米軍の大村基地使用記録なし
現地協定は事実上死文化?

 海上自衛隊大村航空基地が注目されています。1つは環境基準を超えるヘリコプターの騒音問題。滑走路を管理する国土交通省が騒音調査を行い、住民説明会が行われました。もう1つは基地の拡張問題。基地に隣接する大村湾の一部を埋立拡張するもので、福岡防衛施設局は環境影響調査への協力を漁協に要請しています。

 いま1つ注目したいのは米軍の大村航空基地使用現地協定です。これは日米地位協定第2条第4項(b)による共同使用で、基地の一部を「米海軍佐世保基地に前方展開されたLHA−3に搭載されているヘリコプター(1機)の整備支援のため」(目的)に限定使用するというものです。しかし、米軍が少なくともこの5年間使用していないことが、ながさき平和委員会の情報開示請求によって判明しました。
 協定が締結されたのは1992年、強襲揚陸艦ベローウッド(LHA−3)の配備に合わせたものでした。その後ベローウッドは2000年にエセックス(LHD−2)と交代したため、協定を続けようとするならば、その一部(艦記号)を書き換える必要があります。しかし協定の改定は行われておらず、防衛庁の情報公開室の担当官も新しい協定はないことを認めています。
 ながさき平和委員会は協定締結後、現在までの米軍の使用状況の開示を請求しましたが、担当官は「該当する文書は存在しない」ということで、文書の保存期間である最低5年間は使用されていないことがわかりました。
 協定書が更新されておらず、使用実績も(少なくとも最近5年は)ないということであれば、協定は事実上死文化していると見るべきではないでしょう。必要のない共同使用基地は「返還」を求めるべきです。この協定は「60日間の事前通告文書をもって」廃止できます。