こんごう、12月中旬に迎撃テストへ
費用は約59億円

 10月12日、防衛省はイージス護衛艦「こんごう」の迎撃ミサイル発射試験を12月中旬にハワイ沖で実施することを発表しました。

 「こんごう」は昨年11月10日頃に三菱長崎造船所に接岸し、「特別改造工事」に入りました。今年5月下旬には試運転を開始、6月18・19日には長崎港の中央錨地に停泊し、夜半から深夜にかけてレーダーの性能試験を行ないました。その後も入出港を繰り返し、今年8月22日には長崎港を離れました。10月4日に佐世保を出港し、15日にハワイに到着予定です。

 長崎新聞によれば「こんごう」は11月上旬、ハワイ沖で米海軍による迎撃ミサイルSM3発射試験に参加して米軍の標的を追尾・捕捉する訓練を行います。その後、ハワイの米軍基地でSM3を1発を搭載して、12月17日からの週に迎撃試験(JFTM1)を行います。米軍がハワイ・カウアイ島の太平洋ミサイル評価施設から発射する標的ミサイルを数百キロ離れたハワイ沖の海上から、「こんごう」がレーダーでミサイルを探知してSM3を発射し、高度100キロ以上の大気圏外での迎撃を試みる。迎撃に失敗しても、新型イージスシステム全体の有効性が認められれば、現地でSM3を搭載して帰国するといいます。

 SM3(最新型のブロック1A)は1発20億円といわれ、1隻あたり9発を購入する計画です。このうちの1発が12月に使用するものです。当初の予算では改造工事を含めて340億円とされていましたが、長崎新聞では「総額412億円を予算化」と報道しています。あわせて三菱長崎造船所では2隻目の「ちょうかい」の改造工事に入ったことも付け加えています。

 公表されている「こんごう」の改造費用(米海軍省を通した契約金額)
  BMD機能の付加      339億9727万円
  SM3ミサイル発射試験    59億3312万円

 公表されている「ちょうかい」の改造費用(米海軍省を通した契約金額)
  BMD機能の付加      246億8697万円
  SM3ミサイル発射試験    61億5936万円

 そもそもミサイル防衛は米軍の軍事力を敵国の攻撃から守り、米核先制攻撃戦略を補完するものです。しかもミサイル防衛システム自体、未完成でありながら「配備」し、テスト・改良を繰り返す、スパイラル開発方式で進められている段階です。「こんごう」のテストもその一環となるもので、現状では実戦での迎撃にはほど遠い状況です。
 つくられた「脅威」「安心」に躍らされることなく、真実を伝えていきましょう。


左:MD改造工事が始まったとされる「ちょうかい」
右:建造中の新型イージス護衛艦「あしがら」   

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