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東日本大震災 20110311 《1》
2011/3/11〜2012/7/21

原発震災《2》はこちら


【報告】 放射能から子どもたちを守る会・久喜 7月の集まり
2012/7/21

 7月19日、「放射能から子どもたちを守る会・久喜」の話し合いを、ふれあいセンター・ボランティア室で行いました。

 今回は7人が集まり、自己紹介の後、それぞれが抱えている不安や心配などを自由に出し合いました。

 初めて参加した方々も多く、久喜市の取り組みについて、お互いに、認識や受け止め方の違いもあったりして、その場で市のホームページを見ながら、市内の放射線量やホットスポットの除染、学校給食食材の放射性物質検査の状況などを確認し合いました。

 また、学校給食については、子どもに牛乳を飲ませないようにしていて、先生に飲ませるような指導をしないよう求めて了解を得たというお母さんの発言や、一つ一つの食材の産地などを細かくチェックしながら、教育委員会(学務課)にメールで食材の使用について意見を言っている、電話で直接に対応を要求してきたという話も出されました。

 夏休みの親子除草作業は子どもにやらせたくない、などの意見も出ました。

 市長へのメールには、田中市長の署名入りの回答がありましたが、内容は事務局が書いているので、「おざなり」という印象でした。(これはこの問題に限らず、“いつものこと”ですが…)。

 2学期の給食の食材の選定、牛乳などの食事指導について、今後さらに確認していく必要がありそうです。

 いずれも簡単に結論が出るとか、すぐ西の対応が変わるものではありませんが、とにかく親たちがこうして集まって、意見を出し合っていくことが大事だというのが、この日の結論で
す。

 さらには私たちの考えをまとめて、市の教育委員会などとの話し合いの場を持って行ければいいなあということになりました。

 次回は8月23日(木)午前10時から、ふれあいセンター・ボラ室です。
今回は都合が悪くて参加できなかった方も、ぜひ来てください。

(まとめ・猪股)


 放射能から子どもたちを守る会・久喜

 東電福島第1原発事故によって、子どもたちをとりまく放射線量は確実に上昇しています。
学校や保育園での空中放射線量、ホットスポットと除染作業、プール、学校や保育園の給食はどうなっているか。
私たちは否応なく放射能を意識して暮らさなければならない時代に生きています。
すでに久喜からも九州や沖縄へ避難(疎開)した方々もいます。
−でも、不安だけを抱えていても一歩も進みません。
身の回りの放射能をどう考えるか、どうしたらいいか。
行政に何を求めるか。
いっしょに集まって話し合う場を持ちましょう。
ご自由にご参加ください。

◆7月19日(木)午前10時〜
◆ふれあいセンター久喜 2階 ボランティア室
問い合わせ 090-3547-1240(猪股)

8月23日(木)、9月27日(木) いずれも午前10時〜

【一般質問】 放射能から子どもたちを守るために
猪股の一般質問2012年6月議会  『声と眼』438号 2012/6/13

  3〜5月に小中学校や保育園などのホットスポットの測定を実施し、青毛小、栗橋小、鷲宮中で除染基準の1μSv(マイクロシーベルト)に近い0.8μSv超が検出されたため、これらの箇所を「要観察」として月2回の継続的測定を行っています。
こうした地点については、よりきめ細かく測定を行うよう求めました。
なお8月から、市内のホットスポットの3回目の測定を行う予定です。

 学校のプールは、昨年も最初の大きな清掃は子どもたちに行わせないで大人が行うように申し入れたのですが、連絡が間に合わないかった学校もありました。
今年はそのようなことのないように教育委員会にお話ししました。
5月中旬以降に、水を抜いた後のヘドロの放射線量測定を行い、数値が高かった学校では汚泥を校庭に埋設し、その後に清掃を実施しました。

給食食材の放射性物質検査を拡大へ

 宮代町役場に設置された放射性物質検査器を使って、各地区の給食食材を月1回・3品目の検査を行っています。
検査翌日には市のホームページに速報値を公表するとともに、今後、調理後の1食分丸ごとの検査を追加するよう求めました。

市民からの食材の検査依頼にも応じる

 国民生活センターの検査機貸与制度を使って、秋ごろには市役所でも検査ができるようになります。
フル活用すれば1週間で70検体以上の検査ができますから、学校と保育園の給食の検査回数を大幅に増やし、きめ細かい検査が可能になります。
さらに、市民からの食材の検査依頼にも応じられるようにすることと、市内で生産された農産物の検査も実施していくよう提案しました。

 3月から市民への放射線量測定器の貸し出しをしています。
当初は申し込みが殺到しましたが、現在はかなり空いています。
現在の「半日単位・1人1回限り」の貸し出し条件を緩和し、1日単位、何度でも借りられるようにして、市民にもっと活用してもらえるようにするべきです。

【一般質問】 放射能対策費用を東電に請求へ
猪股の一般質問2012年6月議会  『声と眼』438号 2012/6/12

  東電福島第1原発事故による放射能の拡散で、久喜市でも新たに放射線測定器を購入、市内の放射線量の測定、学校のホットスポットでの除染作業、学校給食食材や水道部での放射性物質検査を行うなどの対策を進めてきました。
これらの対策に市が要した費用の金額を明らかにするよう求めました。
答弁によると、2012年3月までで市が負担した費用は2505万円、水道部で407万円にのぼり、その内、国からの特別交付金が1364万円です。
これと別に久喜宮代衛生組合でも285万円(補助金49万円)を支出しています(いずれも人件費を含む)。

 これらの費用は、放射能汚染の原因者である東京電力が負担するのがあたりまえです。
県内でもすでに越谷市などの東部6市町、朝霞市、上尾市、富士見市、蕨市などが東電に請求書を出しています。
久喜市も早急に東電への賠償請求を行うよう求めました。
市ははじめ「8月までに提出する」と答弁しましたが、それでは遅すぎます。
早急に賠償請求と、さらに除染作業や人員の派遣など東電の責任を果たすよう要求するべきです。

 市は答弁で、汚染土壌の引き取りや市民への説明などを含めた「要求書」を提出するとともに、できるだけ早期に「賠償請求」を行う考えを表明しました。

翌日に使う学校給食食材の放射性物質食材検査を開始
2012/5/15

 5月7日から宮代町に設置された放射性物質測定器を使用して、学校給食食材の検査が開始されています。
 7日は、久喜地区Aコースのホールコーン(北海道産)、シメジ(長野産)、セロリ(茨城産)、14日は久喜地区Bコースのゴボウ(北海道産)、長ネギ(久喜産)、ダイコン(久喜産)、栗橋地区小学校のキャベツ(埼玉産)、ジャガイモ(北海道産)、セロリ(長野産)を検査し、検査の結果はいずれも放射性物質は「不検出」でした。

 宮代町に設置された検査機は、埼玉県教育局が県内5か所に設置した内の1台で、東部地区の市町にある学校給食の検査に使用することになっています。
 久喜市は5月中は毎週月曜日の午後、6月は毎週火曜日の午後に、久喜市教育委員会の職員が、市内の毎週2コースずつの食材(1日6品目)を持ち込んで測定していく予定です。
 学校給食は久喜地区A(全農給食センター)、久喜地区(全農給食センター)B、栗橋小学校、栗橋中学校(行田給食センター)、菖蒲地区(給食センター)、鷲宮地区(給食センター)の7コースと、保育園給食について、翌日の給食に使用する食材それぞれ3品目ずつを検査します。
 これまでのところ、放射性物質「不検出」という結果が出ていますが、市では子どもたちの安心・安全を確保していくために、今後も検査を継続していきます。

早急に結果を公表すべきです

 教育委員会に対して、検査結果を早急にホームページに公表するように申し入れていますが、いまだに掲載されません。
 担当者は「掲載の準備はできている」というのですが、最初の測定から1週間たってもアップされないというのが理解できません。
 せっかく翌日使用する食材についての事前検査をしているのですから、結果が出たら、たとえば「速報値」としてでも直ちに公表するべきではないでしょうか。



食品用放射能検査装置TN300B(株式会社テクノエーピー)
ヨウ素131、セシウム134,セシウム137を測定
測定時間/約10〜20分
検出限界値/10Br(ベクレル)/kg

給食の放射性物質、これまで「不検出」
 『声と眼』436号 2012/5/1

 久喜市教育委員会は学校給食の食材について、昨年12月から毎月、放射性物質検査を実施し公表してきました。
久喜地区2コース、菖蒲、鷲宮、栗橋は小中学校別に、それぞれ野菜や肉などの食材料を3品目ずつ検査しています。
また久喜地区の市立保育園の給食も毎月3品目ずつ検査しています。これまでのところ学校、保育園ともすべて「不検出」でした。
【ヨウ素131、セシウム134および137、検出下限値は約10ベクレル/キログラム、検査機関=埼玉県環境検査研究協会】

 「不検出」は「ゼロ」という意味ではなく、放射性物質は『これ以下なら安全』という基準もありません。
東電福島第1原発事故による放射能汚染は今後も続きます(セシウム137の半減期30年)。
新たな放射性物質の拡散もありうるので、この検査はずっと継続していかなければなりません。

 4月に、埼玉県の放射性物質検査機器が宮代町に配置され、周辺市町の検査に共同で使用することになりました。
久喜市は5月から毎週月曜か火曜日の午後に、学校と保育園の給食を職員が持参して検査します。
これまでの外部委託よりも品目数を増やしたり、まるごと1食分の給食を検査するなど、検査内容の充実が期待されます。

久喜市にも検査機器の配置決まる

 昨年6月議会の一般質問で、国民生活センターの放射性物質検査機器の長期貸与制度を活用するように提案していました。
その後、市で申請して、4月26日にようやく、久喜市に1台が配分されることが決まりました。
今年の秋ごろまでには設置される予定で、市は宮代の機器と合わせて、学校と保育園の給食の検査に使用していく方針です。
これが使えるようになれば毎日、子どもたちが食べる前に検査することも可能になります。
設置場所などは今後検討していきますが、検査要員の配置など検査態勢を確立していくよう求めます。

 また、もともとこの検査機器貸与制度は、消費者庁が消費者の食の安全を守るために実施している事業で、本来は一般の食材の検査が主たる目的です。
したがって、給食の検査以外にも、市民が食材を持ち込んで検査してほしいという依頼にも応えられるようにしていくべきです。

食材の選定にいっそうの配慮を

 教育委員会と保育課で食材料の生産地を公表しています。
これまで比較的汚染地域から遠隔地の食材を使用されています。
それでも放射性物質が比較的蓄積しやすいといわれるキノコ類の使用や、牛乳の原乳産地の一部が不明確なことにも、保護者から心配の声が出ています。
これらの不安にも配慮していくべきです。

【一般質問】 放射能から子供たちを守るために
 『声と眼』434号 2012/3/28

 市は12月から小中学校や公共施設、公園などのホットスポットの放射線量測定を実施し、6校で1μ?(マイクロシーベルト)以上が検出されたので、除染作業を行いました。
今回の一般質問で、今後も継続的に測定を続けていくよう求めました。
市からは、学校などのホットスポットについては3月から2回目の測定を実施し、その後は高い線量が検出された箇所について2〜3か月ごとに測定していく方針が示されました。

 久喜市はこれまでに放射線測定器を11台購入していて、1台が教育委員会専用となっていますから、全部の小中学校のホットスポットについて、最低でも毎月1回くらいは定期的に測定していくことができるのではないでしょうか。

 学校と保育園の給食用食材料の放射性物質検査は、12月から月1回のペースで外部委託で実施しています。
今後、市で検査機器を設置して独自の検査態勢を整えるよう求めました。教育委員会では国民生活センターの検査機器の貸与制度を申請していますが、今のところ久喜市は該当していません。
市長が「貸与されなかった場合には市で購入して検査を実施していく」考えを表明しました。
早急に検査態勢を整備して、毎日の給食の検査を実施し、市民に公表するべきです。また給食以外にも、市民が栽培したり購入した食材料について検査してほしいという要望があった場合にも応じられるようにしていくべきです。

 市では放射線量測定器を新たに4台購入して各総合支所に配置し、3月から市民への貸し出しを開始しています。
その際、市民からの報告書の提出は求めないとしていましたが、むしろ市民に積極的に測定結果の情報提供を求めるよう提案しました。
市民に測定器を貸し出しておいて、測定結果については“市は関知せず”ではなくて、市が市内の放射線量の動向を把握できるようにしていくべきではないでしょうか。

 放射線測定体制の強化、市民への測定器貸し出しも開始
2012/2/27

 市議会で、放射線量測定機の整備充実を進める方針が明らかにされました。

 昨年の定例議会で毎回、私や他の議員からも、放射線測定器の購入、学校や保育園、ホットスポットなどの測定体制を強化していくよう求めてきました。

◆これまで久喜市で保有している放射線測定器は6台で、これを教育委員会や他の関係各課の持ち回りで公共施設の測定をしてきましたが、2月に教育委員会専用の測定器を1台、他に市民への貸し出し用の測定器4台を購入し、合計11台となっています。

◆放射線測定器の市民への貸し出しは、3月1日の「広報くき」とホームページでお知らせし、3月12日から予約を受け付け、21日から貸し出しを開始します。

◆小中学校のホットスポットの放射線量測定は、昨年の11・12月に続いて、2回目は3月中旬に測定する予定です。

◆学校給食の食材は、これまでに11月19日、1月31日、2月17・20日の3階、それぞれ18品目ずつを抽出して放射性物質検査を実施しましたが、いずれも「不検出」でした。
 4回目は3月中旬に検査を実施する予定です。

【ルポ】 栗橋西中学校の除染作業、7日に汚染土を埋設完了
2012/1/8

 栗橋西中学校の除染、1月4、5日に引き続いて、6日には汚染された土を校庭の片隅に穴を掘って埋設する作業が行われました。

 穴は縦横約5m、深さ3mで、遮水用のブルーシートを敷いて、そこに土の入った土のう袋をさらにビニル袋に入れて順番に並べていきます。
 取り除いた土はおよそ土のう袋2000袋になり、ダンプで5台分くらいになったでしょうか、これを穴の中に縦に10列、横に14列と計算してきっちりと敷き詰めていきます。
 すべて手作業で、すき間に空気が入らないように押し固めながら入れていって、15段くらいになった計算です。
 雨水が入らないように、上にもシートをかけて、その上に30センチ以上の土をかぶせていきます。
 実際には自然に沈下していきますから、その後にまわりの地面の高さと同じになるように、50センチプラス地面より70センチ高く盛りました。
 この辺は地下水が高いので、上からもまわりからも地下水や雨水が入り込んだりして、水といっしょに汚染がまわりに広がらないように気をつけなければなりません。

 埋設の穴を埋め戻して、すべての作業が終了したのは、7日の午前11時過ぎでした。 

土のう袋を穴に敷き詰めていく作業 体育館の西側、雨どいの下のコンクリ枠も撤去して埋設した

 除染作業の結果、体育館周辺の土を取り除いた部分の放射線量は、雨どいの直下の当たりでも、0.1〜0.15マイクロシーベルトくらいで、校庭とほぼ同じ線量にまで低下しました。
 しかし、今回の除染対象の場所から少し離れた植えこみの中などでは依然として、0.15〜0.19マイクロシーベルトなどのやや高めの線量が測定されています。
 市の除染方針によると、面的には「0.23」を超えた場合、局所的には「1.0」を超えた放射線量が測定された場合に、除染を行うことになっているので、「0.19」では対象にはならないのですが、久喜市の中でも栗橋地区は全体的に放射線量がやや高くなっているので、今後も継続的な監視が必要です。

 吉川市では、取り除いた土を埋めた場所にはカラーコーンなどを立てて、子どもたちに対しては「近づかないように」という指導をしているとのことですが、久喜市はどうするのでしょうか。

雨どいの下で「0.11」に下がった 除染していない植えこみ付近では「0.19」

青葉小など6校のホットスポットで除染を実施しました
 『声と眼』430号 2012/1/5

 市では12月から小中学校や保育園、公園などの“ホットスポット”の放射線量の測定を行った結果、6校で地表1pで毎時1μSv(マイクロシーベルト)以上の放射線量が測定されたため、除染作業を進めています。
12月19日には青葉小学校(体育館雨どい下3か所)、桜田小学校(渡り廊下雨どい下2か所)、さらに28日には久喜東小学校(渡り廊下雨どい下)、栢間小学校(校舎北側雨どい下)、菖蒲南中学校(渡り廊下雨どい下)の5校で局所的な除染作業を実施しました。

 栗橋西中学校では12月12日に体育館の雨どい周辺のやや広い範囲で、最高 1.58μSv/hの高放射線量が検出されたため、冬休み中に除染作業を実施しました。
除染は、土を5〜12pまではぎ取って土のう袋に入れ、敷地の隅に穴を掘って遮水シートを敷いて埋め、土を上から30pかぶせるという方法で行いました。
除染後の地表面の放射線量は周辺と同じ 0.1μSv程度まで下がっています。

【ルポ】 栗橋西中学校の除染作業を見守りました

 栗橋西中学校の体育館周辺で、放射線量がきわめて高いことがわかったのは12月12日の測定によってでした。
 体育館の東側と西側の雨どいの下付近が軒並みに1マイクロシーベルトを超え、最高は1.582マイクロシーベルトを記録したのです。
 
 その後、青葉小や桜田小学校などでも体育館の雨どいの下でも1マイクロシーベルトを超える放射線量が測定されましたが、他の学校では局所的に、一部の雨どいの下だけでしたので、その部分だけの除染をすればよいと判断して、直ちに除染作業に取りかかり、いずれも1日でその部分の表土をはぎ取って埋め戻すことによって、放射線量を低減させることができました。

 しかし栗橋西中では、高放射線量の範囲は体育館の雨どいの下のことごとくと、その周辺にまで広がっていたので、局所的な除染だけではすまないで、体育館の周辺1〜2m位の範囲まで表土を全部はぎ取らなければならないと考えられました。
 作業には2〜3日はかかると判断されたので、当面は体育館の東側と西側の周辺部分を「立入禁止」とし、冬休みを待って除染作業が行われました。

 作業は1月4日の朝8時から開始され、1マイクロシーベルト以上の範囲の土を5センチから、雨どいの直下の高い線量の部分は12センチ程度はぎ取っていきます。
 放射性物質が付着しているのはおもに土の表面で、雨水といっしょに地中にしみこんでいるにしても、表面の土をはぎ取ったあとの地表面を測定してみると、0.1〜0.2マイクロシーベルトでした。
 この数値は、作業前の地表面の1.50〜1.0マイクロシーベルトからすれば10分の1程度にまで低減したことになります。

 はぎ取った土は土のうに詰めていき、土のうは最終的に2000個近くにもなりました。

 作業員の方々は、あちこちの自治体からの依頼で各地の除染作業を手がけてきた専門の業者だそうで、ほとんどが手作業で表土を削り取っては市の職員が放射線量を測定し、まだ高ければさらに削り、周辺の通常の放射線量と同等程度になるまでていねいに土をはぎ取る作業を続けていました。
 またどうしても放射性物質の付着しているであろう土が舞い上がりますが、水をまけば汚染がさらに周辺に広がってしまいますから、水をまくわけにもいきません。
 全員が防除マスクを付けての作業であり、立ち会っている市の職員も(見学の私も)マスクをしてできるだけ粉塵を吸い込まないようにしなければならず、たいへんに神経を使う作業でした。

 5日はおもに土をはぎ取った部分の埋め戻し作業を中心に行われました。
 埋め戻したあとの地表面の放射線量は0.1〜0.15マイクロシーベルトで、校庭や校舎付近の放射線量0.1マイクロシーベルトと同等程度まで下がっていました。

 除染の目標は「周辺の放射線量と同程度まで低減させること」ですから、いちおうの目標値を達成できたことになります。

 ただし、雨どいの下に置かれていたコンクリートの枠には放射性物質が付着して染みついているらしく、測定器をそのコンクリ枠に近づけるとやはり0.2〜0.3マイクロシーベルトとやや高い線量を記録していたので、あとで雨水排水を暗渠化する工事と合わせてこのコンクリ枠も撤去するとのことでした。

 6日は汚染された土、2000個の土のうを、学校敷地の片隅に穴を掘って埋設する工事になります。
手作業で表土をはぎ取り、土のうに詰めていく 4日午後、すでに土のうはこれだけで200個くらい?
表土を5pはぎ取った。雨どいの下は12p(4日 14:30) 表土を5センチくらい削り取って、埋め戻した(5日 12:00)
高放射線量の土をはぎ取って埋め戻したあとで測定してみた。(5日 11:50)
コンクリ枠の近くは「0.24」→10センチ離れると「0.13」に下がる


学校のホットスポットを除染、給食食材も検査を実施した
2011/12/29

 28日に、市長と教育長名によるファックスが入りました。

 それによると、小中学校におけるホットスポットの放射線量測定で、除染基準の1マイクロシーベルトにぎりぎりだった久喜東小学校、栢間小学校、菖蒲南中学校で、12月28日に再測定した結果、いずれも「1マイクロシーベルト」を超えたため、同日中に除染作業を実施したそうです。
⇒久喜東小学校、栢間小学校及び菖蒲南中学校(平成23年12月28日)

 また、学校給食食材と保育園の給食食材について、12月19日に「埼玉県環境検査研究協会」に放射性物質の検査を委託して、いずれも「不検出」であったとする結果が久喜市のホームページに公表されました。
⇒学校給食食材の放射性物質測定検査結果(第1回)
⇒公立保育園給食食材の放射性物質測定検査結果(第1回)

11月議会での私の一般質問に対して教育部長が、学校給食の食材の放射性物質検査を実施するよう求めていましたが、『国民生活センターの放射性物質検査機器の貸与制度を活用するか、活用できない場合には外部機関に委託して実施していく』と答弁していました。

 今回の測定はこの方針を受けてのものですが、検査品目はそれぞれ3品目程度にすぎず、子どもたちの安全と保護者の不安を取り除くためには、もっと検査品目と回数を増やしていくことが必要です。
 久喜市は、久喜地区の給食センター、鷲宮の2か所の給食センター、菖蒲センター、栗橋の小学校の自校調理、中学校のセンター委託と調理が分かれていますから、全部の調理場における食材を検査するためには、外部への検査委託ではとうてい間に合いません。
 久喜市独自で検査機器を整備して、自前で検査できる体制を整備していくべきです。

久喜市内のホットスポットと、市の対応
2011/12/28

 久喜市内にも、次々とホットスポットが見つかっています。
 12月12日、教育委員会による調査で、栗橋西中学校の体育館裏の雨どいの下で毎時1.582マイクロシーベルトを測定、体育館裏のスペースが全体的に1マイクロシーベルト以上の高放射線量であることがわかりました。
 ここは年明け早々に除染作業を行う予定です。
 写真は27日の4時頃です。−−「立入禁止」の看板が風に揺れていました。
 私の測定器は、この時点では毎時1.05マイクロシーベルトを表示しました。

 久喜市は全小中学校と幼稚園のホットスポット373か所について、12月19日までに測定を実施し、1マイクロシーベルトを超えた青葉小の3か所、桜田小の2か所についてはすでに除染作業を実施しました。

 しかしそれ以外にも、久喜東小、菖蒲南中など3校で、0.9マイクロシーベルトを超える地点が見つかり、特に栢間小では0.99マイクロシーベルトと、市の除染基準である「1」に限りなく近い(ほとんど同じ!!)数値が測定されています。
 にもかかわらず、市教育委員会では「直ちに除染はせず、ようすを見る」と言っているのですが、久喜市の教育委員会は、子どもの健康が大事なのか、数字が大事なのか、いったいどう考えているのでしょうか!?


 保育園も全園の測定を終了しましたが、これまでのところ、特に直ちに問題となるようなか所は見つかっていません。(まもなくホームページに掲載する予定です)。 
 公園については、測定終了は1月中旬頃になる見込みです。

《久喜市のホームページ》
◆栗橋西中の放射線量について(12月13日)
◇青葉小、桜田小の放射線量について(12月19日)
◆全小中学校の測定結果(12月27日)
⇒久喜市のホームページ「市の除染方針」

放射能から子どもを守るために
2011年11月議会 猪股和雄の一般質問 『声と眼』429号  2011/12/16

 東電福島第一原発事故はいまだに収束の見通しが立っていません。
久喜市内でも確実に放射能汚染の被害が広がっていて、“ホットスポット”が見つかっています。
市では7月に小中学校や保育園での土壌中の放射性物質検査を実施しましたが、2回目を12月中に実施する計画です。

ホットスポットの除染の基準は

 久喜市は小中学校や保育園、公園などで毎月定期的に空間放射線量を測定していますが、高線量が測定された場合の対応方針を明確にするよう求めました。
市は、子どもたちの屋外活動を制限する基準を『年間被曝量1mSv(ミリシーベルト)以内』とし、『毎時0.23μSv(マイクロシーベルト)を超えた場合に、その数値に応じて屋外活動を4時間以内とか2時間以内などとする』考えを明らかにしました。
今後、ホームページや保護者への通知などを通して周知していく予定です。

 また学校などのホットスポットの“除染”作業について、市は『面的には毎時0.23μSvを超えた場合、局所的には1μSvを超えた場合に除染作業を実施する』という基準を公表しました。
測定方法などを細かく決めていて、測定の高さを地点によって1p、50p、1mなどとしています。
現実には地面に近いほど高い数値が出ることがわかっていますから、基本的に地上1pの高さで測定して除染を進めるよう求めました。
また基準値以下であっても、それに近い数値が出た場合には積極的に除染作業を実施するよう求めました。

 市では11月以降、学校や保育園、児童センター、図書館、公民館、集会施設など132の公共施設でそれぞれ数か所ずつ、ホットスポットの測定を進めています。12月13日には栗橋西中の体育館雨どいの下で毎時1.58μSvを超えるホットスポットが見つかりました。
早急に除染作業を行うべきです。

 なお、11月18日には、久喜工業高校の2地点で1μSvを超えたため、県が除染を実施しました。

給食食材料の放射性物質検査を

 学校給食の食材料の放射性物質検査を早急に実施すべきです。
県内ではすでに9市が独自に給食の検査を進めています。
久喜市も早期に検査を実施するよう求めたのに対して、市は国民生活センターの放射性物質検査機器の貸与を受けて給食食材料の検査をしていきたいと答えました。
私はその他にも、県で検査機器を整備する計画があるので、その活用を進めること、さらに市独自で検査機器の整備を進めるよう求めました。

★質問後に、久喜市は国民生活センターの検査機器の配分先の決定からはずれたことがわかりました。
やっぱり久喜市独自で放射性物質の検査体制を整備していかなければなりません。★


市内でも高放射線量を検出、除染作業を実施へ
2011/12/14

 久喜市は5月以降、市役所をはじめ、保育園や小中学校、公園などの公共施設、道路側溝などの放射線量測定を定期的に行ってきました。
 これまでは園庭や校庭の中央付近など施設ごとに1か所の測定だけを行ってきましたが、県内各地で、雨どいの下や植えこみなど局所的に放射線量の高い場所(ホットスポット)があることがわかってきたため、各自治体では除染作業にも取り組んできています。

 埼玉県では11月14日に「県有施設における測定・除染の対応方針」を策定し、久喜市内では県立高校5校と久喜特別支援学校、久喜菖蒲公園、県立久喜図書館で敷地内のホットスポットを細かく調査しています。
 11月18日には久喜工業高校内の雨どい下や側溝(地上1センチ)で、最高1.5554マイクロシーベルト/毎時以上の高放射線量を検出し、汚泥の除去などの除染作業を実施しました。

 遅ればせながら、久喜市でもようやく県にならって11月24日に「久喜市放射性物質の除染等の対応方針」を定め、市内の公共施設の放射線量測定を進めています。

⇒久喜市のホームページ「市の除染方針」

 市内の対象施設は、小中学校と幼稚園36、保育園18、児童センター、市立図書館、ふれあいセンター、公民館、公園、コミュニティセンターなど全部で132か所で、それぞれの施設について数か所ずつのホットスポットを測定しています。

 その中で、12月13日には、栗橋西中学校の体育館雨どい直下で、1.582マイクロシーベルト/毎時の放射線量が測定されたことが公表されました。【市長および教育長からの緊急連絡ファックスによる。】

 市では、「直ちに生徒の安全を第一に考え、除染を実施するまでの間、当該箇所への立ち入り禁止の措置を講じ」「現在、除染の方法について検討を行っているところであり、速やかに実施してまいります」と書かれていますが、対応策について早急に確認していく必要があります。

福島原発震災被災地を歩く
2011/11/29

原発震災被災地を歩く(1) 〜仙台から南下して原ノ町へ〜
2011年11月26日記

 昨日(11月25日)夜に福島県南相馬市駅前のホテルに入った。
 私の所属する議員ネットワーク・虹とみどり静岡の皆さんが福島県内の原発震災被災地自治体を訪問し、視察、交流を計画したので、同行させてもらうためである。

 常磐線は双葉町や浪江町などの避難地域は不通になっているから、南相馬市に入るにはいったん仙台に入ってから南下してこなくてはならない。
 昨日は夕方に市内の活動を済ませてから電車に乗り、新幹線で仙台へ、常磐線で亘理まで来て、JR代行バスで原ノ町の駅前のホテルまでたどり着いたのは夜の9時だった。
 これ以上南へは行くことはできない。

 もう外は真っ暗になっている中、亘理駅前から原ノ町駅まで来るJR代行バスは、仙台から帰宅する通勤者や、高校生がたくさん乗っていたが、あまりしゃべる人もなく静かで重苦しい感じがしたのは、私の気のせいだけではなかったと思う。

 今朝、朝食後、駅前に出てみたが、代行バスが2台駐まっていた。
 土曜日のせいか、それとも人々が避難して少なくなっているせいもあるかもしれない、駅前は閑散としていた。
 駅前広場で、いきなり放射線測定器は「0.43マイクロシーベルト」を検出して、「ピーーー」と警報音が止まらなくなった。
 久喜市内ではせいぜい「0.1マイクロシーベルト」で、警報音は鳴ったことがなかったから、音を止めるのに苦労した。
 線路を渡る歩行者用通路の上から見ると、駅舎は何も変わったことはないのだが、電車がまったく通っていない線路というのはやはり異様な感じがした。

原ノ町駅の夜明け 橋上通路の放射線量


福島原発震災被災地を歩く(2)〜南相馬市から飯舘村を抜けて〜
2011年11月26日記

 今日(26日)は朝8時半にホテルを出発して、静岡からのバスで、南相馬市内の「よつば保育園」に向かった。
 今回のツアーの一つの目的は、被災地の幼稚園や保育園の子どもたちに放射能に汚染されていない水や食べ物を届けることで、昨日は私は参加していなかったが、飯舘村の幼稚園(隣の川俣町の幼稚園内に移転している)に届けてきたという。 

保育園の副園長さんと、同行してくれた市議会議員さんのお話から

 今日のよつば保育園は民間社会福祉法人が3つの保育園を経営しているが、合わせて240人定員のところ、3・11後、80%の子どもたちが市外の仮設住宅や県外へ避難して、現在は50人くらいが通園してきている。
 いろいろな事情で避難できない人たちもいるが、医療や福祉関係の仕事をしている親も多い。
 つまりこうした保育園で子供を預かってくれる場があるから、地域の医療機関や福祉施設が運営を継続していけるし、逆に言えば、保育施設がないと地域社会が回らない、地域社会が回っている限り、保育園は開けていかなければならないと、副園長さんがお話ししてくださった。
 保育士さんは5割くらいは継続して働いてもらっているそうで、経営はたいへん苦しい。
 子どもたちには飲むもの、食べるものは放射線に汚染されていないものを与えたい、ブログ等で発信して、県外から多くの人々が支援物資を送ってくれるようになって、子どもたちの口に入る飲料水と給食はすべて支援物資でまかなうことができている、それで経営的にも助かっている。

 5月の連休明けから、市内の他の保育園と協力して臨時の施設で保育を再開し、このよつば保育園で再開したのは10月11日である。
 副園長さんによると、これまでに園庭の除染作業をを5回実施したが、特に除染の基準線量を決めているわけではなく、保護者から不安の声があがれば除染する、「保護者の安心のためにやるんです」と言われていた。
 保護者の半分くらいは放射線量測定器を持っていて、やっぱり日常的に気を使っている。
 [このときの園庭における私の放射線測定器の数値は 0.15マイクロシーベルト/時であったが、南相馬市内ではそれほど高い数値とは言えないらしい。]

 行政による除染は、地域を決めて面的に進められているのだけれど、本当は「点」で、特に配慮が必要な子供や妊娠している女性など、優先して助けるべき人や世帯などを優先的にやることも必要ではないのか。
 ここに通ってくる子どもたちには大人の事情はわからないが、子どもたちなりに楽しく過ごしているけれど、外遊びができない、公園でも遊べないのはやっぱりかわいそうだ。
 全国各地から支援物資を送り続けてくれたり、保育園を訪問して子どもたちといっしょに遊んでくれる人たちも多い、「手をつなぐプロジェクト」というのを広げていて、廊下にはその人々の手をつなぎ合った写真がズラーッと貼られていた。

よつば保育園の玄関前に支援物資を積み上げた 保育園の玄関に線量表示

海岸線へ

 保育園を後にして、私たちは、海岸沿いにバスを走らせて、すべて流されて何もなくなった街並みのあとを抜け、津波で破壊された東北電力原町火力発電所などを見て回った。
 海岸線での放射線量は 0.12マイクロシーベルト/時であったから、久喜市よりも少し高い程度である。
 150軒くらいの住宅が密集していた漁村では、ここの土地を買い上げてもらって、近くの山の中腹の高台に集団移転する計画が進んでいるという。
 海岸線から遠くに見える山まではるかな平原、ここは津波が内陸へズーッと押し寄せて、4キロも先の山のふもとのあちこちに数10隻の漁船が転覆し、横たわり、あるいは浮いている格好そのままで、いまだに放置されているのを見た。
 こうしてみると、復旧作業自体がいまだに終了していないのだ。

311前は、農地の間に住宅があった 南相馬市のがれき集積所 東北電力の火力発電所 国道6号線に漁船がひっかかっている

飯舘村で 「11マイクロシーベルト」!!

 午後、南相馬市から、明日の目的地・いわき市へ向かうために、飯舘村を抜けていったのだが、バスの中でスイッチを入れっぱなしにしていた線量計の数値がみるみる上がっていって、0.4マイクロシーベルト…、0.7マイクロシーベルト…、1.0マイクロシーベルト…、まだまだ上がる…、私の測定器はついには、1.55マイクロシーベルトを表示した。
 同行者のシンチレーション式の(私のよりも高性能の)線量計も、2マイクロシーベルトを超えたと言うから、間違いではない。
 途中でバスを止めて道ばたで計測してみたら、私の測定器は地上1mで 5.25マイクロシーベルト/時、地面に置いたシンチレーション式の測定器は最高 11.72マイクロシーベルト/時を表示した.
 これは年間では102ミリシーベルトに達するから、これではここに住むわけにはいかない、全村避難となったのも当然ではある。
 私たちも急いでバスに戻って、早々に飯舘村を抜けた。

私の線量計(地上1m) シンチレーション式線量計(地表面) 飯舘村の農村風景、人の姿はない 左の国道から飯舘村を抜けてきた

福島原発震災被災地を歩く(3)〜いわき市〜
2011年11月27日記

子どもたちへの責任とは何かーいわき市・好間保育園

 今日(20日)は、午前中にいわき市内の「好間保育所」に支援物資を届けた。
 以前は市立保育園であったが、市から委譲(土地は無償貸与、建物は900万円で購入)を受けて、2009年4月から、社会福祉法人「さくらんぼ会」の運営である。
 定員90名で、3・11後には8割の子供が避難していたが、3月28日に再開、同時に給食も再開したという。
 4月新規入所を予定していた子どもたち20数人の内の半数は県外へ移転するなどしたが、逆に南相馬市や大熊町などからの避難者の転入もあって、4月当初は84人、現在は90名の定員いっぱいの子どもたちが通っている。

 3・11前からこの園では園長先生のお考えで、子どもたちには安全な食べ物を食べさせたいということで、食材は福島産の地産地消、無農薬の食材を使っていた。
 再開後しばらくの間も地元のお店や生産者の協力で、そうした“安全な”食材を何とか手に入れていたのだが、しばらくしてから農産物の放射能汚染が明らかになってきた。
 それで、4月に入ってからは今までとは逆に、「子どもたちに放射能汚染された福島産の食材は食べさせられない」と考えて、牛乳は北海道産、他の食材もすべて県外産のものを使っているという。
 新鮮な葉物野菜がなかなか手に入りにくいのが悩みだが、県外の全国各地の支援者から送られる食材も使っている。
 私たちはここに静岡市水道局の水、無農薬のミカン、イモ、大根、レタス等々、放射能フリーの食材を運び入れて、子どもたちの給食に使ってもらうことにした。

徹底した除染

 4月下旬から園内外の放射線量の測定を始めたが、最初は園庭の50p高で0.75マイクロシーベルト/時、地面で2.3、室内の床面で0.23と驚くほどの高さ、室内は徹底した掃除や空気清浄機を設置するなどして、やっと現在では0,1以下に下がっている。
 プールは4.6マイクロシーベルトを計測したが、高圧洗浄機などで除染した結果、0.12〜0.08マイクロシーベルトに下げることができた。
 このプールは園舎に完全に囲まれた中庭にあり、上に透明シートを張ることで新たな放射性物質の落下を防いで、今年の夏は、他の保育園がどこもプールを使用できまなかったが、ここだけはプール遊びをすることができ、地域の子どもたちにも解放して楽しんでもらうことができた。

 もともとこの園では、園長先生が「自然は子供の教科書である」という考えで、子どもたちを室内遊びや道具を使ったからいかに遠ざけるかを徹底し、保育室のテレビを撤去し、近くの川や山、田んぼの中での保育を実践してきた。
 すぐ目の前にサケが遡上する好間川が流れ、近くのドングリ山の斜面を駆け上ったり、木登りやターザンごっこをしたり…。
 それが3・11原発震災後はいっさいできなくなった。
 園庭は当初は0.3マイクロシーベルトを超えたが、表土をはいで徹底した除染作業を行って、地表面で0.08〜0.12マイクロシーベルトとなって、8月下旬からようやく1日1時間半くらい、園庭での外遊びができるようになった。
 最初に園庭に出た日に、子どもたちは何の遊びをするよりも、まず、ただまっすぐに走ったそうで、子どもたちがいかに外に出たかったか、先生たちはウルウルと来たとおっしゃっておられた。

左は小野園長先生 支援物資の山 内庭のプールと園庭

 この間のことを園長先生が書いた文章をいただいたが、その中に、「3・11以後、子どもたちは園でも家庭でも散歩や外遊びができなくなってしまった。人間形成の土台ができる大切な時期に、子どもたちの大切な時間を奪ってしまったことに、大人として、責任を感じ、申し訳なく思いです」と書かれている。

いわき放射能市民測定室の役割

 11月13日に、いわき市内の小名浜港の近くに、全くの市民の手による放射能測定室がオープンした。
 測定機器は「DAYSJAPAN」などからの無償貸与、運営資金は子供基金や全国各地の市民や団体からの寄付金によって立ち上げ、測定作業も市民の手でボランティア的に行っている。
 食材の放射性物質検査はドイツ製とベラルーシ製の2台の測定機器で、正式なオープンまでの準備期間ですでに、ミカン、ユズ、柿、キノコ、ブルーベリーなど300検体の食材の放射性物質検査を実施した。
 測定は専門の知識と技術を持ったメンバーが実施していて、食品1検体で30分、500円で測定してくれるが、市民が食材を刻んだ形で持ち込んだものをそのままの形態(加工せずに)で検査するので、正規の学術的な検査というよりも“参考値”と認識してほしいという。
 これまでの検査によって、地場の食品への放射性物質の地域的な傾向もわかってきたそうで、おおよそ、いわき市域の北側・山に沿った地域の数値が大きいという。

 またホールボディカウンターも設置してこれまでに準備段階で200人を測定してきた。
 1人3分で検査できるということで、この日、参加者の代表者の松谷静岡市議の測定をしてもらったが、セシウム137が180.7ベクレル、カリウム40が4615,8ベクレルで、日本人の平均的な値で異常はなかった。(セシウム137が300ベクレルを超えると問題になる。チェルノブイリの子どもたちで3000〜4000ベクレルが検出されるという)。

2台の放射性物質測定器 ホールボディカウンターにかかっている松谷氏 現在の津波被災地

 市民測定室を出て、いわき市内の小名浜漁港の付近、津波の被災地のあとが今どうなっているのか、バスで見て回ったのだが、海岸線近くの住宅がすべて津波で流されて、がれきの後片付けはほとんど終えたようだが、土台だけが残っているのをみるのはやはり痛々しい。
 ここもまだ「復旧」さえ終わってはいないのだ。

自治体議員と市民の交流会に参加

 午後は、いわき市内で開かれた「福島原発震災 生存権を守ろう! 福島と全国を結ぶ 自治体議員と市民の交流会」に参加した。
 主催は「福島原発震災情報連絡センター」で、全国の140人くらいの自治体議員が加盟していて、私もその一員に名を連ねている。
 福島からの訴えと報告で、原発震災後に避難生活し、今も子どもたちと離ればなれで生活しながら、行政に脱原発を訴え続けている市民のお話のあと、放射能市民測定室の事務局をつとめている鈴木さんのお話を聞くことができた。

 たとえば家庭菜園でおじいちゃんが作っている野菜を食べるかどうか、子供に食べさせるかどうかで、家族内に亀裂が生まれたりする。
 その家族の責任でなく、福島原発事故でまき散らした放射能が、健康に対する影響だけでなく、家族内の対立さえ引き起こしたりする。
 あるおじいちゃんは「子どもたちには食べさせられないが、自分たちで食べる」と言っているが、実際に計ってみたら放射能が検出されないで、「ああ、だいじょうぶだ。安心して家族で食べられる」となる。
 逆に数値が高くて、「やっぱりだめだ。子供には食べさせられない」と、おじいちゃんも納得することができる。
 実際に測定してみることで、人の気持ちを整理し、お互いに納得することができる、そのための測定だという。

 またホールボディカウンターは家族全員で、継続的に計ってもらいたいという。
 計ることによって、家族の誰かが数値が高いとしたら、生活上の何が問題なのかがわかる、放射能を浴びる危険の多い生活の場面を減らすことにつながる、それを考えるためのきっかけにしてほしい。
 食材検査にしても、ホールボディカウンターにしても、実際に計ってみることで、避難しないで生活していくことができるかがわかる。
 これから福島で生活し続けていく上で、何に気をつけなければならないかがわかる、それを話し合っていく材料にしてほしい、知ることで明るくなることができるのではないか、そういう「市民測定室」の思いが熱く語られた。

久喜市の放射性物質の除染方針が公表された
2011/10/24

 学校や保育園で、放射線量が高い数値が計測された場合、多くの市町で土壌を削るなどの「除染」の基準を定めて公表しています。
 たとえば川越市では「地上5cmで0.30μSv/h、 地上50cmで0.25μSv/h」が検出された場合に除染を実施しています」とホームページに明記しているし、鴻巣市では、「市内の保育所・学校等の敷地における空間放射線量を、暫定的に0.23μSv/H(地表5cm)以下となるよう、測定及び除染作業等を実施する」という方針を公表しています。

 しかし久喜市では、これまでに子どもたちの屋外活動を制限する基準も、また除染の基準も策定されず、公表もされていませんでした。

 そこで、 11月定例市議会の一般質問の通告書 [⇒参照] に「除染の基準を定めて公表するべきだ」と書いて22日に提出したのですが、今日(24日)の午後になって、田中市長名で「久喜市放射性物質の除染等の対応方針について」という文書が議員に配布されました。

「0.23μSv/時で除染を実施」

 「久喜市の除染等の対応方針」によると、基準を次のように定めています。

(1)保育園や学校等の校庭・園庭については、地上1pで計測し、毎時0.23マイクロシーベルト以上(年間1ミリシーベルト)で除染を実施する。
 校庭や園庭について、小学校では地上50p、中学校では1mの高さで5地点を計測して、その平均を計測値とする。

(2)局所的には、1マイクロシーベルト以上が計測された地点について、除詮を実施する。
 この場合は、地上高1センチで計測した数値とする。

 しかし、局所的にたとえば《0.5マイクロシーベルト》が計測された場合には除染は実施しないのか、という素朴な疑問も生じてきます。


“いかにもお役所らしい”わかりにくい文章…

 議会の一般質問で事前通告されたから、急に「対応方針」を策定して配布する、逆に言えば議会で取り上げられなければ策定しない(公表もしない)という久喜市の姿勢は、根本的なところでどこかおかしいと言わざるをえません。

 もう一つ、「対応方針」にはこう書かれているのですが、お役所の文章というのはどうしてこうもわかりにくいのでしょうか。
 たとえば、こんな文章です。
局所的な除染実施を判断する目安について(ホットスポット)
 周辺より、毎時1マイクロシーベルト以上高い箇所があった場合については、除染を実施するものとする。
※周辺は毎時0マイクロシーベルトとする。

 1マイクロシーベルトで除染作業をするのか、周辺が 0.1マイクロシーベルトだったら、1.1マイクロシーベルトにならないと除染をしないのか、はたしてどちらと読めるでしょう。

 私は何度読み返しても意味がわからず、環境保全課長に電話して「いったい久喜市は何シーベルトで除染作業をやるのか」と聞いてみて、やっと「1マイクロシーベルトでやります」という答をもらったのですが、もっと市民にわかる文章で書いてはいかがでしょうか。

【9月議会の一般質問】 道路照明のいっせい消灯は何のため
2011年9月議会 猪股和雄の一般質問 『声と眼』426号  2011/10/19

 東日本大震災以降、“電力不足”に対応して節電対策が取り組まれました。
久喜市では、青葉・栗原・青毛・東・吉羽、西側の市道1号線と北の主要道路10路線などの道路照明灯を消灯しましたが、地域全体が真っ暗になってしまい、住民からの苦情で消灯を取りやめた地区もありました。

 しかし本当にこれほどの道路照明灯の消灯が必要だったのかは疑問です。
電力不足対策が必要だったのは午後の電力使用量のピーク時だけでしたが、久喜市では実際には必要もない節電で、住民の安全にとって必要な照明を消してしまいました。
そこで必要な箇所については直ちに道路照明灯の消灯をやめるよう求めました。

 答弁によると、7月1日から全部で301灯を消灯しました。
しかしその後、交差点や横断歩道の付近、防犯灯を兼ねた道路照明灯など、消灯箇所の見直しを行い、9月の時点で消灯を続けているのは210灯ということでした。
当局は「防犯、通行の安全等、地域の要望があった箇所については再点灯していく」と答弁しました。

 実際には電力不足には関係ないのに、経費節約のために『15%節電』のかけ声に便乗して消灯してしまったのではないでしょうか。

給食食材の放射性物質検査を
2011年9月議会 猪股和雄の一般質問 『声と眼』424号  2011/9/6

 市では市役所の他、学校や保育園、公園などで毎月定期的に空間放射線量を測定し、7月には市内16か所の土壌中の放射性物質検査を実施、プールの水や水道水の検査も実施しています。

学校の校庭や保育園の園庭の土壌の放射性物質検査を、今後も定期的に実施するよう求めました。
市では「定期的に検査していく考えはない」「適当な時期に再度実施する」という答弁でした。
さらに継続的に検査していくよう強く求めたところ、当面、年内に1回、土壌検査を実施すると答えました。
 学校や保育園の給食の食材にも放射性物質が含まれている可能性があります。
これまで食材の産地を公表するよう求め、市のホームページに公表されるようになりましたが、さらに食材の放射性物質検査も実施するよう要求しました。
教育部長と福祉部長が「国や県で検査して、市場には安全な食材が流通している。市で検査する考えはない」と答弁しました。
検査しない理由として「結果が出るまで食材を使えないのでは給食が実施できない」というマトはずれな発言もありました。
関東各県でも県内でも所沢や戸田市など多くの市で、独自に食材の放射性物質検査を開始しています。
国や県でやっているから市でやる必要はないという久喜市の姿勢は楽観的すぎます。

 福祉部長が「できればやりたいというスタンスである」と答え、その後で市長が答弁に立って、「検査体制をどうするか、放射性物質が検出された場合にどう対応するかの問題もある。今後、検討していく」と答弁しましたが、久喜市が独自に給食食材の放射性物質検査を実施して安全性を確認していくことが、保護者や子どもたちの安心と信頼を得ることにつながります
市民の信頼に応える道を、市長が決断するべきです。

 消費者庁が自治体に放射性物質検査機器を貸し出したり購入補助の制度も作っていますから、これらの制度を活用していくべきです。

放射線量が高くなった場合の対応は

 地域で高い放射線量が検出された場合に子どもたちの屋外での活動を制限する基準を検討するべきです。
川口市では0.31μSv/h(マイクロシーベルト毎時)を超えた場合に校庭を使う時間を3時間以内にするなどとしています。
吉川市など多くの市で独自の基準を定めており、久喜市もそうした基準を検討すべきです。
教育部長と福祉部長は「年間1ミリシーベルト以下をめざし、超えた場合には屋外活動を制限する」、一方で「0.31μSv/hをメヤスとする」などと答弁ていますが、久喜市としてきちんと検討した上で明確な基準を作り、保護者にも周知するべきではないでしょうか。

 また、これまで学校の除草作業などで、子どもたちが放射能にさらされる機会をできるだけ少なくするように配慮を求めてきました。
教育委員会は、各学校で子どもたちの除草作業の時間短縮、場所の限定、刈った草は大人が移動するなどの配慮を行ってきたとしています。


学校や保育園の放射線量の推移に注目しましょう
 『声と眼』423号 2011/8/28

 久喜市は小中学校、保育園、公園等の放射線量を定期的に測定して公表しています。6月は低減していましたが、7月末には地点によって上昇傾向を示し、0.16μSv/hを超える地点がありました。
気流などの関係で高いことが考えられます。
なお公園での高い測定値(7月)は、菖蒲・森下緑地グラウンド 0.116、鷲宮・久本寺公園 0.115、栗橋・香取神社境内 0.114μSv/hなどでした。
一方、8月2日の道路側溝の測定で、ひまわり保育園付近で0.2μSv/hを超える数値が出ています。

仮に0.115μSv/hの放射線を継続的に浴び続ければ「放射線障害の防止に関する法律」に基づく被曝限度の年間1ミリシーベルトを超えることになります。

川口市では、0.31μSv/hを超えた場合、子どもたちの校庭や園庭など屋外での活動を制限する独自基準を定めました。
久喜市でもこうした基準を検討すべきです。

学校給食の食材産地を公表

 教育委員会と保育課では7月までの給食の食材料産地をホームページで公表しました。
今後、学校給食は献立といっしょに、保育課でも月ごとに公表していく方針です。

⇒学校給食の食材産地公表へのリンク
⇒保育園給食の食材産地公表へのリンク
保育園の給食の食材料産地について、「いったん公表したが削除された」と書きましたが、削除と書いたのは間違いで、そのまま掲載されていました。
保育課の課長から「削除していない」というご指摘の連絡をいただきました。申し訳ありません。

ただし、8月15日の時点では【注目情報】に載っていたのが、今は【子育て情報】のメニューからたどるか、【新着情報】から【過去の全ての情報】を選んで、8月15日の日付をたどらないと見つかりません。
【保育課】のページからリンクが貼ってあればすぐに見つかるのですが、ちょっと不親切です。

衛生組合の焼却灰の放射能

 衛生組合の焼却灰や煤塵からも放射性セシウムが検出されています。

 今のところ、埋め立て可能な限度基準値8000ベクレルを下回っているので、草津町の最終処分場に搬入して埋め立てています。
一方、これまで煤塵を溶融固化して路盤材としてリサイクルしていましたが、茨城県の搬入事業者の自主基準を超えたため、受け入れができなくなりました。

 剪定枝の堆肥化についても、野積みなので放射性物質が蓄積している可能性があります。
今後、放射能測定の結果によっては使えなくなる恐れもあります。

小・中学校および市立幼稚園における空中放射線量【測定値μSv/hマイクロシーベルト毎時】
5/2、5/9 6/14、6/15 7/27、7/28 8/16、17
地表面 地表面 地上50cm 地上5cm 地上50cm 地上1m 地上5cm 地上50cm 地上1m
久喜地区 久喜小 0.09 0.09 0.09 0.078 0.088 0.085 0.086 0.083 0.083
太田小 0.09 0.09 0.08 0.097 0.097 0.091 0.090 0.090 0.082
江面一小 0.11 0.08 0.08 0.078 0.079 0.072 0.086 0.078 0.081
江面二小 0.10 0.09 0.08 0.076 0.072 0.071 0.083 0.074 0.075
清久小 0.08 0.09 0.09 0.082 0.074 0.074 0.064 0.068 0.069
本町小 0.08 0.08 0.08 0.094 0.095 0.089 0.078 0.074 0.078
青葉小 0.08 0.08 0.08 0.080 0.076 0.087 0.056 0.063 0.063
青毛小 0.11 0.09 0.09 0.121 0.096 0.080 0.130 0.109 0.105
久喜東小 0.09 0.09 0.09 0.081 0.097 0.084 0.086 0.087 0.081
久喜北小 0.08 0.08 0.09 0.090 0.091 0.088 0.082 0.079 0.082
久喜中 0.09 0.09 0.09 0.074 0.076 0.073 0.067 0.064 0.068
久喜南中 0.09 0.09 0.09 0.079 0.094 0.084 0.115 0.097 0.093
久喜東中 0.11 0.09 0.09 0.111 0.119 0.101 0.099 0.098 0.100
太東中 0.08 0.09 0.09 0.071 0.077 0.075 0.064 0.058 0.064
中央幼稚園 0.10 0.08 0.08 0.109 0.100 0.103 0.088 0.085 0.093
菖蒲地区 菖蒲小 0.07 0.09 0.09 0.092 0.083 0.079 0.082 0.076 0.074
小林小 0.08 0.09 0.09 0.083 0.088 0.079 0.078 0.077 0.072
三箇小 0.07 0.09 0.09 0.072 0.076 0.076 0.070 0.072 0.071
栢間小 0.07 0.08 0.08 0.094 0.079 .0.083 0.081 0.091 0.078
菖蒲東小 0.10 0.10 0.10 0.084 0.092 0.087 0.092 0.079 0.080
菖蒲中 0.10 0.08 0.07 0.076 0.073 0.072 0.075 0.072 0.070
菖蒲南中 0.07 0.09 0.09 0.129 0.130 0.123 0.115 0.111 0.099
栗橋地区 栗橋西小 0.10 0.08 0.08 0.140 0.143 0.135 0.149 0.142 0.137
栗橋南小 0.11 0.09 0.09 0.142 0.136 0.127 0.111 0.099 0.103
栗橋小 0.15 0.09 0.08 0.163 0.138 0.145 0.140 0.140 0.131
栗橋東中 0.10 0.09 0.09 0.119 0.123 0.108 0.096 0.094 0.100
栗橋西中 0.10 0.09 0.09 0.112 0.129 0.118 0.131 0.122 0.112
栗橋幼稚園 0.10 0.07 0.07 0.080 0.073 0.068 0.071 0.071 0.069
鷲宮地区 鷲宮小 0.10 0.09 0.09 0.090 0.097 0.098 0.086 0.102 0.104
桜田小 0.08 0.08 0.08 0.110 0.099 0.110 0.096 0.094 0.098
上内小 0.10 0.07 0.07 0.085 0.089 0.082 0.077 0.086 0.072
砂原小 0.10 0.08 0.08 0.108 0.094 0.103 0.124 0.119 0.113
東鷲宮小 0.10 0.07 0.07 0.109 0.094 0.096 0.085 0.079 0.075
鷲宮中 0.10 0.08 0.08 0.123 0.124 0.125 0.134 0.136 0.140
鷲宮東中 0.09 0.08 0.08 0.104 0.120 0.111 0.103 0.097 0.087
鷲宮西中 0.14 0.08 0.08 0.130 0.134 0.156 0.115 0.121 0.125
保育園における空中放射線量【測定値μSv/hマイクロシーベルト毎時】
5/6 5/17、5/18 6/20、6/21 7/25、7/26 8/18、19、22
地表面 地表面 地表面 地上50cm 地上5cm 地上50cm 地上1m 地上5cm 地上50cm 地上1m
久喜地区 さくら保育園 砂場 0.10 0.09 0.09 0.09 0.110 0.105 0.106 0.119 0.113 0.116
園庭 0.11 0.10 0.09 0.09 0.084 0.085 0.094 0.090 0.102 0.092
すみれ保育園 砂場 0.10 0.08 0.08 0.08 0.095 0.089 0.086 0.090 0.084 0.087
園庭 0.12 0.11 0.09 0.09 0.100 0.093 0.087 0.113 0.094 0.095
ひまわり保育園 砂場 0.09 0.07 0.08 0.08 0.104 0.106 0.086 0.099 0.087 0.089
園庭 0.10 0.08 0.08 0.07 0.075 0.075 0.075 0.078 0.069 0.069
あおば保育園 砂場 0.09 0.08 0.08 0.08 0.103 0.091 0.091 0.105 0.095 0.093
園庭 0.10 0.09 0.08 0.08 0.099 0.086 0.100 0.097 0.089 0.088
中央保育園 砂場 0.10 0.11 0.09 0.09 0.115 0.095 0.078 0.123 0.102 0.100
園庭 0.10 0.08 0.06 0.06 0.059 0.069 0.057 0.072 0.067 0.067
中央保育園分園 砂場 0.10 0.09 0.08 0.08 0.092 0.098 0.099 0.103 0.101 0.095
園庭 0.12 0.09 0.09 0.09 0.096 0.090 0.089 0.100 0.092 0.089
はるみ保育園 砂場 0.09 0.07 0.08 0.08 0.079 0.073 0.077 0.080 0.075 0.079
園庭 0.09 0.08 0.08 0.08 0.098 0.086 0.079 0.082 0.075 0.080
たから保育園 砂場 0.09 0.10 0.08 0.08 0.093 0.088 0.082 0.097 0.090 0.085
園庭 0.10 0.10 0.08 0.08 0.104 0.085 0.083 0.087 0.079 0.085
エンゼル保育園 砂場 0.08 0.07 0.08 0.08 0.074 0.084 0.077 0.088 0.078 0.080
園庭 0.09 0.08 0.08 0.08 0.081 0.077 0.078 0.077 0.083 0.089
エンゼル東保育園 砂場 0.09 0.07 0.07 0.07 0.087 0.086 0.094 0.080 0.089 0.096
園庭 0.11 0.08 0.07 0.07 0.121 0.095 0.110 0.100 0.105 0.092
菖蒲地区 あやめ保育園 砂場 0.09 0.09 0.07 0.07 0.050 0.063 0.063 0.051 0.063 0.061
園庭 0.11 0.10 0.07 0.07 0.070 0.078 0.073 0.071 0.075 0.068
おばやし保育園 砂場 0.09 0.08 0.07 0.07 0.068 0.073 0.076 0.063 0.071 0.067
園庭 0.10 0.10 0.08 0.08 0.108 0.094 0.092 0.109 0.092 0.077
しょうぶ保育園 砂場 0.12 0.09 0.06 0.06 0.074 0.070 0.066 0.069 0.068 0.068
園庭 0.11 0.10 0.07 0.07 0.087 0.089 0.079 0.076 0.079 0.072
栗橋地区 栗橋保育園 砂場 0.09 0.08 0.07 0.07 0.074 0.077 0.070 0.071 0.068 0.068
園庭 0.09 0.11 0.10 0.10 0.081 0.076 0.081 0.090 0.087 0.078
おおしか保育園 砂場 0.10 0.08 0.08 0.08 0.078 0.086 0.085 0.092 0.078 0.083
園庭 0.13 0.10 0.11 0.10 0.104 0.093 0.088 0.118 0.106 0.082
鷲宮地区 鷲宮保育園 砂場 0.10 0.08 0.08 0.08 0.090 0.094 0.081 0.078 0.091 0.084
園庭 0.11 0.11 0.09 0.09 0.116 0.106 0.103 0.107 0.095 0.096
鷲宮第二保育園 砂場 0.10 0.08 0.08 0.08 0.074 0.087 0.081 0.073 0.079 0.089
園庭 0.11 0.09 0.11 0.10 0.134 0.125 0.101 0.130 0.121 0.120
さくらだ保育園 砂場 0.10 0.09 0.07 0.07 0.089 0.092 0.101 0.085 0.095 0.093
園庭 0.10 0.11 0.08 0.08 0.081 0.083 0.082 0.077 0.081 0.074
公園の放射線量の推移
地区名 公園名 測定場所 測定値 (地表面) (50センチ) 地上5p 地上50p 地上1m
久喜地区 エンゼル公園 広場中央 0.08 0.06 0.06 0.078 0.073 0.073
木製遊具脇 0.08 0.07 0.07 0.077 0.074 0.075
青葉公園 グラウンド脇 0.106 0.097 0.093
山下公園 ジャブジャブ池脇 0.078 0.076 0.072
吉羽公園 砂場中央 0.08 0.07 0.06 0.08 0.076 0.075
木製遊具脇 0.07 0.06 0.06 0.072 0.063 0.06
道合公園 砂場中央 0.06 0.06 0.06 0.077 0.073 0.065
広場中央 0.08 0.06 0.06 0.076 0.07 0.067
久喜総合運動公園 グラウンド中央 0.08 0.08 0.08 0.079 0.067 0.065
自由広場中央 0.09 0.08 0.08 0.085 0.08 0.081
多目的広場中央 0.07 0.08 0.08 0.089 0.086 0.086
七社神社児童遊園 砂場中央 0.08 0.07 0.07 0.095 0.087 0.084
北中曽根農村公園 広場中央 0.08 0.07 0.07 0.072 0.064 0.063
菖蒲地区 鎮守の森公園 水飲み場脇 0.08 0.06 0.06 0.085 0.08 0.073
築山脇 0.08 0.06 0.06 0.087 0.072 0.075
森下緑地グラウンド グラウンド中央 0.07 0.06 0.06 0.091 0.085 0.087
テニスコート脇 0.07 0.07 0.07 0.116 0.113 0.112
あやめ公園 砂場中央 0.07 0.07 0.07 0.07 0.074 0.075
広場中央 0.09 0.07 0.07 0.106 0.086 0.075
しらさぎ公園 広場ベンチ脇 0.06 0.06 0.06 0.073 0.069 0.059
ステージ中央 0.05 0.07 0.07 0.081 0.076 0.076
ふれあい広場 トイレ脇 0.05 0.06 0.06 0.088 0.069 0.075
広場中央 0.05 0.06 0.06 0.088 0.077 0.079
栗橋地区 栗橋ハイツ第2公園 砂場中央 0.05 0.08 0.08 0.085 0.084 0.078
広場中央 0.06 0.08 0.08 0.088 0.082 0.079
千勝神社境内 砂場中央 0.06 0.11 0.1 0.111 0.102 0.104
ブランコ脇 0.06 0.09 0.08 0.095 0.085 0.083
香取神社境内 スベリ台脇 0.05 0.07 0.07 0.114 0.107 0.102
広場中央 0.05 0.06 0.06 0.096 0.092 0.087
南栗橋近隣公園 モニュメント脇 0.05 0.06 0.06 0.073 0.071 0.071
広場中央 0.07 0.07 0.07 0.098 0.091 0.086
狐塚ヘルシーパーク 広場中央 0.05 0.08 0.08 0.106 0.098 0.097
水飲み場脇 0.06 0.09 0.08 0.083 0.079 0.079
鷲宮地区 久本寺公園 砂場中央 0.07 0.08 0.08 0.094 0.082 0.081
ブランコ脇 0.08 0.09 0.08 0.115 0.088 0.082
しらかば公園 砂場中央 0.07 0.06 0.06 0.077 0.072 0.075
広場中央 0.08 0.07 0.07 0.078 0.076 0.076
下出ふれあい公園 金属製遊具脇 0.08 0.07 0.07 0.094 0.08 0.079
広場中央 0.08 0.07 0.07 0.067 0.076 0.073
原山公園 砂場中央 0.04 0.07 0.07 0.078 0.076 0.075
広場中央 0.05 0.06 0.06 0.081 0.075 0.078
沼井公園 広場中央 0.04 0.06 0.06 0.07 0.069 0.064
テニスコート脇 0.05 0.06 0.06 0.072 0.068 0.067
大栄第2公園 スベリ台脇 0.07 0.11 0.1 0.112 0.099 0.094
道路側溝の放射線量
地区名 8月2日
地上5cm 地上50cm 地上1m
久喜地区 市道久喜9404号線
(ひまわり保育園付近)
0.21 0,08 0,08
市道久喜6226号線
(総合運動公園付近)
0.09 0.09 0.09
市道久喜7316号線
(青葉公園付近)
0.09 0.09 0.09
市道久喜4027号線
(本町小学校付近)
0.09 0.09 0.09
市道久喜1071号線
(清久小学校付近)
0.09 0.09 0.09
菖蒲地区 市道菖蒲1号線
(菖蒲小学校付近)
0.18 0.08 0.08
市道菖蒲2617号線
(栢間小学校付近)
0.08 0.08 0.08
市道菖蒲6号線
(三箇小学校付近)
0.08 0.08 0.08
市道菖蒲2343号線
(私立おばやし保育園付近)
0.08 0.08 0.08
栗橋地区 市道栗橋31号線
(私立栗橋保育園付近)
0.08 0.08 0.08
市道栗橋1147号線
(南栗橋近隣公園付近)
0.14 0.11 0.1
市道栗橋655号線
(栗橋西小学校付近)
0.06 0.06 0.06
鷲宮地区 市道鷲宮352号線
(私立鷲宮保育園付近)
0.07 0.07 0.07
市道鷲宮63号線
(桜田小学校付近)
0.07 0.07 0.07
市道鷲宮114号線
(鷲宮運動広場付近)
0.07 0.07 0.07

土壌の放射性物質検査
7/12
測定場所 測定結果 Bq/kg(ベクレル毎キログラム)
放射性ヨウ素 放射性セシウム
ヨウ素131 セシウム134 セシウム137
久喜 市立ひまわり保育園(園庭) 検出限界未満 13 20
地区 市立ひまわり保育園(砂場) 検出限界未満 48 50
総合運動公園 検出限界未満 39 40
青葉公園 検出限界未満 68 72
市立本町小学校 検出限界未満 47 45
市立清久小学校 検出限界未満 65 90
菖蒲 市立菖蒲小学校 検出限界未満 33 39
地区 市立栢間小学校 検出限界未満 34 40
市立三箇小学校 検出限界未満 35 36
私立おばやし保育園 検出限界未満 85 94
栗橋 私立栗橋保育園 検出限界未満 45 59
地区 南栗橋近隣公園 検出限界未満 110 130
市立栗橋西小学校 検出限界未満 120 140
鷲宮 私立鷲宮保育園 検出限界未満 25 37
地区 市立桜田小学校 検出限界未満 35 32
鷲宮運動広場 検出限界未満 71 78

衛生組合の焼却灰、煤塵からも放射性物質が検出された
2011/8/11

 久喜宮代衛生組合で、焼却灰や飛灰、し尿処理汚泥の中に含まれる放射性物質の検査を実施しました。

 飛灰とは、焼却されて出る排ガスが空気中に放出する前に集塵機(バグフィルター)などを通して集めた灰(固形物)で、ダイオキシンなど各種の有害物質が高濃度で含まれています。
したがってそのまま埋立はできないので、溶融固化などの処理をして有害物質が溶け出さないように処理することが義務付けられています。

 環境省が、最終処分場での埋立可能な焼却灰やばいじん(飛灰)の放射能濃度の基準値は、1キログラム当りセシウム8000ベクレル以下としています。
 衛生組合の飛灰の放射性物質は「6700ベクレル」だったため、かろうじて基準値を下回っているので、これまで通り草津町の最終処分場などに埋め立てを継続できることになりました。
 この最終処分場は民間事業者の施行ですが、草津町行政当局と協議して了解を得ているということです。

 昨年まで、ばいじんは栃木県の業者で溶融固化をして路盤材としてリサイクルしていましたが、事業者の自主規制値(2000ベクレル)を上回ってしまったため、受け入れができなくなり、最終処分場への埋め立て処分をすることになりました。

 衛生組合では今後も定期的な検査を実施していく方針で、2回目は8月上旬に検体の採取を行って、検査に回っています。

単位 Bq(ベクレル)/kg
久喜宮代清掃センター 菖蒲清掃センター 八甫清掃センター
焼却灰
測定日 2011/5/23 6/2 5/27
ヨウ素131 検出限界未満 検出限界未満 検出限界未満
セシウム137 590 260 220
セシウム134 500 220 200
放射性セシウム合計 1090 480 420
 
ばいじん(飛灰)
測定日 2011/6/1 6/2 5/24
ヨウ素131 検出限界未満 検出限界未満 検出限界未満
セシウム137 3600 1600 2200
セシウム134 3100 1500 1900
放射性セシウム合計 6700 3100 4100
単位 Bq(ベクレル)/kg
久喜宮代清掃センター 八甫清掃センター
し尿汚泥 し尿焼却灰
測定日 2011/5/19 6/2
ヨウ素131 15 検出限界未満
セシウム137 34 700
セシウム134 33 670
放射性セシウム合計 67 1370

剪定枝堆肥の放射性物質の検査結果は?

 なお、久喜宮代衛生組合では、一般家庭などから燃やせるごみとして排出されてくる剪定枝をチップ化して堆肥化する取り組みをしていますが、これまで久喜宮代清掃センターの隣接地に山積みして熟成させています。

 土壌中の放射性物質を植物が吸い上げ、あるいは空気中の放射性物質が枝葉などに付着して、それが剪定枝堆肥に混入してくるのではないかという心配があります。
 また現在は屋根もない空き地に積み上げていますから、雨などに混じって放射性物質が降り注いでいて、“濃縮”されているのではないかという推測もあります。
 衛生組合では、8月11日に剪定枝堆肥の放射性物質の検査を行っていて、結果は中旬以降に明らかになる見込みです。


 今後、焼却灰、飛灰、し尿処理汚泥、堆肥などの放射性物質の検査を行って、放射性物質の検出値が上がった場合、それらの処理やリサイクルにも大きな影響が出ると予想されます。
 近隣では、千葉県柏市が焼却灰から8万7000ベクレルという高濃度の放射性セシウムが検出されたため、埋立ができなくなり、市で保管せざるを得ない事態に追い込まれました。
 また、越谷や草加など6市町で構成する東埼玉資源化組合では、これまで枝葉を堆肥化していましたが、7月から枝葉の受け入れを中止しました。


地震発生時、要援護者の安否確認はどのように行われたか
2011年6月議会 いのまた和雄の一般質問 『声と眼』422号 2011/8/4

 6月13日の一般質問で、東日本大震災発生時の要援護者の安否確認、支援がどのように行われたのか、今後の課題についてただしました。

 障害者や高齢者など、いわゆる“災害弱者”が障害の故に取り残されるようなことがあってはなりません。
ずっとこれらの“災害時要援護者”の安否確認と支援計画を作るよう求めてきて、ようやく合併前の旧久喜市で「要援護者見守り支援制度」と名簿登録制度ができていました。
東日本大震災発生時に、実際にこの名簿に基づいて要援護者の安否確認と支援がどのように実施されたのか、成果と今後の課題をただしました。

 要援護者名簿に登録されている高齢者は全部で3204人でした。
この内、一人暮らしの高齢者486人について市の職員が直接連絡を取り、翌日までに安全を確認できたのは433人で、残りは民生委員などを通じて17日までに確認できました。
障害者の要援護者名簿登録者174人のうち12日までに市で安否確認できたのは119人で、視覚障害者20人についても直接連絡を取りました。

 その他の要援護者については民生委員を通じて確認を依頼しました。
高齢者と障害者の3478人の要援護者名簿はあらかじめ各地区の民生委員に配布されていて、民生委員はその名簿に基づいてそれぞれの地域で安否確認に回りました。

一人一人の状況把握まではできなかった

 しかし現在の制度では、地域の民生委員は高齢者や障害者の要援護者の安否確認をして、けがや支援が必要な場合以外は、特に市に連絡をするシステムにはなっていなかったため、市で一人一人の状況を把握することまではできませんでした。

 また菖蒲、栗橋、鷲宮地区については全体的な要援護者の把握はできていず、名簿登録制度もありませんでした。
したがってそれぞれの地区で民生委員が独自に高齢者等の安否確認活動を行いましたが、どのくらいの範囲で安否確認ができたのかについても、市では把握できませんでした。

一方、社会福祉協議会をはじめ、それぞれの介護保険や障害者福祉事業所が日常活動でつながりのある高齢者等の安否確認活動を行いました。
特に社協では翌日の12日までに395人の高齢者・障害者について、訪問、電話、メール等を通じて状況把握を行うことができました。

市が確認集約の体制と、支援計画策定を

 今回のように地震直後に電話での連絡がほとんどできないといった状況では、市で直接に全部の要援護者の状況を把握するのは事実上不可能です。
したがって地域の民生委員等による安否確認活動が不可欠です。
これまで旧久喜市で要援護者支援制度が確立し、今回、地域の民生委員等が名簿に基づいて安否確認活動を行うことができたことは大きな成果です。
しかし民生委員が高齢者や障害者の安否確認をして、その一人一人の状況を、どこにどのように報告するのかが不明確だったという問題点も明らかになりました。
今後は、地域での安否確認の結果や一人一人の状態を最終的に市に報告して、市の介護福祉課と障害者福祉課がすべての要援護者の状況を把握できるシステムを確立していくことが課題になります。

市内全域で要援護者登録制度がスタート

 菖蒲・栗橋・鷲宮の3地区については、これから要援護者名簿登録制度を作っていくことになっていて、10月頃から各地区で名簿作成の作業が開始される予定です。
早急に制度の確立を進めるよう求めます。

 また要援護者名簿登録者にはボランティアなどの“支援者”も登録されていますが、災害発生時にこうした支援者がどのように活動するのかも課題です。
民生委員や登録された支援者がそれぞれの立場から安否確認活動を行って、それらを市で集約して把握する体制を作っていくべきです。

さらに今回は幸いにも市内で大規模な避難が必要な事態にはなりませんでしたが、要援護者名簿に登録された高齢者や障害者が避難が必要になったとき、一人一人の避難を市や民生委員、支援者らがどう支援するのかが必要になってきます。
市では今後、「個別支援プラン」と要援護者の避難支援全体計画の策定も進めていく方向性も明らかになっています。


給食食材の放射性物質はどうなっているか
2011/7/27

 福島第一原発からの放射性物質の拡散は続いていて、飼育牛のエサわらから放射性物質が検出され、汚染は全国に広がっていることが明らかになりました。

 東北や関東各県の農作物も程度の差こそあれ、放射性物質に汚染されているらしいことは、もはや否定できません。

 学校や保育園の保護者のみなさんから、給食食材の放射性物質検査はしているのだろうかという問い合わせが寄せられています。

 27日に教育委員会へ行って、教育部長、学校給食担当の学務課長とお話しをしてきました。
 それによると、教育委員会としては、給食食材の放射性物質検査までは今のところ考えていない。
 しかし、教育委員会にも問い合わせもあり、保護者の安心のために、食材の生産地名を公表していきたい。
 これまでの3月から7月までの食材の産地名については、どういう形で公表するか検討しているので、なるべく早く(7月中には間に合わない)公表したい。
 9月以降は、毎月の献立を発表する際に、産地名も公表したいと考えている。
とのことでした。

 その後、保育課長にも電話で、教育委員会の対応方針を伝えるとともに、保育園の給食食材産地名の公表を進めるように求めました。
 保育課長としても、これまで食材の放射性物質検査について話はしてきたが、今のとこと検査までは考えていない。
 食材の産地名の公表について、教育委員会と連絡を取って検討したいというお話しでした。

 教育委員会、保育課に対しては引き続き、早急に検討を進め、積極的に公表していくよう求めていきます。


市内の土壌中の放射性物質検査が公表された
2011/7/21

久喜市は6月議会で市内各所の土壌中の放射性物質検査を実施することを約束していましたが、7月12日に市内15か所で土壌を採取して、検査した結果が公表されました。
⇒久喜市のホームページ

 地区を見ていくと、栗橋地区の数値が比較的高くなっています。
 土壌は、各施設で5か所ずつから採取してそれを混ぜて検査していますが、それぞれを混ぜないで検査した場合には、同じ施設の中でもさらに高い数値が出たことも推測されます。
 実際、ひまわり保育園では園庭と砂場を別に採取して測定した結果、砂場の砂の方がかなり高い数値が検出されています。
 一般的に、土の校庭よりも、砂場の方が放射性物質が蓄積しやすく、さらに砂場の地面の下に雨とともに放射性物質もしみこんでいくと言われています。
 今後も放射性物質の拡散は続いていくと考えられますから、定期的に検査を実施して、その推移を注視していかなくてはなりません。

測定結果 Bq/kg(ベクレル/キログラム)
測定場所 採取日 採取時刻 放射性ヨウ素 放射性セシウム
ヨウ素131 セシウム134 セシウム137
久喜地区 市立ひまわり保育園(園庭) 7月12日 午後2時25分 検出限界未満 13 20
市立ひまわり保育園(砂場) 7月12日 午後2時40分 検出限界未満 48 50
総合運動公園 7月12日 午後1時50分 検出限界未満 39 40
青葉公園 7月12日 午後3時10分 検出限界未満 68 72
市立本町小学校 7月12日 午後2時25分 検出限界未満 47 45
市立清久小学校 7月12日 午後1時00分 検出限界未満 65 90
菖蒲地区 市立菖蒲小学校 7月12日 午前10時20分 検出限界未満 33 39
市立栢間小学校 7月12日 午前9時00分 検出限界未満 34 40
市立三箇小学校 7月12日 午前10時45分 検出限界未満 35 36
私立おばやし保育園 7月12日 午前9時45分 検出限界未満 85 94
栗橋地区 私立栗橋保育園 7月12日 午前9時00分 検出限界未満 45 59
南栗橋近隣公園 7月12日 午前10時35分 検出限界未満 110 130
市立栗橋西小学校 7月12日 午前9時30分 検出限界未満 120 140
鷲宮地区 私立鷲宮保育園 7月12日 午後1時50分 検出限界未満 25 37
市立桜田小学校 7月12日 午前11時05分 検出限界未満 35 32
鷲宮運動広場 7月12日 午後1時15分 検出限界未満 71 78
検出限界値 10 10 10

独自に小学校の砂場の砂を検査しました

 6月6日に、私は個人的に久喜地区・青毛小学校の砂場の砂(地面の下15センチ付近)を採取して、検査機関に放射性物質検査を依頼していましたが、その結果がわかりました。
 その結果は以下の通りです。(検査機関 放射能汚染食品測定室、検査料7000円)

測定結果 Bq/kg(ベクレル/キログラム)
ヨウ素131 セシウム134 セシウム137
測定日時 2011/6/14 不検出 不検出
基準日時 2011/6/06 不検出 不検出
検出限界値
半減期 8.04日 2.06年 30.2年

 あくまでも個人的な測定依頼であり、いわば“参考数値”として考えており、市の測定結果と比較するため、これまで公表を差し控えてきましたが、市の検査結果よりもさらに低い数値になっているので、少しホッとしています。

【市の教育委員会には、私の方で一方的に学校名と検査結果の公表はしないと伝えていましたが、市の検査結果よりも低い数値であったことから、むしろ公表した方が学校の保護者や子どもたち、住民にも安心感を与えることができると判断して、公表することにしました。】

 5月に、あるブログに、市民の方が独自に自分の子どもが通う保育園(久喜市内)の園庭の土壌検査を依頼した結果が掲載されたことがありました。
 それによると、放射性ヨウ素131が1029Bq/kg、セシウム134が456Bq/kg、セシウム137が841Bq/kgというきわめて高い数値が検出されたそうです。
 今回の久喜市による検査結果との乖離をどう評価したらよいのか、ある地点では地形や気流の関係で高濃度の放射性物質の蓄積がある(ホットスポット)と考えるべきかも知れませんが、安易に結論は出すことはできません。

学校プールのヘドロからも、通常より高い放射線量が測定された
2011/7/13

 6月に各学校で、プール授業開始前の清掃が行われました。
 その際に、昨年からたまっていた水に放射性物質が混入している可能性があるので、教育委員会は例年のように子どもたちに清掃させるのでなく、まず教職員が大まかな清掃をするよう指示を出しました。

 ⇒参照記事 5月28日 「教育委員会からのプール清掃に関する指導の内容」

 その時に取り除いたヘドロは、それぞれの学校の敷地内(プールや体育館の裏など)に放置されていましたが、ある学校の保護者から、「そのヘドロに放射性物質が入ったまま、放置されているのではないか」という心配が寄せられました。

 さっそくその学校に行って確認してきましたが、校庭のすみに捨てられたヘドロはすでに乾燥していましたが、そのまま放置しておくのでなく、何らかの対処が必要と判断しました。

 そこで直ちに教育委員会に行って、(1)各学校で放置されたヘドロの状態を確認すること、(2)ヘドロの放射線量の測定をすること、(3)さらに放射能が確認された場合、子どもたちが触れないように処理するよう求めてきました。

 夕方に教育委員会から回答があってそれによると、職員がすぐに現地へ行って放射線量を測定したところ、これまでに市内の学校校庭などで測定された空中放射線量より高い0.2〜0.3マイクロシーベルトが検出されたため、そのヘドロをそのまま放置しておかないで埋設処理するよう指示したとのことです。

 他の学校についても、ヘドロが捨てられた場所を確認して、子どもたちが触れないように対処すること、さらに今後、各学校で放置されたヘドロの放射線量を測定していくという考えも示されました。

  これからも子どもたちの回りの放射能について、監視を続けていく必要があります。


学校や保育園の放射線量、プールの水と土壌中の放射性物質検査を実施
『声と眼』421号 2011/7/12

 6月議会の一般質問で、市当局は学校、保育園、公園等の空中放射線量測定を定期的に実施していくことを約束しました。
これまでに小中学校、保育園、公園等の空中放射線量測定とプールの水野検査を実施し、すべて市のホームページに公表されています。

◆市内36の小中学校全部の校庭で6月14・15日に測定を実施。
 地表面と50pの空中放射線量を測定し、0.07〜0.10μSvの範囲内でした。

◆公立・私立の保育園18園で、6月20日に測定しました。
 各園の園庭、砂場の2か所で地表面、地上50pの空中放射線量を測定、ほとんどの園が0.06〜0.08μSvの範囲内で、最も高いところで0.11μSvでした。

◆市内22か所の公園で、6月21日に地表面と50pの空中放射線量を測定。ほとんどで0.06〜0.08μSvでしたが、最も高い数値は0.11μSvでした。
 これらの空中放射線量の測定は、今後、月1回ずつ実施していきます。

◆27の小中学校のプールの水の放射性物質検査を、6月27・28日に実施。
 ヨウ素131 セシウム134 セシウム137のいずれも「不検出」でした。2回目は7月21日に実施します。

◆土壌の放射性物質検査は、7月12日に市内15か所を抽出して実施しました。
 検査方法は小学校7校、保育園4園、公園等4か所で、それぞれ5地点で採取した土壌を混ぜて検査してそれぞれの平均値を出すとしています。検査結果は1週間程度で出る見込みです。

 久喜地区…市立ひまわり保育園、総合運動公園、青葉公園、本町小学校、清久小学校
 菖蒲地区…菖蒲小学校、栢間小学校、三箇小学校、私立おばやし保育園
 栗橋地区…私立栗橋保育園、南栗橋近隣公園、栗橋西小学校
 鷲宮地区…私立鷲宮保育園、桜田小学校、鷲宮運動公園

 なお、専門家の話では砂場の地下15p程度で高く出る傾向があると言われていますが、そうした検査は行わないのでしょうか。


測定結果を、久喜市のホームページから転載しました
⇒こちらを参照

小中学校のプールの水の放射性物質検査

学校名 取水日 放射性ヨウ素 放射性セシウム
ヨウ素131 セシウム134 セシウム137
1 久喜小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
2 太田小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
3 江面第一小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
4 江面第二小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
5 清久小学校 6月28日 不検出 不検出 不検出
6 本町小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
7 青葉小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
8 青毛小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
9 久喜東小学校 6月28日 不検出 不検出 不検出
10 久喜北小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
11 菖蒲小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
12 小林小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
13 三箇小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
14 栢間小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
15 菖蒲東小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
16 栗橋西小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
17 栗橋南小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
18 栗橋小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
19 鷲宮小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
20 桜田小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
21 上内小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
22 砂原小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
23 東鷲宮小学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
24 久喜中学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
25 久喜南中学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
26 久喜東中学校 6月27日 不検出 不検出 不検出
27 太東中学校 6月27日 不検出 不検出 不検出

小・中学校および市立幼稚園における空中放射線量【測定値μSv/hマイクロシーベルト毎時】

地区名 学校(幼稚園)名 測定日 (地表面) (50センチ)
久喜地区 久喜小学校 6月14日 0.09 0.09
太田小学校 6月14日 0.09 0.08
江面第一小学校 6月14日 0.08 0.08
江面第二小学校 6月14日 0.09 0.08
清久小学校 6月14日 0.09 0.09
本町小学校 6月14日 0.08 0.08
青葉小学校 6月14日 0.08 0.08
青毛小学校 6月14日 0.09 0.09
久喜東小学校 6月14日 0.09 0.09
久喜北小学校 6月14日 0.08 0.09
久喜中学校 6月14日 0.09 0.09
久喜南中学校 6月14日 0.09 0.09
久喜東中学校 6月14日 0.09 0.09
太東中学校 6月14日 0.09 0.09
中央幼稚園 6月14日 0.08 0.08
菖蒲地区 菖蒲小学校 6月14日 0.09 0.09
小林小学校 6月14日 0.09 0.09
三箇小学校 6月14日 0.09 0.09
栢間小学校 6月14日 0.08 0.08
菖蒲東小学校 6月14日 0.1 0.1
菖蒲中学校 6月14日 0.08 0.07
菖蒲南中学校 6月14日 0.09 0.09
栗橋地区 栗橋西小学校 6月15日 0.08 0.08
栗橋南小学校 6月14日 0.09 0.09
栗橋小学校 6月15日 0.09 0.08
栗橋東中学校 6月15日 0.09 0.09
栗橋西中学校 6月15日 0.09 0.09
栗橋幼稚園 6月15日 0.07 0.07
鷲宮地区 鷲宮小学校 6月14日 0.09 0.09
桜田小学校 6月14日 0.08 0.08
上内小学校 6月14日 0.07 0.07
砂原小学校 6月14日 0.08 0.08
東鷲宮小学校 6月14日 0.07 0.07
鷲宮中学校 6月14日 0.08 0.08
鷲宮東中学校 6月14日 0.08 0.08
鷲宮西中学校 6月14日 0.08 0.08

公園における空中放射線量【測定値μSv/hマイクロシーベルト毎時】

地区名 公園名 測定日 測定場所 (地表面) (50センチ)
久喜地区 エンゼル公園 6月21日 広場中央 0.06 0.06
木製遊具脇 0.07 0.07
吉羽公園 6月21日 砂場中央 0.07 0.06
木製遊具脇 0.06 0.06
道合公園 6月21日 砂場中央 0.06 0.06
広場中央 0.06 0.06
久喜総合運動公園 6月21日 グラウンド中央 0.08 0.08
自由広場中央 0.08 0.08
多目的広場中央 0.08 0.08
七社神社児童遊園 6月21日 砂場中央 0.07 0.07
北中曽根農村公園 6月21日 広場中央 0.07 0.07
菖蒲地区 鎮守の森公園 6月21日 水飲み場脇 0.06 0.06
築山脇 0.06 0.06
森下緑地グラウンド 6月21日 グラウンド中央 0.06 0.06
テニスコート脇 0.07 0.07
あやめ公園 6月21日 砂場中央 0.07 0.07
広場中央 0.07 0.07
しらさぎ公園 6月21日 広場ベンチ脇 0.06 0.06
ステージ中央 0.07 0.07
ふれあい広場 6月21日 トイレ脇 0.06 0.06
広場中央 0.06 0.06
栗橋地区 栗橋ハイツ第2公園 6月21日 砂場中央 0.08 0.08
広場中央 0.08 0.08
千勝神社境内 6月21日 砂場中央 0.11 0.1
ブランコ脇 0.09 0.08
香取神社境内 6月21日 スベリ台脇 0.07 0.07
広場中央 0.06 0.06
南栗橋近隣公園 6月21日 モニュメント脇 0.06 0.06
広場中央 0.07 0.07
狐塚ヘルシーパーク 6月21日 広場中央 0.08 0.08
水飲み場脇 0.09 0.08
鷲宮地区 久本寺公園 6月21日 砂場中央 0.08 0.08
ブランコ脇 0.09 0.08
しらかば公園 6月21日 砂場中央 0.06 0.06
広場中央 0.07 0.07
下出ふれあい公園 6月21日 金属製遊具脇 0.07 0.07
広場中央 0.07 0.07
原山公園 6月21日 砂場中央 0.07 0.07
広場中央 0.06 0.06
沼井公園 6月21日 広場中央 0.06 0.06
テニスコート脇 0.06 0.06
大栄第2公園 6月21日 スベリ台脇 0.11 0.1

【特別寄稿】 いまも継続する「原発震災」・3
2011/7/7

「緊急時、子どもも20ミリSvを」――子どもを守らない文科省

 サトウ アトム

 反撃は「計画停電」から

 福島第一原発事故から三か月。

 1〜3号機は、メルトダウンで圧力容器が貫通していた……、大気中に放出した放射性物質77万兆ベクレル。
高濃度放射性汚染水が72万兆ベクレルがあふれようとしている……。
経産省原子力安全・保安院の発表だから、もっと多いのかもしれない。

 菅首相が、浜岡を止めた。首相として初めてのことである。
その点は評価しなければならないだろう。
しかし、菅は浜岡を一時停止させただけであったが、菅降ろしの大合唱が堰を切ったように始まった。
原発推進派(財界、官僚、学界など)の危機感の現れがここに見て取れる。

「原発が止まったから計画停電」――

 2003年4月、東電の事故隠しで、その原発すべてが止まった時も、電力不足にはならなかった。
しかも現在、柏崎刈羽原発の5〜7号機(計381万kW)が稼働しているにもかかわらず、東電は「計画停電」を強行した。
鉄道会社は協力して、駅のエスカレーターを止め、電車の本数を減らした。
老人、障害者は、電車に乗ることもできなくなった。

 いま6月、「計画停電」は実施されず、駅のエスカレーターも動いている。
ということは、東電の「計画停電」は何であったのか?

 原発停止→電力不足→産業活動・市民生活全般にわたる機能停止、だから原発は必要なのだ、という意志表明以外にないだろう。
これほどあからさまな見せしめ的恫喝は、とうてい東電会長・勝俣や社長・清水だけの考えでできるとは思えない。
少なくとも、財界、政界、官僚の同意を得ていたのだろうと、私は当初から推測していた。

 日本の民は、駅のエスカレーターが止まっても我慢した……、「計画停電」に合わせて生活を組んだ。民放のAC広告(公共広告機構)のときは、NHKにして辛抱した。
「オール電化生活」のコマーシャルはすぐ姿を消して、《がんばろう! 日本》のオンパレード。
メディアのあからさまな民意誘導。

 4月中旬、新聞各社も世論調査で、「原発は現状維持・増やす」が、東京(58%)、朝日(56%)、読売(56%)3社。
毎日だけが減らすべき・廃止54%であった。
東京新聞の世論調査の隅っこに、「この調査では被災地は除いています」との文言。
読売も福島県民以外が調査対象だった。
新聞の世論調査なんてこんなもんさ、と侮ってはいけない。世論誘導と知っていても、教育こそ支配の要。

 きょう6月14日、福島県相馬市酪農家の50代男性が自殺したとの報。
「避難区域ではないため、補償はないだろう……、『原発ですべてを失った』」。
むごい。
残念ながら私たちは、こうした辛い報に接することを覚悟しなければならないだろう。
支配する側からの恫喝と教育は、いろんな形で現れるはずだ。
税金のアップ、電力料金のアップから始まって、もろもろの値上げが必須。
その動きはすでに経産省所管の日本エネルギー経済研究所から「家庭電気代 1000円高く」と《試算》が流された。

 ところで右の図は、1年間の累積線量を文科省が推定したものである。
4月19日、文科省が子どもたちに年間累積線量20ミリシーベルトを強要した。
その線引きの図である。

 ベクレル、シーベルト、なじみのない単位だからわかりにくい。

 比喩的にいえば、3月11日の震源放出エネルギーはマグニチュード9だったが、一般的に震度(地震動)は遠い地域ほどゆるくなる。
ベクレルは、この震源放出エネルギーで揺れ具合がシーベルト。
厳密ではないが、ベクレルは、放射性物質の本体の能力だから、飲み物、食べ物となって体内被爆する単位、シーベルトはレントゲンと同じ放射線による外部被曝の単位と考えると分かりやすいだろう。

 年に1回受ける健康診断で胸のX線レントゲンが0・05ミリシーベルト。
これは外部被曝。
肺結核などがあるかどうかを調べるために放射線で診断する。
いまや誰でも知っていることだが、誰も文句は言わない。
病を発見するために、やむをえず放射線を受ける、つまり受忍する範囲だからである。

 日本は、国際放射線防護委員会(ICRP)を基準にして、一般人の年間許容量を1ミリシーベルトとしてきた。
つまり1年間でX線レントゲンを20回までならよし、ということだ。
それが今回の非常事態で、子どもであっても20ミリシーベルトまでが「許容」されたから、年間400回のX線を受けても受忍せよということになった。
それも部分的な胸部検診とちがって、均等に頭から足の先まで全身に放射されることなのである。
こんなこと私はまっぴら御免!
 いや、子どもたち若い人たち、これから出産される年齢の女性たちに、そんな環境に置かせては絶対いけないと思うのだ。 

見えてきたあけぼの

 総評はもうすでにない。
連合メーデーでは「自粛」を理由にシュプレヒコールを「自粛」した。
「これでやれる!」と日本の支配階級は、思っただろう。

 原発震災は、たんなる災害ではない。
100%人災であると同時に、100%政治的課題である。
すでにドイツ、スイスは脱原発に舵を切った。
イタリアは、国民投票で94%(投票率56%弱)の人々が原発に「ノー」を突きつけた。当時国日本の民は――、

「6・11原発やめろ!!!!! 100万人アクション」の呼びかけで、全国約130か所で集会やデモが行われた。
ニューヨーク、パリでも呼応した。

 新宿のそれは、午後2時から始まった。

 渋谷の集会(5/7)と同じ、1970年代の懐かしいチリ革命歌「アジェンデと共に」をチンドンとサックスが奏で(写真上段)、ぴったり3時、サウンドカーを先頭にデモ出発。

 集会のときは、人が少ないなと思ったけれど、デモになるとどんどん増えていく。
警察官の数も渋谷(5・7集会)の時の倍くらい。
シュプレヒコールも、「○○反対」「○○粉砕」なんて言わない、これまでの既存の集会・デモ形式を脱皮させた企画。
デモは音楽に合わせて、「原発止めよう」、「子どもを守ろう」と若い女性がリズムをとりながらコールする。
こんなデモがあるんだ、と驚嘆した。
新宿2万人、芝公園6千人、横浜4千人の参加者。日本の民はイタリアから背中を押されている。

 曙が、ほの見えてきたといえるか。(6・14)

『人権と教育』448号(2011・6・20)より、筆者の許可を得て転載しました。


「原発から、再生可能エネルギー政策への転換を求める意見書」が可決されました
2011/6/28

 市議会最終日の6月28日、原発からのエネルギー政策の転換を求める意見書が可決されました。
 意見書に対する質疑では、飛翔の並木議員が、「反対」の立場から、質疑を行いましたが、採決の段階で、並木議員だけが退席(棄権)。
 政策会議、公明党、共産党、無会派の田村議員に加え、飛翔では並木議員以外のメンバーも全員が賛成して、“全会一致”となりました。

 原子力推進から省エネや再生可能エネルギーを中心としたエネルギー政策への転換を求める意見書

提案者  猪股和雄(政策会議)
    賛成者  岡崎克己(公明党)  
春山千明(政策会議)
園部茂雄(政策会議)
田村栄子(無会派)  

 東日本大震災は壊滅的被害をもたらし、依然として復興の先行きは見えてきません。
全国民が力をあわせて被災者を支援することが求められています。


 そのような中で、東京電力福島第一原子力発電所の事故はいまだに収束の見通しは見えておらず、環境への放射能汚染は拡大し続けています。
今後長期にわたって広範囲に放射能汚染による影響が懸念されています。


 一方で政府は、近い将来において確実に起こると予測されている東海地震による被害を事前に防止するため、浜岡原発の稼動停止を中部電力に要請して、当面、運転中止となりましたが、しかし一方では他の原発は安全だとも言っており、国民の間に一定の混乱を招いています。


 いま、原子力発電に対する国民の不安が高まっている中で、すべての原発の安全点検を行なうとともに、省エネのいっそうの推進と、再生エネルギーを中心としたエネルギー政策への転換が求められています。

 現在、国内の54原子力発電所のうち、半分以上が停止しているとされており、東北、関東地方を中心として節電の努力が求められていますが、今後はさらに、太陽光発電、風力発電、中小水力発電、地熱発電などの再生可能エネルギーによる発電の比率を拡大していく必要があります。


 よって政府は、原子力発電への依存を減らしながら、省エネルギーや再生可能エネルギーを中心としたエネルギー政策への転換を進めるよう求めます。


 以上、地方自治法99条の規定により、意見書を提出します。

久喜市議会

内閣総理大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
環境大臣    あて

保育園や学校で、定期的に放射能調査
子どもたちを放射性物質から守る配慮を

6月議会・猪股の一般質問  『声と眼』420号 2011/6/12

 6月13日の一般質問で、市内の放射線量および土壌の放射性物質検査の実施を求めました。
 市では、現在放射線量測定器を1台保有していますが、さらにもう1台を購入して、調査体制を整備していく方針を明らかにし、その上で次のように保育園や学校・幼稚園、公園などでの放射線量調査、放射性物質検査を実施していく計画です。

(1)保育園の園庭、砂場で、空中および地表面での放射線量測定を、定期的に実施していく、できるだけ早期に実施する。
 園庭の土壌と砂場の砂の放射性物質検査も、できるだけ早期に実施する。
(2)市内の各公園において、空中放射線量と土壌検査を月1回程度定期的に実施していく、できるだけ早く調査を開始したい。
(3)市内小中学校、幼稚園における空中および地表面の放射線量調査について、月1〜2回程度、定期的に実施し、公表していく。測定器が2台になれば回数を増やすことも考える。
 土壌や砂場の砂の放射性物質の検査もできるだけ早く実施していく。

 また現在、久喜地区消防本部が4台の放射線量測定器を保有しています。消防本部と協力して、調査体制を充実していく必要があるのではないか、消防本部と協議するよう提案しました。

 毎年の学校プールの開始前には、児童・生徒が清掃していましたが、プールのたまり水の中にどくれくらいの放射性物質が飛散しているか調査できていません。
そこで、教育委員会は5月末に各学校に通知を出して、先に教職員が大まかなプール清掃を行ってから、子どもたちを入れるように指導しました。

 【参照】 ⇒教育委員会からのプール清掃に関する指導の内容 2011/5/28

 これでどれくらいの危険防止になるかはわかりませんが、子どもたちが放射性物質に触れる可能性がある機会をできる限り減らすよう配慮することにはつながると考えられます。
 同様に、学校の“草取り作業”についても、子どもたちによる作業をやめて、草刈り機によって対応するよう求めました。
 教育委員会では、子どもたちにやらせる場合でも時間を短く、回数も例年より減らす、できるだけ草刈り機を使用するよう指導するという考えを明らかにしました。

 現在の久喜市内の放射線量調査では、ほぼ0.1マイクロシーベルト/時を下回っており、このままの数値が維持されれば年間の許容目標数値である1ミリシーベルト以下となっていますが、もしも今後、放射線量が上昇した場合にどう行動するのか、具体的な対応方針を検討しておくよう求めました。
 保育園では「基準値を超えた場合には屋外での活動を制限する、それ以前においても土や砂を口に入れない、手洗いの徹底など、子どもたちへの指導を行っていく」と答弁、教育委員会でも「今後数値が上がった場合には迅速に対応していく、放射線量の変化に応じて対応していく」と答弁しました。


補正予算で災害復旧費1億800万
『声と眼』419号 2011/6/12

 6月6日に定例市議会が開かれ、初日に災害復旧のための一般会計補正予算が可決されました。
南栗橋地区の液状化被害で、道路13路線の復旧工事費として1億800万円が計上されました。
これまでに10年度補正予算で応急工事などに2470万円、4月に市長が専決処分で予備費から2500万円を支出して4路線の復旧工事を進めています。

 さらに3号補正予算で、久喜北地区の道路や南栗橋の公園復旧工事費として1362万円、南栗橋地区から幸手団地に避難している方々の家賃補助金720万円や児童生徒の通学費補助金も計上されています。
その他に、すみれ保育園の建替え工事の設計費1200万円(工事は12年度に予定)、鷲宮小・上内小・砂原小の体育館耐震補強工事の設計費1400万円も予算化されました。

被災者の支援対策の拡充を求める

 現在の被災者生活再建支援法では、その適用基準が「栗橋地区だけで全壊2件以上」とされています。
久喜市のこれまでの被災家屋の判定では適用要件に達せず、国の支援対象になっていません。
同じ液状化による被災を受けても自治体によって支援を受けられないのは、法の不備であり、また支援対象になっても全壊300万円などの支援金では生活再建にはほど遠いのが実情です。

 そこで久喜市議会では、法の弾力的な運用と支援金の拡充を求める「東日本大震災に伴う液状化被害に関する意見書」を全会派の共同提案で可決し、政府に送付しました。
また、久喜市が「被災者救済のための新たな基準を設けて支援金を支給するなどの独自の支援策を講じるよう求める」決議を可決しました。


【会派視察報告】 仙台から石巻、そして南三陸町へ
2011/6/11

久喜市議会・政策会議

 東日本大震災は、福島、宮城、岩手各県の特に沿岸部自治体と住民生活に対して壊滅的な被害をもたらし、それらの被害の実情については、テレビや新聞報道、インターネットを通じて知らされてきた。
 しかしその実情を、実際にこの眼で見てみる必要があると考えて、6月3日、政策会議の5名の議員(新井、内田、園部、富澤、猪股)で仙台市、石巻市、南三陸町の被災地を車で回ってきた。
 テレビなどの報道で見るのと、実際にこの目で見るのとでは印象が大きく違い、その被害の大きさ、地震と津波の破壊力に圧倒された。
 それは驚いたとかいう形容では納まらない、がれきの山と廃墟を前にして声も出なかったと言うほかない。

◆東北新幹線はやぶさで仙台まで行って、レンタカーを借りた。
 仙台市内を抜けて、三陸自動車道を通ってまずは石巻市街地へ。旧北上川の河口付近、車から降りると魚の腐ったような強烈な匂いが立ちこめていた。


◆北上川を北上して、南三陸町へ向かおうとしたが、国道45号は「土砂崩れのため通行止め」となっていた。
 しかたなく北上川を下って海岸へ向かったが、河口付近に近づくと防波堤が流され、国道398号線も崩れて完全に通れなくなっていた。
 防波堤の内側にあったはずの集落は跡形もない。
 山の上に仮設住宅が建設中だった。


 つぶれた消防車…、最後まで避難を呼びかけていたであろう消防団の人々は助かっただろうか。
 集落の中に持ちこたえたように見える2軒の家だが、近づいてみると、残っているのは柱と屋根だけだった。

◆海岸線をあきらめて山の中の道を抜けて峠を越えて、JR気仙沼線に沿って海岸線へ向かったが、南三陸町の市街地(だったところ)に入ると、いきなり、線路も道路も水門も、すべての建物が流されてがれきだけが続く光景が飛び込んできた。


  市街地のメイン道路をいまだに海水が覆っている。
 志津川病院、そして防災センターの廃墟、延々と続くがれき、動いているものは、ところどころでがれきを片付けているショベルカーなどが見えるだけだった。


 南三陸町防災センター前に、小さな日の丸の旗が3本立っていた。
 一面の廃墟の中、がれきの真ん中に日の丸の旗はたいへん目立つので手で広げてみたのだが、そこには「久喜市青年会議所」の文字が記されていた。
 3月に市と共同で青年会議所の方々が支援物資を搬送してきたと聞いているが、いったい何のためにこんなものを残していったか、自分たちがここまで支援に来たという足跡を残しておきたかったのだろうか。

 周りを見ても他にはこんなものはいっさいなくて、この旗の存在自体に違和感を禁じ得なかった。
 この例に限らず、被災地を訪問してがれきの前でポーズを取っての自分の記念写真をブログに載せている議員もいたりする。
 以前、がれきの山の前でVサインで写真を撮っていた人がいてひんしゅくを買ったという話があったが、私にはこういう人たちの行動心理はわからない。


市街地から1q、振り返ってみれば、海まで続くがれきの平原であった。

 実は3日に被災地をひたすら走り回って1週間が過ぎたが、ブログに写真を載せたものかどうか迷い続けていた。それは、もちろん単なる同情とは違うのだが、第三者的な写真だけを載せて何になるのかという思いと、ここが数知れぬ人々が死んだ場所であり、もしかしたら、この下にまた住民の屍があるのかも知れないという恐れでもあった。
 それでもやっぱり、私の撮った写真は一つの記録ではあるし、ちゃんと残しておくべきだろう、見えるところに出しておくべきだろう、それは実際に見てきた者の責任であろうと、今は考えている。

南栗橋の液状化・住宅被害に対して、市の独自支援策を検討
2011/6/10

 6月議会の一般質問は、4日間で30議員が通告しています。

 その内、21名が東日本大震災の被災状況や防災対策について質問することになっていますが、当然ながら同じような質問内容の重複も多くて、南栗橋地区の液状化による住宅被害対策を6名、原発震災による放射能の影響についてが5人などとなっています。

 南栗橋地区の液状化被害は、住宅の傾きや沈下が多発していますが、国の被災者生活再建支援法の基準では対象になる住宅がなく、国の支援がまったく受けられない状況です。
 そこで市議会と市では国に対して、支援法の対象とするとともに支援対策の拡充を求めて陳情に行ったり、議会からの意見書を送付しました。
 また市議会では、久喜市独自の支援対策の実施を求める決議を可決しました。

 こうした動きを受けて、議会の一般質問で、“市の独自対策”の内容が明らかになってきました。
 6月9日の一般質問に対して、田中市長が明らかにした考え方は次の通りです。
(1)家屋補修工事費の一部に対して、市の独自の支援金を支出する制度を創設する
   その金額は、生活再建支援法の金額(全壊300万、半壊100万)を参考に検討する
(2)市民や市内企業からの義援金を募り、南栗橋地区の被害に対する支援基金を創設する
(3)南栗橋地区の液状化対策に、南栗橋地区にあるボートピア栗橋からの納付金も活用したい
 
 ボートピア栗橋からは毎年、舟券売上額の1%にあたる年間8500万円が「環境整備協力費」として久喜市に納付されることになっていて、市ではそれを基金に積み立てて、5年間は栗橋地区の環境整備に使うという方針を説明してきました。
 この納付金を南栗橋の被災者に対する支援金に使うという考え方を示したことになります。

 これまでに明らかになった南栗橋地区の住宅被害の状況は、全壊なし、大規模半壊40件、半壊50件です。
 市の災害見舞金は全壊10万円、半壊5万円、日赤の見舞金は全壊35万円、半壊18万円となっています。


【特別寄稿】 いまも継続する「原発震災」・2

【特別寄稿】 いまも継続する「原発震災」・2

ママ、母乳をやめて!  ―― いたいけな子どもたちが危ない、放射能汚染 ――

サトウ アトム

 つくづく、この第2稿のテーマを前号に書くべきだったと悔やんでいる。

 前号『人権と教育』(446号、4月20日)の稿は4月2日に記したのだから、4月21日の、母乳から放射性ヨウ素が検出されたことは知るはずもない。
けれども、被曝したたくさんの子どもたちが甲状腺ガンになったことを、チェルノブイリで私は知っていた。
であれば、「フクシマ」で一番最初に言わねばならぬこと、それは「子どもたちを被曝させるな!」でなければならなかったはずである。
乳児が、母親の授乳で放射性物質を飲んで体内被曝するなんて……、これほどむごいことはない。
それを私は第1稿で書くことができたはずだった。 

ママ、母乳をやめて!

 母乳調査・母子支援ネットワークが生協などに呼び掛け、宮城、福島、茨城、千葉県の9人の母親の母乳のうち4人に放射性ヨウ素が検出された。
最高が36・3ベクレル/s(千葉県柏市、)、最低が6・4ベクレル(つくば市)だった。

 東京新聞は、この記事に続けて放射線の専門家安斎立命館大名誉教授の「過度の心配必要ない」という見解を紹介している。

 厚労省は、この報道を受けてあわてて福島、茨城、千葉、埼玉、東京に住む授乳中の23人を調べ発表した(4月30日)。
そのうち7人に、放射性ヨウ素が8・0(水戸市)〜2・2(下妻市)ベクレルが認められたのである。
 その後の5月2日、日本産科婦人科学会は、「今回調査された範囲の放射性ヨウ素を含んだ母乳を与えても赤ちゃんに健康被害は起こらないと考えられる」と報じた(産経5・2)。

 私は、無性に腹が立った。まさに専門家、学界連中の無責任主義の珠玉。

 チェルノブイリでは、事故5年後から子どもの甲状腺ガンが増え始めた。
100万に一人か二人というこのガンが、100倍以上出現したのである。
ずいぶん前だが、NHKがこの事態を「プロジェクトX 挑戦者たち チェルノブイリの傷 奇跡のメス」で放映した。
この映像は、いたいけな子どもたちが放射能汚染で苦しまされた実態を如実に示していた。
映像は、言葉や文字より遥かにインパクトがある。
いまこそNHKは、こういうものを再放送すべきだが、ネットで見ることができるので必見とお勧めしたい。

 福島第1原発から放出された放射能は、大気中を漂い地上に降り注ぐ。
牧草を食べた牛の乳から放射性ヨウ素が見つかって、アメリカは日本の牛乳、乳製品を輸入禁止とした。
当然の措置だと思う。
私は、誤解を恐れず言っておかねばならない。
放射能汚染された飲料水、葉物などを子どもたちに口にさせてはいけない、母乳をやめてミルクにしてほしい、と。

 私は風評をあおるつもりは毛頭ない。
だいたい放射能汚染されたあらゆるものの責任は、東電と国にあるのであって、「放射能の暫定規制値」そのものが国民を守るものではないと考えている。
健康のためには、どんなに微量であっても放射能汚染されたものを口にすべきではないのだ。

 「暫定規制値」を疑え!


 厚労省は、放射性ヨウ素の場合、飲料水・牛乳・乳製品で乳児は100ベクレル/リットルと3月17日「放射能の暫定規制値」とした。
この「暫定規制値」から見れば、母乳で検出されたヨウ素は確かに低い数値である。

 日本の原発推進は国策である。
だから、旧ソ連のような原発事故は起こらない、絶対安全である、まさに「安全神話」に凝り固まった国だったから、「規制値」なんて設けていなかった。

 3月17日以前の厚労省基準は、世界保健機構(WHO)の基準1ベクレル/リットルを準用していた。
だから、3月17日以前に検出されていたら、「WHO基準の36倍超のヨウ素検出」と報道されていただろう。

 25年前のチェルノブイリ事故では、多数の子どもたちが放射性ヨウ素で甲状腺ガンに侵された。
それを経験して、水道水について、ドイツガス水道協会では0・5、アメリカの法令基準では、0・111という厳しい値になっている。
だから、厚労省のいまの「暫定値」は、ドイツの200倍、アメリカの1000倍の基準なのである。

下妻市の最低値の2・2だって、アメリカ法令の20倍になるすごい値なのだ。
それでも専門家たちは、「過度の心配必要ない」といい、母親はその言葉を信じて母乳を与える……。
ある学者が、放射性ヨウ素の半減期は8日だからすぐに減ってしまうから問題にならないようなことを言っていたが、放射性ヨウ素は連日放出されているわけで、話にならない。

 私は、これらの乳児がすべて甲状腺ガンや白血病になると言っているのではない。
強い体質を持った子ならガンにならないだろう。
しかし、1万人単位で被曝地域とそうでない地域とを比べた時、その数は如実に示されている。
チェルノブイリでもイギリスのア・ラーグでも。
 日本政府の「放射能暫定規制値」は、国際放射線防護委員会(ICRP)を基にしている。
これは外部被曝を基準としているが、体内被曝を重視する欧州放射線リスク委員会(ECRR)は、ICRPの値は100〜1000倍高い値に設定しているとしている。
放射性物質を体内に取り込むのは、どんな微量でも生体に影響を与える、と考えられているのである。

 4月1日、茨城県沖で獲れたコオナゴから4000ベクレル/sを超える放射性ヨウ素が見つかって、魚介類も野菜と同じ「暫定値」が定められた。
放射性物質が海に垂れ流され、プランクトンがそれを取り込み、小魚がプランクトンを食べる。
この小魚を大きい魚が食べる食物連鎖。
放射性物質もこの連鎖の中で濃縮されていく。
大気中の放射性物質が野菜の表面についたのなら、水で洗えばかなり落とすことができる。
でも、土の中にしみ込んだ放射性物質を根から吸い込んだ野菜や、魚介類は煮ても焼いても放射性物質を減らすことはできない。
体内被曝はこうして起きる。水俣病と同じである。

 急ぎヨード剤の用意を!

 仏外務省は3月17日、東京周辺在住のフランス人へヨウ素剤配布を始めた。
米国務省も3月21日に始めた。
 甲状腺はヨウ素を蓄積させる。
だから放射性ヨウ素による甲状腺被ばくする前に、甲状腺を安定ヨウ素でいっぱいにしておけば、放射性ヨウ素は排尿とともに体外へ排出される。
これはチェルノブイリの時、ポーランドが実施して9割が成功し、実証済み。
だが日本では、まだヨード剤を配布していない。
原子力安全委員会が、ヨード剤配布の基準として、「放射性ヨウ素の予測線量が100ミリシーベルト」としているからである。

 母乳から放射性ヨウ素が検出されたいま、もはや私たちは、行政に一粒の期待も持ってはいけない。
授乳期の女性、妊娠中の女性はもちろんのこと、これから妊娠されるであろう女性、そしてとくに小さな子どもは大人の2〜5倍の影響を受けるからヨード剤は必需である。

 ではどうしたらよいか――、市町村の保健課、保健所に問い合わせてヨード剤配布を要求すること。
もし備蓄がないなら、すぐさま用意せよと要求し、「誰のせいでヨード剤なんて飲まねばならないのか!」と叫ぶべし! 

 東電福島第1原発事故は、ヒロシマ・ナガサキに続いてフクシマの名を永遠に刻むだろう。
そのフクシマは、情報を隠し「放射能汚染の人体実験をした」典型と記されるかもしれない。
なぜなら、国・官僚・学界は放射能規制値を上げて小中学生まで放射線管理区域での生活を強要させたのだから。
授乳期の母から放射能汚染された乳が出たのだから。
また、昨5月13日、朝日新聞1面トップに「高い放射線量、東電公表せず 3号機、水素爆発前に把握」の見出しが出た。
朝日が東電の内部資料を入手してスクープしたのである。
産業界のドンとして君臨し倒産の恐れもなくなったいまだから、東電が朝日にそっと流したのではあるまいか。
メディアも人体実験に多大な貢献をしたのだから。

 東電の補償額が足りないから値上げする。それでも足りなければ税金を充てる。冗談じゃない!
 1面写真は、「5・7原発やめろ!」デモ(渋谷)でのワンカット。
絶対、子や孫に苦しみを与えてはならない。 
 (5月14日)

『人権と教育』447号(2011・5・20)より、筆者の許可を得て転載しました。


【特別寄稿】 いまも継続する「原発震災」・1

いまも継続する「原発震災」 ―― それは世界史的問題だ

サトウ アトム

 4月2日に書いている。
こんなに早く「原発震災」が現実化するなんて、誰が予想したであろう。
地震学者の石橋克彦(神戸大学)が、東海地震の必然性と中部電力浜岡原発の危険性に警鐘をならした言葉だが、福島第一原発での事態は、まさしく「原発震災」というほかない。
 枝野官房長官、経済産業省原子力安全・保安院(以下、保安院と略記)、東京電力の会見、そして専門家である原子力安全委員会の見解・説明を聞いても、いま何が起きているのかさっぱりわからないというのが実情である。
政府筋は、「ただちに健康に問題ない」一点張りだし、専門家のなかには「水素は小さな元素だから鋼鉄の格納容器を抜けて…」なんて言うトンチンカンを通り越したものまでテレビに登場する始末。
挙句の果ては、20キロ圏外の住民にたいする「自主避難」だ。
米政府が、日本にいるアメリカ人に福島原発から80キロ以上離れろ、と言っているさなかに、日本政府は、「20キロ圏外の人で逃げたい人はどうぞご勝手に、ただし政府は手を貸しませんよ」という態度である。
これを「棄民政策」と言わずなんというべきか。

 想定された人災 

 日本政府は、国策として原子力発電を推進してきた。
だから電力業界を後押ししてきた保安院は、いくら放射能が放出されても、「海流に流されて薄められるから平気だ」と言ってはばからない。
原子力安全委員会にしたって、原発推進の御用学者ばかりで組織されているわけだから、推して知るべし。
「地震、台風、高潮、津波といった自然災害に耐えられる」と公言していたのは、彼らではなかったか。
今回の地震・津波が、「想定外」、放射能放出にも「ただちに健康被害に……」と言うばかりの保安院、東電、内閣官房も犯罪的であったが、「学者」で組織された原子力安全委員会は一番知っているわけだから、もっとも犯罪的であるといわねばならぬ。

 冒頭に紹介した石塚克彦の提言ばかりでなく、巨大地震、大津波は過去にもあったのだから、「想定外」と言うのは全くの無知揃いであるのか、あるいは恣意的なウソと言わねばならないだろう。
原発事故の危険性については、じつにたくさんの専門家、ジャーナリストが指摘してきたから、そればかりはさすが「想定外」と言わなかった。
いや言えなかった。
ということは、想定されていたのである。
原子力安全委員会は、被災者、処理にあたっている作業員、東京消防庁レスキュー隊員、自衛隊員に謝罪の一言もない。

 これまで日本では、水道水の放射能基準を定めていなかったが、世界保健機構(WHO)基準相当を守ってきた。
それは水1リットル当たり1ベクレル。
ちなみにアメリカの法令基準では、0・111ベクレルである。

 福島原発の建屋爆発の事態を受けて3月17日、厚生労働省医薬食品局食品安全部長は、一本の通知を出した。
「放射能汚染された食品の取り扱いについて」である。
この通知で「基準値」がヨウ素131で30倍に、セシウム137で20倍に引き上げられた。
ただし乳児には100ベクレルを超えないように、というものである。
乳児だけをとっても、アメリカの法令基準の1000倍だ。
これは、原子力安全委員会により示された「飲食物摂取制限に関する指標」を「暫定規制値」としたものである。

 3月27日、福島県須賀川市の野菜農家男性が自死した。
政府の福島県産野菜の「摂取制限」指示の翌日である。原発で殺されるのは、作業員だけではない。
膨大な放射能が海に流され、空中にばらまかれ、あらゆる動植物が放射能に汚染されていく。
これこそCO2を出さないクリーンなエネルギー、原発の正体であり、安全委員会の正体なのである。

 「原発震災」は、いま始まったばかりである。原子力発電の基礎的・原理的知識こそ正確な情報を獲得する唯一の方法にほかならない。

 崩れた「安全神話」

 原発の原理は、ウラン235(以下、235は省略)の原子核に、中性子をぶつけて核分裂を起こさせ、そこで発生した熱で水を沸かし、それでさらにタービンを廻す。
タービンに接続した発電機が回って電力を作る仕組みである。
したがって火力発電と基本は変わらない。
ちがいは燃料である。

 原発の燃料ウランは、核分裂すると猛烈なエネルギーとともに中性子を2〜3個放出する。
この中性子が別のウランにぶつかって核分裂は連鎖する。
つまり連鎖反応である。高濃縮させたウランを一気に連鎖反応させたのが原爆である。
だから原爆と原発の原理は同じである。
原発はこの連鎖反応をゆっくり管理して中性子が1個ずつウランに当たるようにしている。
それが制御棒の役割である。
これが失敗するとチェルノブイリ原発のような核の暴走となる(1986年4月、旧ソ連)。

 福島原発では、稼働中の1〜3号機すべてに制御棒が地震の揺れに反応して挿入された。
これで核分裂は止まった。
核分裂による熱を第1の熱というならば、確かにそれをストップさせることができた。
火力発電ならそれですべてが完了となるが、原発はそうはいかない。
核分裂は、死の灰と呼ばれる核分裂生成物を生み出す。
これが熱を出し続ける。
いわば第2の熱。
核分裂生成物は、放射線と熱を放出しながら放射線を出さない安定した物質に変わろうとする。
この第2の熱が崩壊熱と呼ばれるものだ。

 福島第一原発4号機は、定期点検中だったから炉心には燃料棒がない空っぽであったが、建屋が爆発した。
使用済み燃料1331本がプールに入れられていたのである。
07年中越沖地震のとき、柏崎刈羽原発でも地震による揺れでプールの水が押し出された。
それと同じことが起こったのである。
が、この先が柏崎刈羽とちがった。
電気が完全にストップしたままなのだ。
プールの水は循環されず冷やされず、どんどん蒸発した。
使用済み燃料は丸裸になり、さらに発熱し燃料を包んでいた被覆管(ジルコニウム)が損傷して水素が発生し始める。
充満した水素が爆発して建屋が吹き飛ばされたのである。

 地震が起きても、制御棒が全挿入されて原子炉はストップするから安全だと電力会社は口をそろえて言っていた。
しかし、この4号機の建屋爆発はそうでないことを実証した。
つまり原発は、稼働していようと、いなかろうと、電気がなければ爆発するということだ。
この事実は非常に重要である。

 来るべき東海地震、その震源域の真ん中にある中部電力浜岡原子力発電所の停止を求めて、市民運動は、「東海地震が起こるまで原発を停止してほしい」と運動している。
だが、たとえ原発が停止していても「安全ではない」ことが、このたび実証されたのである。
また一つ「安全神話」が崩壊した。

 いま何が起きているのか

 地震発生が3月11日。福島第一原発は、14メートルの津波に襲われた。
新聞などでは、この津波で非常用ディーゼル発電機が動かなくなったといわれているが、それはわからない。
とにかく電源がなくなった。

 燃料棒は激しい揺れでぶつかり合って、亀裂が入ったにちがいない。
使用済み燃料も同じであろう。
なぜなら放射能放出がそれを物語っている。
5、6号機でも、排水口から放射能が検出されているから、同じことが言えるはずだ。
稼働ストップした炉の中でも、使用済み燃料プールでも、燃料棒は崩壊熱で高温となり、冷却水がなくなれば燃料が溶け始める。
実際2号機は空だき状態になり、燃料が溶けたとされている。
これを「炉心溶融」といい、「メルトダウン」ともいう。

 稼動していた圧力容器内の圧力は、70気圧。
崩壊熱で冷却水が蒸気となってさらに圧力を高くする。
蒸気逃がし弁が開き、圧力が下がるが冷却水が減る。
これではメルトダウンになる。
しかし電源がないから給水ポンプも動かない。
4月2日のいま、2号機の作業用側溝ピットやタービン建屋のたまり水で時間当たり1000ミリシ―ベルト以上(ということは計器の針が振り切れたから、実際どれほどの放射線量か不明)が確認されている。
これは、燃料が溶けて水に接触したことを意味する。
格納容器も圧力容器も損傷したということである。
そしてこの数値は、1時間で3000ミリシーベルト受けると50%死亡する値だから、猛烈な放射線量である。

 もしこれで制御棒が抜け落ちでもしたら、再臨界……チェルノブイリと同じ核の暴走が始まる。
東電が最も恐れたのは、この事態であろう。
東電社員なら、78年11月の福島第一原発3号機での事故を隠ぺいした事実くらい知っていよう。
定期点検中に5本の制御棒が30〜90センチ脱落し、臨界状態が7時間半続いた事故である。
原発の「安全性」なんてこの程度なのだ。 

 いまの事態は、電源が復旧しポンプが動くまで、とにかく核燃料を冷やすこと。

 作業員の証言によれば、建屋前でもすぐに放射線測定器アラームがなるという。
一日40万円で雇いたいという下請けが出現する状況なのだ。

 すでにスリーマイルを超えた

 保安院は当初事故レベルを「3」といい、少しずつ上げて3月28日に「レベル5」と発表した。
もちろんその根拠は示さない。

 原発事故の評価は0〜7の8段階に区分されていて、最高の「7」がチェルノブイリ事故。
次の事故がスリーマイル島事故で「5」であった。

 衆知のように、旧ソ連チェルノブイリ原発4号炉が、1986年4月に爆発した。
核分裂を徐々に進めるはずの原子炉が、制御できなくなって「核の暴走」が起きたのである。
当初ソ連は、運転員の操作ミスと国際原子力機関(IAEA)に報告し、それが了解された。
その後、ゴルバチョフによるグラスノスチ(情報公開)によって、原子炉の設計に問題があったことが判明している。
運転員は「赤い非常ボタン」を押して全制御棒挿入の3秒後に爆発したと証言していた。
チェルノブイリ事故による放射能汚染は記すまでもあるまい。
この事故が「レベル7」である。

 スリーマイル島原発2号炉事故は、1979年3月に起きた。
事故詳細は譲らざるを得ないが、原子炉内の蒸気圧力が上昇し蒸気逃がし弁が開いたが、それが閉じなくなり冷却水喪失となった。
原発で最も恐れられたメルトダウンと呼ばれる空だき事故である。
原子炉は自動的に制御棒が挿入され停止したが、崩壊熱によって45%の燃料62トンが溶けた。
この炉心溶融(メルトダウン)の状態を把握できたのは10年後のことである。

 ところで、スリーマイル島2号炉では、電源が確保されていた。
だから炉心上部の3分の2がむき出しになったが、かろうじて給水措置を取ることができた。
それでも周辺住民の被曝は、0.01〜1ミリシーベルトとされている。
これが国際的な評価「5」である。

 いっぽう福島第一原発は――、

 いっぺんに4基の原子炉が長い期間全電源喪失状態にある。
こんな事態は史上初めてだ。
スリーマイル島原発は営業開始3か月目の事故だった。
だから福島原発の炉には、1基当たりスリーマイルのおよそ4倍の死の灰を抱えている。
つまり、たとえ1〜3号機だけにしても、炉には、チェルノブイリの2倍、スリーマイルの8倍以上の核分裂生成物(死の灰)を抱えているのである。

 地震被災者には、幾つかの支援ができるけれど、原発被災者には私たちは何もできない。
放射能から逃れるためには、西方向へ避難してと、言うことしかできないのが歯がゆい。
世界のエネルギー政策は根本的見直しを、いま迫られている。

  4月2日

『人権と教育』446号(2011・4・20)より、筆者の許可を得て転載しました。


教育委員会からのプール清掃に関する指導の内容
2011/5/28

 5月26日、市内小中学校のプール清掃について、久喜市教育委員会は各学校に“指針”を示して、子どもたちが清掃する前に、教職員で大きな汚れを取ってから子どもたちを入れるように指導しました。
 教育委員会の話によると、その指導内容は以下の通りです。 

プール清掃を行う必要がある27校の内、5月27日以降、6月2日開催予定の「校長会」前に、プール清掃を予定している学校に、指導下から、以下の内容を電話で指導しました。

 依頼日 5月26日 4校(栢間小、栗橋西小、桜田小、三箇小)  27日 6校(江2小、清久小、菖蒲小、菖蒲東小、上内小、砂原小)

・放射線の影響を心配する声が寄せられている。以下の対応をしてもらいたい。
・プール清掃の際、プールの水を流した後、プールの内壁に汚れのある段階では、教員がまず清掃を行ってください。大まかに汚れが取れたところで、児童、生徒が加わるようにしてください。

 なお、6月3日以降に清掃予定の学校については、6月2日の校長会にて、口頭で依頼する予定(6校 江1小、青毛小、久喜中、久喜南中、太東中)。
 また、5月26日までにプール清掃が終了している学校が11校あります。

久喜市の放射能濃度測定の結果が公表されました
『声と眼』418号 2011/5/25

 東京電力福島第1原子力発電所の事故は、日本だけでなく世界中に高濃度の放射能をまき散らしました。
特に福島県東部や原発の風下にあった北西部の市町村の数10万人の住民が避難せざるを得ない状態に追い込まれています。
放射能は関東各地にも拡散しており、東京や埼玉、神奈川でも事故前の2倍の放射能が検出されています。

 久喜市では市役所で毎日測定している他、水道水中の放射性物質の量や、小中学校と幼稚園、保育園、公園などで放射線量を測定しました。

 久喜市は今後、放射能濃度の数値の変化を監視するため、定期的に測定を実施していくべきです。

校庭、砂場などの土壌検査を

 久喜市内で、ある保護者が自分の子どもが通う保育園の園庭の土壌を採取して放射性物質の検査をした結果、ヨウ素131やセシウム134、137が検出されたことが明らかになりました。
保育園や小学校の保護者らの間に不安が広がり、子どもたちが走り回る校庭や砂場などの土壌の検査を市が実施してほしいという声が強まっています。
市がみずから正式に検査機関に依頼して校庭や砂場の土壌中の放射能検査を実施して公表すべきです。

 またプールの季節が近づいています。
学校のプールの放射性物質の調査もしないままで、例年通りにプール清掃を子どもたちにやらせていいのかどうか、疑問の声も出ています。
今年は緊急対策として学校教職員や保護者の手でプール清掃の実施を検討すべきではないでしょうか。

★市内のある小学校では、プール清掃のやり方について保護者と学校側で話し合って、子どもたちの清掃の前に、まず保護者らが表面のよごれ落としを行うことにしたそうです。★

マイクロシーベルトとはどういう数字か

0.1μSv/h(マイクロシーベルト毎時)を浴び続けると1日で2.4μSv、1年間で876μSv(0.876mSv(ミリシーベルト)で、1mSvにきわめて近い数値となります(1mSvは1000μSv)。
事故前まで“一般人”の被曝線量許容限度が「年間1mSv以下」とされてきました。

 事故後に福島県内ではそれを超えてしまったため、政府は学校なども含めた基準を「年間20mSv」に引き上げましたが、特に子どもは放射線の影響を受けやすく、絶対に容認できません。

久喜市で保育園、公園などの放射線量を測定しました
2011/5/23

 市に学校や保育園、公園などの放射線量を測定して公表するよう求めてきましたが、先週までにそれぞれ測定が実施されました。

 これまでに測定したのは、

(1)小中学校9校 校庭、屋上、地表面(4月21〜28日の6日間)…久喜地区/清久小、江面2小、太東中、菖蒲地区/菖蒲小、菖蒲南中、栗橋地区/栗橋小、栗橋南小、鷲宮地区/上内小、東鷲宮中
   小中学校全校 5月9日
(2)保育園全園 砂場と園庭中央(5月6日、17日、18日)…久喜地区/市立6、私立4園、菖蒲地区/あやめ、おばやし、しょうぶ、栗橋地区/栗橋、おおしか、鷲宮地区/鷲宮、鷲宮第2、さくらだ
(3)公園22か所 久喜地区/エンゼル公園など6か所、菖蒲地区/あやめ公園など5か所、栗橋地区/栗橋ハイツ第2公園など5か所、鷲宮地区/久本寺公園など5か所
(4)久喜市役所本庁舎 毎日2時間ごとに測定し、9:00、15:00の2回の測定値をホームページに公開しています。
(5)水道 3月24日、市内各浄水場4か所の水道水中放射能濃度、各地区の蛇口(6か所)の水中濃度

 各担当課の課長には、今後、定期的に測定を実施して公表していくよう求めています。
 さらに小学校や保育園の保護者からは、子どもたちが走り回る校庭や、特に砂場などの土壌中の放射能物質の濃度測定を求める声も出されています。


幼稚園・保育園などの放射線測定を
『声と眼』417号 2011/5/16

 東電福島第一原発の事故で放射性物質が大量に放出され拡散しています。
久喜市でも放射能測定器を購入して3月25日から市役所本庁舎や市内の学校での放射線量の測定を開始しました。

 その放射線量は「直ちには健康に影響を及ぼすレベルではない」とされていますが、長期的には私たちや子どもたちの健康に何らかの悪影響を及ぼすことが想定されます。
実際にどの程度の放射能を浴びているのか、今後の何らかの原発事故の悪化により、あるいは気象条件によって放射線量が増えていないかどうか、その数値の変動を日常的に監視し続けていかなくてはなりません。

 久喜市役所本庁舎での毎日の測定結果が市のホームページに公表されています。
3月中は 0.10〜0.18μSv/h(マイクロシーベルト毎時)と比較的高い水準でしたが、4月以降は 0.06〜0.10μSv/hで安定しています。
なお大震災以前の埼玉県での観測データは 0.031〜0.060μSv/hと発表されていますから、事故後に2倍になったことがわかります。

 水道水については、埼玉県の大久保、庄和などの各浄水場でも放射性物質が検出されています。
久喜に送水している行田浄水場では3月23日〜4月9日と11、22、23日に放射性ヨウ素、4月3、4日に放射性セシウムを検出しましたが、その後は“不検出”となっています。
久喜市内では3月24〜27日まで市内の各浄水場、各地区の蛇口の検査で放射性物質は“不検出”となっています。

 教育委員会で4月21〜28日まで市内の小中学校9校の校庭、地表面、屋上で放射線量測定を実施しましたが、0.05〜0.12でした。

 もし 0.1μSv/hを浴び続けると1日で2.4μSv、1年間では 876μSv(0.876ミリシーベルト)となります。

★私は5月2日に市役所で教育部長、保育課長、都市整備課長に対して、全部の小中学校、幼稚園、保育園、公園等での放射線量測定を実施して公表するよう求めました。★


市役所庁舎で、毎日、放射線量測定を実施・公表
2011/5/2

 4月28日のブログで、「【最悪】 原発震災と久喜市内の放射線量」を書きました。 
⇒いのまた和雄のブログ

 言うまでもないことですが、「最悪」と書いたのは、東電福島第一原発事故で外部の環境中に放出された放射性物質が、すでに関東一円に広がり、私たちの暮らしている埼玉県久喜市にまでおよんできている事実のことです。
 東京都でも広範囲で放射能が測定されていますし、野菜や水道水にも3・11以前よりも高濃度の放射能が検出されているといます。
 その放射線量は「直ちには健康に影響を及ぼすレベルではない」としても、長期的には日本人および人類の健康に何らかの悪影響を及ぼすのはほとんど確実に想定されます。
 私たちはもはや、日常的に原発から放出され続ける放射能の影響を受けながら暮らしていかざるを得ない時代に入ってしまったのです。

 せめて、私たちや子どもたちがどの程度の放射線量を浴びているのか、それは安定的なのか、何らかの原発事故の悪化により、あるいは気象条件によって放射線量が増えていないかどうか、その数値の変動を日常的に監視し続けていかなくてはなりません。

 その意味で、久喜市が“ドロナワ”的とはいえ、放射線測定器を購入して、市役所庁舎での測定を続け、その数値を公表していることは当然のことです。
 私たちはこの数値を注視し、受け止めていかなくてはなりません。

⇒久喜市内の空中放射線量測定結果(毎日9時と15時の数値を公表)
⇒久喜市の水道水中の放射線量測定結果

学校校庭の放射線量測定を実施しました

 また教育委員会は、4月21日から28日まで市内の各学校校庭における放射線量測定を実施しました。
 測定結果は以下の通りです。(単位:マイクロシーベルト)

 本来は、教育委員会みずからが測定結果を公表するべきです。

清久小 江2小 太東中 菖蒲小 菖蒲中 栗南小 栗橋小 上内小 東鷲中 久喜市庁舎 埼玉県
4月21日 地上1m 0.11 0.09 0.10 0.11 0.10 0.16 0.10 0.10 0.10 0.08 0.058
4月22日 地上1m 0.09 0.09 0.09 0.10 0.09 0.10 0.10 0.10 0.09 0.06 0.058
4月25日 地上1m 0.10 0.10 0.08 0.11 0.11 0.08 0.08 0.09 0.14 0.07 0.057
4月26日 地上1m 0.07 0.07 0.08 0.05 0.07 0.10 0.09 0.09 0.08 0.05 0.057
4月27日 地上1m 0.11 0.08 0.08 0.09 0.09 0.09 0.10 0.09 0.10 0.11 0.058
屋上 0.09 0.08 0.08 0.08 0.08 0.09 0.10 0.09 0.09
4月28日 地表面 0.09 0.09 0.10 0.09 0.09 0.12 0.09 0.09 0.09 0.10 0.056

なお、教育委員会の資料では、毎日の放射線測定量の各学校の平均値を算出しているのですが、この「平均値」の算出はまったく意味がありません。
各学校(各地点)で風向きなどの気象条件や地形によって放射線量の数値は違ってあたりまえで、これを平均するというのは、高い数値が出た地点の放射線量を他の地点と合わせて薄めて低く見せかけることにしかならないからです。(たとえば福島県内の各市町村の数値を平均しても無意味なのと同じことです)。
もしも仮に特に高い数値が検出された地点があったとしたら、その地点の住民や児童生徒に対して対策を取る必要があります。(今のところ、市内ではそうした地区はありません)。


保育園、幼稚園、講演での放射線測定を求めます

 5月1日、市民からのメールを受け取りました。

久喜市在住で小学校と保育所に通う子供がおります。

先ほど、ブログにて久喜市の放射性物質の観測に関するページを拝見いたしました。
久喜市でも早急に観測機器を購入し、情報を発信していただけてるのは大変ありがたいことです。

最近ニュースにて、放射性物質の数値は空気中の値より、地上(グランド)のほうが数値がはるかに高く、10倍以上はあると聞きました。
学校や保育所では特に対策などしてないように思うのですが、子供は大人より地上に近く、ましてや砂場などで遊んでいるのかと思うととても心配になります。
子供(特に乳児、幼児)は大人より100倍程、体内被曝をしてしまうという記事も読みました。
天気もよく、外に積極的に出たい時期ですし、また運動会などがすぐにあり、練習などでグラウンドでの活動もこれから増えてきます。

ブログにて4月21日から市内の小中学校で観測とみましたが、幼稚園、保育所、公園なども積極的に観測して頂くように、お願はできないでしょうか?
子供を守れるのは大人しかおりません。しかし、個人では機械なども手に入らず、限界があります。
どうか、皆さまのお力をお借りして、子供達を安心して遊ばせる事ができるように、子供達も未来を守れるようにできたらと思います。

どうかよろしくお願致します。

 このメールはまったく私の考えと同じでしたので、5月1日、さっそく市長と、各関係課長に次のメールを送信しました。

 久喜市では市役所本庁舎、各学校校庭での放射線測定を実施しています。
 しかし屋上や校庭空間での測定も意味はありますが、子どもたちが直接に触れる可能性の高い場所での測定を行う必要があります。
 各学校の校庭地表面、幼稚園、保育園の園庭地表面、特に砂場、公園、特に児童公園の地表面と砂場などでの測定を実施し、公表してください。

さらに、2日に市役所で、教育部長、都市整備課長、保育課長に対して、「各施設での放射線量測定の実施」を要請してきました。
・市内全部の学校および市立幼稚園の校庭地表面での放射線量測定を実施し、公表すること
・市内各地区の都市公園、児童公園の地表面の放射線量を測定し公表すること
・保育園の園庭地表面の放射線量を測定し、公表すること


災害復旧対策で補正予算
『声と眼』416号 2011/4/14

 定例市議会最終日の3月18日、久喜市内の地震被害復旧のための一般会計補正予算が提案されました。
学校や公民館などの公共施設、道路や上下水道などの補修復旧の費用として、予備費に1億円を計上し、必要に応じて災害対策に流用することとしました。
財源は、市の財政調整基金から取り崩すことになりました。
財政調整基金は歳入不足や緊急の財政的必要が生じた場合などに備えて19億1181万円が積み立てられています。

 また新年度一般会計でも災害復旧費にあてるため、補正予算を編成し、予備費を取り崩すことにしました。
4月6日に市長の専決処分で決定され、6月定例議会に報告するとしています。

 市内では、南栗橋地区の液状化などの住民被害が出ていますが、これらの被害にどう対処していくか、議会では説明も審議もされていません。
本来なら緊急に臨時議会を招集して、災害対策についての十分な議論が必要ではないでしょうか。


東日本大震災の市内の被害
『声と眼』415号 2011/3/31

 3月31日現在、市で把握している被害状況です。
(3月20日時点で掲載した記事の状況よりも、その後の調査や通報により被害状況が大きくなっていることがわかりました)。

◇重傷者1名
◇屋根瓦の破損等351棟、ブロック塀・石垣等の損壊73件
◇道路の亀裂・沈下・陥没等98か所(久喜地区72、菖蒲7、栗橋17、鷲宮2)
◇公共施設は本庁舎・各総合支所・集会所・学校等で壁や床の亀裂、目地の落下、照明危惧の落下など

 南栗橋地区の地盤液状化による住宅被害は調査中。道路の隆起や沈下、上下水道の破損など。

 避難所は3月11日時点で最高1242名(うち帰宅困難者840名)。その後、福島県いわき市などからの避難者(総合体育館)23名⇒現在7名、他に個人宅などに68人の避難者が把握されている。


 東日本大震災による、久喜市内の被害状況について、久喜市が若干の訂正をしました。
 特に建物の被害で、当初は「全壊・半壊はなし」としていましたが、3月30日に市のホームページに掲載された《[東北地方太平洋沖地震に関する久喜市の状況について》では『調査中』となっています。
 さらに、南栗橋地域の状況について、《土地の液状化による南栗橋地区の被害状況について》で、『南栗橋地区の一部において、土地の液状化現象が起こり、家屋やライフライン等に被害が発生しました。
 市では、被害調査を実施中ですが、これまでに確認できた被害状況について、お知らせします』として、現在、罹災証明手続きを進める中で『住宅の被害認定調査を行っています』とし、全壊・半壊等の判断については触れていません。

 ⇒参照 久喜市のホームページ「土地の液状化による南栗橋地区の被害状況について」

 南栗橋の住宅の被害状況を軽視して、あるいは無視して「全壊・半壊はなし」としたことについての批判を受けてのことのようです。

 南栗橋地区周辺の住民39名が栗橋コミュニティセンターに避難していたが、26日までに自宅あるいはうUR住宅などに移ったので、現在は避難住民はいません。

 また、福島県いわき市などの住民が総合体育館に避難していましたが、最大時で4世帯14人でしたが、3月31日現在は2せたい7人、その他、親戚等の関係で民間の住宅に避難してきている人が、22世帯68人(3月28日現在)ということです。


久喜市議会で街頭募金活動を行いました
2011/3/28

 東日本大震災に対して各地域、各団体・個人での義援金の活動が活発になっています。
 久喜市議会議員クラブ(議員親睦会)は、3月17日、会費の中から義捐金17万円を、埼玉新聞・社会福祉事業団を通じて被災者へ送りました。
 親睦会費として議員1人あたり年間2万円集めている中から、5000円を拠出し、恒例の2月議会終了後の親睦会は中止にしました。

 さらに、3月23日から26日までの4日間、議員が全員参加で手分けして市内の各駅頭やヨーカドーなどの前に立って市民に募金を呼びかけました。
 4日間でのべ83人が参加して、合計68万1898円の義捐金が集まりました。 
参加議員 義援金
3月23日 久喜駅 東口・西口 21人 19万1079円
24日 栗橋駅 東口・西口
南栗橋駅 東口・西口
19人 10万0475円
25日 鷲宮駅 東口・西口
東鷲宮駅 東口・西口
22人 12万5504円
26日 イトーヨーカドー前
モラージュ菖蒲前
21人 26万4840円
合計 のべ83人 68万1898円

 これは3月30日、埼玉新聞社会福祉事業団を通じて被災者支援に送りました。

 市民のみなさん、ご支援ありがとうございました。


震災対策緊急要請書を提出
2011/3/25

 政策会議は震災対策のキュ岡について、すでに3月14日に1回目の緊急要請書を提出しています。
 その後の被害の状況把握や、東北地方からの被災者の対応等について、3月23日に2回目の「緊急要請書」を提出しました。

平成23年3月23日

久 喜 市 長
(久喜市災害対策本部)
   田  中  暄  二  様

政  策  会  議   
代 表  石 川 忠 義 

緊  急  要  請  書

 東北地方太平洋沖地震に係る災害対策及び被災地支援について、ご尽力いただいているところと存じます。
 さて、政策会議では3月14日に「緊急要請書」を久喜市災害対策本部に提出し要請行動を行いました。その後、政策会議では、15日以降の久喜市内の状況に係る情報や市民から寄せられる相談について、政策会議所属議員で確認し、対策を協議いたしました。
 そこで協議の結果、久喜市及び久喜市災害対策本部に下記を要請いたしますので、ご検討の上、実施頂きますようお願い申し上げます。

要  請  事  項

1. 久喜市の地震被害者対策を積極的に進めること

 (1) 災害弱者や罹災証明発行申請ができにくい市民に、市が罹災証明書に係る情報を積極的に提供し申請受付を柔軟に行うこと

 (2) 罹災証明書発行申請の受付窓口を増設し、申請しやくすること災害弱者などが罹災証明書発行申請時に必要な写真に関しては、撮影が困難な場合には、柔軟に対応すること

 (3) 埼玉県に対して、市内避難者の県営住宅への入居を強く働きかけること

2. 南栗橋地区の地震被害者対策を積極的に進めること

 (1) 栗橋コミュニティセンター避難所開設期間を避難者の状況に応じて柔軟に対応すること

 (2) 南栗橋地区液状化の原因究明に、専門家への協力を依頼して全力で取組むこと

 (3) 南栗橋地区液状化に係る過去の区画整理組合の情報や土地の形状、旧町の開発許可などの情報を積極的に公開すること

3. 防災無線・防災メールなどによる市民への情報提供の改善をはかること

 (1) 市民・議員への情報提供をきめ細かく積極的に行うこと。(特に防災会議や被災地支援に係る情報)

 (2) 計画停電に係る情報を休日も含めて市防災無線・市防災メールで周知をはかること

4. 東北地方の被災者の避難所の増設・改善をはかること

 (1) 元埼玉県立菖蒲高校の耐震化した校舎の提供について、埼玉県と協議すること

 (2) 久喜市内の各高齢者福祉センターなど、入浴設備付き施設の一部を被災者に開放すること

 (3) 久喜市民に、被災地への救援物資の提供を積極的に呼びかけ、輸送すること。特に具体的な品目として、消毒用アルコール、経管チューブ、脱脂綿などの医療用品、子ども用のおもちゃ、絵本などの提供協力を呼びかけること

災害時要援護者の安否確認を実施
2011/3/20

 災害発生時に、みんなが自力で避難することができるわけではありません。
 障害者や高齢者など、いわゆる“災害弱者”が、『障害の故に取り残され』たり、『障害の故に逃げられずに命を落とす』ようなことがあってはなりません。
 そのため、これらの“災害時要援護者”に対しては、事前から行政が安否確認と救援の対策と計画を立てておかなければなりません。

 こうした“災害時要援護者”の支援計画の策定について、久喜市議会でずっと取り上げてきていて、合併前の旧久喜市においては「災害時要援護者名簿」が策定されていました。 

参照 ⇒ 【災害弱者の支援対策確立を 2007年11月定例市議会での一般質問

 個人情報を登録するので、本人の確認が必要でなために時間がかかりましたが、これまで旧久喜市(久喜地区)では2902世帯・3478名の「要援護者」が登録されています。
 今回の大震災発生直後には、久喜市役所福祉部でこれらの登録された要援護者の安否確認に取り組み、この内の1380人については翌日までに確認することができました。
 今回は、社会福祉課、介護福祉課、障害者福祉課などの職員が、おもに翌日、電話による安否確認を行いました。

 また、社会福祉協議会が把握している要援護者については社協職員が独自に、電話でまたは直接に訪問して安否確認を行うことができました。
 私が、11日の夜に社会福祉協議会の事務所に立ち寄ったところ、まだ職員が手分けして訪問に回っている最中で、次々と職員が帰って来て「○○さん、だいじょうぶ」と報告していました。
 また、一人暮らしの高齢者など『一人では不安』という方をふれあいセンターにお連れしていました。これらの方々は、ふれあいセンターで社協職員といっしょに一晩を過ごしたそうです。


 久喜市社会福祉課に災害時要援護者に対してどのように安否確認を行ったか確認したところ、以下のような回答が来ました。

福祉部における要支援者の安否確認について

1.市職員および社協職員による確認

市職員 社協職員 合計
1人暮らし高齢者 電話による確認 818人 335人 1153人
訪問による確認 28人 60人 88人
障害者 電話による確認 139人 139人
訪問による確認
合計 電話による確認 957人 335人 1292人
訪問による確認 28人 60人 88人
985人 395人 1380人

2.各地区の民生委員に対しても、名簿搭載者3478人の安否確認を依頼した。
  その他、民生委員かからの報告で、ケガ等による入院2名との報告がありました。

 この報告には、上記の社協の取り組みは一部しか含まれていないようです。
 ふれあいセンターにある社会福祉協議会では、独自に当日の午後から夜間にかけて、社協が把握している一人暮らし高齢者や障害者などの要援護者に対しては職員が手分けして訪問して回っていたのですが、市の把握では、社協職員による障害者への安否確認が入っていないなど、市の確認報告がきわめて不十分です。
 市の報告のまとめ方に欠落があるものと考えられます。


 それでも、これまで何度も何度も、「要援護者名簿と支援計画の策定」を要求してきましたが、旧久喜市において作成していた名簿が効果を発揮したことは確かです。
 しかし、課題も見えてきました。

(1)今回市の職員らによって安否確認が実行できたのは、約3500人の中の一部の人たちについてであって、全部の要援護者の安否確認のルートを確立する必要がある。
(2)民生委員による確認作業について、確認結果が市に報告されていないため、全体的な確認状況は把握できていません。
  もしかしたら民生委員自身が被災して、確認に回れない事態もありえますから、確認できたか否かを報告し、市で把握する必要があります。
(3)どういうわけか、社協職員による確認が、実際に回った中の一部しか報告されていないようですが、全体の統一的な報告をルール化する必要があります。
(4)要援護者名簿の搭載者については、一人一人、親戚・知人・ボランティアの支援者を付けて、その人たちにも確認作業を依頼することになっているが、今回はほとんど機能しなかったと思われます。
  私も知りあいの高齢者や障害者の方の安否確認を行いましたが、災害時に、そうしたボランティアや支援者がどう動くか、市にその確認状況を報告することについても、ルール化する必要があります。
(5)社協職員は直接、要援護者の自宅を訪問しての確認を行っていますが、市の職員の方は電話での確認が主だったようです。
  とりあえずは電話確認もやむを得ないとしても、まずは直接訪問して顔を見ての安否確認を原則とすべきです。(当然、市の職員だけではできることではありません)。
(6)名簿は毎年更新しなければなりませんが、そのルールの確立も課題になってきます。
(7)いまだに要援護者名簿の策定がなされていない、菖蒲・栗橋・鷲宮地区について、名簿の登録と個人個人に対する支援計画の策定を急ぐ必要があります。

 少なくとも障害者や高齢者が、一人では逃げられずに、だれからも気付かれずに、災害時に取り残されるような事態だけは避けなければなりません。 


政策会議で「緊急要請書」を提出
2011/3/20

 久喜市議会の会派・政策会議(石川、富澤、春山、園部、荒井、内田、猪股)は、3月14日、田中市長に対して東北太平洋沖地震の災害対策に関わる「緊急要請書」を提出しました。

平成23年3月14日

久喜市災害対策本部  部長 田中暄二 様

政 策 会 議   
代表 石川忠義

緊急要請書

 このたびは、東北地方太平洋沖地震に係る久喜市の災害対策について、久喜市が早期に災害対策本部を設置し、対策を講じていることを評価しております。
 さて、災害発生後、政策会議所属議員は個々の議員活動に加え、会派としても久喜市内の災害状況を確認するとともに市民からの相談に応じて、対策を行ってまいりました。
 そこで、政策会議で共有した情報をもとに協議を行った結果、久喜市災害対策本部に下記を要請いたしますので、ご検討頂きますようお願い申し上げます。

要請事項

1. 被害が甚大な南栗橋地区の液状化による道路陥没や隆起などの災害復旧を早期に進めること
2. 南栗橋地区の液状化による被害に合った市民へ、丁寧な対応と積極的な今後の計画の明示をすること
3. 避難を強いられている市民へ、適切な情報提供とさらなる丁寧な対応を心掛けること。
4. 単身高齢者など災害時要援護者への情報提供や食料など生活必要物資の援助充実をはかること。
5. 久喜市に関する情報提供を適正・積極的・迅速に行うこと。
6. 防災無線が現在は、アナウンスがハウリングを起こして、聞き取りにくい。
  アナウンス方法を適正化を徹底・共通化して、難聴の解消をはかること。
  また、内容をさらに充実し迅速に情報を提供すること。
7. 広報車からのアナウンスを聞きやすいものに改めること。
8. 今後のことも踏まえ、東京電力の計画停電に関する情報提供を強く東京電力に求め、迅速に市民に情報提供すること。
  特に久喜市から東京電力久喜支店との情報提供のルートを確立し、迅速に市民に情報提供をすること。

東北地方太平洋沖地震での久喜市内の被害状況とこれまでの対応
2011/3/20

1.地震発生
 2011.3.11(金) 14:46   三陸沖
 マグニチュード9.0
 久喜市内最大震度 震度5強
2.久喜市災害対策本部
 3.11(金) 15:25 災害対策本部設置
3.久喜市内の被害状況(3月14日現在)
 重傷者 1人
 火災発生はなし

 建物被害…全壊、半壊 なし

 南栗橋地区で“地盤の液状化”により、道路の陥没・隆起、電柱の倒壊、家屋の傾き、下水道管、水道管の破損などの被害が発生している。
 市の対応は、住宅については90棟の危険度調査を実施した。
 下水道管については、TVカメラを入れて破損状況を調査した結果、本管の破損はないもようだが、住宅からの取り付け管の破損があるので、下水道を使用できない住宅が発生しているとのこと。

 屋根瓦の崩壊…351件(久喜地区184、菖蒲地区104、栗橋地区47、鷲宮地区16)
 ブロック塀、石垣等の崩落…67件(久喜地区37、菖蒲地区17、栗橋地区10、鷲宮地区3)

 道路被害…55か所(久喜地区32、菖蒲地区5、栗橋地区17、鷲宮地区1)

 道路通行止め…19か所(13日現在、菖蒲地区のみ3か所)
4.ライフライン
 地震発生直後に、電気、水道、ガスが市内各地域でストップしたが、14日までに市内全域で復旧。
 水道は市内全域で復旧済だが、南栗橋の一部地域では仮設。

 ガスは市内全域で復旧済
5.避難所
 11日夜から、以下の避難所に約1200人が避難した。
 【久喜地区】久喜北小学校、中央公民館、中央3丁目集会所、総合体育館、久喜小学校、ふれあいセンター、久喜東公民館、久喜中学校、久喜市役所、青葉小学校、
 【菖蒲地区】しょうぶ会館、菖蒲東小学校
 【栗橋地区】栗橋公民館、栗橋南小学校、栗橋コミセン、しずか館
 【鷲宮地区】東鷲宮小学校、鷲宮東コミセン、桜田小学校、鷲宮総合支所

 ほとんどは近隣住民、ふれあいセンターは近隣の一人ぐらい市のお年寄りなど不安を抱える住民。
 この内、中央公民館、栗橋南小学校、東鷲宮小学校、鷲宮東コミセン、桜田小学校には、新幹線が鷲宮地内でストップしたための避難者や、JR久喜駅からの“帰宅困難者”約800名が避難した。
 13日までにほとんどの避難者は帰宅した。

 その後、栗橋南地区の住宅に被害が発生した住民の内、約10世帯が、栗橋コミセンに避難している。
6.公共施設の被害
 市役所庁舎、ひまわり保育園、中央保育園、偕楽荘、鷲宮保健センター、栗橋文化会館、菖蒲総合支所、栗橋総合支所、鷲宮総合支所などで、壁にひび割れ、目地の落下などの軽微な建物被害、駐車場などにひび割れが発生
 学校では、久喜小、太田小、江面1小、本町小、青葉小、青毛小、小林小、上内小、東鷲宮小、久喜中、久喜南中、久喜東中、菖蒲中、菖蒲南中、鷲宮東中などで、照明器具がはずれたり、壁やコンクリートのタタキのひび割れ、トイレなどのタイルの落下、地面や通路の段差、入水槽からの水漏れなどが発生した。

 被害箇所についてはすでに軽微なものは緊急対応で補修済みのものもあるが、残りについても早急に調査、復旧工事を進める。
 これらの補修に対応するために、3月18日の市議会最終日に緊急に一般会計補正予算(第6号)が編成され、可決した。22年度一般会計補正予算で予備費を1億円増額、災害復旧費を計上して、できれば年度内の工事契約・発注を進める予定。
 財源は財政調整基金を取り崩して充てる。

 補修にどれくらいの費用がかかるかはまだ算定していないが、すでに年度末のせいで22年度の予備費が2800万円しか残っていないので、年度内のは中学を多めに算定して1億円の予備費を計上したものであるが、実際の補修工事は4月以降になるという。

 補修工事について設計や大規模な補修工事が必要になるものについては、新年度予算で対応する。

政策会議で被害調査活動
2011/3/20

 政策会議で、地震被害の実態調査活動を行いました。(猪股は都合があって参加できませんでした)。

南栗橋地区の被害(1)  政策会議の対応   …石川議員のブログへのリンク
南栗橋地区の被害(2)   …園部議員のブログへのリンク



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