陸自戦闘ヘリ墜落事故で
平和委員会が抗議の申し入れ

 9月18日に大勢の市民の目の前で起きた戦闘ヘリの墜落事故は大きな衝撃を与え、各新聞報道でも大きな扱いをしています。その中で陸自側の市民軽視の姿勢がクローズアップされています。

 相浦駐屯地の大塚敏郎司令が謝罪記者会見を開いたのは墜落事故から26時間も経った19日午後1時半でした。

 発生からまる1日以上、記者会見に応じなかった理由について司令は「駐屯地創立50周年行事があり、(日程に)大幅な変更をしなければならなかった」と説明。司令が追われた「事後対応」の例として、祝賀会食での鏡割りと乾杯の中止を挙げた。会見は駐屯地側の意向で15分間で打ち切られた。
 一方、事故の起きたグラウンドでは19日早朝、陸自がロープで囲んだ立ち入り禁止の範囲を20メートル以上拡張した。さらに墜落機を目隠しするための大型トラックを25台も周囲に並べた。陸自の広報担当者は当初「現場保存のため」としたが、トラックはロープの内側も走り回っていた。
 同総監部の出水田正志広報室長は19日昼「現場保存のためではなく、非公開にするため」と説明を翻した。(以上、朝日新聞9月20日付)

 佐世保市平和委員会と佐世保原水協は21日、陸自ヘリ墜落で佐世保市長、相浦駐屯地に対し住宅街での訓練飛行中止を申し入れしました。

 相浦駐屯地では、橋本敬一総務課長などが対応しましたが、同課長らは、「日常の飛行においては、『相浦駐屯地教育訓練施設等使用整備規定』という規定があり、駐屯地には海上から駐屯地に入り、駐屯地から海上に出ており、住宅地上空を飛行することはない」「事故調査委員会は、陸上幕僚や航空機専門など16名で構成されていること。その結果は公表される」ことなどを明らかにしました。


相浦駐屯地司令官大塚敏郎 様

相浦自衛隊基地ヘリ墜落事故についての申し入れ

原水爆禁止佐世保協議会理事長 山下千秋

佐世保市平和委員会会長 篠崎義彦

 事故は、「模擬戦」を一般公開しているなかで、約2000人の市民の目の前で起こりました。その「模擬戦」とは敵地を偵察に行ったヘリが攻撃を受けたことで戦闘に進展し、敵を殲滅するまで、オートバイ、ヘリコプター、迫撃砲、榴弾砲、戦車などを繰り出していくものでした。榴弾砲や戦車砲などのすさまじい轟音の中で、戦車戦闘ヘリコプターAH−1Sが墜落しました。低空飛行をしながら右旋回したときにローター(回転翼)が地面に接触して墜落、横転したもの。幸い乗員2人は怪我もなかったようです。被害者がなかったことはなによりでした。

 しかし、目撃者の話では破片がすぐ目の前まで飛散してきたといいます。一歩間違えば大惨事になりかねない事故でした。このような事態を招き、大きな不安をもたらした自衛隊の責任をきびしく問うものです。

 「模擬戦」の一般公開そのものが問題です。いつでも武力行使できる装備も技術ももちあわせしており、あとは9条の歯止めを取り払うだけだといわんばかりの軍事力の誇示をデモンストレーションしたものです。まさに具体的な政治日程にのぼった憲法九条改正を現場からその実行を迫るものであり、絶対に許せません。

 事故原因の徹底究明を必要があります。調査結果はすみやかに公表されるべきです。

 懸念されることは最近相浦駐屯地内外でのヘリ訓練が強められているといいます。しかしその実態は明らかになっていません。周辺住民をまきこむヘリ墜落事故を起こさせないために、事故を引き起こした同型機の飛行禁止させるだけでなく、同地域での飛行訓練自体をやめるべきです。

 さらに同駐屯地の西部方面隊普通科連隊についていえば、在日米軍再編、新防衛大綱と密接に絡んできわめて危険な状況にあります。防衛庁直轄下の「中央即応集団」に位置づけられます。さらに米陸軍第一軍団司令部が神奈川県座間に移転され、陸上自衛隊もまた座間に移転されようとしています。つまり相浦駐屯地「中央即応集団」がイラク戦争のような無法な先制攻撃戦略を指揮する米陸軍第一軍団司令部のもとにおかれようとしていることです。さらに在日米軍再編・変革構想のもとでは、施設も米軍と自衛隊が一体的に使用することも検討されており、その動きはきびしく監視されなくてはなりません。

 つきましては、具体的に、以下の要請を行います。

  1. 徹底した原因究明がなされ、その結果はすみやかに公表すること。
  2. 同型機の飛行禁止措置をとること。
  3. 相浦周辺住民の安全のために、同地域での飛行訓練の実態を明らかにすること。同地域での飛行訓練を禁止すること。
  4. 「模擬戦」の中止、最低でも空砲の大音響とヘリの低空飛行を取りやめること。