佐世保から8度目の戦時派遣
イージス艦こんごうなど出航

 5月17日午前10時半、海上自衛隊佐世保基地から「イージス艦こんごう」と「護衛艦ありあけ」がインド洋へ向けて出航しました。8度目の戦時派遣が強行されたのです。2隻とも三菱長崎造船所で建造された軍艦で、昨年4月から8月にかけての派遣に引き続く2回目の派遣となりました。

 また新聞各紙では海自大村航空基地から2機の哨戒ヘリが飛び立ち、派遣部隊に合流したと報道されました。大村には佐世保基地と呉基地の護衛艦搭載ヘリが配備されており、今回が10回目の派遣となります。哨戒ヘリの派遣が記事となったのはおそらく1回目の派遣以来ではないでしょうか。ただ哨戒ヘリは「こんごう」には搭載されず、「ありあけ」にも1機しか搭載しないはずで、2機派遣というのは不可解です。

 この日、佐世保市平和委員会と佐世保原水協の呼びかけによる抗議集会が前畑埠頭で開かれ、30名を超える人々が集まり、「自衛隊の海外派兵反対」「こんごうもありあけも出て行くな」「有事法制反対」「憲法9条を守れ」「自衛隊はサマワから即時撤退せよ」と抗議のシュプレヒコールをあげました。

 武力ではテロはなくせない−−アフガニスタン攻撃とイラク戦争という多大な犠牲を通して人類が学んだ教訓です。ところが日本政府は「テロ対策」「復興支援」という名のもとに現地の人たちを苦しめる米軍の支援をつづけています。そして2年間の時限立法だったテロ対策特措法を2年延長し、その基本計画も今年11月まで延長したのです。現地での軍事行動の詳細は全く明らかにされていませんが、さすがに自衛隊の需要も減って派遣艦船を護衛艦3隻・補給艦2隻体制から、護衛艦2隻・補給艦1隻体制に縮小しました。しかし海外派遣・派兵を自衛隊の新たな任務ともくろむ政府・防衛庁は既成事実造りに躍起となっています。

 今回の派遣延長で防衛庁は予備費約51億円を使用予定。うち海上自衛隊派遣分は約49億円で外国軍艦船に無償提供する燃料費は約11億円といわれています。

 また今回の派遣でインド洋へ戦時派遣された自衛隊艦船は(イラク特措法で陸上自衛隊の装備などを運んだ2隻も含めて)38隻にのぼります。うち佐世保と呉基地からの出航がそれぞれ延べ13隻となりました。そして派遣艦船の建造所は三菱長崎造船所が延べ13隻で最多となっています。全国の建造所が点検・修理の補完基地と化しています。ミサイル防衛をはじめ、新たな武器生産で活路を見いだそうとしている軍需産業の動きも重なってきます。


出航準備中の「こんごう」と「ありあけ」(午前9時48分)


2度目の戦時派遣におもむく「ありあけ」(午前10時34分)


2度目の戦時派遣となったイージス艦「こんごう」(午前10時41分)