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日本の「ミサイル防衛」運用構想

 日本は03年12月の閣議決定で日本版の「ミサイル防衛」システムの導入を決定しました。それはSM3による海上配備型ミッドコース防衛とPAC3によるターミナル段階防衛です。2011年度までの計画は以下のとおりですが、これらの機能が米軍の「ミサイル防衛」システムに組み込まれることになります。

 07年10月、米軍三沢基地(青森県)に米陸軍の移動式弾道ミサイル情報処理システムであるJTAGS(統合戦術地上ステーション)が配備され、すでに24時間態勢で運用されています。これは早期警戒衛星からのミサイル情報を受信・処理してミサイルの着弾予想位置や時刻などを割り出し、米軍司令部に伝えるものです。

 その情報はさらに同じ青森県の空自車力分屯基地に配備された米軍のXバンド・レーダー、空自の防空ネットワークであるJADGEシステム、海自イージス艦に伝えられ、日米一体となって敵ミサイルを追尾し、情報収集にあたることになる。それらの情報は米軍横田基地の地下に設置された共同統合作戦調整センターに集められ、空自横田基地内に移駐(2012年3月)した空自航空総隊司令部が「緊急対処要領」に基づいてSM3やPAC3の発射命令を出す…ということなります。

 これは日米が一体化し、事実上、自衛隊が米軍指揮下におかれるもので、必然的に憲法違反の集団的自衛権の行使につながっていくという重大な危険性をはらむものです。

□海上配備型ミッドコース防衛

◆イージス艦へのBMD機能付与:6隻

 こんごう (07年)、ちょうかい(08年度)、みょうこう(09年度)、きりしま(10年度)
 あたご(17年度)、あしがら(18年度)

◆SM3取得:36発

 各艦用に8発購入、他に各1発は米海軍との合同訓練で使用
 1発あたりの購入金額は約20億円といわれている。
 ※新型イージス艦2隻への搭載時期は未定

□ターミナル段階防衛

◆PAC3取得:18基124発

 入間基地 1基(07年3月)、習志野基地 1基(07年11月)
 武山基地 1基(08年1月)、霞ヶ浦基地 1基(08年3月)
 浜松基地 4基(08年5月から配備)
 岐阜基地 1基(09年2月)、饗庭野基地 1基(09年4月)、白山基地 1基(09年6月)
 岐阜基地 1基(09年8月)

 芦屋基地 1基(09年10月)、築城基地 1基(09年10月)、高良台基地 1基(10年2月)
 芦屋基地 1基(10年4月)

 那覇基地 1基(13年4月)、知念基地 1基(13年4月)、車力基地 1基(14年4月)、千歳基地 1基(15年10月)

※1基あたり8発搭載。浜松は3基に搭載。他に予備が2基。4発は米国で試験。
 1発あたりの金額は約5億円といわれ、初期の32発がロッキード・マーチン社からの輸入。
 以降は、三菱重工によるライセンス生産。

□センサー・ネットワーク整備

◆JADGEシステムの構築(09年度)

 既存の自動警戒管制(BADGE)システムを近代し、弾道ミサイル対処機能を付加したもの。

◆FPSー5レーダー取得:4基

 通称:ガメラレーダー
  「怪獣ガメラ」の甲羅を思い起こす直径18メートルと12メートルのレーダードームがある
  航空機・巡航ミサイルはもとより弾道ミサイルまで捜索・追尾する。探知距離は数千キロメートル。
  次の4ヶ所の空自レーダーサイトに配備される。

 下甑島(鹿児島県:08年度)、佐渡(新潟県:09年度)、
 大湊(青森県:10年度)、与座岳(沖縄県:11年度)

◆FPS−3レーダー改良:7基(09年度)

 対航空機用の3次元レーダーであるFPS−3にビームを細くするなど、弾道ミサイル用の改良を加えたもので、以下の空自レーダーサイトのものを改良する。

 大滝根山(福島県)、加茂(秋田県)、笠取山(三重県)、背振山(佐賀県):(08年度)
 当別(北海道)、輪島(石川県)、経ヶ岬(京都府):(09年度)

◆大容量高速移動通信網の端末整備:7ヶ所(07年度)

 イージス艦が収集した弾道ミサイルのデータを中継し、自動警戒管制システム(東京・府中基地)へ瞬時に送る大容量の高速通信システムを構築するために、日本海側の7つのレーダーサイトに端末を整備する。

 当別(北海道)、加茂(秋田県)、佐渡(新潟県)、経ヶ岬(京都府)、
 高尾山(島根県)、見島(山口県)、福江島(長崎県)

◆早期警戒機E−2Cに専用端末整備:13機(08年度)

 イージス艦が水平線より遠い位置を航行中で、データをレーダーサイト端末で直接受信ができない場合に備えて、早期警戒機Eー2Cに専用端末を整備し、上空でデータを中継する。

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