メタモルフォーゼ

(6) 「テニスウェアで女の子デビュー」

上野のいつもの店でさんざんはしゃいで買い揃えたテニスウェア等のテニス用品一式を、僕は秘密の宝物の様に大事にかかえて部屋に戻った。高鳴る胸が僕をはやくはやくってせかす。包み紙を半ば破る様にして取り出したのは、真白なウェアと薄いピンクのスコート。あっという間に終わった試着の続きをやりたいって事も有るけど、それよりもアンダースコートを試着してみたかった。半ば震える手で袋から取り出したのは、何だかごわごわしたナイロンレースの固まりみたいな物。でも広げてみるとそれは確かにレースのいっぱいついたパンツみたいな物だった。その手でスカートのホックを外す僕。ストンと落ちるスカートをたたみもせず、無我夢中で僕はガードルを脱いで、それを履いてみた。ウエストと股のゴムがきつく、その他はとっても軽い不思議な感覚。ドレッサーの前に行くと、薄い緑のブラウスの下でもこもこっとなっている僕のお尻。あははっ何だか不格好な僕。
「やっぱりウェア着ないとだめみたい」
 大急ぎでブラウスを脱ぎ、一分後には可愛いテニスウェアのボーイッシュな少女が写っていた。
「ふーん、こんな風にレースが付いてるんだ」
 今まで、テニススコートの後ろがめくれた所しか見る事が出来なかったけど、改めて自分が着てみて初めて、前の部分の折り重なるたっぷりのレースにちょっと興味がわいた。そして太股の付け根部分のゴムと布がわざと縫い合わされていない巧妙な仕掛け。
なるほど、これならいくら動いたってショーツが出ない様になってる。
「なんか、すごーい…」
「ゆっこちゃん、夕食の準備早くお願い」
 そうこうしているうちに部屋の電話ごしに、ゆり先生の声。
「今行きまーす」
 と答え、何を思ったか僕はその格好でキッチンヘ。そしたら、キッチンのドアの所でまいちゃんとともこちゅんと鉢合わせ。なんと、みんな同じテニスウェア姿。
「ま、まいちゃん、はは…可愛いじゃん」
「ゆっこ、ともこまで、へへ、なんか考える事同じだよね」
 水色のワンピース型はともこちゃん。白に赤いチェックの縁取り、ぷくっと膨らんだ胸も可愛いまいちゃん。その後キッチンから出てきた美咲先生に怒鳴られ、慌てて着替えに戻った僕達の後ろで、ゆり先生はいつまでも笑っていた。

 白のブラウスに濃いオレンジのフレアスカート姿で、僕は他の二人とゆり先生のBMWで軽井沢の目的の別荘へ。夏から秋へ移り行く、丁度心地よい気候の中の森の中の本当に久しぶりのドライブは、最初僕達三人にはスリルと恐怖の連続だった。膨らんだ胸も可愛いノースリーブに可愛いミニキュロットの純ちゃんに先導される様に、人だかりの休憩所で皆で手をつないでトイレへ。戻って来た時は喉がからからで、手には汗びっしょり。
「ねえ、純ちゃんごめん。ジュース買いに行くのついてって」
「いいかげんにしなよぉ、三人とも。自分で行きゃいいじゃん!」
 僕達三人のお守り役みたいになっていた純ちゃんもとうとう切れ始める。
「まいちゃん、ともこちゃん!お願い、ついて来て」
 でも否定的な返事に加えて二人分のジュースも買いに行く事になっちゃた。
「い、いくわよ」
 どきどきする心臓を落ち着かせて自分に言い聞かせる様に一声かけて、人込みの中に
行こうとする僕。その時、
「ゆーっこちゃん」
 あっ、ゆり先生の声。やった一緒に行ってくれる!
 スカートをひるがえして先生の運転席に走っていく僕。でも甘かった。
「コーヒー一本と、何かお菓子。それと、おしり揺れてないよ。足の付け根に重心を感じて、ほら、教えた通りに歩く!それとどたどた走らないのっ。軽く可愛く意識して走るっ」
うわあ、最悪…。

 人々の視線が…スカートと背中のブラに感じる…。勇気勇気!その時、僕の後ろで何やらカップルの声
「あの娘のスカートいいな、可愛い」
「どれ?」
「ほら、あのオレンジっぽいの」
「中学位の子じゃんか」
「いいの、年関係ないのっ」
「なんか、男みたいじゃん、細いし」
「何いってんの!可愛いし、ちゃんと胸あるじゃん!」
「そうか、ははは」

 もう、気分一新!、なんか体の中の固定されてたバネが解かれたって感じ!そっ、男はともかく、女の子から同性扱いされちゃった!その時頭の中から全身に、今まで教えられてきた女の子プログラムが走った。練習した女声でレジも無事通過。買った物を胸にぎゅっと抱えて、お尻を突き出し気味に可愛く走って、さっきのカップルにちょっと振り向きざまに可愛く笑顔、あ、気がついてない。でもいいか。
「どうしたの?何が有ったの?」
 助手席の純ちゃんが不思議そう。
「うふ、内緒っ」

 特に何の問題も無く予約していたペンションに到着。チェックインの後、ゆり先生を除く僕達四人はテニスの準備をして、ちょっと肌寒くなった小道をテニスコートへ向かった。
「どうしたのみんな?うつむいてばかりじゃトレーニングになんないでしょ」
 純ちゃんが意地悪く言うのを横で聞いていても、僕達の顔にはなかなかこれからテニスって雰囲気の笑顔が出ない。周りには少ないけどテニスを楽しむ人達。その視線が全部僕達を見ている気がして。それに…
「ねえ、本当に女子更衣室で着替えるの?やっぱりペンションに戻って…」
「だめっ!いい?これトレーニングなんだからねっ」
 まいちゃんの怯える声に純ちゃんのきっとした声が重なる。そうこうしているうちに、あーあ、着いちゃった。そこはちょっと小奇麗なレストハウス。テラスのテーブルを囲んだベンチには年配の男女五人のグループが休憩中。こんな人々ばかりなら何だか大丈夫そうな気がする。
「じゃあ、いくよ」
 勇気を出して純ちゃんを除く三人で女子更衣室のドアをそっと開ける。本当に冒険ていってもいい感じ。化粧品の匂いと混じった女の子独特の匂いが僕達を取り巻いて、僕達の心臓は止まりかけた。そう、中では二人の可愛い大学生風の女の子が着替えの真っ最中。
そのうちの一人が僕達に気づき、ちょっとぎこちない声と仕種で挨拶をしてきた。
「こんにちわあ」
もう一人は黄色のショーツだけ履いた大きなおしりを僕達に向けたまま靴下を履き替えている。
「あ、こ・・こんにちは」
もうこの声を出すのがやっとだった。と、横から
「よしっ、いこうっ」
と小声で叫び、つかつかっと中に入っていったのはともこちゃんだった。
「早く早くっ、でないと遅れるわよ」
 うわあ、ともこちゃんすごく勇気が有る。そうか、もう後戻り出来ない体だったんだっけ。それにしても、目の前で女性の着替えを見るなんて、僕には本当久しぶり。そう、男の子の時に付き合っていた雅代ちゃん以来…。するするっと慣れた手つきでウェアとスコートを履き、髪をまとめるその女の子の横で、ともこちゃんが意識して可愛くTシャツを脱ぎ始めた。華奢な体に可愛いブラ。可愛いその姿を横目で見ながら、さっき声かけた女の子がともこちゃんに話しかける。
「みんなお友達?」
「え…ええ、そうです」
「どちらから来られたんですか?」
「あ、あの、伊豆の方からなんです」
「へええ、遠かったでしょう」
 見事にその場の雰囲気に溶け込み始めたともこちゃんが羨ましくて、僕達も中へ入った。
「どぉって事ないよね」
 それでも不安気なまいちゃんの言葉に相づちをうちながら、僕も着替えの準備を始めた。スポーツバックの中身を点検したり、髪をといたり、鏡の前で姿を整えたり、その二人の女性はなかなか外に出ようとしない。その二人の放つ女性香を感じ、どきどきしながら僕はスカートを外した。ガードルを脱ぐと大急ぎで、まずピンクのスコートを履き、そしてアンダースコートへ。ショーツの上からは小さいけど男性自身の膨らみがくっきり。
(今絶対、あの女の子の方向けないよぉ)
 顔を真っ赤にしながら僕はアンダースコートを履き終えた。前にたっぷりついたレースのおかげうまくカモフラージュ。うん、ちょっと膨らみが目立つけど、いいっか。ほっと一息して、次ウエアを着ようとした瞬間、
「あ、あの、あなた」
後ろでその女性の声がした。全身がくがく振るえる気配がする。どうして?まさか僕が男の子だってばれた!?僕の動きが止まった。
「あの、ブラ、さかさまですよ?」
 さっきの声。そう、ホックが無いからわかんなかった。
「あっあの、そうでした!すみません、すみません」
大慌てでスポーツブラを脱いだ僕は、今度付け直そうとしているうちにブラがロッカーの扉にひっかかり、床に落としてしまう。焦って心臓がどくどく音を立てる。片手で胸を隠し、ブラを拾おうとしたその時、細い優しい指がブラを摘み上げて僕に。さっきの女性がブラ拾ってくれたのだった。
「す、すみません」
その女の子の優しさに触れた感触。不思議と何だか心が少し落ち着く感じ。そして僕はスポーツブラを頭からかぶる様にして付け始めた時、
「大丈夫?」
とその女の子の声。自分達より年下の娘に対する、これが女の子の優しさなんだろうか?
「ええ、どうもすみませんでした」
その女の子の方へ半身になって答えた時僕ははっとした。そう、両手にブラを持ったまま、膨らみ始めの僕の尖った胸がその女の子にばっちり見られた。
「あ…」
 僕のその声に
「ははっチェックチェック」
 真っ赤になって俯いてしまった僕。でもその後ろで
「それじゃ、おさきに」
と、その二人の声。ああ、もう喉からから。慌ててスポーツブラのまま洗面所へ行き、水を口に含んじゃった。
 女の子に見られのは嬉しかったけど、なんだか気分的にまいっちゃった。その後ろでは何やってんのって感じで、まいちゃんとともこちゃんが見ている。
「ほんと、ばれるかって思ったもん。どうしておどおどするのよ」
「あのね、着替えを他人に見られるのが嫌な時は、先にウエア着てアンスコ履いてさ、最後にスカート脱ぐんだよ」
「ブラ付け替える時さ、シャツ着たままやる方法知らないの?」
 そんなの知らないよ。授業にも出なかったじゃん。他、二、三言位、まいちゃん達に言われたみたいだけど、聞こえてない。ああん、ここから出たくないよ。あの休憩所でのあの自信はどこへいっちゃったんだろ。その時、ドアが急に開いて、純ちゃんが入ってきた。
「ごめーん、遅れちゃった。あれ、ゆっこどうしたの?」
「あ、純さん。あのね、落ち込んでるみたいなの」
「そう、ここから出たくないって」
 ねえ、何でみんなそんなに自信出るの!?僕が更に大きなため息を一つついた時、いきなり背中に丸い物がじゃれ付いて来た。そしてその瞬間、僕のブラジャー越しに僕の胸を弄び始めるその手。
「あああん!!」
 びっくりして僕は声を上げる。その手の主は純ちゃんだった。
「ゆっこ、どうしたの。ねえ、こんな可愛い胸になったのに。体だって柔らかい肉ついてきたじゃん」
 背中に感じる大きく膨らんだ胸の持ち主が、僕の小さな胸を再び弄ぶ。ボタン型になった僕の乳首に今度はブラの横から容赦なく柔らかい指が…。
「純ちゃん、純!やめてっ!やめて!…!ああん!!」
 その瞬間、純ちゃんは僕で遊ぶのを止めた。みんなの笑ってる声が聞こえる。
「あはは、ゆっこ、ほら、最後の声なんてさ、女の子してるじゃん。自信出しなよぉ。でないとまた触るぞぉ」
 純ちゃんの意地悪そうな声に、僕はやっと腰を上げた。でも、背中にまだ残ってるあの純ちゃんの大きな胸の感触以上に、あの指で触られたあの僕の胸の感触が僕の体に焼き付いた。

 カラフルなテニスウェアの僕達に、上下薄いパープルのウエアのゆり先生。以外に白の上下の純ちゃんに加え、美咲先生が女性一人を連れて、えっとどこかで見た人。あ、あのいつも行く上野のブティックの人だ。
「こんにちは、河合です」
 白いウェアに薄い水色のスコートの美咲先生に紹介された河合さんは、僕と同じ、白のウェアにピンクのスカート。
「すごいわね、カラフルなこの七人だけど、実は男の子の方が多いのよ」
「ええっ、丁度半分だよ。だってあたし両性体になったんだもん」
 純ちゃんがちょっとおおげさに肩をすくめつんと唇を尖らせ可愛くポーズ。
「学校行ってからああいう風になったんだよ。変わったね、純ちゃん」
 ゆり先生が僕達に独り言の様につぶやいた。

 さあ、念願のテニステニス!。でもトレーニングだってこと忘れないでって事で、出された課題は…、ええ、ゲーム中以外でのパンチラ禁止!?
 でも、これは結構普段の気遣いが出るって感じがする。小股に走り、ボールはしゃがんで取り、構える時もあまり前かがみにならない様。一応頑張っているつもり。敏感になってきた太股へ、スコートと風がかわるがわる触れていく感触が心地いい。心地いいっていうか、体が軽く、跳ねる様な何だか不思議な感覚。
 ポーン、ポーンと軽い音を出すボールを女の子?七人が夢中で追っていった。そして皆のウェアに汗でうっすらとブラのラインが浮かび出す。
「ねえ、ブラ透けてる?」
「うん、可愛い!ゆっこもくっきり出てるよ」
「ゆっこ、また自信ついてきたじゃん」
 初めて女の子としてスコート履いてプレイした僕達三人の背中に浮かぶ白く薄い女の証を見せ合い、女になった自分達を互いに確かめ合った。でもだんだん僕達の顔には緊張感が出始めた。そう、だんだんギャラリーが増え始めたんだ。最初は四,五分見物して帰っていったのに、中には二0分位じっと見ている男数人のグループも。いくらスコートのレースでカモフラージュされているといっても、特殊パットを付けてる純ちゃん以外は男性自身の膨らみが有るし。
 意識的に仕種が小さくなってうまくプレー出来ない。
「ゆっこちゃん、仕種が硬い。もっと自然に。アンスコなんて見られる為に有るんだから。」
「変に意識すると余計に変に思われるわよ」
 そんな僕に気がついて、ゆり先生が指導してくれるんだけど。さっきと言う事が違うじゃん。
 まいちゃんはともかく、ともこちゃんは逆にだんだん元気出てきたみたい。パンチラなんて気にせずに、時にはそういう男の子達に向かって、堂々と後ろ向きでボールを拾う姿も。しかも女性として不自然な所が無い。なんでって聞いたら、この日の為に部屋で相当練習してたらしい。
「ともこちゃんは、もう大丈夫ね。数ヶ月前はプログラム的に遅れて、本人もかなり落ち込んで、無謀な事までしたけど…」
 後ろに行ったボールをスコートを翻して可愛くしゃがんで拾い、捲くれたスカートを後ろ手にちょっと直す可愛いしぐさのともこちゃんが遠目に見える。
「女になろうって気構えが十分有るみたい。後の二人は、もっと…ね」
 疲れてベンチで休憩している僕の前で、美咲先生とゆり先生が立ち話。
「えええ、わかんないよ。今晩のプログラムでどうなるか」
「あの二人も思いきって玉とっちゃおか」
「猫か!?」
 なんか、小声で話してるけど、今日の夜のプログラムって何!?
「ああそう、ねえ、ゆり。河合さんも正式に加わってくれるの?」
「うん、面白そうだって。バイトとして考えても給料いいだろうし。上野のブティック店長には内緒だけどね」
「ああいう人が入ってくれると助かるわ。服買う時、私達にとってもメリット有るしね」
 そっか、上野のブティックの河合さん、正式に僕達の事で協力してくれる事になったんだ。
「さあゆっこちゃん、いつまでも休んでないで、あそこで三0分見ている男の子達に可愛いおしり見せて、サービスしてらっしゃい!」
「ええ、先生さっきパンチラ禁止って言ったじゃん」
「いいわよ、撤回する。それとあの男の子達はさっきからあたし達本当の女の子しかみてないんだから。気にする事ないわよ」
 ちょっとむっとしたけど、そのほうが僕にとっては好都合だもん。
「ゆり、そうでもないわよ。あの男の子一人、さっきからまいちゃんばっかり見てる」
「へえ、そうなの。まあ、まいちゃんふっくらしてきたし、確かにおしりは可愛く丸くなったかもね。ほら胸だって」
純ちゃんとラリーをしてる。まいちゃんの胸のあたりは、ウェアがかなり盛り上がってて、しかも時々揺れてる」
「ゆっこちゃん、一番遅れてるのはあなたよ」
 悲しかった。僕半年後にちゃんと女子高生になれるんだろうか。

 テニスの後、レストハウスでシャワーを浴びる僕。今日、テニスより精神面で疲れた体を、熱い湯が覆っていく。筋肉が落ちて、角のとれた幼い少年の様になった体に焼き付いた女の子の水着の跡。その上に、湯が丸い粒を作ってくる。それを一つずつ潰す様にして僕はぼんやりしていた。思えば、シャワーの湯で遊ぶなんて、今までしたこと有るだろうか。
(一番遅れてる…)
 ふと涙が出てくる。涙も、前と違って何だか泉の様に沸いてくるって感じ。
「ゆっこ!何してるの?もう二0分近いよ。シャワーに入って」
 そうだ、待たしてたんだ。
「お願い、先にペンションに戻ってて」
 涙声を隠して僕は答えた。
「一人で帰れるの!?ゆっこ、また落ち込んでるって聞いたけど、元気だしなよ」
 純ちゃんの可愛い声。
「ごめん、すぐ戻るから」
 皆が出ていった気配を感じて僕はシャワーを止める。静寂があたりを支配するにわたって今度はひどい孤独感が僕を襲ってきた。失敗した、ああ、みんなと一緒に帰ればよかった。
 さっきの劣等感に今度は寂しさと孤独感が襲ってきた。泉の様に湧き出る涙に今度は喉から小さな鳴咽が出始める…。この僕が声を上げて泣くなんて。しかもこんな事で。僕ってこんなに泣き虫だったっけ…。僕ってこんなに弱かったっけ…。
 ある程度泣いた後、急に涙が止まった。そして気分が急に晴れてくる。いつもに増してなんだか爽快な気分に一瞬にして変わっちゃう。きょとんとした僕はともかく涙を流そうと再びシャワーをひねった。熱い湯が僕の胸にふりかかった。
「あん」
 乳首をくすぐられ、一瞬外したものの、何だか後ろ髪引かれる気分がして、僕はシャワーの温度を下げて僕の乳首にあてた。何ともいえない、熱く冷たく、切ない快感が全身をおおい始める。
(きもちいい)
 疲れまでを忘れさせられるその感触に僕は酔った。そうだった、僕いつのまにか女の子に変身中だってこと忘れてた。泣いたって、泣く事って自然な事…。その時僕の手は無意識のうちに胸の乳首をまさぐり始めた。
「あ、だめ、皆が待ってる」
 でも、手が言う事を聞かない。さっきは泣いて、すぐけろっとして、今度は…
「ちょっとだけ、うんちょっとだけ」
 ゆっくり優しく触ると、たちまち乳首は大きくなり、つんと上を向いた。
(可愛くやるって、どうやるんだっけ)
 僕は意識して。胸元で手をクロスして弄び始める。
「う、ううん」
 滝のシャワーの中で僕は体をゆっくりくねらせ始める。でも可愛くやるって、どう動かしていいかわかんない。
(僕だって、可愛くなってやる)
 気持ちだけはそう決心するんだけど、どうしたらいいの?そう思っているうちにドアが開いて誰か入ってきた。あっさっきの女の子二人。
「あ、こんにちは、またお会いしましたね」
 二人は同時に挨拶。まずい、今僕は素っ裸。男性自身だってバッチリ。二人がシャワーボックスに入った所を見計らって大急ぎでタオルを胸に巻き、シャワールームを出た。
 更衣室には幸い誰もいない。僕は男性自身も露に、大急ぎで着替え、ペンションに戻ると、案の定、遅いって事で美咲先生の雷が落ちた。

 僕達の泊まるペンションは、予約した四部屋は別棟。でもディナーは母屋一部屋で皆で食事。他の宿泊客と一緒のディナーも緊張はしたけど、何とか女の子で通せた。そして運命の夜。昼間ゆり先生達が小声で話してた。何なんだろう。
 夜九時。僕達は一部屋に呼び出された。ゆり先生が何か仕切ってる。
「あたしはゆっこちゃんと。みさ?ともこちゃんでいいよね。それから河合さん…」
「あたし、マキでいいよ」
「じゃあ、マキさんはまいちゃん。お願いね。それて純ちゃん。今晩一人でごめんね」
「え、いいよ。だって大事な事だもんね」
 部屋割りみたいだけど、何だか変な予感がする。
「それじゃ皆よろしく」
 え?何だかわかんないよ

 何だかわからないうちにゆり先生と同じ部屋に入った僕。薄く白いレースと厚めの赤い二重のカーテンに可愛い小動物の柄の絨毯に木製のツインのベッド。女性専用と聞いて十分うなずけた。
「ああっやっと休めるっ」
 ゆり先生はそう言うと、おもむろにスカートを脱いでポンとベッドの上へジャンプダイブ。ピンクの可愛いガードルが僕の目に。
「先生!ちょっと」
「どうして?女同士だからいいでしょ」
「…」
 びっくりする僕に、今度はガードルを脱ごうと腰に手をやる先生が答えた。次にTシャツ、ピンクの可愛いブラ・パン姿になった先生が、バスルームに消えて行った。
「女同士、か」
 思わず赤面する僕。
「ゆっこちゃん、一緒に入る?」
 赤くなっていた僕の顔が更に真っ赤になった。
「僕、後でいいですよ」
「ふーん、まだ僕って言うんだ」
 先生の後、お風呂に入り、バスタオル姿で出てきた僕に、先生は両手を胸元で可愛く両手を振る。可愛いオレンジに白のレースのついたビスチェタイプのタンクトップ姿。可愛い!
「はーい、可愛いじゃん。ほら真似してみて」
「先生、何だかおかしいですよぉ」
 恥ずかしくなり、片手だけ真似をした後、程なく僕も持ってきた上下揃いの薄い緑のタンクトップとスカート姿に変身。
「疲れたでしょ、今日。あたしも久しぶりに体動かしたからなあ」
 ゆり先生はベッドの上でうつ伏せになり、足をマッサージする様にばたばた。
「ゆり先生とか美咲先生とか、すっごく可愛かったですよ。河合さんもスコート姿似合ってたし」
「そう、そういう風にいつでも相手を誉めたりして可愛がって貰うの、女の子はそういう特技をみんな持ってるのよ」
「ううん、嘘じゃないですよ」
 いきなり見せられたゆり先生の奇麗な体と可愛い部分にちょっと刺激を受けたみたい。
「ゆっこちゃん、眠い?」
「うん、ちょっと眠いかな」
 小さなあくびをして僕が答える。
その時、ゆり先生はちょっと小首をかしげ僕を見つめていた。
「ゆっこちゃん、たまには一緒に寝よっか」
 僕はびっくりして先生を見つめる。
「先生、やっぱり今日変!」
「何驚いてるの?女同士でしょ」
「え、だって僕まだ」
「まだそんな事言ってる。ね、本当はそうしたいんでしょ」
 的を打たれた様。言われてみたら、そう、家出同然でここに出てきた日から、美咲先生の厳しい特訓を受け続けて、そして今、ちょっと他の子達に対しての劣等感も有ったし、ちょっと精神的に疲れているのも事実。それに、先生の見事な体をゆっくり見てみたいって感も有った。うん、一緒に寝る位なら
(でも、僕今女って事になってるから、変な気にならない様にしなきゃ)
 僕はそのまま誘われる様に先生のベッドに入っていく。
ベッドの中で、甘い香水と女の子の芳香が僕を包み、先生は僕を優しく撫でてくれる。
「どう?女の子の生活に慣れた?」
「ううん、だめ。実世界でやってみると全然勝手が違うもん」
「でも体は可愛くなったよね。ほらこの胸だって」
「あ、先生、ちょっと、何を」
 ゆり先生の、白くて冷たく柔らかい指がブラ越しに僕の乳首に触る。
「先生、ちょっと、恥ずかしいよ」
「ゆっこちゃん、よく見て。これが女の胸よ」
タンクトップをすっと脱いだゆり先生はノーブラだった。ピンク色の可愛い乳首と白い見事なボディに生えている大きな奇麗な胸。
「自分のと触り比べてみなさい」
 僕が触った時、先生は笑いながらちょっとよがってみせた。そのを触った僕は愕然とする。少なくとも僕の尖った胸よりはるかに柔らかい。
「さあ、ゆっこちゃん、真似してみて」
 だめ、僕には出来ない。そりゃ、可愛くなるってさっき決めたし、だからといって今こんな事。ううん、別の日にしたい。
「先生、僕恥ずかしいから」
 すっと布団から出ようとする僕を先生の柔らかい体がぎゅっと抱きしめた。
「ゆっこちゃん。今日は大事なトレーニングの最初の日。まだ男っぽいあなたに、初めて女を伝授する日なの。私があなたに行うとっても重要な講義の一つなのよ」
「え、私だけどうして?」
「ううん、他の二人もそう。今頃可愛くベッドの上で女を覚え初めているはず」
 そう言うと先生は、僕を再びベッドの奥へ引き入れた。
「さあ、暫くは私に任せて。何も抵抗しちゃだめよ」
 言うなりゆり先生は僕の唇に軽くキッス。僕は驚いてのけぞった。
「先生、ねえ、一体何をするの!」
「ふふふ、決まってるじゃん。まずは女のキスを教えてあげる」
 びっくりしてどうしていいか分からず、きょとんとしている僕の唇に、先生は優しくねっとりと口付けしていく。ああ、とっても柔らかいその唇。別に悪い気はしなかった。依然キスした雅代ちゃんの事が頭に浮かんでくる。あのときあくまで彼女の事を思い、男らしく振る舞った夜。そして今は僕は雅代ちゃんと同じ女の子になるべく、女のキスを教えられる僕。たちまち何だか先生のペースにはまった様。軟らかさと香しさで、僕はとろんとなっていく。
「どう、覚えた?後でやってもらうからね」
 その間に先生の手は僕のタンクトップを脱がせにかかる。甘く、不思議な女性の香りが、僕にまとわりついていく。
「せ、先生…」
「まだ、唇は硬いわね。無理もないけど」
 僕のタンクトップに手をかけながら、先生が優しく言う。僕にとっての二人目のキス。長い口付けをされた後、僕は今までにした事のない優しい目で先生をみつめた。
「そう、その目の仕種をよく覚えておくの。そしてキスの時は女は目を閉じるの。唇は開き気味に、ちょっと笑みを浮かべて、そう…」
 僕からタンクトップを脱がせた先生の手は、そのまま僕のヒップから背中をなで始める。ああ、僕何か声が出そう。でも恥ずかしいし、まだ体男だし…。
 目をつぶり、苦しそうにしている僕に先生はふっと香しい空気を僕にふっとかけた。
「ゆっこちゃん、苦しそうにしないで。そう我慢しなくてもいいの。自然に。声だしてもいいのよ」
 そんなこと言われたってぇ。とうとう先生は僕の背中に手を入れ、するするっとブラを取ってしまう。僕の胸は先生のふくよかな胸に押しつぶされるよう。
「あん、先生、いやだあ」
 その口にまた優しく口付け、そして先生はすっと少し体を起こし、あおむけの僕の胸を軟らかな両手で優しく愛撫。
「あっあっ、ああああん、あああああ…」
 僕の胸は、先生に優しく揉まれ、指で挟まれ、時には軟らかな唇と歯で吸われ、どんどん敏感になっていく」。気がつくと先生も僕と同じピンクのショーツ一枚になっていた。
「先生、奇麗。あ、僕とおんなじピンクのパンツ」
「何を言ってるのこの子は、えい、もっといじめちゃお」
 僕の太股にいくつかの性感帯が出来始めたのを先生は気づいたみたい。先生は容赦無く僕に襲い掛かる。
「ああ、先生、だめっだめっ、これ以上」
「だめっ、抵抗しちゃだめよ」
 とうとう柔らかい指は僕のショーツの中に進入し始め、僕の男性自身を優しく愛撫。
「ああん、そこは、まだ…」
先生のしなやかな指は、暫く大きくなってなかった僕の男性自身を蘇らせた。むくむくと大きくなっていくそれを感じ、僕は恥ずかしくてたまんない。
「いっいっ…いやああああん」
 とうとう出ちゃったその声、僕の女の子としての初めてのよがり声。先生はそれを聞くとちょっと意地悪く笑った。
「あっははっ!おめでとう、ゆっこちゃん。その声あたし絶対今日聞いてやろうって思ってたの。無理しないで。身体と心の変化の全てを受け入れるのよ」
 ああ、僕、何だかおかしくなりそう。そして先生は僕の男性自身を口に含み始めた。
「先生、それ僕の…」
「え、そうじゃないでしょ。ここはいずれ女の子のクリトリスに変わるのよ」
 そんな魔法の様な事が本当に…。でも、でも…
 退化していく中で、不思議と先端部分だけ敏感になっていってる僕の男性自身
「あん、あん」
「ああああ、うううん」
 優しい先生の舌と、白魚の様な優しい指、腰が自然に動いていく。でもそれは、女の子の様に円を描く訳ではなく、男の子の様に前後に動いている。
 その横に僕に覆いかぶさる様にゆり先生。流石に、大人の女性である先生の身体は奇麗。白くいい香りのする柔らかくてしなやかな身体におおきな胸。きゅっとくびれたウェストと大きいけど理想的な形のヒップ。
「先生、僕、先生みたいな身体になれる?」
 僕は意識さえ少し朦朧とする中で、先生に触れながら小声で尋ねた。
「大丈夫。きっとなれるわよ。でも、このトレーニング受ける事」
「あ・・、うううん」
 いつのまにか取られていた僕のショーツ。そして魔法の指が僕の男性自身を。すっかり包茎になったその皮を深く剥かれ、手の指の様になった僕のそれが興奮のクライマックスを迎えた。
「あん、先生、いくっいっちゃう」
 ふと起き上がった瞬間、発射の瞬間を見る事が出来た。でも、それはもはや男の子のフィニッシュとはかけ離れたものだった。硬くなるにはなったが、親指程にしかならない、殆ど包茎状態の先から出て来たのは、殆ど飛ばなく、つるっと出て来た奇麗な無色透明のさらさらの液。
「先生、もう白くないでしょ。前はいくぶん濁っていたのに」
 それは僕がもう性的にも男の子でなくなった証拠。何だか、とても不思議。僕の体が気のせいか、いつもより白く可愛く見える。でも、すごく疲れた。
「先生、喉かわいた。ジュース飲みたい」
「え?これからなのに。じゃあ本館の方へ行って買ってきて。三本位」
「ねえ、先生のタンクトップ借りていい?」
「ええ、あたしの?うんいいけど。あげようか。今日の記念に」
「あん、嬉しい」
 するすると慣れた手つきで、しかもちょっと可愛い仕草でブラとショーツを付け、ゆり先生の香いのするタンクトッブを着ると、何だかうきうき気分。
「男の子のくせに、そんなことして、変態じゃない」
「先生!もう、こんな僕にしたの誰っ」

 こんな露な姿で公の場に出たのは始めて。夜とはいえ、ペンションの他の人に会わないかびくびくしてる僕に秋の夜の肌寒い空気が触れる。
「わあ、冷たい」
 ぞくっとして肩をすくめながら自動販売機の所へ行くと、ソファーに人が座っていた。一瞬びくっとしたけど、
「ともこ?」
「あ、ゆっこ?なんだ」
 黄緑のシャツに白のキュロットのともこちゃんが僕に気がついた。うす暗がりに様子ははっきりわからないけど、ちょっと涙声。でも何か気まずい雰囲気。今まで二人とも先生達に「女の子」としての調教受けてたんだよね。
「ゆっこも?そう?ねえ、今日こんなの有るって知ってた?」
「昼間、なんかおかしな話を…」
「あたしやだ。女ってなんであんな事、男の子にされなきゃいけないの」
 ともこちゃんて、以外にまだ心は男の子なんだ。
「ゆっこはどうなの?あんな恥ずかしい事男の子にされたい?」
「僕?うん嫌な事は嫌だけど…」
 答えらんない。でも、女の子でこれから生きて行く以上、仕方ないこと?でも、あれ、前はそんな事…。
「仕方ないの?ねえ、されて普通なの?」
 僕は答えられず、ともこちゃんの膝もとでしゃがんでいるだけだった。その時?
「あれ、ゆり?何してんのこんな所で?ともこちゃん!こんな所で、探したのよ」
「美咲先生、僕、幸子です」
「え、何?ゆっこちゃんなの、何でゆりの服来てるのよ。それと、僕なんて言わないの。たった今ゆりに仕込まれて…」
 そこまで言いかけて、美咲先生は口をつぐんで、ふと優しい顔になった。
「さ、ともこちゃん、戻りましょ」
「うん。でもまた続けるの」
「あなたの気が進まないなら、今日はやめてもいいわよ」
「ううん、先生にならいい。でも男の子にあんな事されるのやだ」
 僕に気も留めないで、美咲先生の手にぶらさがる様に部屋に戻っていく。美人で、厳しくて、時に優しくて、ともこちゃんに好かれて、美咲先生って本当不思議な人。
 部屋に戻ると、僕の持ってきたタンクトッブ姿で先生が待っていた。
「はーい、ゆっこちゃん、色っぽいじゃん、そのあたしのあげた服」
「あ、先生。でもこれ寒いよぉ」
 またまた、お互い小さく手を振り、女同士の会話が続く。
「じゃゆっこちゃん。続きやろうか」
「ええ、まだやるのぉ」
 先生は優しく僕の髪を撫でる。程なく二人はベッドの上でじゃれあい始め、お互い服を脱がせあう。
「僕今回の事で先生に対する感覚が変わっちゃったみたい」
「学校の先生とは違うでしょ?」
 僕と同じピンクのショーツだけの姿で同じ様にうつ伏せになって、僕達はジュースを飲みながらおしゃべり。その後先生の軟らかな指が再び僕を襲う。とってもくすぐったくて、でもいい気持ち。
「えっとね、腕のこの筋肉はすっかり消えるでしょ、男らしく逆三角形になりかけている胸は、一度子供に戻った後、軟らかな肉が覆ってくるの。胸はもっと大きくなってもいいんだけどなあ。頬にはふっくらと脂肪がついてくるだろうし」
「でも一番変わるのはここね、女の子はここにもう一つ一番大事で良く動く関節が出来るの」
先生が指で触ったのは、僕の体で、丁度腕の肘位の位置の部分。
「えええっ、うそお、こんな所に!?」
 僕の体こんな所でくびれるの?
「そう。そしてゆっこちゃんのこの身体の半分近くがお尻になるのよ。えっと、このあたりからかな。それと、この腰骨、どこまで飛び出すと思う?ここまで大きくなるのよ」
僕の体に埋まっている骨盤を指で触られ、にこっと。ええっそれって僕の肩幅と同じじゃない。その後、指が僕のショーツへ。
「こう、おなかに脂肪がもっといっぱい付いて、おなかが長く伸びると同時におへそが縦長になるの。気づかなかった?女の子ってみんなおへそが縦長でしょ。そして、ここに割れ目が出来て、中にもうひとつ割れ目が出来て、穴が二つ空いて、その割れ目のふちが花びらみたいになって、足の付け根がもっと広くなって…」
「なんか僕、百八十度変わっちゃうみたいね」
「そうよ。あなたは全く別の生物に変わっちゃうの。頑張ってね」
 一通り触られた後、あっけにとられた様にきょとんとする僕に再び特別講義。でも今度はさっきとは様子が違う。
「あのね、さっきも言った様に女の子はキスの時は目を瞑るの。そう、そして少し唇を突き出し気味にして」
「胸を触られたら、そう、可愛く意識して。声はほら、真似してみて」
「感じた所を相手に押し付ける様にして。時々相手の髪を触ったり、そう、上手いじゃん」
「もっと丸く、全身で円を描く様に。ほらこう、真似してごらん。そう、そして声を」
「そう、腰は前後じゃなく、円を描く様に、ううんそうじゃない、まだ自然には無理かな」
 こと細かに優しく、手取り足とり秘密の女の子の伝授が続き、次第に角が取れ、しなやかな動きを覚えていく僕。
「女の子は常に見られているの。異性、そして同性から。常に視線を意識しなさい」
「女の子の笑顔は男の子の力にも勝るの。相手に好きっていう感情を持つと、自然と柔らかい笑顔になるの」
「手の指を動かす時は、五本一緒じゃなく、順番に独立させて動かすの。それと、指は女の子の口だと思って動かしなさい。そう、…」
「肩をすくめる仕草、そう真似してみて、何か予想外の事を見たり聞いたり、自分に起こった時、女の子の仕草は、まずこれから始めるの。その時手は胸を守る位置にね」
「いい気持ちになった時はこう、うん、そう可愛いわ。そう、太股はいつもきゅっと締めておくのよ。でも、男の子に求められて、ゆっこちゃんに受け入れる用意が出来たなら…」
 エスカレートしていく調教の中、この言葉が出た時、僕は目を丸くした。それをゆり先生は気づいてくれる。
「そっか、まだ早いか。まだ半年だもんね」
 その後繰り返し繰り返し特別授業は続く。ゆり先生の仕草をぎこちなく、でも一生懸命真似る僕の耳に、先生は呪文の様にあらゆる女の子の心得をつぶやいていく。僕も一生懸命真似をした。
 三十分、一時間、そしてまた三十分。ゆり先生の調教は続く。まだまだ荒いけど、ぎこちなかった僕の仕草は、しだいに優しくなっていく。汗びっしょりになりながら、僕は調教を受け入れ、ふと気を失う様に眠ってしまった。
 翌朝、純ちゃん以外は皆疲れて昼近くまで眠っていた。昼にチェックアウトの為、ホールで僕達訓練生三人が顔を合わせたけど、三人とも顔を真っ赤にして目を合わせる事が出来なかった。でも、僕達三人は何かが変わっていた。仕草もどことなく控えめで可愛くなっているのが、皆お互いに分かっていた。
「大成功みたいね」
 帰り道、ゆり先生の車の後ろで美咲先生に寄りそう様に三人肩を寄せ合って眠る姿を見ながら、純ちゃんとゆり先生が顔を見合わせ、笑っていた。

 

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