬訪問的なもの」ではなく、「共同訓練」だったことを如実に示しています。

 山下千秋さんは、「米軍は『共同訓練』だと述べ、自衛隊は『表敬訪問的なもの』という。いったいどちらが正しいのか。『市民第一主義』をキャッチフレーズにする市長ならば、納得のいくまで調べるべきだ」と追求しました。しかし朝長市長は「判断できるだけの材料がない」と逃げの姿勢に終始しました。
 山下さんは「入港目的は『休養と補給』だったはず。自衛隊との共同訓練までが行なわれたというのでは、原子力空母の作戦基地につながる恐れがある」と指摘しました。

 EODMU11は化学兵器・核兵器を含め、すべての爆発物処理を担当し、空母戦闘群とともに前方展開される部隊です(globalsecurity ホームページ)。06年5月末の原子力空母リンカーンの佐世保寄港の際にも、海自水中処分隊と共同訓練をしていることが現在でも米海軍ホームページに掲載されています。

(2008年3月7日)