米軍再編に組み込まれる大村航空基地

 長崎空港の向いに位置する海上自衛隊大村航空基地が開隊50年となり、5月19日に記念式典が行なわれました。
 翌5月20日、基地内が一般公開され、子ども連れや望遠カメラを手にした人たちがつめかけました。滑走路の脇にも車を止めて撮影する人が連なりました。

 一方、大村湾に面した海岸線には有刺鉄線を巻いたバリケードが設置されていました。最近できたそうで、電流が流れているわけでもなく、ペンチで切れるような太さで、とてもテロ対策になるとは思えません。むしろ市民の目に「テロの脅威」の存在を植え付けることが狙いでしょうか。

 駐機場には何種類ものヘリコプターが展示されていましたが、大村配備はSH-60Jの1種類だけ。他はすべてが別の基地からの「援軍」でした。
 またSH-60Jの展示飛行が行われましたが、救助活動や「難度が高い」操縦法などを強調するだけで、本来の対潜水艦戦任務はもちろん、インド洋への戦時派遣などにはまったくふれませんでした(長崎新聞報道では約190名が派遣されたという)。
 7月からは魚雷だけでなく対艦ミサイルも発射できる新型のSH-60Kと順次置き換えられます。

 来年3月に海上自衛隊は過去最大規模の編成替えを実施します。全国5つの地方隊を解体し、所属する護衛艦は、護衛艦隊に一本化されます。佐世保地方隊の6隻も護衛艦隊司令官の指揮下に組み込まれます。

 護衛艦隊だけでなく航空機部隊も大きく変わります。東日本のヘリコプター部隊はすべて千葉県の館山航空基地が、西日本のヘリコプター部隊はすべて大村航空基地が掌握するなど指揮系統が一本化され「効率的な部隊運用」を行うとしています。それは米軍と自衛隊の運用一体化を支えるものに他ならず、憲法九条改悪の動きと表裏一体です。

 佐世保地方隊管轄の大村航空隊は第22航空群に組み込まれ、徳島・小松島・鹿屋の部隊も傘下に入ります。また、佐世保地方隊の6隻の護衛艦のうち3隻をヘリ搭載可能に改修するため大村配備のヘリ3機が艦載専用となります。代わりに山口県小月救難飛行隊の救難ヘリUH-60J3機が大村に配備されるといいます。


07年7月から大村に配備となる新型哨戒ヘリSH-60K

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