このはなさくや図鑑 〜美しい日本の桜〜

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学名・種名
Cerasus speciosa (Koidzumi) H.Ohba
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オオシマザクラ
大島桜

高木性
散房状花序
葉の展葉と同時に開花します。
花の色はほぼ白色
花弁の先は二裂する
花径は4.0cm〜5.5cm(大輪)

伊豆諸島、伊豆半島南部に自生しています。
伊豆半島のものは、薪炭材として持ち込まれたものが野生化したとの説もあります。
各部が大きく、花には芳香があり、花期などに変異が多く、それらの差異によって分類され、
早咲きのカンザキオオシマなどがあります。
以前、桜の研究で有名な植物園から、写真で使用しているオオシマザクラは、
同時に展葉している葉が少ないので、オオシマザクラではないとのメールをいただき、
驚いたことがあります。
オオシマザクラは実に多様です。葉が多いものもあれば、
花がかなり先行して咲くタイプもあります。
花床筒は筒状鐘形〜細い鐘形で無毛
萼片は披針形〜長三角形、縁はほとんどに鋸歯がありますが、
全縁の個体もあり個体差があります。
小花柄は無毛。
新葉は、緑色で赤みを帯びることはありません。
葉身は倒卵状形〜広楕円形〜卵状楕円形
葉身の先は尾状鋭尖形
葉柄上部〜中央部に蜜腺があります。
葉身基部は円形
葉柄は無毛
葉の表面、裏面は無毛
葉の側脈は7 〜 10 対あります。
葉縁は、単鋸歯と重鋸歯がまじり上向き
鋸歯の先端は芒状または糸状に伸びる。
果実は直径1cm〜1.4cmで、黒紫色に熟します。
酸味がありますが、これも個体差があります。
果実が赤い時期のながい、アカミオオシマなどもあります。
旗弁が生じた個体です。
オオシマザクラの重弁化したものの中から、鑑賞価値の高いものが生まれました。
ほとんどのオオシマザクラは、開花のピークが過ぎると、化粧咲きとなります。
脈にそって赤く染まり、やがては全体が赤く染まります。
Prunus lannesiana var.speciosa(Koidzumi)Makino in J.Jap.Bot.7:18(1931)
 -Prunus jamasakura subvar.speciosa Koidzumi in Bot.Mag.Tokyo 25:186(1911)
 -Prunus pseudo-cerasus var.serrulata subvar.sieboldi f.albida Makino in Bot.Mag.Tokyo 22:102(1908)
 -Prunus serrulata var.albida subvar.speciosa(Koidzumi)Makino in Bot.Mag.Tokyo 26:117(1912)
 -Prunus donarium subsp.speciosa(Koidzumi)Koidzumi in Conspectus Rosacearum Japonicarum:271(1913)
 -Prunus speciosa(Koidzumi)Nakai in Bot.Mag.Tokyo 29:139(1915)
 -Prunus mutabilis f.speciosa(Koidz.) Miyoshi in Japanische Bergkirschen:42(1916)
 -Prunus lannesiana f.albida(Makino)Wilson in The Cherry of Japan:43(1916)
 -Cerasus spaciosa H.Ohba in J.Jpn.Bot.67:279(1992)



オオシマザクラがなければ、現在、実に多くのサトザクラが生まれることはありませんでした。
オオシマザクラの野生の個体の中にも旗弁が生じたもの、半八重に変化したものが見られます。
こういった初期的変異のものが後年、重弁化したサトザクラの多くを生んだのです。

文・撮影:藤原 このはなさくや図鑑〜美しい日本の桜〜
桜樹学・桜の世界1 野生種編 P29-32

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