MD改造艦こんごう、迎撃テストへ

 10月4日、ミサイル防衛への改修工事を終えた「イージス艦こんごう」がミサイル迎撃実験のために佐世保を出航したことを長崎新聞が報道しました。

 海上自衛隊が保有する「こんごう」クラスのイージス艦4隻は10年度末までに中距離弾道ミサイルを探知・追尾し、迎撃ミサイル(SM3)を発射できるようにイージスシステムとミサイル発射装置を改造することになっています。

 1隻目の「こんごう」は昨年11月10日頃に三菱長崎造船所に接岸し、「特別改造工事」に入りました。今年5月下旬には試運転などで出入りが激しくなりました。6月中旬には長崎港の中央錨地に船尾を港口に向けて停泊し、6月18・19日の両日の午後7時半から午前0時まで、レーダー試験を行ないました。その後も入出港を繰り返し、今年8月22日には長崎港を離れました。

 この間、米国が日本に共有させる「秘密軍事情報」の保護措置を米国基準と同等にする「日米軍事情報包括保護協定(ジーソミア)」が締結されました。米国はその早期締結に向けた圧力をかけ、米側から弾道ミサイル迎撃に不可欠なソフトウエアや複数の重要部品、さらに取扱説明書などの提供が1ヶ月にわたって滞るという「事件」も起きています。

 「こんごう」に迎撃ミサイル(SM3)が搭載されたかどうかは不明ですが、9発を購入し、今年12月にハワイ沖で行われる日米共同の迎撃テストで1発(20億円と言われている)が使用されます。迎撃テストはハワイ・カウアイ島の太平洋ミサイル評価施設から発射される標的ミサイルの追尾や捕捉、実弾発射など段階的に実施されるといいます。
 ミサイル防衛システム自体、未完成でありながら「配備」し、テスト・改良を繰り返す、スパイラル開発方式で進められている段階です。「こんごう」のテストもその一環となるもので、現状では実戦にはほど遠く、迎撃できる保証はありません。

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