『ルックバック【実写版】』['26]
監督 是枝裕和

 この春にNHK地上波で観たアニメーション作品のよもや実写版を観ることになるとは思わなかった。実写にして何を描きたかったのだろうという興味で観に行ったのだが、実写には漫画やアニメーションでは映し出せない光があることを再認識させてくれる出来栄えだったように思う。

 また、人物像の造形において、生身の役者を使って果たし得ていた手際も実に御見事だったように思う。「お礼は10万でいいよ」と言ったときの藤野(出口夏希)、「もっと絵、うまくなりたいもん」と言ったときの京本(蒔田彩珠)、京本の画力に負けて描くことを止めていた藤野(七瀬ふうり)が「京本から寄せられた絶賛を噛み締めながら次第に浮き立って来」て駆け出す場面、藤野のアイデアを表現する力の見事さに「センセイ」と呼んでいた京本(岡田六花)が一緒に共同制作を始めたときの佇まい、などが印象深い。

 劇中アニメにも再登場する白い飛ぶ鳥の映像は、実際に撮ったものか生成したものかが気になるほどに効果的で、実写でも劇中アニメでも映し出すことによって、アニメーション表現なればこその造形力も鮮やかに見せていたような気がする。アニメーション作品で感慨深かったラストの窓外を実写でどのように映し出すのか密かに楽しみにしていたのだが、そこは潔く外していた。アニメーション作品のエンディング表現に勝るものはないのだとの賛辞が込められているように感じ、こういう形で先だったアニメーション作品へのリスペクトを示したかと大いに感心した。

 入場者特典に貰った「Special Booklet」に藤野キョウによる投稿作の『メタルパレード』全41頁(画:西村野道)が収められていた。また、特別対談Ⅰ<藤本タツキ×是枝裕和>によれば、「制作部に「合図したら白鳥を飛ばしてみて」なんて冗談を言っていたら、本当に飛んできてくれて。」(P11)とあって驚いた。
by ヤマ

'26.10. 1. TOHOシネマズ3



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