海外派兵型補給艦おうみ
インド洋戦時派遣に抗議する

 3月14日午前10時、最新鋭の「補給艦おうみ」がテロ特措法に基づきインド洋に戦時派遣されました。これで佐世保基地からの派遣は延べ19隻目となります(全体ではイラク特措法に基づく2隻も含めて53隻)。雪と寒風の吹き荒ぶ春の嵐の中、平和委員会などが前畑埠頭で抗議集会を開き、怒りのシュプレヒコールをあげました。ながさき平和委員会からも4名が駆けつけました。
 一方、呉基地からは「護衛艦いなづま」が2度目の派遣。三菱長崎造船所建造の艦船としては延べ18隻目です。

 「おうみ」には補給艦としては初めて女性自衛官(幹部2人を含めて16人)が乗務しています。そのためマスコミは今回の派遣にあたって「女性自衛官を初派遣」「平均年齢は25・6歳。全員が今回の派遣を希望した」などと取り上げ、本質を見ようとはしません。

 ちょうど1年前に配備となった「おうみ」は基準排水量13,500トンで、すでに5回も派遣された従来型の「はまな」(8,150トン)を大きくしのぐ海自最大艦です。また補給用燃料は約1.5倍、補給用の水は2倍以上を搭載でき、艦内には45台のベッドを備えた病室があり、医務室、各種診療設備、集中治療室も設置されています。艦橋構造物やマストはステルス性を重視した外形をとり、補給艦としては初めて20ミリ機関砲を搭載できる設計になっているなど、まさに海外派兵型の補給艦です。そして「おうみ」の派遣で海自保有のすべての補給艦が派遣となりました。

 これまでの4年3ヶ月、海上自衛隊はインド洋で米軍艦などに42万3千キロリットルの燃料を補給していますが、この1年間では2万4千キロリットル、この3ヶ月ではわずか6千キロリットルです。多額の費用を負担してまで派遣する意味はなくなっています。それでも強行するのはブッシュ政権に向けた「忠誠心」、国民に向けた実績づくり・既成事実化のアピール、戦時派遣体験を通した自衛隊員の意識改革に狙いがあると言っていいでしょう。