ここの施設、早乙女クリニックの院長、早乙女ゆり先生の面接を終えて、僕はほっと一安心。やっとこれで僕の夢が叶うんだ。ゆり先生って二十七歳のすごく綺麗な心理学の先生。ここは一見は普通の診療所で、ゆり先生はここで一応は精神科の開業医って事になってるんだ。僕はそこの居候って事になるのかな。
あと去年入った純って子がいるって聞いた。このクリニックにある日突然ふらっと現れたって聞いたけど、詳しい事は聞いてない。今高校一年生で十七歳。今十六歳の僕のひとつ上の先輩。無事去年一年過ごしたんだけど、とっても可愛いいんだよってゆり先生が言ってた。どんな子なんだろ、会うのがとっても楽しみ。
建物の一階は普通のクリニックだけど、玄関から入って左手には地下室へ通じるドアが有り、下へ降りる階段の先は研究所の施設になってる。奥にはゆり先生の第二診療室と手術室になっているらしい。
建物の二階に僕に割り当てられた部屋にゆり先生と入ってみた。十畳くらいのピンクの絨毯が敷かれた真っ白な部屋で、窓の横には白のカーテン。そして横には大きなベッド。ピンクのパステル調の衣装タンス。それだけしかなかったけど、僕にとってはまるでお城のお姫様の部屋みたい。今日からここで生活することになるんだ。食事はしばらくはゆり先生が作ってくれるらしい。
今日はとうとう純ちゃんに会えなかった。買い物で遅くなるらしい。純ちゃんはもう女の子の姿で平気で外出出来るんだって。それもそのはず、来月の四月からは女子高校生として登校する予定らしい。
まだ服とか用意されてないので、とりあえず持ってきたスエットを着て今日はわくわくしながらベッドに入った。
「おはよっ!」
ふいに耳元で大きな女の子の声。えっと僕どうしたんだっけ。そうだ、無事クリニックに入所して…。やっと我に返った僕。
「あっあのっおはようございますっ」
「あははっ、可愛い人で良かった。あたしの後輩が出来たって聞いたからどんな人かと思ったんだよ」
「僕、堀幸男、十六歳です」
「あははっ、あたし純、十七歳っ」
ショートヘア、白いパジャマ姿のこの子が純、ほんとボーイッシュで明るい女の子って感じ。
「あっ、僕幸男…じゃなくって幸子」
「ねえ、ゆっこて呼んでいい?」
「ゆっこ?…あ、うんいいよ…」
純ちゃんの可愛い声にちょっと恥ずかしそうに返事した僕。さっそく僕のあだながついちゃった。
「あたし隣の部屋だからよろしく。あっそうそう、ゆりねえがとりあえず服と下着用意してくれたから。ちゃんとゆっこの事調べて、ゆっこの気に入りそうな物ばかり選んでくれたのよ」
「えっ、ゆりねえ?…服?…」
「ゆり先生の事。あととりあえず服と下着を適当にタンスの中にいれといたから着てね。そ・れ・と、今着てる服と下着、今すぐ脱いで」
「脱いで、どうするの」
「どうするって、捨てちゃうのよ」
あっけらかんと話す純、僕は一瞬たじたじとなる。
「だって、もういらないし、有ってもじゃまでしょ。今すぐ脱いで!服着替えてっ、ゆりねえに言われてんだから」
「ちょっと、今ここで?そんな恥ずかしいもん」
「あたし男だよ、ゆっこ少なくとも今はね…。何恥ずかしがってんのよ!」
「…」
少し笑いながら純ちゃんが言う。しかたなしに僕は純の言われるままに服を脱ぎ始めた。純はそれを見届けると、タンスから下着と服と靴下を取り出し始めた。
パステルピンクと白のストライプのショーツ。肌色のパンスト、可愛いふちどりの付いたノースリーブのスリマー、犬の可愛いキャラクターのついた黄色のトレーナーと赤黒チェックのスカート。裸になった後、せかされる様に着せられ、着心地なんか感じる時間なんて無かった。
僕はちょっと恥ずかしかったけど、それで終わりじゃなかった
「ゆっこ、ちゃんと髪といてよ、その髪じゃ…」
僕は言われるままに鏡の前に座って髪をとき始める。その間に純ちゃんは隣の部屋に行ってすぐ戻って来た。
「これ、あげるっ」
純は、おおきな黄色の髪止めを持ってきてくれた。そして鏡の横でヘアスタイルをなんとか整えて髪止めを付けてくれた。
「あっこれでいいじゃん、可愛い」
「うん、なんとか、女の子に見える。ありがと」
「いいのいいの。そのうちあたしみたいになっちゃうんだからさ」
そう言って僕の手を取り一階のダイニングルームへ急ぐ純ちゃん。手を引かれた僕はつまづきそうになりつつも、遅い朝食の為にダイニングルームへ急いだ。
「ゆりねえっ、ゆっこだよ」
「ゆっこ?」
ベーコンエッグを作りながら、ゆり先生は聞き返す。
「うん、ゆきこちゃんのニックネーム」
「あっおはようございます」
「あ、ゆきちゃん…じゃない、ゆっこちゃんおはよう。あっ可愛いねそれ、顔洗ってらっしゃい」
「あ…・はい」
僕の女装姿、全然気にしていないらしい。
「ちょっと待って、石鹸なんかで洗わないでよ。ちゃんと洗顔フォームで洗うのよ」
突然純が声をあげる。
「えっ洗顔フォームって…」
「もうっ、あたしが一緒に行ったげるっ」
洗顔フォームを手にとり、純に教わった手順で顔を洗う。髪をとかし、ドライヤーで型をつけ、前よりちょっとスタイルが良くなる。その間中、純はパジャマ姿でずっと僕につきっきりだった。
「ごめんね、純ちゃん」
「あはは、いいのよ。ちゃんと明日からそうしてね」
ふとゆり先生がなにやら不安そうに顔を曇らせて僕達の横に来る。
「純ちゃん、あさっては新しい高校の説明会があるんだけど、本当に大丈夫?指定の業者さんから制服は取ってきたの」
「いいよ、ゆりねえ、まかしときなって」
「えっ、あさって何があるの?」
タオルで顔を拭きながら興味深そうに尋ねる僕。
「あたしの行く新しい学校の説明会。教科書とか他必要な物とか買うの」
そう言うとにっこり笑って純ちゃんは朝食の準備をしはじめる。
「ゆっこ、座ってて。今日は私達がやるから」
座る時になってふと自分がスカートをはいているのに気がついた。座ろうとすると太股の動きが窮屈。思い出した様に僕はお尻に手を当ててどすんと椅子に腰を下ろした。
そのままじっとゆり先生と純ちゃんの動きを見ていた。二人ともスカート姿の僕を全然意識しようともしない。それに…僕はまだ信じられなかった。確かに純ちゃんは一見女の子に見えるし、胸は…あ…れ…ちょっと膨らんでる。どうしたんだろ。でもそれだけじゃ女子高校生で通す事は出来ないんじゃないかな。
オーブントースターでパンを焼いていた純ちゃんが、パン皿にそれを取り僕の方へ向き直った。その時、
「ゆっこ!スカート!足!」
男の子とは思えない可愛い、でも鋭い声がした。
「えっ何!?」
「パンツ見えてるじゃん!だめだよー」
僕は慌てて膝をぎゅっと閉じた。
「ゆっこちゃん、純ちゃんは厳しいわよ」
サラダのボールを持ったゆり先生が少し笑って僕の方を向き直った。
「ゆりねえ、やっぱり最初タイトの膝くらいのばっかりはかせた方がいいよ。あたしはここに来る前からずっとスカートはいてたけど、昨日まで男だった子の足の癖なんてそう簡単に直らないよ」
「そうかもしれないわね」
サラダのボールを机に置きながらゆり先生は頷く。ふと先生は純ちゃんの方へ向き直った。
「純ちゃん、食事終わったら、あれ、いいわね。あっそう、ゆっこちゃんもね」
「え、あれ?、あ、そうか今日だったんだ…・。う、うんいいよ。もう覚悟出来てるし」
ふと純ちゃんはうつむく。なんだか恥ずかしげな表情だった。さっきから聞きたい事がいろいろ有る僕はたまらず口を開いた。
「ねえ、純ちゃん、あれって、何」
「あれ?ううん、なんでもないよ。いっしょに来れば、ひょっとしたら何かわかるかもしれないな」
独り言の様につぶやき、ちょっと恥ずかしげに純ちゃんがうつむく。
「それに、その、学校で体育とか、水泳とかあるんでしょ?ばれないの?」
純ちゃんは少し笑ってじっと僕を見つめた。
「そうよ、純ちゃんは下はまだ男の子なのよ。胸は…ねっ内緒。それにその下だって少し小さくなってるもんね」
まだ恥ずかしがって下を向いている純ちゃんのかわりにゆり先生が答えてくれた。
何か始めからすごく謎めいた雰囲気、でもここはそういう場所なんだから仕方ないか…
食事が終わって一人部屋に戻った僕は、改めて自分の今の姿を部屋に備え付けの姿見でゆっくり見ていた。慣れないスカート姿だけど、まだ第二次性徴が始まっていない僕の姿は少しは女の子に見えるかと思ったんだけど、昔に比べて少しこけてきた頬とか、殆どすね毛は無いんだけど硬そうな足とか、それに…僕はじっと手の指を見る。昔のしなやかな手とは異なり、少し節くれだったそれは、大人の男の手に変わろうとしている所であり、全ての面で可愛かった中学時代の僕とはあきらかに違っている。目の前に写っている大人になろうとしている少年のスカート姿はあまり感じのいいものじゃなかった。
用意されている何着かの服とか下着を見に、どきどきしながら部屋に戻ってきた僕は、鏡に映った僕の姿にかなりショックを受け、たまらなくなって僕は隣の純ちゃんの部屋に駆けていく。
部屋のノックもそこそこに僕は純ちゃんの部屋を開けた。
「純ちゃん、僕…あっ」
「キャッ」
短く鋭い声がした。
(あ、しまった…)
僕は後悔した。どうやら純ちゃんは着替えの真っ最中で、パンツ一枚だけの姿に腕にさっき着ていた白のパジャマをかけ、それで胸を押さえていた。純ちゃんの顔がみるみる怒った顔になっていく。
「あ、ごめんなさい…」
「この馬鹿っ!あんたって部屋に入る時ノックもしないでいきなり開けるのっ!」
ノックはしたんだけど、弁解出来ない。
「そんな鈍い神経でよく女の子になりたいなんて言うわよっ、何?何か用!?閉めてよ、寒いじゃん!」
すごく怒ってる。でも声はハスキーだけど、ちゃんとした女声。僕はそっと外に出て戸を閉めようとすると、また声が飛んできた。
「用が有って来たんでしょっ。入るなら入ってよ!」
声にせかされる様に僕は純ちゃんの部屋に入っていった。
部屋に入るとそこには昔見たいとこの女の子の部屋の様な光景が有った。たくさんの縫いぐるみに男性俳優とかっこいい女性俳優のポスター。可愛い置物。そんな中でブラジャーを手にした純ちゃんが見える。僕は一瞬目をこらして見つめた。純ちゃんの胸にはあきらかに普通の男の子の倍位の大きさになった乳首がついていた。胸全体もちょっと豊かになっていて尖る様に膨らんでいる感じだった。以前雅代ちゃんという本物の女の子の裸を見ている僕の目に、その胸の膨らみは貧弱そうだったけど、でも男の子の胸とは違う。
「純ちゃん、さっきは御免なさい。それで僕部屋に戻って鏡見たんだけど…」
「それで?」
くるっと後ろ向きになってブラをつけ始める純ちゃん。その後ろ姿は何だか妖しい雰囲気が有った。そう、男の子でもなく、かといって女の子でもない。肩は可愛い撫で肩なんだけど、腕にはかすかに筋肉がついてる。ブラのホックをとめている付近も女の子にしてはちょっと筋肉がついてる感じ。ウエストからお尻にかけては段差が殆ど無い。ただ全体的に男の子にしては真っ白で丸い線を持つ華奢な体と、薄いブルーのショーツに包まれた小さいながらふっくらしたお尻の線は異様だった。
「さっき女の子に見えるって言ってくれたんだけど、全然見えないんだ」
「あたりまえじゃん、まだ一00%男なんだから」
「純ちゃんのその体、すごく可愛いよね。昔からそうだったの?」
ちょっとお世辞も含めて僕は言う。
「そんなわけないじゃん、あたしだって去年の今頃はすくなくともゆっことおんなじ体だったと思うし」
ブラを付け終わり、洋服タンスの引出からパンティーストッキングを引っ張りだしながら純ちゃんは答えた。お世辞が効いたのか、すこし穏やか口調。
パンストを手にした純ちゃんはふと僕の方を向いて立ち上がる。僕の方が少し背が高いかな。
「たぶん、来年の今頃ゆっこだってこんな体になってると思うよ。ほら」
そう言って純ちゃんは僕の手を持ち、今付けたブラに当てさせた。いきなりの事でどぎまぎする僕の手に純ちゃんの暖かい、そしてちょっと生固いバストと、ころころした乳首の感触があった。
ふと下をみると、純ちゃんのショーツはやはり男の子自身の膨らみは有った。一応男の子なんだ、この子は。
すぐに純ちゃんはその手をどかせ、身仕度に入った。
「心の準備しといてよ。少なくともゆっこはあと二時間後には完全な男の子じゃなくなるんだし」
「ええっ!どういう事!?」
「あたしは、そう、明日の今頃は…、女の子が入るんだもん。ゆっこは女性ホルモンを与えられるんだ。あたしは、卵巣移植されるんだって」
「ええっうそーっ!」
突然の話で驚いてしまう僕。すくなくとも今は普通の男の子の僕が、後二時間で??…・、それに、卵巣移植の手術がこの世に有るなんて。
「かなり前にあたしの精巣の細胞が取り出されて、遺伝子の組み替えかなんかで卵巣の細胞にして培養するの。移植されるのはぶよぶよした肉の塊みたいなんだけど、その後体の中で次第に卵巣の形になって、やがて根付いて、女性ホルモンを出していくんだって」
少し恥ずかしそうにうつむき加減で手にしたストッキングを触りながら独り言の様に話している。ふと純ちゃんは傍らのベッドに腰掛け、ストッキングを履きながら僕の方を向き直った。
「とにかく、今それでいいから部屋でゆっくりしててよ。十一時になったらゆりねえの診察室の前にきてね」
いろいろ聞きたいことが有る僕は、純ちゃんの部屋にいようとしたけど、とうとう押し出されてしまった。
部屋に戻った僕は、まだ殺風景な中に有る姿見で自分の姿を見つめた後、衣装タンスを開けて中を見た。そこには明るいパステル色の何着かのスカートと薄い緑と白地に薄いベージュの縞の二着のワンピースが有る。そう、今日からこれらは誰のでもない、僕自信の服なんだ。少し嬉しくなった僕がふと目を下にやると、タンスの下の方には僕が着ていたシャツとGパンが畳んで置いてあった。
「まだ捨ててなかったんだ…・」
そしてタンスの下の引出しを引こうと座ろうとした途端、僕は膝の自由を失い、尻餅をついてしまった。
(そうだ、僕スカート履かされてるって事忘れてた)
殆どした事のない正座はやめて、足を横に崩して座り直す。まだすね毛も生えていない僕の両ももがスカートの端から怪しげに出ている。ちょっと変な感じ。
どきどきしながらそのうちの一つを開けてみた。その途端僕は目を見張る。大きな引出のすみの方に並んでいる小さな色とりどりの縮こまった布きれ。そう女の子の、しかもティーンズの履くちょっと可愛い清潔な感じのショーツがそこに有った。その横に畳んであるシャツの様なもの、唾を飲んでその一番上の一つを取り出して見ると、それは白のすべすべしたキャミソール。その下には同じ様なので綿で出来ている物とか可愛いレースのたくさん付いている物とかが数枚有る。他にフレアパンツっていうんだっけ?可愛いすべすべのショートパンツの様な物、その他の引出にはパンティーストッキング、可愛いセーター、ルーズ系とかも混じった靴下、等…・以前ちょっと試しに履いた事のあるガードルっていう物まで有ったけど、さすがにブラジャーは無かった。
その中にそう、パジャマというか部屋着というか、前に中学校の時の修学旅行に女の子達が旅館で着ていた物が入っていた。そう、さっきからこのスカートがすごく足に窮屈なので、僕は着替える事にした。立ち上がってトレーナーを脱ぎ、スカートのホックを外すとストンとスカートが足元に落ちる。ふと鏡を見ると、そこには女の子の下着姿の僕がいた。でこぼこした体の線、固そうな手足、
「どうみたって男の子だよね」
顔だけはかろうじて可愛い感じの僕は苦笑いした。
その服も不思議な感覚だった。ピンクの上着に黒のスボンなんだけど、ズボンはお尻が緩く、足もとが小さくはっきりいってスパッツみたい。上着は丈がすごく長く僕の不格好なお尻をすっぽり隠している。ちょっと照れ臭そうに鏡で見てみる。
「あ…」
そう、少し前の修学旅行の時に見た女生徒の姿がそこに有った。スパッツ調のパンツはすっかり僕の足をカモフラージュし、ふわふわと可愛いピンクの上着は僕の男っぽさを隠している。すっかり気に入っちゃった。
ふわふわの感触を楽しみながら、僕は窓辺により窓を開ける。丁度この建物の裏手かな。目の前の林の手前に広がる小さな裏庭。そして林の向こうに遠くに見える雪化粧をした山々、とても奇麗な風景。ふと寒い春風が僕の体を襲い、小さく身震いした僕は、窓を閉め、カーテンを整えるともう一度鏡を見に奥へ入った。足にまといつくスパッツの不思議な感覚、鏡の中にはさっきの僕がいる。足をそろえたまま体をゆらし、可愛いポーズを思い出していく。うん、だんだん昔の気持ちになりつつある感じ。
「がんばろっと」
鏡の中の不思議な僕に向かい軽く会釈をしたあとそっと僕は呟いた。
「ゆっこ、何寝てるのっ!行くよっ!」
いきなり耳元で大声がした。どうやら僕あのままベッドの上で寝ちゃったみたい。
「早く用意して、ゆりねえ待ってるよ」
赤のチェックの膝上のスカートに白のブラウスを着た純ちゃんがベッドの端に立っていた。大急ぎで僕はベットから跳ね起きる。その途端トイレに行きたくなって、そのまま行こうとしたとたん
「ゆっこ!起きたらベッドちゃんとして、ベッドから出る時って男そのものじゃん、こうやってお尻軸にして足そろえて」
純ちゃんはベッドにいきなり寝転び教えてくれる。
「あと、髪とこうとしなかったでしょ。あ、ストッキング履いてないっ」
「あ、ごめんなさい」
あきれた様に純ちゃんは腰に手を当て、ふくれっつらする。そりゃ仕方ないよ、僕昨日まで男の子の生活送ってたんだし。
「あ、トイレに行ってくる」
「ゆっこ、ちゃんと座ってするのよ」
トイレに入った僕は昨日までの様にいきなり便座を上げようとした。でもすぐ思い直して、スパッツをショーツごとおろしてそこへ座る。僕の男性自信はたちまち可愛いショーツとスパッツに反応して大きくなっていく。無理矢理手で押さえてなんとか用を足す事が出来た。
部屋に戻った僕は、せかされる様にタンスからストッキングを取り出し、純ちゃんに怒られない様なるべく穏やかな仕草でスパッツを脱ぎ、ベッドに腰を降ろして履こうとすると、すっと純ちゃんは僕の横にしゃがんでストッキングに手をかけた。
「こうして、縮めて小さくして」
慣れた手つきでそれを小さくしていく彼?の髪からシャンプーのいい香りがする。
半ば助けてもらってなんとかストッキングを履き終えると、足がすっと引き締まったみたい。そう、三年前のいとこの家での感覚が戻ってくる様。その上からあのスパッツを履くとぞくっと不思議な気持ちが僕を襲ってくる。
それで、えっと僕何しに行くんだっけ…・そうだ女性ホルモンの…注射!?
ふとドアの外へ行こうとする僕の足が止まる。
「何やってんの、早く行くよっ」
「ちょっと待ってよ純ちゃん」
「え、どうして」
「だって…・」
そう、だんだん心臓がまるで狂った様に鼓動し始め、たちまち喉がからからになってくる。
(完全な男の子じゃなくなる)
ついさっきの純ちゃんの声が頭の中に響いてくる。
「だって、あまりにも突然なんだもん」
じっとうつむく僕の目には、スパッツから出たストッキングで覆われた僕の足首と爪先が見える。
(やっぱり、不思議な感覚…・)
と思いながら、僕は無意識に両足の爪先を交互に上下させていた。
「なんでそんなに優柔不断なのっ、男の…じゃないよね、女の子になるんだよね」
ちょっと笑いながら純ちゃんは僕の後ろにまわり、背中を押す様にして僕を連れ出した。
「大丈夫、ちっとも恐くないから。それとも注射がやなの?」
「ううん、そんなことないよ」
「じゃ、いこっ」
ストッキング越しに足の裏に伝わるひんやりした感覚に新鮮な物を感じながら、僕はゆり先生の診察室へ向かった。
どきどきしながら部屋へ入ると、先生がそこのソファーへ座る様に指示が有った。よく陽の当たるとっても明るい部屋。先生はこの部屋でいつもカウンセリングの仕事をしてるんだ。
やがてゆり先生が向かいのソファーに腰かけて僕達に話しかけた。
「今日からゆっこちゃんには女性ホルモンを含めた薬の投与を行います。一週間に一回の注射、一日二錠の薬の服用を今後一年続けてもらう事になるけど、いいわね。それと気分が悪くなったら、直ちに先生に言ってね」
「はい、ゆり先生」
僕は恥ずかしげに答えた。
「それと、純ちゃんは午後から、例の手術を始めるわ。もう下の部屋には大勢の先生が待機してるわよ。だって初めてだもんね。純の受ける手術。最後の診察をこの後すぐにします。それから午後になったら、心の準備が出来しだい、ここに来てね」
「うん、いいよ」
例の手術って、たぶんあの事だよね。そう、性的にも半分女になっちゃうあの手術。
「それから、一度でもこの注射を打つと、ゆっこちゃんは肉体的に完全な男の子じゃなくなるの。回数を重ねるたびに、あなたは男の子から離れて行きます。あなたの男性自信もほんの少しずつ衰えていくのよ。もし男の子に戻るとなれば、多少なりとも医学療法も必要になります。言い替えれば、進めば進むほど戻るのにかなり長い時間と、体に重い負担がかかる事になるけどいいわね?」
「はい、いいです」
顔をあからめてはずかしげに答える僕。 いよいよ僕、男の子でなくなるんだ。
「じゃ、ゆっこちゃん、こっちにきて。普通、ニューハーフさん達はお尻に打つんだけど、しこりが残って良くないって話だから腕に打つから、右手をまくってね」
(ああ、とうとうこの日が…)
ピンクのパジャマを上までまくる。ゆり先生が消毒し、そして注射器を手にする。
「ゆっこちゃん、いくわよ。男の子じゃなくなるのよ、いいわね」
「早くして、先生」
僕は目をぐっとつぶる。腕にちくっとした痛みとともに、僕は目をそっと開けた。注射器の透明な液体が僕の体の中に入っていく。
(男の子じゃなくなるのよ)
その言葉が僕の頭の中で響く。すぐに注射は終わり、綿で傷口を押さえられた。恥ずかしそうにうつむく僕、さっきから全然先生の顔見ていない。そこへゆり先生の意地悪そうな声。
「ゆっこちゃんはたった今、ニューハーフになりましたあ」
僕の顔は真っ赤になった。
「次、純ちゃん入って」
「はーい」
純ちゃんが診察室に。
「ねえ、入っていい?」
僕が興味深く聞く。
「ダメッ!誰もはいっちゃ」
予想に反して純ちゃんの厳しい声。でもなんとなく前よりトーンが上がってる感じ。
カーテンを引いた診察室の中で、ゆり先生と純ちゃんの声が聞こえる。
「どうしたの、前は見られても平気だったのに」
「だって、嫌なんだもん」
「服脱いで」
「うん」
僕達はカーテンのすきまからのぞいた。ブラウスを脱ぐと、可愛いブラが見えた。でもそれ以上にびっくりしたのは、白くて柔らかそうな彼?の腕。さっきは全然注意して見る事が出来なかったけど。
「ブラ外してみて」
「ええっ恥ずかしいよー」
「いいから、外してみなさい」
ゆっくりブラを外した後、純ちゃんは両手で胸を隠す。
「どうして隠すの?」
「だって、恥ずいじゃん」
純ちゃんは手をどける。僕達は唾を飲んだ。胸にあてた彼の両手からこぼれたのは…
今度はゆっくり見る事が出来た。そこには小さいけど、ボタンの様に隆起した可愛い乳首と、円錐型に尖った膨らみが有った。昔何かの本で胸が膨らみ始めた小学校の女の子の裸の写真見たこと有るけど、それにかなり近かった。
先生はそんな純ちゃんの胸を指でさわりながら診察を続ける。
「痛みはもうない?」
「うん、ほとんどない」
「だいぶ育ったわね」
「うん」
「基礎はこれで十分だわ。乳首も女の子並みになってるし、あとは、女の子達に見られても平気な様に整形して、手術が終ったら新しいブラ買いに行こうか」
「うれしいっ」
「体も少し柔らかくなったみたいね、それに前よりも更に色白になったんじゃない?」
「うふふ」
とたんに、ゆり先生は純ちゃんの乳首を指でさわる。とたんのけぞる純ちゃん。
「あっ、痛かった?」
「違うよ、くすぐったかったの」
「じゃ、これは」
先生はそう言うと、乳輪を少しさわる。純ちゃんはなぜか一瞬目をつぶる。
「どう」
「…なんかわかんないけど、変な感じ」
「あと、パンツ脱いで」
「ええーーーっ」
「脱がなきゃ診察出来ないでしょ」
「う…ん…」
僕は一瞬息を飲んだ。彼?の部屋でショーツの中に収まった男性自信はさっき見たけど。
慣れた手つきで、そっと手を後ろに回し、スカートのホックを外しジッパーを下げる純ちゃん。僕も来年の今頃はあんな風にすらすらとスカート脱いだり履いたり出来るんだろうか。
「やっぱ恥ずかしいよ」
純ちゃんはショーツをゆっくりした手つきで少しずらした。よく見えないけど先生は彼の男性自信を手でいろいろもてあそぶ様にしているみたい。
「まだ遊んでるの?」
「うん、時々ね。だめ?」
「だめとは言わないけど、どうこれ感じる?」
「あ、……うん先の方はすごく」
「でももう立たないでしょ」
「うん、あんまり。何だか寂しい気がするの」
「液は、まだ出る?」
「うん、少しだけ」
「まあ、いいわ。これだけ小さくて柔らかくなれば、あのパットに十分収まると思う。うんOK」
と突然、
「はっくしゅ!」
春といってもまだ肌寒い季節に、上はスリマーにパジャマ一枚の姿でじっとしていた僕は、思わずくしゃみしてしまった。あ、覗いてたのばれちゃった。
「あっゆっこ!!」
先生が出てきて笑って言った。
「こーらぁ、早く部屋に戻って」
僕は大急ぎで部屋に戻った。
(やっと一人になれた)
部屋に戻った僕は大きく背伸びした。おっと今のは男の子のやり方。鏡を見ながらもう一度やりなおし。その後、用意されている服をもう一度眺めてみたくなってた。ふとタンスの横を見ると、ここに来た時に着ていた服は、
(あ、たぶん純ちゃんだ)
畳んで置いて有る。彼?の優しさが、なんとなくじんと胸を熱くさせる様な気がした。タンスの中から僕が取り出したのは明るいオレンジのスカートと白の花柄のブラウス。パジャマを脱いだ僕は、着ているスリマーがなんだかもっさりしている感じがして、引き出しを開け、さっきの白いキャミソールを取り出して着替えた。ふわっと優しい感触がすごく気持ちいい。
スパッツを脱ぎにかかると、ぞわっとストッキングとの触れ合う感覚が電気が走ったみたい。
可愛い下着姿になり、どきどきしながら姿見を覗きこむ僕。でもその間に僕の男性自信はすごく興奮して大きく固くなってしまう。ショーツの膨らみがすごく目立っちゃうので、キャミソールの裾をぐっと伸ばしてショーツを隠したけど、だめ。
「あっそうだ、ガードル…」
大急ぎで引き出しの中から可愛いソフトガードルを取り出して足を通す。さっきの不思議な感覚の後、僕の下半身にぴっちりとした感覚と共に股間の膨らみはある程度消えた。それよりもお尻の感覚が不思議。くるっと丸く包みこまれて保護される感じ。そのまま左前にとまどいながら大急ぎでブラウスを着て、慣れない手つきでスカートを履き、ホックを後ろ手でとめ、ジッパーを上げる。うんなんとか無事完了。
そのまま姿見を見るけど、あれ、ううんなんだか違う。服のコーディネーションはいいんだけど、
「顔なのかなあ」
僕は意識してお尻に手を当て、お尻からすぽっとドレッサーの前に座り、自分がしてきた中で一番丁寧に髪をとく。当然ながら髪が短い僕は、前髪を男の子とは逆に後ろから前へとき、わざとまとめずふわっとさせた。ドレッサーの中にはまだ何も化粧道具はなかったのが残念。
僕は隣に純ちゃんを呼びに行ったけどまだ帰っていない。僕はたまらなくなって階段を下へ降りていく。ふわっとスカートがたなびいて腿にまとわりつく感覚にどきっとしながら、ゆり先生の所へ。
そこには外国の人も混じって大勢の人が、待合室の中でいろいろ喋っていた。ちょっと気後れした僕だけど、ゆり先生はそんな僕を見つけてくれて、純ちゃんの改造手術?の準備で忙しいはずなのに、ゆり先生は僕の相談に優しく笑うと、先生の部屋へ僕を案内してくれた。
落ち着いたデザインの家具と調度品で飾られた居間を通りぬけ、先生の寝室へ。広くて薔薇のいい香りのするそこはやはり若い女性の部屋らしく、いくつかのぬいぐるみと明るい色のカーテン。床には絨毯が敷いて有り、オーディオ、アップルのパーソナルコンピュータまで有る。
「やっぱり筋はいいのね。センスいいじゃないその組み合わせ。やっぱりあの注射のせい?」
「でもなんだか変なの」
不思議、女言葉が自然になってくる。
「そりゃそうよ、ウエストの位置がおかしいわよ、それ」
「え、だって僕かなり上にしたのに」
「ううん、もっと上にして」
先生は僕のスカートの位置を僕の胸のすぐ下位に直してくれた。スカートの裾がそれに伴い膝よりかなり上になっちゃう。
「あとお尻が小さいのはしかたないけど、あっ、ちゃんとガードルつけてるんだ」
お尻をぽんと撫でる様にたたく。その途端お尻につるっとした感覚。
「あん…」
まさか自分の口からとっさにそんな言葉が出るとは思わなかった。
「あと、化粧道具ね。ごめんね、純ちゃんの手術が終わったら揃えようとしたんだけど、じゃ座って」
僕は大喜びで、お尻に手を当てる事も忘れてしまった。
「あっいけない」
思った通り、スカートの裾が椅子の後ろでお尻の所まで捲くれあがりグチャグチャとなった。純ちゃんがいたら絶対怒られるに違いない。
大慌てで座り直すと先生の化粧が始まった。初めてのちゃんとした女の子のお化粧。鏡の前で恥ずかしくてうつむき加減になる僕の顔を、ゆり先生がしっかり上げてくれる。
「最近の女子高校生はかなり進んでるから、もっと派手にしてる子もいるけど、あとは少しずつ覚えていってね。」
女子校生…、来年の今頃は僕は…、スカートの中の男性自身がすごく熱くなる。そんな中で化粧が始まった。
丁寧に解かした後ショートの髪は可愛くウェーブをつけられながら額に降ろされ、ふっとミストを使って整えられた後、
「まだピアスは無理だから、これあげる」
と、先生は可愛い小さなピンクのイアリングを僕につけた。そして僕の色白の頬に更にファンデーションがはたかれ、眉はふわっと可愛くされる。頬は薄く紅がさされ、男っぽくなり始めた目元は昔の様にくっきり丸く変わっていった。
(あ、かわいい)
魔法にかけられたみたいに可愛く変わっていく僕の顔に僕は言葉を失った。
最後に薄く口紅をひかれ完成。
「まあ、こんなものよ」
先生はちょっと気取って僕に言う。
「そうね、もう少しすると薬の効果が出てくるし、それまでに人前に出られる様なメイクが出来る様にしておいてね」
「教えてくれるの?」
「基本だけね。あとは自分で覚えなさい。」
「先生、この本借りていい?」
化粧されている間チェックした、ゆり先生のドレッサーの横に置いて有るAnAnとかNonNoとかの女性誌を僕は指差した。このたぐいの本は一度ゆっくりと読んでみたかったんだ。
「さ、私純ちゃんの手術で忙しいから」
先生は半ば押し出す様に僕を外へ出した。
どきどきする心臓を胸に感じながら、足早に僕の部屋へ。あんまり急いだので慣れないストッキングで一度廊下で滑ってつまずきそうになった。何よりも可愛くなった自分の姿を一人で部屋の鏡で眺めて見たい。
部屋の中の姿見にはさっきの自分が写ってる。前よりもかなり男の子の影は消えてるし、自分では十分可愛い女の子見えた。ふっと微笑んだつもりだったけどやっぱり何か変。そう、女の子は微笑む時、可愛い仕草も必要なんだって気付いたのは少ししてからだった。顔を傾げる、手を口に当てたり、腕を可愛く動かしたり。でもやっぱりどこか女の子らしくない。
ゆり先生から借りてきた女性雑誌を見て仕草を真似ようと思い、ベッドに寝転んで読み始める。春のファッションに始まって、可愛い小物や下着等、僕にとっては新鮮な物ばかり。ポーズを研究するどころかずっと見入ってしまった。
それにしても女の子向けの雑誌の中の女の子は、なんとなく男性を誘惑するような男性雑誌のそれとは違い、仕草とかがすごく自然で愛らしい。変に今まで見ていた男性誌の中の女の子の真似とかしてると、本当、水商売の女性になってしまうんだって思った。
ふと、ドアをノックする音が聞こえ、純ちゃんが入ってきた。
「ゆっこ、本読んでるんだ」
「うん、こんなの読むの初めてだけど」
「あたしの部屋にも何冊か有るから、良かったら読んでもいいよ」
「うん、ありがとう」
「じゃ、あたし行くね」
「あ、そうなんだ…・」
「戻るのはあさってになるんだって」
僕はなんて言ったらいいかわからなかった。そんな僕にふっと微笑んで純ちゃんは出て行った。彼?に今度会う時は、一部女の子になっちゃってるんだろな。
そして程無く僕に異変が起きた。頭がふっと痛み、僕は雑誌を読んでいられなくなり、ベッドに頭をふせた。
「痛っ」
僕は思わずつぶやく。僕はそれが何かすぐわかった。TVとか雑誌とかでよくホルモンの注射を受けた人が体験談とか語っていたけど、それと同じ事が僕の体で起きつつあるんだ。
楽になる様、僕は仰向けになる。そんな僕の目に、パンツが見えそうな位捲れあがった僕のスカートが見えた。慣れないからすぐスカートがおかしくなる。
ちょっと火照り出した顔、僕はもう我慢出来なかった。僕もやっぱり男の子だし、時々自慰をする事も有った。ただ少し皆と違っていたのは、手でしごくという行為は少なく、ガールフレンドだった雅代ちゃんの裸とか、可愛い女の子や、女の子になった自分を想像しての下半身を布団に押し付ける様にしている事だった。
いけないと思いつつ、僕は捲れたスカートのまま頭の痛みにもかまわずうつぶせになり、今はスカートで包まれた僕の下半身をベッドに押し付けた。
(僕とうとう女の子になり始めたんだよ)
だんだん男性自信が固くなり、ジーンとしてくる。とうとう女性化しはじめた僕にとって、この感覚も今後はそんなには続かないだろう。
されている化粧の匂いがふっと香り、履いているストッキングがベッドと擦れ合い、ぞくっとする感覚が足全体を襲う。やがて、スカートの中の男性自信ははちきれそうになっていく。スカートが完全に捲れ、ガードルが見え隠れする。
ガードル特有の(あ、履いてる)っていう不思議な感覚を感じ、そのガードル越しにヒップを触ると、見事に丸く矯正された僕のヒップがつるんと感じる。息がどんどん荒くなり、いずれは膨らんじゃう胸の形が頭の中に写し出されていく。こんな姿で1人遊びしたのは初めて。僕には強すぎる刺激だった。
「あん…」
気持ちよさが頂点に達した時、僕は当然ながらショーツを汚してしまった。大慌てでベッドから降り、スカートをたくし上げてショーツを降ろしティッシュで拭く。気を付けてみると、ガードル越しに履いているスカートの裏地も少し汚れていたし。枕には口紅がついていた。
「先生にばれたらおこられるだろな」
元どおり下着を直し、まだぼーっとする気持ちのまま窓辺による。窓をちょっとあけると、火照った体に涼しい風が心地好かった。
「僕、これからどうなっていくんだろう」
僕はぼんやりと裏庭をながめていた。