ワンゲルアルバム

夏合宿 南アルプス
昭和53年(1978年)7月19日(水)〜7月27日(木)

塩見岳の展望(荒川三山)
合宿最後の塩見岳から踏破した峰々を振り返る


7月19日(水) 畑薙 ・・・ 上河内沢

畑薙第一ダム   8:40発
林道 9:15着 9:30発
ヤレヤレ峠 10:20着 10:40発
上河内沢テントサイト 10:55着  

7月18日午後5時31分大阪駅発 快速電車大垣行で出発。帰りのラッシュ時とかさなって全員散々になり、なんとか乗り込む。大垣から東京行の普通電車に乗りかえ。午前0時15分金谷着。なかなか立派な駅で利用客の多さがわかる。売店はとっくに閉まっているが、自動販売機はたくさんある。しばし仮眠。
3時20分発千頭行きでは、車内の照明がすべて消えたのに驚く。夜が明けるころ蒸気機関車ならぬディーゼル車に引っぱられる2台の小さな客車に乗って、井川まで。天気は曇がち。風はなく、渓谷や山の斜面には霧がかかっている。大井川鉄道の沿線は景観がよいというので、眠たいのをこらえて、窓を開けて(かなり寒い)ながめていた。
井川からバスで畑薙まで。荷は別にトラックがまとめて運んでくれる。7時すぎにダム着。朝食。

畑薙第一ダムの前
畑薙第一ダムの前で朝食

だるさをこらえて歩き始める。吊り橋を渡って、ひとしきり急登のあと、山腹をまくようにして、なんとなく上河内沢サイト地(下流側)に着く。水場は沢の水の他に小さい流水がある。

畑薙の大吊橋
一人ひとり渡る畑薙の大吊橋

7月20日(木) 上河内沢 ・・・ 茶臼小屋

上河内沢テントサイト 3:30起床 5:15発
ウソッコ沢小屋手前
ウソッコ沢小屋後 6:30着
中の段より上 7:35着
横窪沢小屋前 8:20着 8:40発
昼食 9:30着 10:35発
水呑み場 11:15着 11:25発
樺段より上 12:15着 12:30発
茶臼小屋 13:10着  

3時ごろから雨。先が思いやられる。吊り橋を4つ渡ると、ウソッコ沢小屋。

ウソッコ沢
ウソッコ沢

そこから急登。鉄はしごの階段もある。路傍におおきなガマもいる。雨がやみそうにみえたので、セパレーツを脱ぐと再び強く降り始めるというような天気が続く。横窪沢にたどりつくころには雨があがり、周囲が見渡せるようになった。
単調な登りが続く。しんどいの一言に尽きる。水呑み場の立派な標識には似合わない貧弱な水場で一本。近くにサイト跡らしきものもあるが、水は全くあてにならない。そのうち、岳樺が多く目につくようになり、霧間から茶臼岳が見えるようになるころ茶臼小屋の標識があった。上河内岳も見る。小屋が見えてからは、もう着いたような気分で歩いた。
茶臼小屋周辺は、お花畑になっていて、設備もよく、サイト地として優良。シナノキンバイ、ミヤマキンポウゲ、ニッコウキスゲ、ハクサンフウロ、etc。(あとは、名前がわからない)

茶臼小屋のテントサイト
茶臼小屋のテントサイト

ヨツバシオガマ
ヨツバシオガマ
高山植物の初撮影(名前は後から調べた)

7月21日(金) 茶臼小屋 ・・・ 聖平

茶臼小屋テントサイト 3:30起床 5:20発
分岐 5:35着 5:50発
茶臼岳 6:05着 6:25発
分岐 6:35着
お花畑(2度休憩)    
上河内岳 8:45着 8:55発
2702 9:30着 10:23発
聖平 11:20着  

快晴。富士山が見えるが、ご来光は稜線にかくれて見えない。

夜明けの富士山
夜明けの富士山

南は雲がたなびいている。雲海はないが、霧でかすんでいる下界をながめて、改めて自分の今いる高さを知る。主稜線にでると、聖岳や兎岳、悪沢岳、赤石岳が茶臼岳から遠くに望める。

聖岳に続く稜線
朝靄に霞む聖岳

茶臼岳からさらに南側には、光岳、大無間、黒法師、加々森の山並み。方向指示盤は分岐の少し茶臼側の上部にある。

茶臼岳の山頂
岩が累積する茶臼岳の山頂 光岳が深く静かにたたずむ

縦走路は山腹通しだと、ハイマツとダケカンバなどの樹海の中を通ることになる。まくようにして船窪のお花畑の中を通る方がずっと楽だろう。

お花畑から上河内岳が大きく見える。上河内岳につくころには、すっかりガスにまかれて何も見えなかった。2702までは途中道が2つに分かれているが、そこからの下りはかなり長いような気がした。途中から樹林帯になる。

ハクサンシャクナゲ
朝露に濡れるハクサンシャクナゲ

お花畑から上河内岳
お花畑から上河内岳

聖平はサイト場としてなかなか良好。キジ場は小屋から少し離れたところに2つある。サイト場の分岐付近は、ニッコウキスゲの大群落。上河内岳が見える。樹林帯の白い木立の立ち枯れがおもしろい。水場は水量が豊富だが、あまり流れていない。聖岳が見えるが、ガスにまかれている。

聖平のテントサイト
聖平  夕食の準備に取り掛かる

7月22日(土) 聖平 ・・・ 百間洞

聖平 2:40起床 4:25発
小崩壊地 4:47着 5:00発
小聖岳 5:50着 6:05発
聖岳 7:05着 7:35発
鞍部 8:30着  
兎岳 9:35着 10:15発
小兎岳 10:50着 11:00発
中盛丸山 11:45着 12:00発
百間洞 12:50着  

1:30ごろまではおぼろ月夜だったが、そのうち小雨模様となった。聖岳の稜線はガスがかかっている。風はない。樹林帯の中を草露に濡れながら登っているうちに雨はあがった。薄日がさして天気回復のきざしにいくらか期待する。
樹林帯を抜けると、小聖岳。ガスが薄くなりながら、上昇していく稜線の中に前聖岳が時々姿を現す。崩壊地を登る途中で雷鳥に会う。2羽のひなを追いたてるようにして岩場へ去った。途中に水場があるが、たいしたことはない。
聖岳の頂上からは何も見えない。富士の稜線が雲間に少し見えたぐらいだった。南東より北西の方が雲が厚く、東から西に移っていく。なんとなく晴れそうでいて、また、ガスが湧き上がってくる。あきらめて下り始めると、急にガスが晴れて一時赤石岳が見えたりする。今年は好天と縁がないのだろうか。兎岳では、ガスにまかれるが、小兎岳では聖岳が雲間に見える。

小兎岳の山頂
小兎岳の山頂   聖岳が姿を見せた一瞬

岩場伝いに中盛丸山。その下りで再び雷鳥に出会う。近づいても別に逃げもせず道の真中で砂あびをしていた。百間洞への分岐でも雷鳥の親子に出会った。百間洞への長い下りは、ハエだらけだった。サイトは小屋から10分ほど。上流にもある(どちらも数張程度)。聖岳が見える。水は浴びるほどある。小屋の横にはテント場のようなキジ場がある。

百間洞から夕映えの聖岳
百間洞から聖岳  深閑と日が暮れる

7月23日(日) 百間洞 ・・・ 荒川小屋

百間洞 3:35起床 5:05発
百間平 6:05着 6:20発
赤石の登り 7:15着 7:25発
赤石岳 8:05着 8:45発
小赤石 9:40着 9:50発
ダマシノ平 10:15着 10:50発
荒川小屋テントサイト 11:35着  

快晴。百間平まで一息で行く。北アルプス槍・穂高連峰、中央アルプス、富士山、甲斐駒ヶ岳、千丈ヶ岳など文字通りの大展望である。

百間平の展望(中央アルプス、北アルプス)
 大沢岳 (マウスオンでロールオーバー) 中央アルプス 北アルプス

百間平の展望(塩見岳、悪沢三山)
 合宿最終目的地の塩見岳 荒川三山(悪沢岳) 赤石岳に続く稜線

百間平の展望(赤石岳、富士山、笊ヶ岳、奥聖岳東稜線)
 赤石岳 富士山 笊ヶ岳 奥聖岳東稜線

百間平の展望(聖岳、兎岳、小兎岳、中盛丸山、大沢岳)
昨日の縦走コース  聖岳  兎岳  →  小兎岳  中盛丸山 大沢岳
アップダウンを繰り返す正に練成コース ”ファイト・コール!

高層雲が少しあるほかは、目立った雲もなく、伊那盆地の町まで見渡せる。無風。赤石岳のピークにて大休止。

赤石岳の山頂記念写真
富士山をバックに赤石岳の山頂にて記念写真

赤石岳のコル付近には少し残雪がある。ミルク金時をつくる。ダマシノ平付近にも残雪があって、アイスコーヒー、アイスミルクをつくる。昨日とうってかわり、のんびりムードの山行である。
荒川小屋で第4パーティーと合流。歓談。荒川小屋の水場は貧弱。サイト場は小屋周辺に多数(23張りほど幕営可能)。小屋東側は富士山が見える。キジ場はハエだらけ。

7月24日(月) 荒川小屋 ・・・ 高山裏 ( ・・・三伏峠小屋 )

荒川小屋テントサイト 3:05起床 4:35発
途中 5:05着 5:20発
中岳前岳コル 6:05着 6:20発
悪沢岳 7:10着 8:00発
中岳前岳コル 9:00着 9:10発
前岳 9:20着 9:50発
森林限界 10:35着 10:45発
水場 11:45着  
高山裏テントサイト 12:30着  
高山裏テントサイト   15:55発
小河内岳避難小屋 17:30着 18:00発
三伏峠小屋 18:55着  

晴。富士山と御来光が見えるはずだったが、曇っていてだめだった。登り途中で霧がかった富士山を望見。雲海。朝焼けに映える赤石岳が眺められる。甲南大に追い抜かれる。右によって行って稜線に着く。悪沢岳へピストン。気付かず道を外してスリルを味わう。ピークに着く頃には、富士山はほとんど霧で見えなくなり、中央アルプス、槍・穂高連峰も同様。南アルプスの北部一帯も霧ならぬ雲がかすめ始める。

赤石岳
赤石岳  その名のとおり

塩見岳 遠く北岳
塩見岳から蝙蝠岳へ延びる支稜 

前岳で昼食。前岳からの下りがしんどい。樹林帯に入るとハエだらけ。水場はわずかに流れるのみ。高山裏テントサイトはほぼ一杯になっていた。一昨年の夏合宿で利用した水場はなく、かなり沢沿いに下らされる。15時ごろ雷鳴とともに雨、雹が降る。テントサイトの低い平地が池になる。
16時前、同テントサイトの東京の電通大山岳部の救援要請(部員の衰弱)により、オブザーバー(Obs)の先輩とサブリーダー(SL)の私が三伏峠小屋まで伝令に走る。稜線はガス濃く、遠雷が不気味。小河内岳避難小屋で30分雨宿りを兼ね様子見する。その間先輩が持参したガスコンロで白湯を沸かし暖をとる。雲が切れ、夕焼けが樹林を通して西の空に映える頃、三伏峠小屋に着く。小屋の主人に救援の連絡をつけてもらう。この日は2人で部活動では滅多に利用しない小屋泊まりになる。無償、ご好意に感謝。夜中になって、かなり雷があばれまわった。
メモ(三伏峠小屋素泊まり1300円、休憩200円、毛布1枚150円、ファンタ250円、缶ビール350円)

7月25日(火) 高山裏 ・・・ 三伏峠(本隊)

高山裏テントサイト 3:00起床 4:45発
(休憩) 5:20着 5:30発
板屋敷 6:20着 6:35発
(休憩) 7:25着 7:35発
小河内岳避難小屋 8:15着 8:55発
前河内岳 9:25着 9:50発
烏帽子岳 10:20着 10:30発
三伏峠 11:10着  

5:30起床。快晴。昨夜の雷がうそのよう。6:20小河内岳へ無線機をもって連絡に行く。甲南大(借用した無線機は100mW/27.080Mc)とは連絡とれなかったが、三伏峠小屋で借用したもう一つの無線機(塩川、三伏との連絡用)はよく通じた。
小河内岳避難小屋7:30に着いて間もなく、病人を背負った甲南大・名古屋大のパーティーがやってくる。次いで我がパーティーも(残してきたObsとSLのキスリングをダブルに担いで)元気にやってくる。パーティーは先に行ってもらい救援活動の模様を見守る。
9:00に双発機が飛来、ヘリの着陸地点を偵察するかのように周りを飛び回って帰投。10:00に双発の大型ヘリが飛来し小河内岳ピークに着陸、病人を含めパーティーの3人を収容して飛び去った。救援活動を見届けた後、10:15避難小屋を出発、11:30三伏峠小屋に寄り、12:00三伏峠テントサイトでパーティーと合流する。午後から昨日のように雷が鳴り出した。

7月26日(水) 三伏峠 ・・・ 塩見岳ピストン

三伏峠テントサイト 3:00起床 5:00発
本谷山 5:30着 5:40発
塩見岳 7:30着 8:30発
水場 9:30着 9:40発
三伏峠テントサイト 10:40着  

晴。無風。本谷山から中央アルプス、聖岳、荒川三山、塩見岳、雲海…。

本谷山
ハイマツ茂る本谷山から南の展望 荒川三山、烏帽子岳、小河内岳、遠く聖岳

塩見小屋横の立て札「ファンタ250円、キリンビール400円、マイコーヒー300円、カラーフィルム24EX650円、etc…。石油買います1リットル70円」。

塩見小屋の前
塩見小屋の前  塩見岳が目の前に聳える

塩見岳から霞みがかった雲海の中に浮かぶ富士山、北岳、千丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳、蓼科山、聖岳、荒川岳、(赤石岳)、…。北アルプスは霞んで見えない。合宿で別コースをとる第1、第2パーティーが山頂で待っていた。

富士山
雲海の彼方に富士山

塩見岳の山頂
塩見岳の山頂で3パーティー合流

塩見岳の展望(千丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳・北岳・間ノ岳)
かなたに霞む千丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳 他のパーティーは北岳・間ノ岳を縦走

3パーティー揃って記念撮影の後、第1パーティー、続いて第2パーティーが先に出発する。第2パーティーは塩見岳の下りで、第1パーティーは本谷山で追い抜く。塩見岳の下りあたりでは、往来の人の列で少し混む。地図上の水場には流水なし。三伏小屋テントサイトは今日も満員である。日焼けした顔がヒリヒリして皮がむけ始める。

7月27日(木) 三伏峠 ・・・ 塩川

三伏峠テントサイト 3:30起床 5:05出発
三伏峠 5:30着 5:45発
水場 6:30着 6:40着
取付き点より下りの橋 7:20着 7:35発
塩川 8:05着  

晴。放射冷却で震えるほど寒い朝になる。

三伏峠
三伏峠 合宿の締めくくり、後は下山するのみ

三伏峠から塩川までの下り道はすれ違う人も多い。峠から下るにつれ谷間に響く渓流の涼しげな音が近づき、合宿も最後と思うと少し名残り惜しい。登りはしんどいコースだが景色を楽しみながらを下る。鹿塩で温泉につかり、その日は神社の境内でサイト。鹿塩のげんぽん(現地本部)は一足先に集結地の松原湖へ。下山すると、とにかく暑い。

夏合宿の集結
八ヶ岳山麓の松原湖畔  合宿を終えたパーティーが集結

関西合同ワンデリングのテント貸し出し No.40、No.39、No.37、No.32、No.30
アフターのテント貸し出し 北岳(筒井)No.33、朝日(河南)No.29

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