エンゼルソードに花束を!

(17)裏切ったのはまさかの・・・

 「あなたでしょ?栗原中尉…」
黒づくめの女は座り込んだまま微動だにしなかった。それを見て木暮中尉が続ける。
「あたしが攻撃を海上から急遽空からの空挺に切り替えた時、エンゼルの暗号通信を部外者ながら受信していたのが真下技術少佐。そしてそれに応答しなかったのが二人。よりによって中尉二人よ。あんたと井上中尉」
大きくため息をついて木暮中尉が続ける。
「もしそれが敵方に伝わっていたら、急遽奴らは空からの攻撃に備えるはずなんだけどその様子が無かった。真下技術少佐は論外。井上中尉はブラジルの大使と今でも大使館でどんちゃん騒ぎやってるらしい。残ったのはあなただけ」
少し間を置いて浜少尉が続けた。
「あたしが持ってきたトレーラー爆破したのあんただよね。微かにあたしがあげた香水の匂いがしてた。あれはあんたが中尉に昇進した時あたしがプレゼントした珍しい物。香水なんか付けた事ないあんたが、なんで今日に限って付けてたのかわかんないけど。それにエンゼルスーツ受け取れなかった時のあなたの態度が普通じゃなかったと真下技術少佐から聞いてるの」
続けて木暮中尉が再び話す。
「あの黒いドレスの女が持ってたペンシル型の注射器。あんたのだったよね。ちゃんとあたしは憶えてるよ」
その時、黒い女の高らかに笑う声。そして聞き覚えのある声で話し始めた。
「ほほほほ!まさかよりによってあれを元男だった綾瀬に使うとはね。しかも渡したペンシルもそのままで。あたしの運も尽きた様ですわ」
そうだったのか。あの注射薬、綾瀬には体の麻痺はある程度効いたが媚薬効果は効かなかったらしい。座ったまま荒々しく毛糸の目無し帽を頭から引きちぎる様に外し、長い髪をばさっと両手でまとめる彼女。まぎれもなくそれは栗原中尉だった。
「教えて!何故なの!?どうしてこんな事…」
浜中尉の言葉に微かに笑い声をあげた後、栗原中尉が話し出した。
「こんな偽善に満ちた軍隊なんて馬鹿げてますわ!左手と足首を無くした私がどれだけ必死になって体を鍛えてこの軍に協力したと思ってますの?いくら頑張ってもやって当然という風潮でしたわね」
吐き捨てる様に言って彼女は続ける。
「しかも、生きて戻ってこいだなんて!私や他に死んでいった先輩達に対する冒涜以外の何物でもない!そんな生ぬるい方針なんて私には到底受け入れられませんわ!今回も私が危険な女と決めつけられ、スーツまで隠された」
興奮気味に話した彼女が穏やかになる。
「ユン大人は、私の価値を認めてくれましたわ。私を一人の女としても接して頂いたの。一緒に来い!大陸で一緒に面白おかしく暮らそうぜと!私の心はもうこの国にはありません」
と、いきなり浜少尉が話し出す。
「めったに香水なんか付けないあんたが、今日に限って香水付けてたのは、ユンに気に入られる為だったの?」
その言葉に再び声高に笑い、そして話し出す栗原少尉。
「おばさんだけには感謝していますわ。私を友として、女として見て頂けた事に」
「違う!それは勘違い!栗原中尉。皆どれだけあなたの事を気にかけていたか」
木暮中尉が一歩前に出て話を続ける。
「あなたは気丈すぎて気高すぎた。近寄りがたい存在だった。真下技術少佐がスーツを渡さなかったのはあなたに本当にもうこれ以上無理させたくなかったからよ!」
「ふっ、綺麗ごとなんてもう聞きたくありませんわ」
今いくら言っても無駄だと感じたのか、木暮中尉が落ち着いてゆっくり話し出す。
「栗原中尉。このまま大人しく投降しなさい。あなたには今までの功績があります。エンゼルソードの先輩として、あなたを悪い様にはしない」
と、その時甲板にいた森井少尉達から連絡がはいる。
「中尉!今船尾から何か変な形の船が出てきて、海に潜っちゃった!」
大音量にしたヘッドセットのスピーカからの森井少尉の声に、
「しまった!」
思わず俺は叫ぶ。多分それはユン大人だあろう。うかつだった。多分ここにいる皆もそうかもしれないが、思わぬ展開でユンの事などすっかり忘れていた。
「栗原中尉、どうするの?ユン大人様はあなたを置いて逃げて行ったよ。結局あんたもホウとかいう殺されたあの女と一緒、利用されただけ」
木暮中尉の言葉に栗原中尉はそこに座ったまま言葉を失ったかの様にうつろな表情をしていたが、
「終わった様ですわね…」
そう言いながら栗原中尉は電磁パルスで動かなくなった左手と左足を庇う様に立ち上がる。
「お願い…一緒に来てちょうだい」
木暮中尉が彼女に手を貸そうとするが、
「甘いわね…中尉殿」
そう呟いた栗原中尉はいきなり穴の開いた船倉の床の淵に足を引きずりながら歩きだした。
「やめなさい!」
事情を察した木暮中尉が叫ぶ。と同時に非常事態を聞いた愛原少尉と矢吹少尉がドアから駆け込んできた。
「エンゼルの戦士の死に様!とくとご覧にいれますわ!」
そう言った後栗原中尉の口が不自然に動いた。
「あ!」
一同が声を上げた瞬間、彼女は左足を引きずりながらも船倉の穴に両手を広げ、背中から落ちていく。
「やめて!」
木暮中尉が声を上げた瞬間。
「バカな事やめろ!」
そう叫んだ大村少尉は、腰に下げた大きめの筒を三個繋げ連装銃みたいな物を手に取り、落ちていく栗原中尉に向かって放つ。それは網の様な物を放出し、同時に大きな風船の様な物を広げ、彼女の体に巻き付き、船倉の底の岩場すれすれの所で落ちていく彼女を止め、多分ヘリウム風船であろうか、その力でゆっくりと上に上がっていく。
皆は一瞬安堵のため息をつくが、
「大村少尉、ありがとう。でも既に自決様のカプセル潰したみたいだよ。多分生きてはいない」
全員が穴の淵に駆け寄り、風船に吊り下げられてゆっくり上がってくる栗原中尉を見守っていた。
「…遺体だけでも綺麗な形で残せて良かった…」
そう言って目線の高さまで上がってきた彼女を見て思わず息を呑む木暮中尉。その姿は異様だった。網とロープで体を縛られた彼女の頭には髪が殆ど無く、ケロイド状の痣が所々に有った。あの長い黒髪は多分特殊なウイッグだったのだろう。波間に落ちたのかそれは確認できなかった。それよりも、
「こ、殺して…」
大きく目を見開いた彼女の唇が動いてそう呟いた。歯に仕込まれた自決用の毒は彼女に死を与えなかった。今まで彼女の培ってきた強靭な体力と精神力が彼女を毒の効かない体にしてしまったらしい。
「殺して…おねがい…」
銃みたいな救助用の装置を放った大村少尉が駆け寄り、リモコンを使って栗原中尉ごと風船を手元に引き寄せる。
「解毒剤…」
木暮中尉もそう叫んで、スカートの淵の隠しポケットから小さなそれらしき注射器みたいな物を取り出し、彼女の肩に打つ。それを見届けた大村少尉は彼女の体から風船を取り外してしっかりとその哀れな女性を抱いた。
「バカな事すんじゃねーよ!」
大村少尉が一声叫んで続ける。
「お前らもそうだ!彼女が今までどれだけ必死で任務を遂行してきたか、俺はよく知ってるぜ!そんなこの子に今までまともに感謝した事あるのか?当たり前だと思ってたんだろ?こんな姿になりながらもさ!かこの子がどれだけ辛い毎日を…」
呆然とした目をしている彼女をしっかり抱き直して大村少尉は続ける。
「この子をどうするつもりだよ!スパイ行為で極刑か?そんな事は俺が許さねぇ!俺はこの子の気丈さと気高さが好きだ!この子にひどい事をしたら俺は軍を辞める!弁護士の代わりだってしてやるさ!」
普段おとなし目の大村少尉がこれだけとの剣幕で話したのは俺もみた事ないし、多分ほかのみんなもみた事ないだろう。とその時、
「うわあああああーーーーーーー!」
突然栗原中尉は口からすごい声を出した後、大声で泣きだす。その姿はもはやあの気丈な彼女の姿ではなく、何か大きな悲しみ事を見た普通の女の子そのものだった。
大村少尉が彼女に巻き付いたロープや網をナイフで外している間、相変わらずものすごい声で泣き叫ぶ彼女。そしてそれが外し終わった直後、更に大きな声で大村少尉に抱き着いて泣き叫ぶ栗原少尉。その姿にもはやエンゼルソードの気高き女戦士の面影は無く、恋人にむしゃぶりついて泣き叫ぶ普通の女性だった。


敵方のボスのユウは逃がしたものの、人質は全員無事で救助出来た。殺されたホウは仕方無いとしても、栗原中尉の謀反は残念な事だった。
難破船が何事もなかった様に夜明けの光に照らされる頃、到着した軍医による体力の消耗や体調不良の応急処置を受けた女性達が次々に牽引型の輸送船に乗り込んでいく。法橋少尉がヘリのスリングで輸送してきた兵員輸送用の大型ボートは揺れの少ない双胴タイプでヘリでも吊り下げる事が出来る様軽金属とポリマーで作られていた。
暗がりであまりよく見えなかったが、女性達は皆薄汚れていて異臭を放っている娘もいた。手下や巨漢の返り血を浴びたのもいる。
「さあさあみんな助かったんだよ!今からホテルに直行だから。ゆっくり休めるよ!ほら!みんな笑って笑って!スマイルスマイル!」
浜少尉がそう言って女の子達を元気付け、全員収容した輸送船がリリー少尉の操縦するエンゼルの白とブルーのボートに引かれて、あの灯台のある堤防を出航。輸送艇には浜少尉と奄美まどか・ひみか両姉妹が乗り込んだ。
栗原中尉は拘束具を付けられ、木暮中尉と数名の兵士に付き添われ、トラックで移送された。エンゼルソードに裏切り者が出たなんてばれたらただ事ではない。そもそも栗原中尉の顔なぞ下っ端の兵士は知る由もないが、一応サングラスと帽子は被せられ、詳細は秘密とされた。
残りの俺達はリリー少尉の操縦するボートに乗り込む。俺は船尾に座って煙草をくゆらし、鎌田は美味そうにジャックダニエルを豪快にラッパ飲み。エンゼルの他の子達は時折上空を飛んでくる後始末の軍のヘリに手を振っていた。何か無線で連絡を取っていた森井少尉から俺達に連絡が有った。
「敵のアジトは軍によって完全制圧。敵の機密資料も押収済み。敵方死者は十人程度。残りは確保拘束だって。ホウは…」
「ああ、綾瀬をはめようとしたあの黒いドレスの子か」
俺の言葉に森井少尉はちょっと言葉を濁す。
「あの娘もかわいそうな子よね。栗原中尉もそうだったけど、愛に飢えてたのよ。あたしも中尉と組んで四年オペレーションしたけど、今から思えば中尉は孤独な人だった」
一人船の中で体力の消耗を防ぐ為なのか、船に弱い大村少尉は小さなソファーに寝転がっていた。
「大村、お前栗原中尉を本当に身請けするのか?まだ刑罰決まってねーんだぜ」
俺の言葉に彼はめんどくさそうに答える。
「あの娘の事は多分俺が一番良くわかってる。知ってるか?彼女は非番の日にはお忍びでアンティークショップやフラワーショップに出入りしてたんだぜ。それに、音楽スタジオでハープまで習ってたんだぞ。人前ではあんな風でも、中身は大けがをする前と変わらなかったって事さ」
「お前、それストーカーじゃねーのかよ」
「うるせーな。彼女の事何もわかってやれなかったお前が偉そうに言うな」
俺と話している間、大村中尉はずっと艇内の壁を向きながら話していた。
と、その時、艇内でエンゼルの誰かの笑い声。それが次第に大きくなり、それに合わせて次第に全員が笑いだし、そして何かの不思議な歌。外国語なので何かわからなかったが、オペレーション成功した今、楽しそうに皆で歌ってる所を見ると何かの歓喜の唄か?
「それは何の唄なんだ?」
「勝利の女神に捧げる歌」
俺の問いに横にいた綾瀬が答える。女の子達を乗せ、エンゼルと俺達に護衛された輸送船は、受け入れ先のホテルの有る伊豆半島の先端を目指していた。
「とにかく女の子なんだから、ホテルに着いたら汚れ落として、多分食事だって十分じゃなかったろうし、朝ご飯食べさせたげないと。あと着るものも、家出とか身よりの無い訳ありの女の子達ばかりだから、事情聴取まではホテルに…」
矢吹少尉が今後の女の子達の事をいろいろ話し始めた時、
「ナンダロ…レーダーニハンノウアリ」
操縦席のリリー少尉が異変に気付く。簡易レーダーなので方向と距離しか出ないが、かなりのスピードで接近している。
「コウクウホアンキョクヘ…」
リリーが無線で軍航空保安局に連絡している時、遠くからジェットエンジンの様な音が聞こえてくる。
「なんだよ。あの難破船の爆撃でもするのか?」
操縦席のリリーは船ノエンジンを止め、なにやら引き続き交信しているが、その時、
「ミンカンノ、プライベートジェット、シキベツ…」
とリリーは船内にいる俺達の方を振り向き、大声で叫ぶ。
「トウロク!ユウ・カイエン!」
「なんだと!」
リリーの絶叫に俺は一声怒鳴り、腰のピストルに手をかける。同船しているエンゼルのメンバー達もおのおの銃を取り出し、鎌田は船首に装備しているマシンガンを外しながら、
「民間機だろ!武装は無いはずだぜ!」
と叫び、不安定なボートの舳先に移る。
「へ、機銃なんかもし持っててもこんな船の上ならそう簡単に当たるかよ!」
そう言って安全装置を外す鎌田少尉。
「待って!もし相手が武装してなかったら法律上やばい!」
「んな事言ってられるかよ!」
綾瀬の警告する声を無視し、俺は自分の銃をフルオートに切り替える。
「おばさん達は!?」
愛原少尉も轟音と共に近づいてくるジェット機を警戒して叫ぶ。俺達の乗っている船に後ろでロープで牽引されている輸送艇の上では、既に奄美姉妹が銃を手に舳先に立っていた。
「あんた達!船の後ろに集まって!」
浜少尉が輸送艇の中の女の子達に船の後ろに集まる様に指示した後、
「まあ、その時はいいか…十分生きたし…」
そう呟いた後、輸送艇の中に乗り込み、女の子達の前に盾みたいに立ちはだかる。
俺はてっきり機銃か何かで攻撃してくると思ったが、どんどんジェット機の機影がはっきりわかる様になっても攻撃はしてこない。
「何考えてんだ!」
とその時、俺の目にはジェット機の下で何か赤い光が見えた。
「まさか…」
続けて俺は咄嗟に叫ぶ。
「みんな!船の後方の床に伏せろ!ミサイル!」
輸送船の舳先にいた奄美まどか・ひみか姉妹がそれを聞いた瞬間、二人ともあの時自達分を庇ってくれた女性が中にいる事を思い出す。
「守らなきゃ…」
「守らなきゃ…」
二人同時にそう思った彼女達は、咄嗟に女の子達が乗った輸送船の乗員用の部屋みたいな所の前に両手を大にして張り付く。その瞬間、別の轟音と共に猛スピードで何かが飛んできた。それは俺達の乗る船の上を掠め、そして、後ろの輸送艇の部屋の前で立ちはだかる奄美まどか・ひみか両少尉に直撃。爆音と共にあたり一面に肉や血のいやな匂いが漂う。輸送艇が大きく揺れて海上を後退。女の子達の悲鳴の中、
「輸送艇!」
「どうした!」
俺達の乗る船の後ろで、皆が瞬時に振り向く。煙の中からかなりへこんだ船体が現れたが、なんとか浮いている様子。しかし、そのへこんだ所には赤い血や肉塊があちこちに付いていて、輸送艇の舳先付近にも散らばっていた。その時、
「まどか!ひみか!」
船の中から浜少尉が大声でわめきながら出てくる。
女の子達の乗った輸送艇は、奄美姉妹の体と彼女達の着ていたエンゼルスーツがクッションになり、船体に大きなへこみを生じながらもプライベートジェットに搭載された小型の誘導ミサイルの貫通をかろうじて逃れた。
しかし、そのミサイル発射砲は多分急ごしらえの上に飛行機体に相当の負荷をかけたらしい。発射後飛び去ろうとしたその機体は方向舵か尾翼かもしくは計器を損傷したらしく、高度をかなり下げ水面近くで大きく弧を描き、俺達の船の横へ戻ってくる感じとなった。
「貴様!この野郎!ぶっ殺してくれる!」
鎌田少尉が大声で吠え、捕虜にしなさいと言う浜少尉の声を無視し、持っていたMP5機関銃をそれに向けてフルオートでぶっ放し始め、射撃の得意な連光寺少尉もプライベートジェットの窓めがけて銃弾をうつ。ジェットの機体はあちこち火花を散らし、海面に激突、そして轟音上げて爆破炎上した。その直後、
「あの野郎!八つ裂きにしてやる!」
そう言って服を脱いで氷の様に冷たい海に飛び込もうとする鎌田の体を必死で俺達は掴んで止める。諦めた鎌田少尉はしばし呼吸を整えた後、大きなさけび声をあげながら、燃え盛るジェット機に向け、弾丸が尽きるまでその機体に銃弾を浴びせていた。
それが終わるとすぐさま船尾に移り、奄美姉妹が爆死した、牽引されている血のりと焦げ跡の付いた輸送船の船体部分を見ると、その場にへたりこんで再び大声で吠える様に泣き叫び始める。
「あたしが…前に行きゃ良かったんだ…」
その横で、血のりの付いた大きな船体の凹みを見ながら浜少尉も呆然と立ち尽くしてぼそっと呟く。
涙も拭かず、鎌田少尉はを荒げながら、船体に駆け込み、ソファーに座っている大村少尉の胸元を掴んで叫ぶ。
「てめえ!大村!あの裏切り者の女をどうするのか知らねえが!俺は絶対許さねえからな!あの女があの野郎を逃がさなかったら!逃がさなかったらよぉ!」
ものすごい勢いで大村少尉を揺さぶる鎌田少尉を俺は引き離しにかかる。
「やめろ!鎌田!敵は取ったろ!今さらそんな事しても、あの子達は戻らねえよ!もういねえんだよ!」
「やかましい!あの女ぶち殺してくれる!」
俺が止めるのも聞かず、尚も大村少尉につっかかろうとする。と、
「やってみろよ!その時はお前と刺し違えてやるさ!」
大村少尉が鎌田少尉の顔をじっと睨みながら反撃。しばし二人が睨みあっていたが、
「けっ大村!お前もでかくなったもんだな!」
そう言って鎌田少尉は再び船尾に戻り、奄美姉妹の殉死の場の前に座り込み、うなだれてその後一言も口を利かなかった。
作戦は成功したが、俺は盟友のエンゼルソード三人を失う事となった。

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