抱っこ法を体験された方の
体験談をご紹介します。

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抱っこ法体験談タイトル

青森抱っこの会に参加されたママから  NEW

Y・Tさんより

青森抱っこの会に参加されたママから届いたメール

 今日はお時間とっていただきありがとうございました。

抱っこの会、参加して一番スッキリしたのは私でした。気持ちを聞いてもらって、心の氷が解けたようです。

 私は自分の気持ちを話すのがすごく下手です。私は泣かない!って育てられていたからだと思って、娘にはたくさん泣いていいと思っていましたが、いつしかあまして(手に負えない状態)ました(笑い)

 帰ってからの娘はなんか変わりました。まず、パパに優しい(笑い)パパもなんか心開いてる気がするって。そして機嫌がいいです。ストレスがたまって攻撃的になっていたのですね。なんでなんだろう、と思っていたことが少し見えてきた気がします。

 Y(娘)が、「松林さん足を持つんだよー」っていうので、「大好きだからだって」、っていったら、「じゃあ足もってもいいよって松林さんにいうね」、って言っていました。(笑い)「荷物じゃないんだから~」って泣くと思いますが、また参加させていただきたいです。

 今日はありがとうございました。


青森抱っこの会から

文責:松林 恵公子

~最近の青森抱っこの会から~

 青森抱っこの会に参加されたSさん親子。今回初めての参加でした。子どもさんはN君3歳の男の子。とてもおとなしくかわいらしい子どもさんでした。ママに受付してもらっている時もママの膝にちょこんと座りじっと待っています。おもちゃで遊んでもらいながら普段の様子をママから聞いている時もママのそばにいて遠慮がちです。ママが困っていることの中に食事の時に立って遊びながら食べるのでそれが困っているという話がありました。N君、その話が出始めるとなにやら体がモゾモゾ、足をモジモジし始めました。体でのおしゃべりは上手なんだな~!と思いながらママにもその事を伝えながら話を続けました。食事の回数と時間を聞くと3~4回で毎回1時間かけて食べさせているという事でした。椅子にじっと座っていないことも困っていることのようです。「子どものことを止められないママ」なのかな~?と思いました。子どもの言いなりになっていて困っているママが最近増えているように感じていたのですが、Sさんもその一人のようです。詳しく話しを聞くと「ダメ」と言って良いかがわからない、または「ダメ」と言いすぎてママ自分自身が自己嫌悪に陥っていて他の方法がないものかと悩んでいたというのです。食事に関しては回数を5回にし、1回に食べる量を減らす事と食事の時間を15分と決めてN君が食べなかったとしても片づけてしまう事などをお伝えし、N君に食事は楽しいものだと思わせるような工夫をしてみてはどうか?と提案してみました。抱っこを通してN君の言い分も聞いてみましょうということで抱っこ法の体験をしていただきました。

 まず、ママに普段通りに抱っこしてもらいました。ママは“しっかり抱く事は子どもが身動きが取れず『かわいそう』”と思ってしまうらしく、N君はママの腕からすりぬけてしまいます。ホールドが弱くN君もどうして良いのか迷っているようにも見えます。お話しを聞くと普段はパパがしっかりN君を抱っこし、目を見てお話しをしているとの事でした。抱っこ法など知らないと思われるパパがしっかり抱いてくれて、N君はお家で泣いていると言っていました。(私は、あら素敵だわ~と思いました。) どのようにお話したら、ママにも『しっかり抱くこと』は気持ちをしっかり伝えるのに有効だということが伝わるのだろうと考えました。いろいろ時間をかけてお話したけれど、やはりママ自身に子どもの気持ちを感じてもらうのが一番だと思いました。そこで、子育て講座でやっている「子どもがダダこね」をした時の3つの対応を、私とママとでワークをやってみることにしました。

 

ワークはこんな感じです。
子どもが帰る時間になっても「まだ遊ぶ~!」とダダをこねた時の対応 ① 親が「勝手にしなさい!」と手を放す ② 手をつなぎ、五分と五分で張り合い(絶対手を放さずに)、「帰りたくないんだね!」と共感しながらも「でも帰ろうよ~!」と帰りたくなる言葉がけをする。 ③ 子どもを無理やり引っ張って連れて帰る の3つです。

①を2回やってもらいました。ママに①はどうでしたか?と聞くとママは「さみしい気持ちがした。」と答えてくれました。「N君がいつも感じている気持ちではないですか?」「抱っこしてすぐ放してしまうと同じような気持ちになると思いますよ。」と私が言うとママが「ごめんね。私が良いと思ってしてきたことはかえってN君にかなしい思いをさせていたのですね。」と泣かれました。その後、ママにN君を抱っこしてもらうと、先ほどとは別人のようにしっかりN君を抱っこ出来ました。どんなに暴れてもしっかり抱き続けることでしっかりN君とつながった感じになりました。今回が初回だったのであまり無理せず、5~10分泣いてもらったところで終了にしました。

 また抱っこの会に参加してくださいね。こらからも応援していきますよ。


わたし がんばりたいの!

文:松林 恵公子

1歳3ヶ月のYちゃん
【家族の紹介】 Yちゃん(1歳3ヶ月)・父ちゃん・母ちゃん
ホルダー・・・松林 恵公子
【背景】 ひまわり保育園で年4回行われている「遊びのパーテイー」に2回参加してくれたYちゃん親子。  ママはその時に「Yちゃんが以前、朝昼晩と一日中泣き続けるものだから、どうしてよいか分からず二人で一緒に泣いていました」という話を私にしてくれました。Yちゃんは「ギィー」というか「ギャー」というか低く大きい声で泣くので、「これはママ大変だったでしょう!」と思わず声をかけました。ママ曰く「なぜ泣いているのか分からない」というお話をされていました。2回目に「遊びのパーテイー」でお会いした時に「一度抱っこの会へ来てみませんか?」とお誘いしました。(ちなみに「遊びのパーテイー」は2回とも鳴海さんと一緒に参加しています。) 【エピソード】

 12月14日(土)に行われた青森抱っこの会にYちゃんが父ちゃんと参加してくれました。母ちゃんは3月に出産予定でこの日は検診のため父ちゃんとYちゃんの二人で参加ということになったようです。父ちゃんはとてもやさしいイクメンパパです。Yちゃんはお部屋に入ると上機嫌でニコニコ。鳴海さんの所へ行ったり私やパパの所をウロウロしたり、初めての場所も平気そうな感じに見えました。父ちゃんに受付してもらっている間に他のスタッフが「おもちゃで遊ぼう」と声をかけるとすぐにそれに応じて遊び始めました。知ってる顔が2人もいるから安心しているのかな?(それとも逆かな?)Yちゃんはおもちゃを持っては父ちゃんに見せにきました。親子関係は良さそうだと思いました。

 抱っこの開始です。まずはいつものように父ちゃんに抱っこしてもらいました。私が「ママから以前お話しを聞いた時、Yちゃんがすごく泣いて困ったと言っていましたが」と話し始めると、父ちゃんのあぐらの中にいたYちゃんがひっくり返って激しく泣き始めました。父ちゃんが「今は落ち着いているのですが、夜泣きがひどくて・・・」と話始めるとYちゃんは落ち着きなく動きだし、大きい声で泣くので、父ちゃんは戸惑っているようでした。Yちゃんは夜泣きがひどく、今日は母ちゃん今日は父ちゃんと替わりわりばんこで、音を遮断できる一室でYちゃんを抱っこしていたとの事、そのまま朝を迎えることも何度もあったそうです。「毎日それじゃあ本当に大変でしたね。よくやってこられましたね。」「えらいね。父ちゃんも母ちゃんも。」と声をかけると、Yちゃんは「ギャー!」と泣き続けています。

 抱っこの説明は後回しにして、先にYちゃんの気持ちを父ちゃんに伝えた方が良いと思ったので、「私が抱いても良いですか?」と父ちゃんに聞き、私が抱き取りました。Yちゃんとしっかり張り合えるように抱っこし、父ちゃんに足を持ってもらいました。Yちゃんは父ちゃんの手を蹴飛ばし、父ちゃんの太もものあたりを強く蹴っています。私が「父ちゃん、足を見て。すごく怒っていますね。」と言うと「そうですね。怒っていますね。」と父ちゃん。私にはYちゃんが「くやしい~!自分がくやしい~!」と怒っているように見えたのでこんな言葉をかけてみました。「本当は母ちゃんや父ちゃんを助けたいと思っているのに、なんで泣いてばかりなんだ。本当は泣かずにがんばりたいのに~!」Yちゃんはとても激しく泣いていました。「そうか、そうか」と言い分をききながら「泣いてもいいし、怒ってもいいよ。」Yちゃんは首をふりながら泣いていました。「大好きだから離さない。」と言いながらしばらく泣いてもらいました。父ちゃんに「泣かれるのは大丈夫ですか?」と聞いたら、「はい、大丈夫です。朝まで泣かれた事何回もありましたから・・・。」と苦笑いしていました。Yちゃんに少し休憩してもらおうと父ちゃんに縦抱きにしてもらったのですが、なかなか泣き止めませんでした。仕方ないので、家でYちゃんを抱っこする時の抱き方を教え、父ちゃんに抱っこしてもらいました。なかなか感性の良い方で上手にYちゃんを抱っこしてくれました。最初とは全く違い、Yちゃんがどんな暴れてもちゃんと張り合えていました。Yちゃんが父ちゃんと母ちゃんを困らせて、迷惑をかけていると思っていることやYちゃんがとても親思いで「泣かないぞ」と頑張っていたこと、Yちゃんはやさしい頑張り屋さんである事などを話していたら、「フエ~ン、フエ~ン。」と甘え泣きに変わりました。泣き方が変わったことを父ちゃんに話すと「分かります。」と泣きの変化も分かってくれました。そのうち父ちゃんに抱っこされたまま眠ってしまいました。Yちゃんが眠っている間に心のコップの話や泣く事を応援した方が良い事、泣き出しと泣き止みの練習を何回もやれば上手にできるようになること、父ちゃんの身に起きた大変だったことなども聞かせていただきました。  一通り話し終わったら起きてくれたので、最後に「大好き抱っこ」をしてもらいました。  Yちゃんはすっきり晴れやかな笑顔になっていましたよ!

【考察】

 今回の抱っこはママではなく、パパが子供さんを抱っこするということで、ママがいなくてパパだけでというのは私は初めてでした。私はいつも子供さんの気持ちを伝えるのはもちろんですが、ママが子供さんの事をどう思っているかをどう伝えようか考えてセッションしています。今回は子供さんの想いを親に分かってもらう事をポイントにセッションさせてもらいました。感の良いパパで、とても素直にYちゃんの気持ちを受け取ってくてました。

 1歳3ヶ月のYちゃんは最近、単語がよく出るようになり、何を言いたいのか分かるようになってきて、親としても楽になってきたとの事でした。Yちゃんは父ちゃんや母ちゃんに似て頑張り屋さんだなと思いました。来年の3月に第2子が誕生するということなので、ちょうどYちゃんの自我のめばえであるダダこねの時期に入るという事もお伝えしました。Yちゃんはお姉ちゃんになるのをとても楽しみにしている様子だそうです。里帰り出産で秋田に帰るということなので、おじいちゃん・おばあちゃんにたくさん甘えて、お姉ちゃんとして頑張ってねYちゃん。これからも応援していきますよ

【ご両親からの感想】
  • 初めて抱っこの会に参加させていただきましたが、抱っこを通じて娘の本当の気持ちが伝わってきた気がしました。これからも抱っこ担当で頑張ります! 父ちゃん 
  • 検診で残念ながら間に合いませんでしたが、いつもよりもなんだか落ち着いておるな~と感じました!!父ちゃんが習った抱っこ法でたくさん、たくさん抱っこしてあげたいと思います!! 母ちゃん(PS:母ちゃんには出産してから抱っこしてくださいとお伝えしてあります。)
 

「抱っこ法」体験談

文:一戸 倫子

「抱っこ法」を体験してみて
抱っこ法とは、「赤ちゃんの抱き方」ではなく、「子どもの心を抱きしめるための方法」だそうです。
松林さんはとても優しそうな方。少しドキドキしていたのですが、安心しました。
初めに、松林さんへ子育ての困っていること、悩んでいることをお話すると、松林さんは私を抱っこして、たくさん優しい言葉をかけてくれました。
最初はビックリしたのですが、涙がどんどん溢れて止まらなくなりました。
次に、息子の気持ちを聞いてみる、とのこと。
まず、私の都合で早く始めてしまった、断乳について。辞める理由をきちんと伝えていなかったので、息子の心のしこりを取るために、理由を説明し謝りました。
すると息子がいきなり大泣きしました。「そうだよ、ぼくはまだ辞めたくなかったのに、ママのバカ!」と言われているかのよう。 
その後も息子のストレスを取り除くやり方や、息子のイヤイヤをどのように受け止めるかなど、たくさん教えていただきました。
恥ずかしながら、息子が私のことをどう思っているのか、今まで考えたことがありませんでした。
でも、息子なりに私のことを考え、思いやってくれている。なんだか泣けてきます。すごく新鮮で素敵な体験でした。
育児についてたくさんのヒントを教えていただきました。私もたくさんお話して、泣いて、すごーくスッキリ!子育てに悩んでるママに、オススメします。
平成24年12月15日(土)に行われた青森抱っこの会に参加してくれた一戸倫子(さとこ)さん。
一戸さんはファミリー倶楽部青森のサイトのボランテイアスタッフをされているそうです。そのサイトの12/16のスタッフブログに「抱っこ法」というタイトルで載せた内容を会報の体験談に載せるのをokしてくれました。
ファミリー倶楽部青森のアドレスはwww.family-aomori.com/です。←こちらもぜひご覧ください!

抱っこ法に出会って

文:青沼 恵

抱っこ法に出会って
私が抱っこ法と出会ったのは、今から2年前です。娘が2歳の時でした。
娘はごまかしが上手で、その裏にある本当の気持ちに気付いてあげられませんでした。「抱っこ法」がなければ私は娘の気持ちを感じ取ることは出来なかったと思います。
ごまかしが上手というのは、触れてほしくないことを聞くと「何か食べたい」などと言ってごまかします。どうしてごまかすのか。それは本当の気持ちを言ったらママが困ると思っていたんです。
「ママに心配かけさせたくない」「私は一人で大丈夫だから」と一人で頑張っていたんです。
娘がそう言ったわけではなく、「抱っこ法」の抱っこで横抱きにした時の身体の力、反応、泣き方、目線で分かるようになりました。娘の言う通り、私は何かある度「どうしよう、どうしよう」とパニックになり、不安感で押し潰されそうになっていました。そんな母親に心配させるようなこと言えないはずだと気付きました。
実は娘の方が私のことをすごく想っていてくれていることに「ハッ」とし私自身が変わりたいと思いました。

「抱っこ法」は子どもだけでなく親の気持ちも聴いてもらえます。

抱っこの会に参加したり、松林さん宅でやっている「ママのための育ち直しのワーク」を受けて、子育てで不安に思うことやこれまでの辛かった出来事や自分自身の相談等をたくさん聞いてもらい少しずつ自分の自信を取り戻すことが出来ました。
抱っこの回数を重ねるごとに徐々に気持ちの整理が出来、それによって心が軽くなり、娘の行動や気持ちを受け入れられるようになりました。
娘は毎朝、幼稚園に行く前に「ヤダヤダ、行きたくない」と言います。以前の私ならば「ヤダって言わないで行きなさい」と言っていたと思います。けれど今は「抱っこ法」を学んだことでヤダヤダに付き合い、まず気持ちを聴き「でも、行こうね!」と背中を押しています。

「抱っこ法は、すぐ効く、じっくり効く」

文:日本抱っこ法協会あおもり支部  代表 櫻田 トミ子

第一章:出会い第一章:出会い
抱っこ法」と出会って足掛け18年。思えば、運命の出会いだった。
長男の保育所不登所と心の発達の遅れに悩んでいたわたしは、いろいろなセンターや相談室を探しては巡り歩いていた。しかし、しかし、それらでアドバイスしてもらった内容に、いつも違和感を抱いていた。「そうはおっしゃるけど、それができないから、わたしは今困ってるんですよ。」という気持ちがいつも付きまとっていたのだ。「小学校入学前のこの1年間で、なんとか気持ちを安定させ、学校生活についていけるようにしなくては。」と仕事をやめる決心をした。「たった一年でどれだけやれるのだろうか。」と不安の中で暮らしていたわたしに、友人の養護教諭が、青森県の「抱っこ法」の先駆者である川村美奈子さんを紹介してくれた。
この時が、「抱っこ法」という言葉とわたしとの初めての出会いだった。そして、お住まいを聞いてびっくり。わたしの家のすぐ近くだった。しかし、心のエネルギーがどん底だったわたしは、連絡先を教えてもらっても、すぐに訪ねていくことが出来なかった。
「ゴレンジャー」などのヒーローごっこのまねだけを熱心に繰り返し、こちらの問いかけにはまともに答えようともしない息子。テレビだけは異様に熱心に見て、消すとパニック状態。これに加えて3歳と0歳の下の子2人。部屋の中はいつもワーワーギャーギャー、家事も思うにまかせず、わたしはほとんどノイローゼ状態。「はやく川村先生の所へいかなくては。」と何度も何度も自分を励まし、意を決して訪ねて行った。その時「抱っこ法」とはどんなものなのかを伺ったが、その時点ではよく理解できなかった。

「5月に阿部会長さんが十和田においでになって、『入門講座』を開くので聞いてみたら。」と勧めてくださった。この入門講座に夫と一緒に参加し、阿部先生のお話を伺っているうちに、「これだ、息子を救うのはこれしかない。」という思いがこみ上げてきた。講座が終わってすぐ、川村先生に「息子にも抱っこ法をしてほしい。」と頼んだ。「あとで日時を決めてやりましょう。」ということになり、第1回目の「抱っこ」に挑戦した。このときは、夫にも同席してもらった。夫に「抱っこ法」の理論と実際を理解してもらったことは、この後、子供達が家で泣いたりダダをこねたりしたとき、2人で対応するのにとても役立った。
第二章 行脚第二章:行脚
「抱っこ法」のすごさを直感し、のめりこんだわたしは、友達が子育てのことで悩んでいるとすぐ「抱っこ法っていうすごい方法があるんだよ。」と勧めた。同時に中学校に勤めていた経験から、不登校やら暴力やらこの年代の子供達に現れる様々な問題も、この「抱っこ法」の考えを応用すればきっと解決出来るはずだという思いを抱いた。

「抱っこ法」の勉強をする傍ら「これをこのまま大人や年齢の高い子供にやるのは無理だ、このやり方を大人向けにアレンジしたものはないものか。」と探し続けていた。そして巡り会ったのが、「再評価カウンセリング」(コウ・カウンセリング)だった。ルーツやシステムは全く違うそれぞれ独自の存在なのだが、感情を開放することにより、本来備わっているその人のパワーや賢さを回復しようという点では「抱っこ法」と共通していた。わたしはさっそく基礎講座を受け、RCerになった。関係の書籍や会報を読みあさり、まず頭で「抱っこ法」を理解しようとした。加えて、今のわたしと息子を助けてくれるヒントはないだろうかと、シュタイナー教育、アドラー心理学、内観法、親業、行動分析療法など、これと思ったものには片っ端から首をつっこんでみた。そして、最終的に今の自分にしっくりくるなと感じたのは、十年来取り組んできた「シュタイナー教育」と「抱っこ法」と「再評価カウンセリング」だった。こうしてわたしは、十和田市高森山授業研修センターで2ヶ月に一度開かれる「抱っこ法」研修会に、わが子の「抱っこ」と自分の研修とを兼ねて参加するようになった。
第三章 発見第三章:発見
「抱っこ法」とかかわる中で気付かされたことは、「感情」が人間にとってとても大切なものだということだった。
感情は生きるエネルギーの源であり、生命力の根っこなんだと思い至った。
現代人の多くが悩まされている抑うつ症状・神経症などは、感情の発露が必要以上に押さえ込まれていることが原因のような気がする。今の子供達がなんか生き生きしていない、弱々しい感じに見えるのも同じ要因が根っこにあるのではないか。教育相談員として、日々不登校の子供達とかかわっているが、そのときの感情を素直に出せるようになると、子供達は驚くほど変わる。親や学級担任に懇願されたり説得されたりして、その圧力に抵抗しきれずイヤイヤわたしの元にやってきた子供達は、青白く無表情で目の中には何の感情も読み取れない。それでも「もしかしたら何とかなるかもしれない」という一縷の希(のぞみ)もかすかに抱いているということは後で分かる。この子供達を前にしてわたしに出来ることといえば、第一にはわたしが穏やかで明るい気分を保ち続けること。子供達の気分がほぐれてきたら、相手が思わず笑いたくなるような状況を提供し続ける。ここで、無表情の顔が少し崩れたり、ニヤリとしたり、プッと吹き出したりするとわたしとの関係が大きく前進し始める。子供達の感情表現も少しずつ多彩になってくる。こうなると子供達は、かなり生き生きし始め活動的になってくる。こんな経験を何度かして、感情と生命力・行動力の相関関係がとても高いことを発見した。
  表題の「抱っこ法は、すぐ効く、あとで効く」は「抱っこ法」を子供達に何回かやってみたことと、自分自身の「再評価カウンセリング」の体験から感じたことだ。「抱っこ法」の最中に、今まで一言も発しなかった子供が「おかあさん」と叫んでみたり、終わった後にさっぱりした表情になって、生き生きと遊び始めるのは誰もが認めるところだ。これが「すぐ効く」の部分である。わが子の「抱っこ法」と自分の「再評価カウンセリング」の体験から、セッションが終わってからしばらくして、例えば1ヵ月後とか、3ヵ月後とか、半年後とかに「あ、この子変わったな」「私、この頃変わったなあ」と感じる事が何回かあって「そうか、抱っこ法は後でじわじわ効いてくる作用もあるんだな」と気付かされた。
  「泣く」ことによって、凍りついていた地下の感情の水脈が流れ出し、じわじわとその人の無意識を潤し、生命力を芽吹かせる、そんな感じである。このことを感じてから、わたしは「この抱っこ法と息長く付き合って行こう」と思った。
第四章 未来第四章:未来
「抱っこ法」と出会ったとき5歳だった息子も23歳になった。相変わらず「ちょっと変」だけど、少しづつ「普通」の状態に近づいてきているように思う。幼児期のわたしのかかわりのまずさから、彼が心の内側に抱え込んでいる問題(人間不信・おびえ・無気力…)は、もちろんまだまだ解決されていない。自分が作り出した問題なのに、自分で解決できないという無力感と焦燥感はあるが、一方では「抱っこ法」と「再評価カウンセリング」があるさというよりどころも感じる。彼がこの二つと良い出合いができるかどうかはまだ不確実だが、わたしも何かの形でサポートしたい。
  もう一つは世に中(特に日本の社会)が、感情のもつ意味の大きさをもっと理解し、お互いの気持ちをしっかり受け止めあえるようになることを夢見ている。アメノウズメノミコトの御世から、日本人は感情の発露に対して、とてもおおらかな国民性を持っていたように思う。その国民性を再び取り戻し「今日はいっぱい泣けてよかったね。明日から、また元気になれるぞ。」そんな会話を日常交わしながら、大人同士でも大いに泣き、大いに笑いあえる日が来て欲しい。カラオケボックスのような「泣き部屋」「笑い部屋」「励まし部屋」なんかが作られて「よし、今日はいっちょ泣いていくか」なんていうのもおもしろい。そのためにこの「抱っこ法」の考えが、少しでも多くの人に受け入れられるように自分なりに活動して行きたい。「息子の為に」と思って始めた「抱っこ法」が、わたしをも救ってくれたのだから。

「抱っこ法」を体験してみたママの感想

「抱っこ」をやって良かったこと(y・tさん)
◆抱っこの時だけでも子どもとくっついている時間がもてる。
◆子どもがどれくらい怒っていたのか辛っかたのか、子どもを見て気持ちを感じることが出来る。
◆普段は口達者な我が子とケンカなんかしていても、本当に我が子がどんなに大好きだったかを思い出させてくれる。
◆ギューっていつまでも抱っこしていたい気持ちになれる。
◆これまで感じたことのない不思議な気持ちになれるから私は抱っこ法に出会えて良かったです。
でも・・・力が弱い赤ちゃんを「抱っこ法」で抱っこするにはまだ心が痛いです。
可哀想になってしまいます。
「抱っこ」をしてみて気付いたこと(k・sさん)
◆子どもが「ヤダ」と言うのは、本当は「抱っこして欲しいという気持ちがある」というのが「抱っこ法」をやってみて初めて分かりました。
◆自分が子どもに嫌われていると思っていたが、そうではなかったことが嬉しかった。
◆どんなに暴れても「絶対離さない」と抱っこし続けたら心が通じ合った感じがして幸せな気持ちになれた。

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