「模擬戦」で戦闘へリが墜落、けが人なし
9月18日午前11時33分ごろ、陸自相浦駐屯地で行われていた「模擬戦」の最中に対戦車戦闘ヘリコプターAH−1Sが墜落しました。低空飛行をしながら右旋回したときにローター(回転翼)が地面に接触して墜落、横転。幸い、機体の炎上を免れ、2名の乗員にケガはなく、創立50周年記念行事に参加していた市民ら約2000人にも被害はありませんでした。しかし、一歩間違えば市民を巻き込む大惨事につながりかねない事故でした。このヘリは直前の飛行でもかなり低空を飛び、その風圧で招待客のいるテントの天幕を押し上げ、溜まっていた雨水を吹き飛ばせ、近くにいた市民が浴びてしまうほどでした。 事故後、当然ながら「模擬戦」は打ち切りとなりました。しかし午後のイベントは「装備品展示」を除いて、「記念祝賀会」「高機動車体験試乗」など予定どおり行われました。結果的に人的被害はなかったものの、あってはならない事故が起きたにもかかわらずです。墜落の際も市民へのアナウンスや避難誘導など全くありませんでした。前日のアーケード内での銃を携帯した武装パレードにしても、相浦駐屯地の姿勢と認識が問われています。 「模擬戦」は敵地を偵察に行ったヘリが攻撃を受けたことで戦闘に進展し、敵を殲滅するまで、オートバイ、ヘリコプター、迫撃砲、榴弾砲、戦車などを繰り出していくもの。この中で榴弾砲や戦車の空砲が何度も何度も響き渡ります。「大きな音がしますので耳をふさいでください。とくに小さなお子さんや赤ちゃんは親がふさぐようにしてください」と言うアナウンス。そこまでして轟音を出す必要があるのでしょうか? ヘリの低空飛行も然りです。 米ソ冷戦構造が完全に崩壊している今、全くありえない架空の想定の「模擬戦」です。ありうるとすれば自衛隊が海外に派兵されている場合、すなわち海外で敵対行為を行なう場合でしょう。とうてい今の憲法で許されるものではありません。陸上自衛隊の存在価値を市民に植えつけようというものでしょうが、「模擬戦」では見えない(見せない)、その銃口の先にあるものは、同じ血の流れる人間なのです。自衛隊員と同じように愛する家族がいるのです。「格好良さ」に隠れた真実に目を向けさせる必要があります。 |
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