「模擬戦」は日常訓練そのままだった
相浦駐屯地ヘリ墜落事故で日本共産党が調査

 陸自相浦駐屯地で「模擬戦」の最中に対戦車戦闘ヘリAH−1Sが墜落した事故で、10月3日、日本共産党調査団(団長:仁比聡平参院議員)が、調査に入りました。以下、同行した山下千秋さんのレポートから。

 最初に事故の概要、陸自相浦駐屯地、特に普通科連隊の概要について、大塚敏郎駐屯地司令からプレゼンテーションを使った説明を受けました。次に事故現場での状況説明がありました。
 現場には、ローターがえぐった地表跡が生々しく残っていました(写真)。最初にプロペラが地面に接触した地点は一般見学者(約 2200人)から100メートルしか離れていません。さらにヘリ本体はそこから約60から70メートルのところまで移動していました。ヘリが逆方向に横転するなど一歩間違えれば大惨事になる危険性があったことがあらためて確認できました。

 大塚司令らは「模擬戦」での飛行について、「日頃行っている訓練の一端を紹介するもの」と述べ、日常的に行っている戦闘訓練をそのまま一般公開していることを明らかにしました。
 日頃の訓練は、相浦駐屯とその周辺の空域を使っているといいます。主には大野原、霧島演習場だが、そのほか背振山(福岡・佐賀両県境)なども使用。駐屯地、演習場以外の空域を使う場合は、地権者の同意をえて国土交通省に申請し許可をとって行なっているそうです。相浦駐屯地に飛行するヘリは、AH−1S,UH−1,CH−47JA,OH−6D,UH−60の5種類でこれらの所属基地は目達原駐屯地(佐賀)、高遊原駐屯地(熊本)。

 現在、機体は目達原駐屯地に運ばれ、事故を起こしたパイロット(目達原所属)も取り調べを受けています。事故調査団は陸上幕僚幹部が責任者になっており、現地は一切その内容等については知らされもいなければ関与も許されていないそうです。また大塚司令らは、墜落とはいわず、「横転」事故と説明していました。いずれ調査結果は明らかにされるでしょうが、どんな表現になるのか注目されます。
 墜落したヘリの値段は購入時(1977年、アメリカから)は18億円。現在は1億8千万円といっていた。こんなにも違うものかと驚きました。

 調査団は、事故現場のほかに、全国初の「離島防衛」即応部隊をもつ同駐屯地内のレンジャー訓練塔、水路潜入訓練場を視察しました。ただし写真撮影は禁止でした(『朝雲』03年11月6日付には2基のレンジャー訓練棟の写真が掲載されているのに)。

 仁比議員は調査後、基地ゲート前で記者団に対し、「実戦を想定した同様の訓練が、実際に佐世保でも、九州の山間地でも、日常的に行われていて、たまたま起こったわけではない。国民・住民の安全にとって重大だ」と指摘しました。
 同行した国会議員秘書らが、口をそろえて強調したのは「大村の戦車パレード、佐世保陸自の中心街パレード、今度の訓練公開など、長崎は異常だ」ということでした。そして「憲法改憲の切迫性は、基地を見て実感できる」「佐世保が中央即集団に位置づけられ海外派兵の先兵になる訓練を行っている。全て背後には米軍がいること。決して自衛隊は国を守る役割りではなく、アメリカの侵略のためのもの、これを肝に銘ずるべき」と発言しました。

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