近年カーエレクトロニクスの発展はめざましく、今やほとんどの車輌にエアコンが標準装備となりました。
ユーザーはスイッチひとつで快適なドライブを楽しめます。 以前はカークーラーと呼ばれ「車内を冷やす」ということだけで、
試用期間も夏に限定されていました。 しかし、現在の車はほとんどが「エアコン」となり、複雑な電気的回路を持ち一年中一定の
車内温度を保つ 「オートエアコン」が主流となっています。 つまり、季節や外気温・天気に左右されることなく一年中エアコン
をいれっぱばしという使い方が多くなってきています。
基本は家庭用のエアコンと同じです。冷媒用の「ガス」をコンプレッサーで圧縮し、高圧になった「圧縮ガス」をバルブ
により一気に噴射します。液体が蒸発(気化)する際に周りの熱を奪う習性を利用してエバポレーターを冷やしています。
その冷えた空気をブロアモーターにより車室内へ循環しています。
ただし、家庭用のエアコンとの大きな相違点は、 カーエアコン自身が車と共に移動しているということです。
車のエンジンルームは想像以上に高温となり、また激しい 振動に見舞われます。家庭用のエアコンが10〜15年と使用できるのに対し、
カーエアコンの寿命はその約半分位 とされています。一年に一度(エアコンを頻繁に使用するシーズン前)は整備工場あるいは、
電装店での点検をお奨めします。
[ コンプレッサー ]
気化された冷媒(クーラーガス)を高温・高圧に圧縮し、液化状にしてコンデンサーへ送り出すポンプ。
通常、エンジンのクランクプーリとベルトでつながっておりエアコンのスイッチをONにすると電磁クラッチが
働きコンプレッサーの内部で冷媒を圧縮し始める。
人間の体でいうと心臓のようなパーツ。以前は斜板式が多かったが現在ではロータリータイプで使用状況に応じて 容量を変化させる
「可変容量タイプ」が主流になりつつあります。
[ コンデンサー ]
コンプレッサーで圧縮した高温・高圧のガスを冷却し液化します。ラジエータのような構造でガスが流れるチューブの周り
には、冷却用のフィンがついてあり放熱します。通常ラジエータの前面に取り付けてありクーリングファンや電動ファンで
冷却します。
[ レシーバー ]
コンデンサーで液化したガスを一時的に蓄えておくタンク。ストレーナー(フィルター)と乾燥剤により、エアコンサイクル内
の小さなゴミや水分などを除去、吸収します。コンプレッサーはエンジンで駆動するため、常に回転速度が変化します。
また、車内は外気温の影響を大きくいけます。コンプレッサーに回転や外気温が変化すると、サイクル内を循環する冷媒量
が大きく変化します。この変動を調整するのもレシーバーの役割です。
[ エキスパンションバルブ ]
エキスパンションバルブ(エキパン)は膨張弁であり、レシーバーからの高温・高圧の冷媒を小さな孔から一気に噴射させる
ことにより急激に膨張させ、低温・低圧の霧状の冷媒に変化させます。エバポレーターの能力を充分に発揮させるには、
液化ガスが周囲の熱を奪い、エバポレーターの出口で常に蒸発を完了させなけらば
なりません。車室内温度(冷房負荷)の変動および、コンプレッサーの回転速度に応じて冷媒量を自動的に調整しています。
[ エバポレーター ]
エキスパンションバルブにより低温・低圧になった冷媒を気化させ、車内の空気がエバポレーターを通過することにより冷却し
その冷えた空気をブロアモーターにより車内に循環する。このエバポレーターからコンプレッサーまでの間がエアコンサイクル
内の低圧側となり、エアコン使用時は常に低温になる。つまりエバポレーターは多くの水分に覆われ、錆びやすくカビ等が
発生しやすい。エアコンをつけると「嫌なにおいがする」のはこのためです。しかも、エバポレーターを車内の空気が循環
するため、吸入側に埃などが付着しやすいのです。
当社では、オゾン層の破壊や地球温暖化を招くフロン類を大気中にみだらに放出することを禁止するとともに、 冷媒としてフロン類が使用されている機器を廃棄する際にフロン類を回収すること等を義務付けた 「特定製品に係わるフロン類の回収および破壊の実施の確保等に関する法律(通称:フロン回収破壊法) (平成13年6月22日公布、平成14年4月一日施行)を尊守します。 カーエアコンの修理に係わる冷媒(特定フロン等)の取り扱いに関してはガス回収機を使用し、大気中に放出することはありません。
< まったく冷えない >
●コンプレッサーが回らない
・ヒューズ切れ
・冷媒不足
・ハーネス断線
・マグネットクラッチ不良
・プレッシャーS/W不良
●コンプレッサーは回ってる
・冷媒不足
・サイクル内つまり
・サーモS/W不良
・センサー関係不良
< 冷えが悪い >
・冷媒不足
・サイクル内つまり
・センサー不良
・異常高圧
・エバポレーターつまり
・ブロアモーター不良
・・・・・・・など。
< 修理について >
カーエアコンの故障の原因は電気系のトラブル、機械的なトラブル、またはサイクル的なトラブルと多岐にわたります。
また、目視だけで判断できる故障もありますが、本格的に調べるには圧力メーター、検知器等のテスター類が必要となります。
お電話やファックスなどでのお見積もりには、価格に変動が出る場合があります。
また、カーエアコンの修理は、一部分の原因となる部品を修理・交換後別の箇所が新たにトラブルをおこす場合があります。
ご了承ください。