海自大村航空基地周辺で
環境基準を超える騒音
急がれる騒音対策

 海上自衛隊大村航空基地(長崎空港A滑走路)周辺で環境基準を超えるヘリコプターの騒音が発生しています。A滑走路に隣接地する大村市古賀島町の一部地域(約50世帯)の住民は「家が震動する」「電話の声が聞こえない」といった訴えが出ています。いっこうに始まらない騒音対策に大村市と住民は、「航空基地関係騒音等対策協議会」をつくって国への働き掛けを強めました。その結果、滑走路を管理する国土交通省が騒音調査を行い、住民説明会をおこなって環境基準を超える騒音が発生していることをを公式に認めました。

 ながさき平和委員会では情報開示請求によって「長崎空港(A地区)航空機騒音実態調査結果 概要」を入手しました。それによると調査は16ヶ所で行われ、測定期間中の「うるささ指数」を算出しています。滑走路横方向105m以内の5地点で75を超えており、最も大きかった地点では79.2でした。また他の6地点でも70を超えていました。年間の運航状況に即して算出した指数も同様な傾向でした。
  航空機騒音の環境基準は、長崎空港A滑走路周辺は地域類型IIに指定され、指数75となっていますが、そもそも住居地域の場合は指数70です。

 騒音認定はされましたが、対策が速やかに行われるかは疑問です。それは長崎空港が特殊な全国にない運用形態をとっているからです。
 自衛隊と民間が共用する国管理の空港のうち、長崎以外の7空港では双方が同じ滑走路を使用し、騒音源の区別はできません。長崎では民間の定期航空路としての航空機の離発着はすべて海上のB滑走路で行われています。それに対して、A滑走路での離発着は、年間約2万4千回のうち8割以上が自衛隊機で、他に県警本部、県消防防災課のヘリコプター及び民間の小型機が利用しています。
 とすれば騒音対策費は誰が出すのでしょうか。福岡防衛施設局は過去に予算要求は旧大蔵省にしたが管理者でないとして認められなかったといいます。とはいえ騒音原因が自衛隊機なのに国の空港整備特別会計(民間機からの利用料などを財源)から出すのも無理があります。背景に管理は国、滑走路は別々という長崎だけの特殊性があります。しかし、被害を被っている住民は一刻も早い解決を望んでいます。それを実現させるのが行政のはずです。