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沖縄の「特例型」道州制に関する提言
−沖縄が発信する新しい道州制のかたちと沖縄州のすがた−

2009年9月24日
沖縄道州制懇話会

まえがき
 沖縄道州制懇話会は、2007年8月にオール沖縄的な道州制の検討機関として発足した。当会の活動の目的は、沖縄県の地理的、歴史的、文化的諸条件を踏まえ、沖縄のことは沖縄自らが責任をもって決めるという原点に立脚し、自治と自立の課題について県民各界各層の立場から幅広い視点で議論を行い、沖縄にふさわしい道州制のあり方について提言することにより、県民の関心を高め沖縄の総意に基づく道州制及び沖縄州に関する提案の基盤づくりに資することである。

 発足以来、当会では道州制をめぐる政府や全国の動向、沖縄の自立構想の歴史的展開、琉球政府の意義、沖縄の将来像とその実現のための課題等について議論を重ねた。そして、沖縄の自治と自立の視点に立脚した場合、当会としては、道州制の第一義的な目的が地方分権の徹底と住民自治が充実した地域社会のための地方政府の設立にあることを前提に、沖縄単独州の可能性や実現性について沖縄自らが理論を構築する必要があること、沖縄州に関する制度設計だけでなく、その背景となる全国的な道州制の基礎部分について議論する必要があることを確認した。

 この間、2008年1月には、沖縄単独州をめざすことを全会一致で確認した上で、同年の5月13日には、「沖縄単独州を目指す理由(理念・目的)」及び「沖縄単独州の事務(国と沖縄単独州の役割分担)」に関する議論を取りまとめた第一次提言を策定した。
 第一次提言においては、「全国的な道州制の是非論とは別に道州制の導入がありうることを前提として沖縄単独州をめざす」というスタンスであったが、その後議論を重ね、「市町村合併の促進や行財政改革の手段としてではなく、地方自治の充実や地方分権の徹底、地域の主体性の確立という住民目線に立脚した道州制を前提に、主権者である市民が創造し市民が統制する「地方政府」のモデルとして、沖縄単独州を位置づける」というスタンスへと一歩踏み込んだものとなった。また、項目としては「道州制の意義」「道州政府及び沖縄州政府の設立の方法」「道州および沖縄州と市町村のあり方」「道州および沖縄州の税財政制度」「道州および沖縄州の機構」などを加え、最終的な提言とする。

 冒頭に述べたように、この提言が、沖縄の世論を喚起し、21世紀の沖縄の未来を切り拓くにふさわしい沖縄の在り様について、沖縄の人々の合意形成の一助となれば、委員一同これに勝る喜びはない。


《目 次》
T はじめに 1
U 道州制の意義 2
 (1)道州制についての全国的な推進論 2
 (2)沖縄道州制懇話会が考える道州制の意義 3
V 沖縄単独州をめざす理由 7
 (1)沖縄に関する基本認識 7
 (2)沖縄単独州の理念・目的 9
W 道州及び沖縄州の事務(権限) 11
X 道州政府及び沖縄州政府の設立の方法 14
Y 道州及び沖縄州と市町村のあり方 16
Z 道州及び沖縄州の税財政制度 17
[ 道州および沖縄州の機構 20
\ おわりに 23

◆参考資料 25
 ◇策定経過 25
 ◇委員名簿等 28


T はじめに
 道州制は、ここ数年、地方制度調査会や道州制ビジョン懇談会、自由民主党、日本経団連などを中心に政治課題として浮上し議論されている。また、北海道、九州、関西などにおいては、地域に即した独自の構想が練られている。道州制の導入は、明治政府によって断行された「廃藩置県」に匹敵する大改革であり、沖縄にとっては1609年の薩摩の琉球侵攻、1879年の琉球処分、1952年の講和条約第3条による沖縄の分離、1972年の日本復帰などに相当する「世替り」となる可能性を有している。こうした状況の中、手をこまねいていては、自らの意思ではなく他からの力によって沖縄の形がつくられてしまう。すなわち新たな琉球処分となる可能性を否定できない。沖縄が、どのような将来構想を持つかが問われている。仮に九州と共に歩むとするならば、全国あるいは九州と歩調をそろえて議論するだけでも良い。しかし、沖縄が単独で一つの州を形成しようとするならば、その単独州の可能性や実現性については、沖縄自らが理論を構築し、沖縄州に関する制度設計を行わなければならない。さらに、沖縄州が日本における道州制の中で議論されるのであるとするならば、道州制そのものの在り方についても議論する必要がある。

 このような問題意識を背景として、道州制の時代に、沖縄はいかにあるべきかを考え、世論を喚起するため当懇話会は結集した。また、そこでの議論を通して、地域の構成員はもとより地域社会とアジア諸国との信頼と信用のネットワークを築くことを前提として外海離島に位置する沖縄が単独で州となり、変革に果敢にチャレンジすることを通じて地域を活性化し、結果として沖縄州の経済・財政基盤を確立すると共に、道州制導入によるこの「新しい国のかたち」もつくることができるとの認識で一致した。

 本来であるならば、当事者である沖縄県が沖縄の道州制導入の時代を見据えて自らの将来像を構築しなければならない。今後の展開に関して、当懇話会は沖縄県の積極的な取り組みを期待すると共に、市町村、県、国レベルの各議員や首長などの政治の要衝にある方々には、長期的展望に立った沖縄の将来像を構想し、住民と共に議論を深める姿勢を要請したい。さらに、われわれ住民は住民自治こそが自治の中核であることに思いをいたし、自らとその子孫のためにあるべき地域像、あるべき沖縄像をめざし、広く議論することを確認したい。
 当懇話会は、今後の道州制下において沖縄は、地方自治の拡充と地方分権推進のモデル地域として単独で州をめざすことが望ましいという結論に達し、ここに県民や県庁、県や市町村の議会、国に広く当会の基本的な考え方を提起する次第である。


U 道州制の意義
(1)道州制についての全国的な推進論
 地方制度調査会や道州制ビジョン懇談会など、全国的な議論の場においては、道州制推進の立場が主流であり、その内容は以下のように整理できる。

《地方分権の推進》
 ・現在の中央集権体制では、地域の課題に関して必要以上に国が法令や補助金、出先機関を通じて関与し、住民ニーズに合わない画一的な施策や二重行政の弊害が生じている。

 ・道州制を導入する場合、住民参画の下、地域のことは地域で決めることができるようにする。補完性の原理に基づき、住民にとって身近な市町村に優先的に権限を移譲し、それでも担えない事務は道州、国の順番で役割を分担する。そして同時に、市町村や道州の財政基盤も強化し、地域のニーズに適った施策を地域自らが迅速に決定し、自立的な発展ができるようにする。

 ・そのため、これまでの国の仕事の大半を自ら実施できる規模の広域中間団体への再編、すなわち都道府県制の再編と、これまでの都道府県の仕事の大半を引き受けることのできる基礎自治体の広域的再編、すなわち市町村合併のさらなる推進が図られるべきとする。

《地域の活性化》
 ・現在の中央集権体制では、政治や経済、文化情報発信機能等が東京に集中しているため、各県を広域的にまとめるブロック単位の活力が低下している。また、最近、高速道路や新幹線の整備等によって、この地域単位で一体的に取組む広域行政の課題が増えているが、地域のニーズに適った効果的で迅速な決定ができない。

 ・道州制を導入する場合、国と地方の事務配分(役割分担)を抜本的に見直すことを通じてブロック単位の中核都市機能を強化して繁栄の拠点をつくり、この地域単位の様々な課題を迅速に決定できるようにする。そうすることで東京一極集中が是正されると共に、多様な国際競争力のある地域を創出することによって結果として各道州の経済・財政基盤が確立し、日本全体の活力も維持・発展することができる。

《効率的な行政システム》
 ・現在の中央集権体制では、国が必要以上に地方に関与しているため、住民や企業が事業の許可申請などをした時に、事務手続が煩雑になると共に、国や県、市町村の部署をたらい回しにされることがある。また二重行政と批判されるような国と都道府県、都道府県と市町村の所轄の重複も多く、責任の所在の不明や非効率を生んでいるとされる。

 ・道州制を導入する場合、補完性の原理に基づいて国と地方の役割分担を見直すと共に、国政事務の大胆な地方への移譲により二重行政の除去と地方の役割とされる事務への国の関与を徹底的に排除する。そうすることで、企画立案から管理執行までを一貫して道州及び市町村が担うこととなり、住民や企業の事務手続が容易になる。また、この事務の簡素化に伴う中央省庁のスリム化や都道府県、市町村の合併によって、国と地方を通じた組織や職員、行政経費の削減ができる。

 道州制に関しては今のところ推進論が多いように見受けられる。しかしながら、他方において、道州制の弊害を指摘する意見もあり、またなぜ都道府県制ではダメなのかという疑問も提示されている。特に、連合を中心とする労組からは地方分権の推進には賛同するが、道州制については慎重論も根強く、さらに、全国町村会からは、平成20年11月26日の全国町村長大会において「強制合併につながる道州制には断固反対していく」とする特別決議がなされるなど、道州制に対して強い反対意見が出されている。これらは、十分に検討しなければならない課題であり、分権、財政再建に向けた他の選択肢も模索する必要がある。さらには、道州制についての国民世論もまだ成熟しているとは言いがたい。
 全国で議論されている道州制論については、沖縄道州制懇話会として大いに参考にし賛同できる部分もあれば、見方や見解が異なる部分もある。そこで、発足以来2年以上に及ぶ調査・議論を踏まえ、沖縄道州制懇話会の道州制に対する見解を以下のように整理した。

(2)沖縄道州制懇話会が考える道州制の意義
 明治以来の日本の国づくりは、欧米先進国に追いつき・追い越せをスローガンとし、そのための制度として中央集権体制を構築してきた。
 しかし、最近では、多くの分野で欧米先進国に追いつき一部の分野では追い越したものの、少子・高齢化による社会福祉及び医療ニーズの増大、農産物の自由化やアジア諸国に代表される新興国の台頭などによる国際競争の激化と地方経済の落ち込み、これらを背景とした教育ニーズの高度化と多様化など、新たな課題が出てきている。このような状況にもかかわらず、明治以来の中央集権体制はこれにうまく対応しきれず、その行き詰まりと限界は明らかである。
 現在勧められている分権改革の意義は、これまでの中央集権的・全国画一的な制度・枠組みを抜本的に改め、それに代わって、地方ごとに異なる住民の多様な価値観やニーズの把握とその対応策を、地域住民と協働でともに考え実現していく制度や仕組みをつくりあげることにあり、同時に住民による統制と住民自治が充実した地域社会のための地方政府に仕事と財源を移譲することによって現代的課題に応えることにある。
 したがって、道州制も、この文脈の上で考えるべきである。道州制を税収・資源の調達や公共財サービス供給に効率的な制度として捉え、規模の経済性の観点から一定規模以上とすることを原則とする区割り論などは、分権の本質にそぐわない議論である。このような考えに基づいて道州制を、行財政の効率化すなわち財政赤字の解決手段、行財政改革の手段としてはならない。
 そもそもの出発点は、現在の中央集権体制において、中央政府およびその出先機関に仕事量と財源が大きく偏り、その結果、住民自治による財政規律の引き締めや民主的な統制が効かず、地域住民の多様な価値やニーズの反映ができない仕組みを改めることにある。
 そこで、道州制を考える上で最も参考とすべきは、近年、欧州で台頭してきた準連邦型単一制国家である。そこでの州は、歴史的・地理的・文化的背景を共有する一体感を持つ地域からなる。その主眼は、中央に大きく偏った権限と財源を州に移譲することにより、政治や行政をできるだけ地域住民に身近なものとし、住民意思の反映や民主的統制をより強固なものとすることにある。欧州の事例において留意すべきは、規模の経済性を求めて、府県に相当する既存の中間団体を統廃合する行財政改革は主たる目的ではない点である。
 以上のような基本的認識に基づき、沖縄道州制懇話会は、道州制の意義を以下のようにとらえる。

《地域住民に根ざした地方政府の設立》
 @1963年の最高裁判所判決に端的に示されているように「地方公共団体といい得るためには、単に法律で地方公共団体として取り扱っているということだけでは足りず、事実上住民が経済的・文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在する必要がある」。したがって、地方政府として道州政府を設立するためには、その基盤として、地域社会における多様な個人や組織・団体の信頼と信用のネットワークに基づく社会的連帯感と共同体意識が必要である。

《補完性の原理および近接性の原理の徹底》
 A市町村と道州、国の役割分担においては、地域住民を主体にすることが大前提となる。したがって、近接性の原理により、住民にとって最も身近な市町村が優先的に事務や権限を担うことを基本とする。また、補完性の原理に基づき、市町村が担えない事務や権限を道州政府が補完的に担い、最後に、市町村でも道州政府でも担えない事務や権限を国が補完的に担うこととする。

《地方分権の徹底と地域主権の確立》
 B地方政府としての道州政府の基盤は、主権者たる地域住民の総意である。歴史的・地理的・文化的背景を共有するがゆえに、一体感を有して共同的発展をめざすことのできる地域社会において、主権を有する住民は、主権を住民のために代行する新たな政府を作り出す自己決定権を有し、その権利に基づいて地方政府を設置することができる。そのため、中央の権限と財源を地方からの要求に応じて大幅に移譲する地方分権を徹底して行う。それによって、大きな権限を有する地方政府を設立し、民主的統制の強化と主権在民の貫徹に寄与することを道州制の目的とする。

《準連邦型単一制国家》
 C明治以来、わが国は、中央集権型単一制国家として発展してきたが、今後のわが国の発展を展望した場合、中央集権型単一制国家の弊害と限界は明らかである。しかしながら、憲法改正を伴う連邦制国家へ飛躍することは、わが国の歴史と国民性に鑑みて適当とは言えず現実的でもない。したがって、今後の日本のあり方としては、単一制国家と連邦制国家の長所を取り入れることができる準連邦型単一制国家が適当であり、その手段として道州制がふさわしい。

《福祉国家の再編強化》
 D道州制がめざすべきは、福祉国家の縮小や国家財政による個人間・地域間の所得・財政の再分配の縮小ではない。むしろ社会的連帯と国民的な合意に基づくナショナルミニマムの充実を確立することが重要であり、そのために、財政も含めて、中央と道州及び市町村の制度設計がなされるべきである。

《地域経済発展の推進力の強化》
 E社会経済的な統制力が中央政府に集中する中央集権型単一制国家は、資本・情報・人材等の東京一極集中と不均衡な国土の発展及び地域間経済格差をもたらした。道州制の目的の一つは、できるかぎり中央の権限を地域・地方に移譲する準連邦制度的な仕組みの導入により、許認可権など地域経済振興に関する権限全般を有する地方政府を設立して社会的連帯に基づく地域経済発展の推進力とし、その結果として国土の均衡ある発展を実現することにある。

《一国多制度》
 F道州政府の設立は、該当する地域・地方の住民の総意に基づき、その地域・地方の特性や必要性に則してなされなければならない。したがって、道州制への移行にあたっては、一国多制度を基本原則とすべきであり、全国一律の制度設計や時期などを含む移行方法、人口規模などによる区割り規制などは厳に慎むべきである。

《地域社会の存続とナショナルミニマム》
 Gわが国では、その長い歴史の中で様々な地域社会が形成され、その時々の国内外の状況にあわせて、それら地域社会がそれぞれの役割を担いつつお互いに助け合い協力しながら国を形成し、同胞意識を醸成してきた。そうした歴史を振り返るならば、代々受け継がれ脈々と続いてきた地域社会を、今後も持続的に維持できるようなかたちで次の世代に引き継ぐことが現在の我々の責務である。そのためには、全国どこに住んでいても健康で文化的な生活が保障されることが必要であるだけでなく、それぞれの地域がそれぞれの意志と創意工夫でその地域を運営し発展させていけるような基盤づくりが必要である。

V 沖縄単独州をめざす理由

 (1)沖縄に関する基本認識
 道州制の目的が地方分権の徹底と地域の主体性の確立にあるとするならば、その前提として、地域の一体感や社会的連帯感、共同体意識がその基底に存在しなければならない。
 また、そうした地域の一体感や社会的連帯感、共同体意識を醸成するのは共通の歴史認識や地理的特性、共通の地域課題の存在である。
 沖縄道州制懇話会では、以下のような沖縄という地域に関する歴史認識と地理的特性及び基地問題という大きな地域的課題に鑑み、現在の沖縄県の圏域を単位とする沖縄単独州をめざすことで合意した。

 《歴史認識》
 沖縄はかつて琉球王国の時代、「舟揖を以って万国の津梁となし」と刻んだように荒波を越え、東アジアを股にかけて栄華を誇った歴史がある。明治に入りようやく日本の版図となり、太平洋戦争においては、住民を巻き込んだ国内唯一の地上戦の戦場とされ、教科書検定問題で明らかとなったように悲惨な戦争の実態が人々の歴史として共有されている。
 また戦後の米軍統治下の琉球政府時代、米国型の三権分立の制度の下、立法院の議員に立法案と予算の提出権が専属し、また、琉球政府は関税や出入国管理、司法等を担っていた。当初、米国民政府の任命制であった琉球政府主席は、住民の自治権拡大の運動によって、1968年には住民による直接公選を勝ち取った。このように九州・本土の他の都道府県とは異なる歴史を持つと共に、1972年の施政権返還後、沖縄振興開発特別措置法に基づく各種事業の実施を図るため、沖縄開発庁(現在、内閣府沖縄振興局)、沖縄総合事務局が設置されている。現行制度においても、出先機関の設置区域は、九州と異なる政治行政区画となっている。
 また、沖縄は日本有数の移民県と言われ、ウチナーンチュはハワイや南米など世界各国に雄飛し、その地域に深く根付くと共に母県との間に強い絆を保っている。現在、沖縄県は国際交流拠点の形成を図るために「世界のウチナーンチュ大会」を開催しているが、そのネットワークを活かした独自の文化・経済交流が考えられる。

《地理的特性》
 日本の国土は南北に長いため、亜寒帯から亜熱帯まで地域によって気候が大きく異なる。また、列島の中央を縦走する山岳地帯を境に太平洋に面している地域と日本海に面している地域で気候が大きく異なる。さらに、東西1,000キロ、南北400キロにおよぶ沖縄県域を含めた日本の領海・排他的経済水域面積は447万q2(世界第6位)となり、それを構成する広大な海域に点在する数多くの外海離島は、それぞれ固有の自然と生態系を有すると共に、独自の歴史と文化、地域社会を育んできた。そのため、国際的協調の下、海洋立国の実現をめざす日本において、各自治体はそれぞれの自然的・社会的条件に応じた施策を策定し実施する責務を有しており、多様な地域特性に応じた活力ある地域づくりを行う必要がある。
 一方、人口約138万人を有する沖縄県は、九州・本土から大きく海を隔てて、広大な海域に大小160、有人49(沖縄本島と橋でつながれた島を除いたら39)の島々が点在する島嶼県であり、他の九州7県の主要都市との交流・物流は空路・海路に限られている。
 沖縄のこうした地理的特性は、沖縄が九州と同じ道州の区域になった場合、道州政府が住民にとって所要時間や移動コストの面から非常に遠い存在となってしまうことを意味する。また、陸続きでないために九州に新幹線や高速道路等の社会基盤整備をおこなっても沖縄にメリットがなく、逆に沖縄での空港、港湾等の社会基盤整備は九州のメリットにならない。さらに、九州の観光施策において、沖縄のリーディング産業である観光業は競合関係にあると見なされている。
 この他、沖縄の亜熱帯性と外洋離島性は沖縄の地域振興を考える上で重要である。亜熱帯性は、地域素材を活用した経済振興や台風などの防災対策、固有の自然と生態系を保全する自然保護といった分野における独自施策の必要性につながるものである。また、沖縄が外洋に点在する多くの有人離島を有していることは、日本全体の海域保全に貢献している事の証明であり、そうした観点からの定住支援が重要である。

《奄美について》
 現在、奄美地域は、鹿児島県を構成しているが、例えば「琉球王朝」や「琉球諸島」などのように、歴史的な用語あるいは地理的な用語として琉球という場合は、奄美地域を含める場合もある。
 地域の主体性を最大限に尊重することが最も重要であることから、奄美地域については当事者である奄美の人々が区域問題を判断することが前提であるが、沖縄としては沖縄と奄美の歴史的な経緯や共通の自然的・社会的条件等を踏まえ、奄美地域への親近感を持っており、道州制について共に議論し、地域的合意が得られるならば、共に一つの琉球州を構成したいとする意見も強い。

《基地問題》
 米軍基地が本島面積の約19%を占有、在日米軍専用施設の75%が集中し、「日本の安全保障の要」とされるなど、沖縄固有の問題として「基地問題」を抱えている。沖縄県議会本会議での質問中、基地から派生する事件、事故、返還跡地利用、地位協定の改定、安全保障などの米軍基地に関係するものは約3割を占めるとも言われている。
 議会での審議と共に知事も基地問題に対しては最重要課題として取り組みを行ってきた。沖縄が九州に統合された場合、九州州の議会や首長においては全九州の案件が重視され、沖縄に特有な基地問題に対して重点的な取り組みを期待することはできない。

 (2)沖縄単独州の理念・目的
 中央政府や経済界、各地方において道州制に関する議論が進んでいる現状である。その方向性は、基本的には数都道府県を合わせた広域的自治体を創設することにある。
 この原則が沖縄に適用されるとするならば、沖縄を一まとまりとする自治機構の喪失を意味することになる。最近では沖縄が単独で州となることについての理解が全国的に進んでいるが、最終的にどうなるかは予断を許さない。また、沖縄単独州となったとしても、全国一律の制度設計では、沖縄の自治と自立にとってむしろマイナスになる恐れもある。
 重要なことは、国政において道州制の導入が公式に議題とされ審議が進む中において、沖縄が自らの意思で沖縄のかたちを構想し、発信することである。特に、県合併を伴う「標準型」の道州制とは異なる沖縄の自治と自立にとって望ましい「特例型」の道州制のあり方を早急に提起する必要がある。
 琉球王国時代、沖縄はアジアで最も活力に満ち溢れる海洋交易国家の一つであった。かつての「万国津梁の精神」を現代に取り戻し、アジア・太平洋新時代にふさわしい明確なビジョンを、今後、県民全体で策定し共有化する必要があろう。
 沖縄道州制懇話会では、沖縄のビジョンを実現し、固有の問題を解決するためには、迅速に地域のことは地域で決めることができる沖縄州が必要不可欠であるとの観点から、沖縄が単独で州をめざす理由及び理念・目的を以下のように整理した。

《21世紀アジアと日本、沖縄の平和と繁栄の実現》
 @道州制は、活力ある多様な地域社会からなる日本、そして、アジア諸国からも信頼される日本をつくる有効な手段とすべきであり、それは同時に、アジアの中における沖縄という視点から、日本を含めた21世紀アジア全体の平和と繁栄を構想することでもある。沖縄のアジア・太平洋クロスロードとしての観光や健康産業等のポテンシャルを活かし、交流型社会のフロントランナーとして知の交流・集積地となり、外海離島である沖縄が国内外の企業・人にとっても魅力的な世界に開かれた活力ある地域をつくるために、沖縄は単独で州をめざす。

《共同体意識に基づく地方公共団体の設置》
 A先述した最高裁判所判決にもある通り、自治にとっては共同生活・共同体意識という社会的基盤の存在が重要である。沖縄の地理的特性や歴史的事情、文化的な固有性、県内世論等を踏まえれば、沖縄においては奄美地域を除いて他の地方と共同体意識を持てる状況ではないと言える。国際的にみれば、韓国の済州道や英国のスコットランド、フィンランドのオーランド、スペインのカタロニアなどで共同体意識に基づいて特別な自治州が設立されており、沖縄州の設立は多様な地域社会からなる一国多制度の日本社会を創出することに寄与することから、沖縄は単独で州をめざす。

《新しい信頼関係とソーシャル・キャピタル(社会関係資本)に基づく地域活性化》
 B今後、沖縄州の地域活性化を実現するための有効な資本は、共同体意識に立脚したソーシャル・キャピタル(社会関係資本)であり、住民自治に不可欠な社会資本として注目されている。この新しい資本の構築には、地域の住民と様々な団体・組織、民間企業、行政等がそれぞれの分野の性格を尊重しながらも、地域公益向上にそれぞれの役割を発揮し、その過程で人々の信頼関係、規律、効率性を高め機能する「新しい関係づくり」が求められている。このようなソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の充実に基づく地域の再生と活性化を実現するために、沖縄は単独で州をめざす。

《地理的特性に起因する交通や物流、国境離島の問題》
 C沖縄の地理的特性に起因する交通や物流、国境離島の問題を解決するために、また、他の地域から海を隔てて遠く離れている離島地域の沖縄では、他地域と一つの道州を構成するメリットが少ないことなどに配慮して、沖縄は単独で州をめざす。

《基地問題の解決》
 D沖縄が九州に統合された場合、九州州の議会や首長においては全九州の案件が重視され、沖縄に特有な基地問題に対して重点的な取り組みを期待することはできない。このような沖縄固有の問題を解決するために、沖縄は単独で州をめざす。

《道州制の先行モデルとしての沖縄州》
 E沖縄が単独で州となった場合、その人口や経済規模は他の道州と比べ小さくなる。これをデメリットと見る向きもあるが、むしろメリットととらえることも可能である。例えば、様々な先進的な変革に対して、小さいからこそ迅速にチャレンジでき、全国のパイロット的な役割を担うことが可能である。すなわち、道州制の先行モデルとして沖縄州を位置づけることにより、活力ある多様な地域社会からなる日本をつくることに貢献できると考えるのである。

《日本とアジアの架け橋》
 F沖縄戦の体験、琉球政府の経験に基づいた沖縄州の視点から、地域社会とアジア諸国との歴史認識の共有や経済交流、平和外交等を積極的に担い、その必要性を日本全国に提起することは、近隣のアジア諸国からも信頼される日本をつくることに、沖縄から貢献することになる。


W 道州及び沖縄州の事務(権限)
 国と道州の役割分担については、補完性の原理を基本とし、住民に身近な生活や福祉等に関する行政サービスのうち、市町村が担わないものについては、原則として道州政府が担うこととする。
 また、複数の道州にまたがる仕事や事務であっても、安易に国の役割とはせず、関連する道州政府による広域連携によって対応することが重要である。
 国の重要な役割の一つは、医療や福祉、教育など国民生活に密着した分野において、ナショナルミニマムを保障することであり、国は、市町村や道州がそうした住民サービスを行うための財源確保に必要な財政調整や財源保障を担う必要がある。
 この他、国の仕事は、国防や外交、全国的に統一して決めたり実施した方がよい規則や業務、全国的な規模で行わなければならない施策や事業など、道州政府が担えないものを基本とする。
 ただし、それらの分野でも、道州が担える役割や事務については、道州が積極的に担うことも必要である。
 沖縄州の事務及び権限については、国境管理や海洋保全など、他の道州においては国の役割とされるような仕事についても特例として沖縄州の仕事とする。

《道州の役割と補完性の原理》
 @道州政府及び議会は道州住民の福祉の向上に必要と思われるすべての事務について自らの役割とする。道州政府が担うことができない事務については中央政府の役割とし、中央政府と道州政府の役割分担を明確に区分する。道州政府の役割とされた事項については、道州が責任を持って担い、中央政府の関与を受けないことを基本とする。ただし、国は国民の最低限の生活条件整備(教育、福祉、医療、食品安全等)については、財源保障を行い支援する責務を負う。

《道州の役割に関する協議》
 A道州の長は、その議会の議決を経て、中央政府に対し、その権限に属する事務の一部を当該道州政府が担うこととするよう協議を求めることができる。また、道州自治に影響を及ぼす法律または政令その他の事項に関し、事前に内閣に対し、意見を申し出ることができる。さらに、地域に関わる中央政府の意思決定については国と道州や市町村が協議する仕組みを設ける。

《中央政府の役割》
 B中央政府の役割については、可能な限り法律で限定的に列挙する。中央政府の役割は、地方自治法において(1)「国においては国際社会における国家としての存立に関わる事務」、(2)「全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動、もしくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務」、(3)「全国的な規模で、もしくは全国的な視点で行わなければならない施策及び事業の実施」と規定されおり、この考えを徹底する。そのために、地域住民の生活に影響を与える内政等に関する事項については、原則として道州政府の役割とすることを基本とすることを法律で規定する。

《道州政府間の広域連携》
 C単に、規模が大きい、道州の区域を越えるなどの理由で、内政に関する事項を中央政府の役割とはせず、できる限り道州政府間の連携によって事務を遂行することを基本とする。

《企画立案と管理執行》
 D道州政府の役割とされたものについては、道州政府が直接企画立案、執行することを基本とする。地域に関わる中央政府の意思決定は国と道州や市町村が協議する仕組みを設けることを前提として、中央政府の役割とされたものについては、中央政府が直接企画立案、執行することを基本とする。

《中央政府の関与》
 E道州政府の役割とされた事項について、中央政府が国会に法案を提出する場合は、その内容は基本的事項や標準を示すにとどめ、具体的な内容については道州議会が制定する条例に委ねることを基本とすることを法律で規定する。

《「特例型」道州としての沖縄州》
 F沖縄州は、他の道州においては、もっぱら国が実施する事務事業であっても、外海離島である沖縄州に即して、国と道州の役割を見直し、沖縄州に相応しいものについては、他の道州に認められる以上の権限を有する「特例型」道州とし、その持続的な経済・財政基盤の確立を図る。具体的には、国境に位置する沖縄州は世界に開かれた活力ある州をつくるために、関税や出入国管理等の国の国境管理に関する権限移譲を求めると共に、それに伴う責任ある対応を行う。また、基地所在地域の負担軽減策や基地返還跡地利用対策については、歴史的な経緯を踏まえた国の責務に鑑み、地域と国が協議し、地域の立場を踏まえた仕組みや国から地方への権限の付与、国の支援策が必要不可欠である。

《出先機関の事務》
 G国(あるいは中央政府)の出先機関の事務は、国の事務とされたものについて直接執行する分野を残し、道州政府の事務と規定された事務については道州政府に企画立案から管理執行まで一貫して移譲するものとし、そのための組織改編を行う。

X 道州政府及び沖縄州政府の設立の方法

 道州政府の設立にあたっては、その主旨に照らして、歴史的・文化的背景を共有すると共に経済的・社会的に密接な関係性を有するなど、社会的連帯感に基礎を置く地域社会や共同体的性格を有する地域・地方を基本的な単位とすることが重要である。
 また、道州制は、行政制度改革の一環とのみ考えるべきではなく、このような一体性や共同性を有する地域住民を主体として、自らその地域社会を発展させることをめざした地方政府の新たな創造と考えるべきである。
 したがって、道州政府の設立にあたっては、地域住民の合意を最大限尊重することが最も重要であり、そのためには、住民への情報提供と徹底した議論が大前提となる。また、人口規模や経済規模によって区分や管轄領域、権限等を設けられるものではなく、それぞれの地域住民がそれぞれの地域社会の発展に必要かどうかという点を考慮して、その権限及び国や市町村との役割分担を議論しつつ確定していくものである。したがって、制度設計や設立方法等においてそれぞれの地域の多様性を認めるのが当然であり、一国多制度を前提とすべきである。
 端的に言えば、道州政府設立の最大の意義が地方分権の徹底にあることを考えれば、地域住民の合意形成のための方策や移行時期をはじめとする道州制の設立方法についても、中央主導ではなく、地方主導で行われるべきである。

《地域住民の合意形成》
 @道州政府の設立にあたっては、主権者たる地域住民の授権による地方政府設立を大前提とすべきであり、国及び都道府県は、そのために必要な情報を提供し徹底した議論の場を設置する義務がある。道州政府の原案作成については、都道府県のうち、単独で道州政府を設置する地域においては、現在の都道府県が協議の場を設置し、複数で道州政府を設置する地域においては、複数の都道府県の代表からなる協議の場を設定するものとする。いずれの場合でも、この協議の場は、各都道府県において条例によって裏付けられなければならない。

《住民投票》
 A主権者たる地域住民の総意をもって、道州政府を設立するための手段としては、住民による直接投票が適切である。国は、住民投票の結果が法的拘束力を有するよう法整備を行う必要がある。

《地方のイニシアティブ》
 B道州制の導入においては、地方分権及び地域主権を旨とすべきであり、その推進にあたっては、中央主権ではなく地方主導で行うべきである。したがって、道州の設立や制度設計においても、それぞれの地方のイニシアティブが最大限に発揮されなければならない。

《国と地方の協議の場の法制化》
 C道州政府の設立に際しては、地方分権や道州制など地方の政策に関して、国と地方が協議する場を、法的位置づけが明確な形で設けることが必要不可欠である。

《道州制基本法》
 D道州政府の設立にあたっては、推進のための基本法が必要となるが、地方の自主性や独自性を担保するため、国の基本法は基本原則を定めるにとどめ、制度設計などの詳細についてはそれぞれの地方に委ねることとする。

《沖縄州政府の設立時期》
 E沖縄県民の合意や法的整備などの諸条件が整うならば、全国に先駆けた先行モデルとして沖縄州政府を設立する。

《沖縄州設立のための組織》
 F沖縄において道州制にどう対応するかについて、沖縄の世論を結集するため、各界・各層を代表する委員からなる組織を、法的位置づけが明確な形で設置する必要がある。そのなかで、道州制や沖縄州に関する問題や課題を議論・整理し、移行に向けたロードマップを県民に示すことが重要である。

《沖縄州と国の協議機関》
 G沖縄州から国に対してさらなる権限移譲の要求と沖縄関連の現行法令改定について協議する機関を法律に基づいて設置する。協議機関は、沖縄州の代表と関係閣僚により構成される。会議の開催については、定例会と臨時会をおき、臨時会は沖縄州知事もしくは関係閣僚から開催請求のあった場合に開催する。権限移譲に関する法案及び現行法改正案については、協議機関での決定に基づいて沖縄州知事及び所管省庁大臣が作成するものとする。

《沖縄における住民投票》
 H国の法整備のいかんにかかわらず、沖縄において道州制にどう対応するかの住民意向を確認する手段として、住民による直接投票を実施するものとする。


Y 道州及び沖縄州と市町村のあり方

 市町村は、住民に最も身近な自治体であり、その基礎は、単に法律で地方公共団体として取り扱っているということだけではなく、事実上住民が経済的・文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識を持っているという社会的基盤が存在することにある。
 そうした地域社会や生活共同体の在り様は、各地方や地域の歴史や地理的特性、文化に深く根ざしたものであり、多種・多様な形態が存在し、その範囲や人口規模も様々である。また、地域住民が市町村に期待する役割や行政サービスにも多様性が存在する。
 重要なことは、こうした生活共同体や地域社会の歴史性や地理的特性、文化、面積や人口規模、行政サービスに対するニーズの多様性を尊重することであり、それを基盤とする市町村の在り様についても多様性を認めることである。
 道州と市町村の役割分担については、道州と国との関係と同様に、住民に身近な市町村を優先し、近接性の原理と補完性の原理を基本とする。したがって、住民に身近な生活や福祉等に関する行政サービスは原則、市町村が担うものとし、そのうち、市町村が担わないものについて、道州政府が担うこととする。

《道州と市町村のあり方》
 @道州制における道州と市町村のあり方は地域に則した多様な形態が考えられるため、それぞれの道州の自主性を尊重する。なお、そのあり方は、地方政府設置の自己決定権を有する主権者である住民に身近な市町村が、道州に対してイニシアティブを発揮して決定すべきである。

《市町村優先の原則》
 A沖縄州と市町村の役割分担は、近接性の原理および補完性の原理に基づき市町村を優先する。この市町村優先の原則から沖縄州と市町村が協議を行い、沖縄州の役割を州条例にて限定列挙する。また、沖縄州及び市町村の長によって構成される常設の協議の場を設置する。

《補完性の原理の徹底》
 B沖縄州の市町村の規模や機能については、現在の市町村の自主的な判断に任せる。ただし、分権が進む中で、市町村に対してより大きな権限や財源、機能が求められる場合、沖縄州が直接補完をしたり、周囲の市町村が近隣の市町村の補完を行うことが考えられるとともに、広域連合等の広域自治体を設け、その広域自治体と現在の市町村の間で補完の関係を構築することも考えられる。このように、市町村に求められる役割と、その役割を担うための市町村の規模や機能については、補完の仕組み等を整えることで、多様なあり方が考えられる。
 なお、今後、国、道州、市町村の役割分担が明らかになった段階で、さらに市町村のあり方を検討する必要がある。

《地域住民主導の財政再建》
 C全国の道州制の議論では、国と地方の厳しい財政事情を踏まえて、市町村合併や二重行政の解消による効率的な行政システムの必要性が提起されている。しかしながら、二重行政の解消については、一定の意義が認められるものの、市町村合併については、本来、広域化に適しない外海離島が存在する等の沖縄の地域の実情を考慮して各市町村が決めるべき事柄であり、これを過度に強調すべきではない。
 ただし、沖縄道州制懇話会としても、道州制下では現行以上に沖縄の持続的な経済・財政基盤の確立が求められることを直視し、沖縄州においては、住民主体の地域経営、特に財政規律の強化、社会関係資本の重視による地域活性化の推進などによる財政の確立をはかることが最も重要と考える。


Z 道州及び沖縄州の税財政制度

 地方分権の推進と道州制の導入を税財政制度の側面からみるならば、できるだけ住民に近い市町村や道州に権限や財源を移譲することで、地域運営や財政運営を住民に近いものとし、住民ニーズに即しつつ行財政を効率化する点に一つの義務がある。
 そこで注意しなければならないことは、医療、福祉、介護、教育などの分野において憲法が保障するナショナルミニマムを確保することであり、海洋を含めた国土形成とその保全に対し各地方が担っている役割を正当に評価することである。
 そのためには、権限と人材を地方に移譲するだけでなく、そのために必要な財源保障と財政調整制度については国が責任を持つことが重要であるが、その場合、地方自治が侵害されないよう国の関与を極力抑えるような制度とすべきである。
 沖縄について言えば、陸域面積こそ小さいものの、海域面積は広大であり、海底資源や海洋資源の分野における役割は非常に大きく、離島における定住策を、ナショナルミニマム及び国土の形成・維持の観点から充実することが望まれる。

《税財政の見直し》
 @道州制の導入にあたっては、各道州及び市町村の持続的存立が図られるよう、国と道州・市町村間の税配分の見直しや地方税の拡充など、税財政の抜本的改革が必要である。その際、道州及び市町村には偏在性の少ない税目を中心に充てるべきである。

《ナショナルミニマムの保障》
 A憲法第25条及び第26条に示されているナショナルミニマムの実現のため、医療、教育、福祉に関する国民の最低限度の生活条件整備の財源保障は国の責任において行われるべきである。また、公正な社会の実現という社会正義の観点から、公正な配分を通した国民間の格差や地域間格差の是正が図られる必要があり、それをよりよく実現するものとして分権改革および道州制の導入を検討すべきである。

《財源保障と財政調整制度》
 B道州制への移行にあたっては、大幅な権限と人材の移譲と共に、それに伴い生じる財政需要に見合う財源移譲と財源保障がなされるべきである。したがって、道州制移行後も、そのための財源保障機能を含む財政調整制度が必要である。ただし、それは、地方自治の本旨に則って制度設計されるべきであり、地方自治を侵害することがあってはならない。

《住民による財政規律の確立》
 C道州制の導入においては、税負担や施策・事業の優先順位の決定、過剰・不要な行政サービスの見直し等における住民参加を促進するなど、地域運営や財政運営を国民の身近なものにし、住民主導による財政規律の確立を図る。自治体の施策や事業の優先順位を不当に歪め、自治体の財政規律を破壊する国の奨励的事業推進のための国庫補助金制度は廃止する。

《国土形成離島群》
 D伊豆・小笠原諸島、壱岐・対馬諸島、琉球諸島などは、国土を形成する国境離島群であり、日本の領海及び排他的経済水域等の形成、海上交通の安全の確保、海洋資源の開発及び利用、海洋環境の保全、近隣諸国との平和交流をその基礎において支えている。これらの国土形成離島群があることにより国土にも該当する保全されるべき海洋は広大であるが、当該離島群の自治体外交による平和交流は関連する国際的地域の平和の安定に大きく寄与している。したがって、これら離島における住民生活の維持と離島が果たす役割に関して国は最大限に配慮すべきである。ただし、その方法は、そうした地域に昔からある地域社会とその住民の総意に基づく平和的手段を大原則とすべきである。

《離島定住支援財源》
 E沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島、大東諸島など現在の沖縄県の区域にある島々は、国土形成離島群であり、定住支援および草の根交流支援など、ナショナルミニマムの保障と国土の均衡ある発展をめざすための適切な財源保障措置がなされるべきである。

《沖縄の特例的権限》
 F沖縄の自立に向けて、沖縄の特例的権限として、沿岸及び国境警備や漁業資源の管理・利用、海底資源探査と利用、サンゴ礁等の海洋・海岸環境の保全といった海洋管理、出入国管理や税関、検疫等の国境管理などを想定し、その権限と共に財源の移譲を要求する。

《在沖米軍基地関連施設及び米軍人・軍属への課税》
 G沖縄州は、自主課税権に基づき、在沖米軍とその関連施設、沖縄居住の米軍人・軍属に対し、固定資産税や住民税、環境税など国民に対するのと同様に課税することができる。これに関連して国は、課税に必要な基礎的情報を提供するものとする。なお、国は米軍との協定・協議に基づき、その課税分を米軍に代わって支払うことができるものとする。そうして得た税収は、基地被害対策や基地跡地利用のためだけでなく、自立的経済に向けた経済振興策の財源に充てるものとする。

《沖縄州政府の自助努力》
 H沖縄州政府は、国境管理などすでに挙げた特例を含め、税財政、貿易、経済産業分野の許認可権等の権限が移譲されるものとして、現行以上の地域振興や雇用の確保に努めると共に、課税対象の育成・涵養を図る必要がある。


[ 道州および沖縄州の機構

 道州制の最も大きな目的の一つは、地方分権であり、地方自治を基礎とした日本全体の活性化である。したがって、道州の機構については、各地方の事情に則して設計されることが重要であり、住民主体の地域運営を最優先に考慮すべきである。
 ただし、道州制の移行に伴い、道州知事には大きな権限が付託されることが予想されるため、道州議会はこれに対抗できる強い議会とするべきである。
 一方、住民及びその代表である議員には、地域運営の主体者としての自覚と行動が求められる。
 沖縄の住民には主権に対する最終的な自己決定権があり、そのような権利を有する住民が求めるならば、その歴史的・地理的特性などから、全国で最も大きな権限を有する州となることが可能である。特に、戦後27年間にわたる米軍統治下において自治を拡大してきた経験、なかでも三権分立の琉球政府を有していたことは、今後の沖縄州の制度設計を考える上で参考になる。

《自主組織権の尊重》
 @道州の機構については、道州自身が自らの組織を創出するという自主組織権を重視し、基本的事項のみを国の法律で定め、詳細については、各道州が定めるのが適当である。

《住民視点から見た効率的かつ公平・公正な道州政府》
 Aその際、道州の組織については、各道州とその区域の市町村との適切な役割分担を踏まえると共に、納税者たる住民の立場から行政サービスの質と量及びその提供主体のあり方を考え、効率的かつ公平・公正な道州政府をめざすことが重要である。

《道州政府の規模》
 B各道州政府を、大きな政府とするか小さな政府とするかについては、市町村と道州、国の役割分担と権限及び事務量の明確化と平行して検討していくことが適当である。

《地方政府としての沖縄州政府》
 C沖縄住民の総意に基づき、国と対等な地方政府として沖縄州政府を設置する。沖縄州政府は、沖縄州議会、沖縄州行政府、沖縄州裁判所で構成される。

《沖縄州政府の法的位置づけ》
 D沖縄州政府のあり方に関しては、憲法の範囲内ではあるが、現行の地方自治法の枠内に必ずしも留まる必要がないことを前提とする。

《三権分立と二元代表制》
 E沖縄州政府は、アメリカ型の三権分立、二元代表制を基本とし、立法機関と行政機関を厳格に区別する。したがって、知事は、原則として議会には出席できないが予算及び法案についての教書を議会に提出することができる。

《住民意思を反映できる仕組みづくり》
 F知事や議員の直接選挙だけでなく、教育委員や公安委員等の執行機関の委員の選挙、沖縄州裁判所判事の罷免に関する投票など、可能な限り住民の意思を反映できる多様性のある仕組みづくりを基本とする。また、それら執行機関に対する住民統制の厳格化やそこにおける民主的な決定を担保するため、その運営にあたっては、決定手続および執行手続の適正化と透明化を徹底する。

《沖縄州議会の権限》
 G沖縄州政府に議決機関として沖縄州議会を設置する。沖縄州議会議員は、予算・法案の提出権と議決権を有する。

《議員の選出》
 H議会は一院制とし、議員は沖縄州住民による直接選挙によって選出する。議員定数と選挙区については、市町村や人口のバランスに配慮して沖縄州条例によって定める。

《議会の付属機関》
 I会計検査機能、行政評価機能、予算編成機能などを有する機関は、議会に付属するものとする。

《議会機能の強化》
 J議会機能を強化するため、議会の事務局機能や議員の政策秘書の拡充などの措置が必要である。

《議会公開の原則徹底と情報共有機能の強化》
 K議会およびそのもとにおかれる委員会、小委員会、協議会、検討会等は、住民に開かれたものとすることを基本原則とする。したがって、あらゆる会議の議題と審議に用いられる資料は、事前に公開する。公開にあたっては、個人情報保護等に配慮する必要があるが、その場合でも秘匿とする情報は必要最低限にとどめるものとする。

《知事》
 L沖縄州の行政の執行機関として知事を置く。知事は、州内全域を選挙区とする直接選挙によって公選される。また、知事の多選は禁止とする。

《沖縄州行政府の設置》
 M沖縄州知事を長とする沖縄州行政府を設置する。沖縄州行政府の権限及び義務、組織、職員については州条例にて定める。その際、部長クラスの幹部職員を一般職とするか特別職とするかについては検討課題である。

《執行機関の多元主義》
 N執行機関の多元主義に基づき、統治に関する各種委員会を、州条例に基づき設置する。委員の選出については、住民による直接選挙等を含め今後検討する。

《自治司法権》
 O沖縄州は、地方自治の本旨に基づき、自治司法権を有する。

《沖縄州裁判所の設置》
 P沖縄州の自治権の拡大は、その自治事務についての行政紛争を増加させるものと予想される。したがって、自治事務についての行政争議を解決する司法機関として、従来の地方裁判所とは別に、沖縄州裁判所を設置する。

《沖縄州裁判所の位置づけ》
 Q沖縄州裁判所は、最高裁判所の下にあるものとする。

\ おわりに

 2年にわたる懇話会の議論の成果は、道州制下において沖縄の将来像が単独かつ特例型であることを確認したことにある。それはこの間に各団体が主催するシンポジウム等において広範な支持が得られたことからも明確になっている。単独州を求める沖縄の世論は、日本経団連、道州制ビジョン懇談会等全国レベルでも理解を得るところとなった。沖縄が議論をする間もなく沖縄の運命が決められるのではないかという当初の懸念はとりあえず解消した。懇話会の所期の目的は達成されたといえる。さらに、「道州制に意義があるとすればそれは何か」「沖縄州の機構」「沖縄州と市町村との関係」などといった踏み込んだ提言ができたこともまた一つの成果である。
 しかし、単独州に異論があることは当然であり、また懸念を示す意見もあろう。特例の中身等も十分な検討には至っていない。本提言は、議論の方向性を示す第一段階のものにすぎず、具体的制度の設計が今後の課題であり、衆知を集めた研究と県民レベルの議論が必要である。自主的な議論こそが、沖縄州設立の力であることが本報告の基調である。

 かつて中山吉一氏(当時、沖縄経済同友会代表幹事)は、「21世紀への模索」という沖縄タイムスの連載に「道州制の導入」について寄稿し、「近代日本史にレイト・カマーとして登場した悲哀を味わって来た県民にとって、沖縄州の確立はその気概を試されるはじめての機会となるかも知れない」(1992年12月27日、沖縄タイムス)と総括した。
 レイト・カマーという言葉には、「遅参者」と「新参者」という二つの意味がある。前者の意味からは、遅れて日本に入ったが故に、地域の主体性を発揮できず、「周回遅れのラストランナー」として現実的な対応に追われ、中央集権という仕組みの中で同じレールの上を後から走らざるをえない沖縄の姿が浮かび上がる。また、その延長上では、いつまでたっても前に出ることができない遅参者のままの悲観的な将来展望が透けて見える。しかし、後者の意味で沖縄を捉えるならば、グローバリゼーションとアジアの台頭が顕著な21世紀、地理的にも歴史的にも日本とアジアに開かれた地域特性を生かし、固定観念にとらわれずにチャレンジする「交流型社会のフロントランナー」として、「新しい国のかたち」を先導する可能性を秘めた楽観的で主体的な沖縄の将来が展望できる。
 この時、重要なポイントとなるのが地方分権型の道州制である。なぜなら、沖縄のみならず、地方がその地域特性や社会的連帯を生かして地域の活性化と安全・安心な地域づくりに取り組むためには、地方自治と地域の主体性を尊重して地域運営を住民の手に取り戻すと共に、権限と財源、人材を地方に移譲する地方分権が必要不可欠となるからである。つまり、道州制の導入は、中央集権から地方分権へとこの国のかたちの大転換を図ることにより、住民主体の地域運営を確立し、それぞれの地域と日本全体の活性化をめざすところにその重要性があるといえる。そして、そうした地方の時代を先導する道州制の導入は、日本で最も個性豊かな沖縄を、周回遅れのラストランナーから交流型社会のフロントランナーへと変貌させる可能性を秘めているのである。
 ただし、それは容易なことではない。それを現実のものとするためには、沖縄に住むわれわれが気概と覚悟をもって、活力ある多様な地域社会からなる日本、そして、近隣のアジア諸国からも信頼される日本をつくる先導的役割を担う決意が必要であり、その有効な手段としての道州制の導入とモデルとしての沖縄州の設立を沖縄から実現する必要がある。
 そのためには、沖縄の人々が、自分たちのレールを新しく自分たち自身で引き直していく勇気と思考力と強い意思、そして具体的な実践力が必要不可欠であり、何よりも、沖縄自身による気概ある「人づくり」とそのための教育が重要である点を強調しておきたい。
 沖縄は繰り返し自立を議論してきた。道州制の時代に、今こそ広く沖縄の将来像を語る時である。この提言がその素材となることを祈念している。


◆参考資料
◇策定経過
・事前調整会議(平成19年8月8日)
  議  題:沖縄道州制研究会(仮称)規約(案)について
・第1回 沖縄道州制懇話会(平成19年9月12日)
  報  告:沖縄自立構想の歴史的展開(仲地博座長)
・第2回 沖縄道州制懇話会(平成19年11月12日)
  報  告:沖縄開発庁廃止、その時沖縄は(吉元政矩委員)
  報  告:シンポジウムの報告概要について(太田守明委員)
・第3回 沖縄道州制懇話会(平成19年12月17日)
  報  告:道州制をめぐる政府や全国の動向について(太田守明委員)
・第4回 沖縄道州制懇話会(平成20年1月21日)
  報  告:道州制における沖縄の位置づけと単独州案及び統合案のメリット・デメリットについて(島袋純委員)
・第5回 沖縄道州制懇話会(平成20年2月8日)
  報  告:「沖縄振興(開発)体制のメリット・デメリットと単独州が経営破綻しない目標と仕組み」(島袋純委員)
  検討問題:沖縄単独州の区域(理念・目的)について
・第6回 沖縄道州制懇話会(平成20年3月10日)
  検討課題:沖縄単独州の事務について
・第7回 沖縄道州制懇話会(平成20年4月14日)
  検討課題:第1次提言(事務局案)について
・第8回 沖縄道州制懇話会(平成20年4月28日)
  検討課題:第1次提言(案)について
・第1次提言 最終確認会議(平成20年5月8日)
  検討課題:第1次提言(最終案)について
・第9回 沖縄道州制懇話会(平成20年7月14日)
  検討課題:沖縄単独州の機構一特に、道州会議あり方−
・第10回 沖縄道州制懇話会(平成20年8月11日)
  検討課題:沖縄単独州の機構一特に、道州会議のあり方−
・第11回 沖縄道州制懇話会(平成20年9月8日)
  検討課題:沖縄単独州と市町村のあり方
・第12回 沖縄道州制懇話会(平成20年10月6日)
  検討課題:沖縄単独州と市町村のあり方
・第13回 沖縄道州制懇話会(平成20年11月10日)
  検討課題:税財政制度について
・第14回 沖縄道州制懇話会(平成20年12月8日)
  検討課題:税財政制度について
・第15回 沖縄道州制懇話会(平成21年1月19日)
  検討課題:振興体制について
・第16回 沖縄道州制懇話会(平成21年2月9日)
  検討課題:「振興体制」の位置づけと道州制の是非論について
・第17回 沖縄道州制懇話会(平成21年3月9日)
  検討課題:道州制のあり方と特例型の権限等について
・第18回 沖縄道州制懇話会(平成21年4月13日)
  検討課題:道州制のあり方と特例型の権限等について
・第19回 沖縄道州制懇話会(平成21年5月11日)
  検討課題:沖縄単独州と市町村のあり方について
       税財政制度について
・第20回 沖縄道州制懇話会(平成21年6月8日)
  検討課題:沖縄単独州の税財政制度について
       沖縄単独州の機構について
・第21回 沖縄道州制懇話会(平成21年7月13日)
  検討課題:沖縄単独州の機構について
       道州制の意義について
・第22回 沖縄道州制懇話会(平成21年8月10日)
  検討課題:道州制の意義について
       道州制への移行方法について
       最終提言の構成と今後のスケジュールについて
・第23回 沖縄道州制懇話会(平成21年8月24日)
  検討課題:沖縄の「特例型」道州制に関する最終提言について(第1回目)
・第24回 沖縄道州制懇話会(平成21年9月14日)
  検討課題:沖縄の「特例型」道州制に関する提言について(最終)

◇委員名簿等
(座長)仲地 博  沖縄大学法経学部教授
(委員)島袋 純  琉球大学教育学部教授
(委員)吉元政矩  学識経験者(元沖縄県副知事)
(委員)太田守明  内閣府道州制ビジョン懇話会 道州制協議会メンバー
(委員)石原絹子  NPO法人コミュニティおきなわ
(委員)國場幸之助 沖縄県議会議員(道州制検討議員連盟 会長)(〜2008年5月)
(委員)平良長政  沖縄県議会議員(道州制検討議員連盟 副会長)(〜2008年5月)
(委員)古謝景春  南城市長(沖縄県市長会)
(委員)儀武 剛  金武町長(沖縄県町村会 副会長)
(委員)宮城宏光  那覇商工会議所 前副会頭
(委員)石川正一  沖縄県経営者協会 副会長
(委員)仲本 豊  沖縄経済同友会(道州制委員会委員長)
(委員)仲村信正  連合沖縄 会長
(委員)佐喜眞 淳 沖縄県議会議員(2008年7月〜)
(委員)當間 盛夫 沖縄県議会議員(2008年7月〜)
(オブザーバー):上原良幸  沖縄県前企画部長(〜2009年3月)
         川上好久  沖縄県企画部長(2009年4月〜)
(事務局):又吉章元  沖縄経済同友会 前事務局長(〜2008年3月)
      上江州由実 沖縄経済同友会 事務局長(2008年4月〜)
      藤中寛之  研究員
      濱里正史  研究員 (2009年6月〜)
(協力):(財)南西地域産業活性化センター

沖縄の「特例型」道州制に関する提言
−沖縄が発信する新しい道州制のかたちと沖縄州のすがた−
 発 行 日 ■ 2009年9月24日
 編集・発行 ■ 沖縄道州制懇話会
 〒900‐0015
 沖縄県那覇市久茂地3‐15‐9 アルテビルディング那覇2階
 TEL:(098)868‐8439 FAX:(098)868‐0787

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