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CD Release

第311回 SENTIMELODY

はじめに

 去年の夏、アルバム「センチメンタルCANDY」のプレリリースライブの時に、まーちゃんはそこに収録される全ての曲を披露しました。環境が変わって2本目のアルバムということもあるのか、色々な場所で新しい何かを見つけた人も多いと思います。そして、その中でも「SENTIMELODY」に於いて、強い印象を受けたのは私だけではないでしょうね。
 今回は、その「SENTIMELODY」から、その時のことを思い出したりしながら、いくつか書いてみようと思っています。

境界線上の

 実際、プレリリースライブの時に全収録曲を通して聴いたわけですが、私の場合、その中で一番印象に残ったのはこの曲でした。それまでまーちゃんのライブでは感じたことのなかったような激しい感情、切なさも慕う気持ちも抑えきれずに溢れだしているようなそんな曲であり、歌う姿であったのが強く気持ちに焼きついてきました。そして、そこで思ったのは正気の境界線上にいるような危うさと魅力、ということでした。
 何かを強く思うということは、そこに対してニュートラルな気持ちを持っている人からすると、「何を考えてるんだか」というように見えますね。それが極まっていくと、それこそ正気の世界からはみ出していくようにさえ感じられてしまうんだと思います。もちろん、思っている当人としては、そうしたことには気がついていないわけですが。そこまでの気持ちの動きを、端から見ていると危ういと思いつつ、その一方でそこまで気持ちを動かせるということにどうしようもなく惹かれる面もあるんだと思います。
 だから、その時に浮かんだのは、迂闊に触ったら砕けて壊れそうな、亀裂の入ったガラスの窓の向こう側を雨水がずっと流れ落ちているような、そんな光景でした。触れないのだけれど、惹きつけられて仕方がない、そんな曲だと思いました。そして、それを表現しているまーちゃんの歌声が、半ば違った次元から聴こえてくるように感じられたのを覚えています。そうした感覚は、まーちゃんのライブでは初めてだったので、強く印象に残ったんでしょうね。

また別の綺麗さ

 それから半月ほど経って、今度はCDでじっくりと聴いたわけですけど。その時、一番最初に思ったのは、「綺麗な曲だな」ということでした。ただ、今までそうしたことを思った「Babyblue」や「ROSE ROSE」とはまた別の美しさだというのも、同時に感じていました。
 「Babyblue」では木陰から見上げる木漏れ日だったり、そっと吹き抜けていく光に満ちた爽やかな風の色でした。一方、「ROSE ROSE」の時は温かな陽の光の中、温かく包んでくれるほのかに赤く色づいた感じのイメージです。そして、「SENTIMELODY」でどうだったかと言うと、こちらはかなり硬質な印象でした。サファイアの青い光を見ているようでありながら、どこかからは温かな何かも感じられるような雰囲気ですね。
 まーちゃんの声のクリアさが曲を通じて際立って、なおかつそれをより引き立てるサウンドに出会った時に、まーちゃんの曲に関して「綺麗な曲」だと言う印象になるんですが、こうした硬質なイメージの曲でそれを感じたのは初めてでした。もちろん、曲とアレンジに新しい人を迎えた効果ということもあるんでしょうけど、それよりも、自分自身の中にある気持ちを確固たるものとして掴んでいる、その姿がそうした印象を与えるんだと思います。もちろん、「Babyblue」や「ROSE ROSE」でもそうなんですけど、それらの曲がどちらかといえば外に向いている気持ちが中心で、だからこそ伝わり方は柔らかくもなってくるのに対して、「SENTIMELODY」においては内向きの気持ちもかなりの分量なので、より自分の気持ちの確かさというのが伝わってくるんじゃないでしょうか。

今、歌う理由

 で、今回、この曲のことを改めて考えてみると、今のまーちゃんの歌う理由そのものなんだろうな、というように思います。アルバム「かたおもい」から16年、まーちゃんは歌い続けてきたわけですけど、最初の頃と今とでは曲に現れるそうした思いがやっぱり少し違っているように感じます。
 「いつも君を見つめてる」や「Shining Shining」で端的に見られるように、歌を通じて聴いている人に元気を与えたいというのはずっと思っていることでしょうけど、今はそれに加えて、今こうしていられることへの感謝も届けたいと強く思っているのが、この曲からは感じ取れるんじゃないでしょうか。
 16年続けていく間には、周囲の状況だったり、自分の気持ちだったり、時には続けていけなくなりそうなこともあったわけですけど、それでも、歌い続けていることができることへの感謝を、ここで周囲に表しているんでしょう。そして、それが今のまーちゃんの歌う大きな理由のひとつなんじゃないか、とも思えます。だから、これだけ強い気持ちで歌っているのが伝わってくるんでしょうしね。
 以前、「LOVE」について書いた時(215回)に、何を歌うかを示しているのが「LOVE」で、そのためにどうするかを歌っているのが「STAGE」だと書きましたけど、今回、それに加えて「なぜ歌うのか」というところを明確にしたというところじゃないでしょうか。こうしたところを確かな柱として、歌手としてのまーちゃんは成り立っているように思います。

最後に

 というように、「SENTIMELODY」について書いてみました。「切なさと甘さ」をコンセプトとしたアルバム「センチメンタルCANDY」の中にあって、一番センチメンタルな面も持ちつつ、もちろん温かさも感じますし、芯の部分は一番強くもあるんじゃないか、と思います。そうした複雑なものを感じられる想いの深さが、この曲の大きな魅力なんでしょうね。個人的には、まーちゃんのトップナンバーのひとつだと思っています。


 次回は「プレゼント」になります。ミニアルバムじゃなくて曲のほうですよ。まだこれがあったのは、ちょっとした勘違いということでご容赦くださいませ。チェックした以上、しっかりとやりますよ。まーちゃんの日ごろの気持ちなんかも交えて書きましょうか?

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