このはなさくや図鑑 〜美しい日本の桜〜

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学名・種名
Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba
Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H.Ohba var. jamasakura
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ヤマザクラ
山桜・白山桜

高木性
樹形は広卵形状〜杯形状
散形状あるいは散房状花序

本州の宮城県、新潟県以西の本州、四国、九州、朝鮮半島南部に分布しています。
開花と同時に展開そますが、個体差が大きいです。
若芽は色等に変異が多く、黄芽(銅葉)、赤芽、茶芽、青芽など呼ばれます。
若干の差異によって分類されているものとして、
小花柄や花柄、葉などに微毛があるウスゲヤマザクラ(f. pubecens)や
葉が長く、鋸歯がより細かい品種のナガバヤマザクラ(f. superflua)などがあります。

・花弁の先は二裂する。
・花径は2.5cm〜4.0cm
 小輪〜中輪(個体差は大きい)
・花床筒は筒状鐘形〜長鐘形、細い鐘形で無毛
(花床筒の形は個体差がある)
・萼片は披針形〜長三角形で縁は全縁です。
・小花柄は無毛
・小花柄は無毛
・花柱、子房とも無毛

・葉身は長楕円形〜卵状楕円形(個体差がある)
・葉身の先は尾状鋭尖形
・葉身の両面は無毛で、裏面は帯白色
・葉柄上部または中央部に蜜腺があります
・葉身基部は円形〜鈍形 (個体差は大きい)
・葉柄は無毛、微毛があるものにウスゲヤマザクラ(f. pubecens)があります。
・葉縁の鋸歯は重鋸歯または単鋸歯で上向き、細くて低く、先は腺があります。
しかし、形が三角形で上向きに伏せることなく開き気味のものや腺が不明瞭で
オオシマザクラに似て先が芒状となるものもあります。
実に野生のヤマザクラは変化に富んでいます。
ヤマザクラは個性派揃いです。
その姿は千本千様と言われ、野生の個体それぞれに特徴があり、
観察すると面白いものです。

左:赤芽のヤマザクラ
右:青芽(青葉)のヤマザクラ


左:茶芽(茶葉)のヤマザクラ
右:黄芽(銅葉)のヤマザクラ

地方によっては、ほとんどが茶芽か青芽のヤマザクラばかりとなる場合があります。
樹皮は、普通、暗褐色(左です。
若木の場合は、風の強い場所や海岸部では、光沢(右)のある樹皮となります。


果実は、直径0.8cm〜1.0cm位
黒紫色で苦みがあります。

道路沿いで見つけたタイプの違うヤマザクラ。
左:淡紅色の花に赤芽のヤマザクラ
右:白色の花に茶芽のヤマザクラ

ヤマザクラの組み合わせは、若芽の色だけでなく、
花には大輪のタイプから、小輪で多花のタイプ、さらにやや紅色を帯びたものまで、実に多彩です。

 今日のように暦がない昔、農耕民族である日本人は、
農事を始める頃、野山に咲き始める山桜を穀霊の宿る花と信じてきました。
 また、満開になる桜の様を見て、秋の実りの豊かさを告げる、前兆現象とも考えられてきました。
このような意味から昔の人々は、山桜を農事の目安とし、地方では今でも山桜のことを
「種まき桜」「田植え桜」などと呼ぶところがあります。

 Prunus jamasakura Sieb.ex Koidzumi in Bot.Mag.Tokyo 25:184(1911)
  -Prunus mutabilis Miyoshi in Japanische Bergkirschen:35(1916)
  -Prunus serrulata var.spontanea(Maxim.)Wilson in The Cherry of Japan:28(1916)
  -Cerasus jamasakura(Koidzumi)H.Ohba in J.Jpn.Bot.67:279(1992)



 
野生の変種、型
 ツクシザクラ C.var. chikusiensis
 ウスゲヤマザクラ C.f. pubecens
 ナガバヤマザクラ C f. superflua
 ワカキノサクラ C.‘Humilis’

現存する巨樹・古木
 ゲバザクラ(下馬桜) C.‘Geba-zakura’ 

私が好きなのは赤芽のヤマザクラです。
気品がだだようヤマザクラです。


文・撮影:藤原 このはなさくや図鑑〜美しい日本の桜〜
桜樹学・桜の世界1 野生種編 P23-26

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