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久喜の合併(2) 2004年9月〜2008年12月
久喜の合併(3) 2009年1月〜


田中市長はあくまで「自治基本条例」の住民投票を拒否した
菖蒲町議会では「住民投票条例」制定へ

2008/12/27

 12月24日の1市3町合併協議会で、田中市長が、「4市長の首長会議で協議した結果、住民投票は行わない」と報告したことについては、すでにブログに書きました。

 田中市長の発言は、
 「住民意向確認の方法については、推進会議(首長会議)で協議した結果、1市3町のそれぞれが郵送による住民意向調査を行うことで協議が一致した」というものでした。

 これまで、意向確認の方法については慎重に検討して、12月の合併協議会までに報告するとして、ずっと具体的なやり方についての言及を避け続けてきていましたが、実はもう早い段階から住民投票はやらない、郵送による「意向調査」で行うことを決めていたわけで、議会も市民も田中市長にだまされ続けていたということになります。
 しかも田中市長は、22日に開いた市議会全員協議会でも、24日の合併協議会においても、久喜市自治基本条例については一言の言及もありませんでした。

 田中市長は、市民の意向確認の方法を検討するに際して、判断の基準として、久喜市自治基本条例をまったく考慮せず、他の3町と足並みをそろえることだけに腐心していたわけで、自治基本条例を持たず、“住民投票をやりたくない”3町の政治的思惑に引きずられたと言わざるをえません。

なぜあえて住民投票を避けたいのか

 「郵送による意向調査」の方法が、ハガキ投票なのか、アンケートなのか、まだ明確にされていませんが、いずれにしろ田中市長と行政にとって最も有利な設問と方法によって行われることは目に見えています。
 「最も有利な方法」というのは、回答が賛成と判断できる意思表明が最も多くなるような選択肢を設けたりすることも考えられます。
 実際、2月のハガキ投票の時には、菖蒲町では「積極的に進めるべき」の選択肢の他に「やむをえない」を設けてこれも「賛成」にカウントしていましたし、久喜や鷲宮では「賛成」「反対」の他に「どちらでもよい」とう選択肢を設けてこれも「賛成」にカウントできるようにしていました。

 私は、さて今度はどのような作為的な選択肢を設けるつもりだろうか、ということまで疑わざるをえないのです。

郵送による意向調査の方が回収率が高くなるってホント? ウソ!?

 22日の全員協議会において、田中市長は「郵送による住民意向調査を選択した理由」を次のように説明しています。
 それは、『住民のお一人お一人の意思を確認することが重要なことでございますことから、全体としては、(郵送による意向調査の方が)住民投票よりも回収率が高くなることが期待され、さらには、市民の合併に関する意見が書き込める意見欄を設けることができ』るというものです。

 しかしこれは本当でしょうか。
 2004年の住民投票の投票率は53.5%、今年2月のハガキ投票の回収率は61.8%でしたから、確かに市民の投票率(回収率)は今年のハガキ投票の方が高くなっているように見えます。

 しかし今年のハガキ投票では回答者の内の13.7%もが「どちらでもよい」と記していて、賛否をあいまいにしていて、これと無効票(0.7%)を除いて、明確に「賛成」「反対」と記した人は有権者数全体の内の52.96%にすぎませんでした。
 4年前の住民投票でも投票者総数の内で、無効票0.1%を除いて、「賛成」「反対」を明確にしたのは52.93%でした。

 こうやって比較してみると、表面的な投票率(回収率)ではハガキ投票の方が高かったのですが、「賛否」の意思を明確に表明した市民の数(回答率)ではほとんど変わらなかったのであって、このことはつまり、『住民のお一人お一人の意思を確認する』ためには、まったく差がないことを表しています。
 郵送による意向調査は意見欄を設けることができる云々、などというのは付け足し以外の何ものでもなく、合併やその後のまちづくりに関する住民アンケートは「賛否の確認」とは別に実施すべきことです。
 田中市長の説明はほとんど詭弁以外にないことは明らかです。

意向調査までのスケジュールはどうなっているか

 今後の合併協議会の日程は

1月 26日 (月) 合併協議会 新市基本計画について
住民説明会について
2月 24日 (火) 合併協議会 住民説明会について
3月 1日 合併についての説明パンフレットを全戸配布
上旬〜 各市町で住民説明会
23日 (月) 合併協議会 住民説明会の開催状況について
21年度事業計画について
4月ごろ 郵送による住民意向調査

菖蒲町では臨時議会開催へ

 12月19日、菖蒲町議会で「住民投票条例の制定を求める決議」が賛成6、反対5で可決されましたが、それにもかかわらず菖蒲町長は議会決議さえも無視して、「住民投票でなく、意向調査の方法で行いたい」という方針に固執しているそうです。
 菖蒲町長の議会無視の方針に対して、6名の議員は24日、住民投票条例を制定するため、臨時議会の開催を求める「議会招集請求書」を提出しました。

 地方自治法101条では「議員の定数の4分の1以上の者は、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる」とし、」この請求があったときは、「当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から20日以内に臨時会を招集しなければならない」と定めています。

 したがって1月上旬には菖蒲町議会の臨時議会が開かれて住民投票条例の制定を審議することになると見られています。
 地方自治体の議会は首長に対するチェック機関ですから、首長の方針に何でも賛成して権限をすべて預けてしまうのは本来の議会の姿とはほど遠いといわなければなりません。

 その意味で、菖蒲町議会は住民の意志を反映して町長に対するチェック・監視機能を発揮したわけで、それに引き替え久喜市議会の大勢は、田中市長が「久喜市自治基本条例」無視、市民無視の方針を貫こうとしているのに対して、これをチェックして方針の変更をさせることができないわけで、久喜市議会のあり方が問われているのではないでしょうか。


田中市長!
住民投票から逃げるべきではない

『声と眼』369号 2008/12/11

 “合併を最終的に決めるのは市民であって、最後は住民投票を行うべきだ”とずっと主張し続けてきました。
1市3町の合併協議も大詰めに近づき、12月中には「新市基本計画」を決定して、来年2〜4月に市民に配布、市民説明会を開催し、“市民意向調査”を行う予定です。

 久喜市自治基本条例23条には『市政に関し住民の意向を聴くべき重要な案件が生じたときは、住民投票を実施することができる』と明記されています。
久喜市にとって合併以上に重要な政治課題があるはずはありませんから、当然、意向調査は“住民投票”で行うのがあたりまえです。

 住民投票の実施は、田中市長の政治的責任であるはずですが、田中市長はいまだに住民投票の実施を明言していません。
4年前には住民投票を実施したのに、『今度はやらない』というわけにはいきません。
もしも“反対が多いかも知れない”から住民投票をやらないですまそうと考えるとすれば、都合が悪くなると逃げる行為であり、政治家として恥ずべき行為です。

市民と市長の信頼関係が大事だ

 私の質問に対して、田中市長は「1市3町の連携、首長間の信頼を大事にすべきである」と述べて、住民投票についてみずからの考えを表明するのを避けました。
今後、「1市3町の首長会議で協議し、12月24日の第8回合併協議会までには方針を示していく。自治基本条例の趣旨を踏まえて決定する」としています。しかし田中市長は現在は市民から選任された久喜市の市長なのですから、久喜市民の意向を尊重する責務があります。

 久喜市以外の3町には自治基本条例がないので住民投票の規定はありません。
しかし久喜市には「久喜市自治基本条例」があって、田中市長はこれを遵守する義務があります。
他の3町に引きずられて自治基本条例を無視するとすれば、久喜市長としての責任を果たせないことになります。

 田中市長は「他の3町の首長との信頼関係が大事だ」と言いますが、久喜市民との信頼関係をどう考えているのでしょうか。
住民投票を行って、現在も将来も市民の意向を最大限尊重する姿勢を明確にしてこそ、市政に対する市民の信頼をつなぐことができます。
逆に、住民投票という手続きを避けて合併を強行するなら、田中市長と合併後の久喜市政への市民の信頼を大きく損なうことになるのではないでしょうか。

官僚の勝手な条例解釈は許されない

 合併推進室長がその答弁の中で、住民投票は「議会が二分されている場合に行うのが適当」と発言しましたが、そんな基準がどこにあるのでしょうか。
これは作為的なインチキ基準、ウソとしか言いようがありません。

 実際、4年前に住民投票を実施したとき、議会で「合併賛成」の議員は17名で圧倒的多数を占め、「反対」を明確にしていた議員は4名だけで「議会が二分」されてはいませんでした。
現在の久喜市議会でも合併への賛否は18対4で4年前とほぼ同じです。
4年前は「議会が二分」されていなくても住民投票を実施したのに、今回は「議会が二分されていないから住民投票を行う必要がない」という新たな条件を持ち出すとすれば、これはご都合主義的な“二重基準”に他なりません。

 久喜市自治基本条例には「議会が二分されている場合に住民投票を行う」などとは書かれていません。
住民投票の解説書にもそんな基準はありません。
法律と条例に従って仕事をすべき公務員が、住民投票をやらないために、ありもしない基準を持ちだして議会と市民を欺き、世論を誘導しようとするのは許されません。
条例にない解釈を意図的に付け加えて、条例の運用に新たな条件を持ちだすのは、官僚が行政を私物化する行為です。

 さらに、合併推進室長は「住民投票は市民参加の手法の一つだ」として、住民の意思確認の方法は住民投票以外にアンケートやハガキ投票などの方法もあるかのように言っているのですが、久喜市自治基本条例は「住民投票」以外の方法は想定していません。
これも自治基本条例の条文と趣旨を勝手な解釈でねじ曲げるものです。


合併後、自治基本条例を改めて策定
『声と眼』368号 2008/12/1

 現在の久喜市の条例や制度はすべて、合併でいったん失効します。
実際には空白期間をおかないように、ほとんどの条例や制度については事前の調整に基づいて、市長の専決処分で新しい条例を制定し、合併後の議会で事後承認となります。

 「久喜市自治基本条例」は、久喜市の憲法と位置づけられています。
2004年に議会で可決されましたが、それまでに市民参加で2年間かけて策定されました。
これも合併で失効してしまいますが、当然、新市でも自治基本条例を制定しなければなりません。
空白期間を設けないために、現在の久喜市の条例をそのまま引き継ぐかどうか、検討が続けられてきていましたが、結局、合併後に改めて策定していくことになりました。
11月26日の第7回合併協議会で、『久喜市の例を参考にして、合併後おおむね1年以内に市民の参画を得て新たに制定する』と決定されました。

 これまで久喜市では自治基本条例に基づいて、市民参加条例と市民活動推進条例を制定し、市民協働のまちづくりの基盤としてきました。
この2つの条例は、現在のものをそのまま新市の条例として引き継ぐ方針です。合併と同時に、市長の専決処分で決定し、議会で承認の手続きを取ることになります。

同じ市民で負担が違っていいの?

 国民健康保険税は合併後も現在の各市町の税率のまま、水道料金も現在の市町ごとに別料金とし、いずれも「合併後2年以内に再編」することとされました。
下水道料金も「3年以内に統一」です。

 同じ市内なのに地域によって税率や公共料金の基準が違ったままで、合併時に統一できないのは行政と合併協議会の怠慢ではないでしょうか。


合併後の市民負担はどうなるか
『声と眼』365号 2008/11/6

 1市3町の合併後の市民サービスや負担のあり方についての調整が進んでいます。9、10月の合併協議会で以下について確認されました。

◆保育園の保育料は、現在は菖蒲町は所得区分が10段階、鷲宮と栗橋町が7段階に分かれています。
久喜市は所得に応じて18段階に細分化し、最高限度額もいちばん低くなっています。合併後は久喜市の保育料表を適用することになりました。

◆子ども医療費は、久喜市と鷲宮町が入院15歳まで、通院は小学校就学前まで公費負担で、菖蒲町は入院12歳、栗橋町は入通院とも就学前までです。
合併後は久喜市に統一することになりました。

◆都市計画税は、久喜市、栗橋町、鷲宮町が税率0.2%、菖蒲町は都市計画税そのものがありません。
合併後2年間は現在の菖蒲町区域だけは非課税とし、3年後に0.2%に引き上げます。

◆下水道料金は、旧市町ごとに現在の料金表をそのまま適用し、当分の間は同じ市の中で料金に差を付けたままとします。
(2か月で50m3使用の場合、久喜市4094円、菖蒲町4410円、栗橋町5460円、鷲宮町5145円)。
合併後3年以内に「再編」しますが、その際は下水道料金を全面的に改定して、現在の久喜市の料金も値上げすることになります。

◆水道料金、国民健康保険料についても、旧市町ごとに住民負担が大きく異なっていますが、まだ行政事務当局間の調整が付いていません。
11月26日の第7回合併協議会(会場は栗橋町)に提案される予定です。これらも負担の高いところに合わせる方針でしょうか。


市長は住民投票やりたくない?
2008年9月定例市議会 猪股和雄の一般質問   『声と眼』365号 2008/10/11

 「合併は最終的に住民投票で決めるべきだ」、私のこの質問は昨年から3回目です。

 久喜市自治基本条例で「市政に関し住民の意向を聴くべき重要な案件が生じたときは、住民投票を実施することができる」としています。
市にとって合併以上に重要な問題はありません。
2004年の合併協議の際には住民投票を行ったのに、今回はやらないというのでは政治の一貫性がなくなってしまいます。
自治基本条例は田中市長自身が提案して実現したのですから、「また否決されては困るからやりたくない」という恣意的な理由で避けるとしたら政治家としての資質が問われます。

 田中市長は、「自治基本条例の理念を踏まえて対応する」と言いながらも、住民投票をやるかどうかについては、「1市3町の信頼関係が大切なので、3町の町長や議会と話をした上で1市3町の会議にはかっていく」「3人の町長さん方と相談していく」と答弁しました。

 田中市長は、久喜市の条例に基づいて住民投票をやる責任があるのであって、まず久喜市が住民投票をやる方針を決めて合併協議に臨むべきです。
3町に対しても、久喜市の条例を守る久喜市長としての責任を説明して、同意を得るべきではないでしょうか。
いつまでもあいまいにして姿勢を示さないのは姑息なやり方と言わざるをえません。
もうはっきりさせる時期です。


合併後の新市の議員定数は?
『声と眼』362号  2008/8/21

 合併後の議会の議員定数について、4市町の議会代表者による協議が行われています。
11日に開かれた会議では、久喜市議会と菖蒲町議会の意向は「30〜34」、鷲宮町議会は「34を基準にどれだけ減らせるか」、栗橋町議会は「まだまとまっていない」となっています。

 地方自治法で人口20万人以下の市の議員定数は34名が上限とされています。
他市との人口比較では…。

人口 定数
越谷市 31万 32
春日部市 24万 36
草加市 23万 30
上尾市 22万 30
熊谷市 20万 36
狭山市 15万 24
新座市 15万 26
新・久喜市 15万 30〜34?
入間市 14万 24

合併で「民力」が伸びるって、ホント!?
久喜市の合併宣伝を検証する

『声と眼』361号  2008/8/11

 久喜市の行政は今、すべてのエネルギーを「合併」へ向けて集中し突っ走っています。
『広報くき』紙面でも市民の支持を得ようとして、「1市3町の合併実現に向けて」の連載で、合併すれば「民力」が上がるという宣伝を続けています。
5月1日号では「基本指数」、6月には「産業活動指数」、7月には「消費指数」についての合併前と後とを比較して、合併すれば地域の力が飛躍的に伸びるのだといいます。

◆たとえば5月1日号の「基本指数」では、

現在の久喜市 →合併後の新市
人 口 28位(72,383人) → 11位(155,105人)
事業所数 29位(2556か所) → 13位(5051か所)
課税所得 26位(1126億) → 12位(2307億)

 この3つの指標の総合である「基本指数」は、現在の久喜市54.5、菖蒲町15.7、鷲宮町23.0、栗橋町19.2ですが、合併後の新市は112.5で11位になる、『3指標いずれにおいても2倍近い伸びを示し、住民の潜在的なエネルギーが、少なくとも現在の久喜市の2倍程度になる』と書いています。

◆同様に6月1日号の「産業活動指標」では、農業出荷額が久喜市27位→新市7位、工業出荷額は久喜市11位→新市7位、就業者総数は久喜市29位→新市12位へ。
これらの産業活動指数の合計は、現在の久喜市82.6、菖蒲町26.7、鷲宮町17.7、栗橋町14.0から、合併後の新市は141.0で県内11位になる。
その結果、『新市の産業活動に非常に期待が持てる数値になる』と結論付けています。

◆7月1日号の「消費指数」では、商店年間販売額は久喜市18位→新市12位、新設着工住宅数は久喜市38位→新市13位、乗用車保有台数が久喜市28位→新市11位へ。
消費指数の総体は、現在の久喜市42.5、菖蒲町12.5、鷲宮町26.0、栗橋町20.2から、合併後の新市100.9で県内11位になる、消費指数の2つの指標が2倍以上に伸びて、『バランスのよい飛躍が期待できる』というのが結論です。

 久喜市の「民力」が合併で大々的に伸びると宣伝しているのですが、しかしよく読むと、この論理は“錯覚”にすぎないことに気付きます。

 人口をはじめとしたいろいろな指標のいずれも合併後の新市の「飛躍的に伸びる」という数値を計算し直してみると、それは単純に、久喜市、菖蒲町、鷲宮町、栗橋町の現在の数値を単純合計したものに過ぎません。
「基本数値」でいえば合併後の数値112.5というのは、「現在の久喜市54.5+菖蒲町15.7+鷲宮町23.0+栗橋町19.2」の単純合算です。
産業活動指数や消費指数も同じで、現在の4市町の数値を合算を、現在の久喜市だけの数値と比較して2倍くらいになると言っているのです。
現在の数値を単純合計しただけですから、合併してもしなくても、現在の4市町地域全体の「民力」の合計は合併前と同じ、「1+1=2」のままだということになります。

 合併によって「1+1」が「2」以上になる相乗効果があるわけでもなく、合併しても産業指数も消費指数も地域総体としては変わらないということです。
合併によって現在の4市町地域の「民力」がアップしないとすれば、久喜市当局はなぜこれほどの財政と行政エネルギーを割いてまで合併を進めるのでしょうか。
市は、合併によって現在以上に地域総体が「発展」するということを説明する必要があります。

「大きくなる」ことが発展か

 しかしそれ以前に、地域の「発展」とは人口が増えて大きくなることなのでしょうか。
教育や環境、文化活動といった、市民の「生活の質」が合併によって向上するのかこそが問われなければならないのではないでしょうか。


★栗橋町に「ボートピア」場外舟券売り場=大ギャンブル場が今年度末に開設される。合併したら「新・久喜市」の中になるのだが、そんな話、市民にはこれまでまったく知らされてない。★


合併で、議員定数や報酬どうする
『声と眼』361号  2008/8/10

 6月に開かれた第2回合併協議会で、「議員の定数と任期」について、4市町の議会間で調整することになりました。
また合併後の議員の報酬額は、第3回合併協議会で「現行の報酬額と同規模市の報酬額を基準に調整する」と確認されました。

 新市の議会定数や報酬について話し合うため、久喜市議会では25日に代表者会議を開き、各会派から次のような意見が出されました。

◆議員定数…多くは「30〜34」「30以下でもよい」、他に、「地方自治法上限の34」(共産党)、「定数を減らすのがいいのか」(公明党)という意見も。

◆在任特例…ほとんどが「使わない」という意見ですが、議員の一部には「現在の議員が1年程度任期延長した方がいい」という意見もあります。

◆最初の市議選では、特例で旧市町ごとに定数を決めて選挙区を分けることもできますが、全会派が「特例は使わず、全市一区で」という意見でした。
一部に「他の町議会で必要があれば選挙区を設けてもいい」という意見も出されました。

◆議員報酬については各会派でもまだ意見がまとまっていませんが、「現在よりも議員数が減ることになる。議員の仕事も増えるので報酬を上げるべき」「県内の15万人の市と同程度の報酬にすべき」という意見がほとんどでした。

議員の特権や特例はいらない!

 人口20万人以上の上尾市や草加市の議員定数が30名、30万人の越谷市が32名です。
私は、人口15万の新市は「30以下」でいいと思います。

 4年前の2市1町の合併協議の時は、旧市町の議員70人居座りという案に対して、市民からきびしい反発の声が出ていました。議員は合併と同時に失職、直ちに選挙を行うのがあたりまえです。
また、今の地盤=既得権を守るために、旧市町ごとに選挙区を分けるなどという姑息な手を使わないで、選挙区も全市1区にすべきです。

 合併時の議員報酬を議会同士の協議とか議員の意見を聞いて決めるというのもおかしな話です。
通常なら議員報酬は、当事者の議員が自分たちで勝手に引き上げたりできないように、特別職報酬等審議会で協議する仕組みになっています。「合併で仕事が増えるから」と言って「議会同士の調整」で報酬アップを図ろうというのは“合併のどさくさのお手盛り”以外ではありません。

 私は、議員報酬は現在の久喜市の報酬で据え置き、合併してから改めて第三者の報酬審議会を設置して、時間をかけて検討するべきと考えます。

★6月の合併協議会。合併後の新市の名称について、「久喜市」で決定できず、継続審議になった。★


合併推進室を設置、なぜ今頃?
『声と眼』360号  2008/7/18

 6月議会に、市の部設置条例の改正が提案され可決されました。
これまでは合併に関する事務を総務部企画政策課「合併推進グループ」で担当し、総務部次長(課長兼務)が責任者でしたが、これを「合併推進室」に格上げし、部長相当職の「合併推進室長」を置くことになりました。

 しかし3月に合併協議会を設置する条例を可決して合併協議を進めてきたのに、同じ3月にやらないでなぜこんな中途半端な時期に機構改革をするのか、
総務部企画政策課の中の合併推進グループを、なぜ2段階も飛び越えて、部相当の合併推進室として独立させなければならないのか、
仕事は変わらないのに課長兼務の部次長を部長に、わざわざ格上げする必要があるのか、
合併協議のためだけに部長職を1つ増やさなければならないのかなどの疑問が指摘されています。


合併によって「地域の力」が本当に伸びるのか
市の「合併宣伝」を検証する

2008/7/12

 久喜市政は今、すべてのエネルギーを「合併」へ向けて集中して走っているように見える。

 『広報くき』紙面でも合併気運を盛り上げ、市民の支持を得ようとして、「1市3町の合併実現に向けて」という連載が続いている。

 合併すれば「民力」が上がるという。
 5月1日号では「基本指数」、6月1日号では「産業活動指数」、7月1日号では「消費指数」についての合併前と後の比較が出ていて 、合併すれば数値が飛躍的に上がるのだという。いずれも合併前の2倍前後に「民力」が伸びるということを数値を用いて実証している。

 いや、実は実証したつもりになっているらしい。

 一つ一つの数値比較を見てみよう。
 人口は、現在の久喜市は72,383人で県内28位だが、合併後の新市は155,105人で11位になるという。
 事業所数は、現在の久喜市2,556事業所で29位から、合併後の新市は50.051事業所で13位に伸びる。
 課税対象所得は、現在の久喜市26位から、合併後の新市は12位になる。
 この3つの指標を合わせた基本指数は、現在の久喜市54.5から、合併後の新市は112.5になって、県内11位になる。

 農業出荷額は、現在の久喜市27位から、合併後の新市7位へ。
 工業出荷額は、現在の久喜市11位から、合併後の新市7位へ。
 就業者総数は、現在の久喜市29位から、合併後の新市12位へ。
 これらの産業活動指数は、現在の久喜市82.6から、合併後の新市141.0で県内11位になる。
 その結果、「新市の産業活動に非常に期待が持てる数値になる」という結論を導き出している。

 商店年間販売額は、現在の久喜市18位から、合併後の新市12位へ。
 新設着工住宅数は、現在の久喜市38位から、合併後の新市13位へ。
 乗用車総保有台数は、現在の久喜市28位から、合併後の新市11位へ。
 これらの消費指数は、現在の久喜市42,5から、合併後の新市100.9で県内11位になる。

 なるほど、ここまで素直に読んでくると、合併すると、久喜市の「民力」は2倍程度に伸びて、久喜市は「飛躍が期待できる」というように見える

 しかし本当にそうか。

 『広報くき』の記事をよくよく読むと、「合併によって『民力』がアップする」というのが錯覚に過ぎないことがわかる。
 いや、市がわざと錯覚を起こさせるような書き方をしているのだということに気付く。

 どういうことか。

 人口、事業所数、所得、農業・工業出荷額、就業者数、商店販売額、いずれも合併後の新市のものとして示されている数値を計算してみると、それは単純に、久喜市、菖蒲町、栗橋町、菖蒲町の現在のそれぞれの数値を合算したものに過ぎない。


 さらに、合併後の新市の「基本数値」が112.5になるというのも、現在の「久喜市の基本指数54.5、菖蒲町15.7、栗橋町23
.0、鷲宮町19.2」を単純合計したものである。「産業活動指数」や「消費指数」も同じで、現在の1市3町の数値を単純合計した数値を書いて、現在の久喜市だけの数値と比較して2倍くらいになると言っているに過ぎないではないか。単純合計してやれば、県内順位が大幅にアップするというのもあたりまえで 、地域の力そのものが増えたわけではない。

 それなら別に合併に関係なく(合併しなくても)、現在の4市町地域の数値を合算すれば、現在の久喜市の2倍であると言っているに過ぎないではないか。合併しても、現在の4市町地域の「民力」は合併前と同じで、合併しても全体としては「民力」とやらはまったく変わらないということである。つまり、「1+1」は「2」のままだということだ。

 合併することによって「1+1」が「2」以上の力を発揮する、そういう相乗効果が期待できるというならともかく、合併してもしなく ても、産業指数も消費指数も地域総体としては変わらない、合併しても、現在の数値の単純合計以上には伸びていかないと言っているわけ だ。

 行政当局自身が、合併によって、「民力」がアップしていく相乗効果を期待してはいないらしいということがわかった。合併してもしなく ても、現在の4市町地域の力が増えるわけでもないとすれば、なぜこれほどの財政と市職員の労力と行政エネルギーを割いてまで合併を進 める必要があるのだろうか。

 市は、合併によって現在の持てる力以上に地域が発展する、期待できるということを説明する必要がある。

大きくなることが「発展」か

 しかし実はそれ以前に、地域の「発展」とは何なのか、単純に「大きくなる」ことが発展なのかということを検討しなくてはならないの ではないか。人口が増え、産業活動が活発になることが「発展」なのか、教育や環境、文化活動といった、市民の「生活の質」はどうなる のか、「生活の質」は合併によって向上するのかこそが問われなければならないのではないか。

合併協議会の協議が始まる
議員の身分は“議会同士で調整”へ

『声と眼』359号  2008/6/25

 6月25日に菖蒲町役場で第2回合併協議会が開かれました。

◆合併方式は新設合併、2010年3月合併とすることを確認、
◆新市の名称と市役所の位置は次回に継続協議することになりました。
また、議会に関わる事項については構成市町の議会間で調整することに決定しました。

 議会に関することでは、
▼新市の議会の議員定数、
▼現在の議員の任期を延長するか、合併と同時に選挙を実施するかを決めなければなりません。

これらは議員報酬や、選挙を行う場合の選挙区をどうするか(全市1選挙区か、旧市町ごとに選挙区を分けるか)などもからんできます。

 議会同士の思惑もからむため、合併協議会で協議する前に、4市町の議会間で話し合って調整案を作ることになったのですが、議員の身分に関わる問題を、当事者の議会側の調整に委ねるというのも変な話です。
第三者の機関や、市民で構成するまちづくり懇話会で「調整案」を作るべきではないでしょうか。
現職の議員の利害やかけひきがからむようなやり方は避けるべきです。


合併時、市民サービスは高い方に、負担は低い方に合わせるべきだ
2008年6月市議会 猪股の一般質問  『声と眼』359号  2008/6/25

 合併協議会で、合併後の新市の市民サービスや負担のあり方についての協議が始まっています。

 これまで市長も「住民サービスと負担はできる限り合併時に統一する」という考えは示していますが、サービスと負担については「受益と負担の適正化、財政的見地から検討して決める」と言ってきました。
私はさらに、「合併時にはサービスは構成市町の中の最も高いところに、負担は最も低いところに合わせるべき」と主張しました。

 合併したとたんにサービスが下がったり、負担が上がったりするのでは、何のための合併かわかりません。
また、現在の各々の住民サービスや負担水準は、各市町で水道事業審議会や下水道審議会、国民健康保険運営協議会、学校給食審議会、児童福祉審議会、循環バス検討懇話会などなどの協議を踏まえて市民参加で決めてきたものです。
それを合併に際しては、行政事務当局の間の調整に委ねてしまって、まちづくり懇話会や合併協議会という極めて限られた人々だけの協議で制度を変更してしまうのは、これまで築いてきた市民参加の否定です。
しかも本来は議会で個別の条例を提案、審議しなければならないのに、議会審議も事実上すっ飛ばしてしまうことになります。

 合併時には、サービスは高いところに、負担は低いところに合わせて決めておいて、見直しが必要だとしたら、合併後にあらためて市民参加の課題ごとの審議会に諮問し、議会にも個別の議案として提案するよう、強く求めました。


 今後の合併協議会のおもな審議予定は、
▼第2回(6月)合併方式、期日、方法、事務所の位置、議員定数と任期、
▼第3回(7月)職員の身分、条例、規則等の取り扱い、
▼第4回(8月)地域審議会の設置、情報公開、住民参加システム、
▼第5回(9月)地方税、一部事務組合の取り扱い、
▼それ以降、各事務事業の一元化について協議していく予定です。これらの具体的な協議スケジュールについて公表するよう求めました。


4市町合併協議会がスタート
『声と眼』356号  2008/5/8

 5月7日、久喜市・菖蒲町・栗橋町・鷲宮町合併協議会が久喜総合文化会館で開かれました。
委員は各市町から7名ずつと県派遣の事務局長で合計29名。
傍聴者は26人、報道関係者10人でした。

 久喜市からの委員は田中市長、浅子副市長、新井議長、石川議員、千葉商工会会長、大熊前JC理事長、野矢婦人会会長(公募)です。
久喜市以外の3町の住民代表の委員も婦人会や商工会、区長会などから選任されています。
委員報酬は日額6000円で、出張の際の交通費は実費、宿泊料は1泊14800円となっています(実費でなく定額制)。

 合併協議会は原則公開で、住所氏名を書く必要もなく入れます。
定員は30名ですが、多い場合はイスを出すなど柔軟に対応するそうです。

 今年中の会議は、次の予定です。

第2回 6月25日(水) 14時〜 菖蒲町役場
第3回 7月22日(火) 14時〜 栗橋町
第4回 8月28日(木) 14時〜 鷲宮町
第5回 9月24日(水) 14時〜 久喜市
第6回 10月21日(火) 9時〜 菖蒲町
第7回 11月26日(水) 14時〜 栗橋町
第8回 12月24日(水) 14時〜 鷲宮町

6月に住民アンケートを実施

 6月中旬に、各市町から7名の住民による「新市まちづくり懇話会」を設置します。7人の内4人は各団体代表者などを市長が選任し、3人は公募です(応募期限5月15日)。
月1〜2回程度の会議を開いて、「新市のまちづくりに関する事項及び住民負担や行政サービスのあり方に関する事項」を協議します。
委員謝礼は日額2000円です。

 7月以降に「新市の円滑な運営の確保及び均衡ある発展を図るための基本方針や新市の財政計画」を定める新市基本計画の策定作業に入ります。

 その基礎資料とするため、6月に4市町の13500人を対象に「住民意識調査」を実施します。
まちづくりの問題点や課題、住民が新市に何を期待するかを調査します。
調査対象は久喜市6000人、菖蒲町2000人、栗橋町2500人、鷲宮町3000人で、アンケートの経費は郵送料など約400万円です。

 合併協議会の予算総額は4000万円(各市町1000万円ずつの負担)、
◆委員報酬や懇話会委員謝礼が約180万円、
◆新市建設計画策定や事務事業一元化などの調査や原案作成のためのコンサルタントへの委託経費が1920万円を占めています。


1市3町合併協議会が正式に発足
『声と眼』355号  2008/5/1

 4月1日に久喜市・菖蒲町・栗橋町・鷲宮町合併協議会が発足しました。
合併協議会の会長には田中市長、副会長には3町の町長が決まっています。

 合併協議会は、県職員の事務局長と4市町から7名ずつの29名で構成します。
久喜市からは市長・副市長・市議会議長・議会代表1名の他、市民から3名を選任することになっています。
その内1名は公募で、4月21日の締め切りまでに10名の応募がありました。これから人選が進められます。

 協議会の事務局は県から派遣の1名と各市町3名ずつ13名で設置されました。
場所は公文書館の2階で、市民が自由に入れない場所です。
少々、配慮に欠けていると言わざるを得ません。

議会代表の委員は投票で選出

 18日に議会代表の委員1名を選出するために、市議会全員協議会が開かれました。
会議で、私は石川議員を推薦し、他に市議会合併推進協議会の会長の鈴木議員と2人が候補者に上がりました。
話し合いがつかないで、全員で投票した結果、議会からの代表として石川議員が決まりました。

石川 11票 大地+新政議員団
鈴木 8票 公明党+改進+無会派
白票 2票 共産党
欠席1名

  久喜市議会合併推進協議会というのは18名の議員が参加している任意の団体です。
それに対して、1市3町の合併協議会はいわば正式の行政組織ですから、一部だけ議員で構成する団体の代表者を横滑りさせるべきではなく、あらためて22名全員から選ぶのがあたりまえです。

 また、これから合併協議を進めていく過程では、合併推進の立場の議員だけの代弁ではなくて、合併に際しての多くの課題や問題点について、市民の中の多様な立場、…たとえば私のような合併慎重派、さらには反対派の人たちまでの意見をも聞きながら、慎重に検討し協議していってもらわなければなりません。
−4年前の2市1町合併破綻の背景には、合併に対する反対論や問題点の指摘をことごとく無視して、合併そのものを目的にしてしまって突き進んだことがあったのではないでしょうか。
『何が何でも合併推進』だけでなく、場合によっては疑問の声や反対意見にも気配りしながら進めていかなければ、また同じことの繰り返しになってしまいます。

★1市3町合併協議会、第1回の会議は5月7日(水)朝9時半から久喜総合文化会館広域文化展示室(プラネタリウムの1階)で開かれる予定です。当然、公開で傍聴自由です。★


2月定例市議会で、合併協議会設置を可決
合併協議会発足へ

『声と眼』353号  2008/3/31

 市議会最終日の3月21日、久喜市・菖蒲町・栗橋町・鷲宮町合併協議会設置が、賛成17、反対4(大地の猪股・川辺と共産2人)で可決されました。

 22日には1市3町の首長が集まって合併協議会設置の協定書に調印、4月1日に正式に発足することで合意しました。
幸手市からは再三にわたって合併協議会への参加申し入れがあり、4市町間でも幸手市を加えることについて賛否が分かれていますが、現在の構成4市町の合意が前提であることから、「1市3町の合併が優先であり、合流は認めない」という結論になりました。

 合併協議の場への市民参加は、合併協議会(各首長や議長など29名で構成)の“学識経験者”枠各3名の内1名ずつを公募、「新市まちづくり懇話会」は4市町から各7人ずつとし、その内の各3人を公募する予定です。
なお6月28・29日に市民懇談会を開きますが、1日3か所・2時間では実質的な議論はまったく期待できません。
別に、合併に関する住民アンケートもやる予定です。


★09年4月以降に「合併に関わる住民意向調査」を行う予定だが、市長は「住民投票」とは絶対に言わない。市民が黙っていれば、またハガキアンケートくらいでお茶を濁すつもりか。★


いのまた和雄の一般質問。合併で、市民生活はどうなる
『声と眼』353号  2008/3/3/25

 今後、1市3町の合併協議を進めていくにあたって、田中市長の基本姿勢をただしました。

 ▼政策制度、特に市民生活に密接に関わるサービス、公共料金などの政策は、合併時に統一する、
▼その際、基本的には久喜市の政策制度によって統一し、市民サービスは1市3町の中で高い方に、公共料金等は低い方に合わせる、
▼「合併後に再編」とするものについても、何年後にどの水準に統一するかを明らかにしておくよう求めました。

 当局は、「できるだけ合併時に統一が基本」だが、「困難な場合には合併後に再編もありうる」という答弁。
また、「基本的には久喜市の政策制度を新市に継承していきたい」としながらも、「サービスと負担の水準は合併協議の中で調整する。財政運営に支障を奉じないよう、合併を契機に調整を図ることもある」「適正サービス、適正負担」などという答弁でした。
具体的には手数料、上下水道料金、国保税、保育料なども「今後協議していく」とあたりさわりのない答弁に終始しました。

 “サービスは高い方、負担は低い方と約束はできない。そうはならないかもしれない”ということのようですが、合併でサービスが切り下げられたり負担が上がったりするのでは、合併する意味がありません。
私は少なくとも合併時はサービスは高い方、負担は低い方でスタートして、見直しが必要になれば、合併後の議会で個別に審議して決めていくべきだと考えます。

 特に具体的政策の中では、福祉タクシーや手話通訳者派遣制度などの障害者福祉施策、介護保険制度に関連したサービス、自治基本条例や市民参加条例、市民活動推進条例、情報公開制度、個人情報保護制度などは、基本的に久喜市の制度を新市に継承したいという答弁でした。

ごみ行政の基本を継承し統一すべき

 私たちがこれまで作り上げてきた、久喜宮代衛生組合の“げんりょう化、できるだけ燃やさない、生ごみ全量堆肥化”の基本政策を合併後の新市に広げることと、ごみ分別方式は合併時に統一するように求めました。

 久喜市と宮代町が別々の合併をめざしている中では、現在の衛生組合がそのまま継続できる保証はありません。
また現在、老朽化した焼却炉を大規模改修していますが、10年後には再び寿命が来るのに、新設炉建設の見通しは立っていません。
そこで合併後の新市において自前の焼却炉新設計画を作っていくべきだと主張しました。

 一方、1市3町の中では久喜宮代、鷲宮栗橋、菖蒲と3つのごみ行政に分かれていますが、新市ではそれらを一体的に運営しなければなりません。
そこで合併後ただちに新市のごみ処理の基本計画を策定していくよう求めました。

 「衛生組合の対象地域を、合併後の新市全体に拡大する」という考え方も示されていますが、宮代町が春日部市との合併をめざしていることからすると、現実的にはむずかしいと思われます。

議員の居座りは許されない

4年前の合併騒ぎの時には、3市町の72名の議員が1年間そのまま居座るという方針で、市民の反発と不信を招きました。
今度はそんな居座りをしないで、合併と同時に新市の議員選挙を行うべきです。当局は「1市3町の議会で協議していただく」と、明確な答弁を避けました。

合併は住民投票で決めるべきだ

 合併の最終的な手続きとして住民投票を行うべきです。久喜市の自治基本条例23条で「重要な案件が生じたときは、住民投票を実施することができる」と明記されています。
合併以上に重要な案件があるはずもないし、4年前にも住民投票を実施したのですから、政策の一貫性からしても、住民投票の実施は市長の政治的責務です。

 田中市長は「市民の意向確認の方法は総合的見地から検討して、適切かつ効果的な方法で対応していく」と、やるともやらないとも言わない、あいまい答弁でごまかしていますが、もしも住民投票をやらないで合併へ突き進んでしまうとすれば、政治家としての資格が問われます。


久喜市・菖蒲町・栗橋町・鷲宮町の合併協議会設置が可決された
2008/3/22

3月21日、市議会最終日に、合併協議会の設置が賛成多数で可決されました。
反対したのは、大地の猪股、川辺と共産党で4人、賛成は大地の石川、春山、矢野と新政議員団、公明党、改進、無会派で17名でした。

本会議でのいのまたの反対討論の全文
なぜ、1市3町合併協議会設置に反対したか

 合併は一個のの自治体の存立そのものを問うものですから、自治体にとって最大かつ究極の政治課題であり、何よりも市民の意思にのっとって実現していくべきです。

 合併協議を進めるにあたっては、すべての政策制度を原則として合併時に統一することが基本でなければなりません。
 政策制度を統一するために移行期間が必要なものがあるとしたら、単に決定自体を先送りするのではなくて、いつどの水準で統一するかは合併時に明確に示すべきです。

 もう一つの基本原則として、合併時に、現在久喜市民が受けている行政サービスを低下させない、負担を重くしたり新たな負担を生じさせないということです。
 そもそもの合併の目的が、市民が現在よりも暮らしやすいまちづくりを進めることをめざして合併を進めるのであれば、もしも合併によってサービスを低下させたり負担を引き上げたりするようなことがあれば、それは合併の目的にタテマエ上も実質的にも反することになるからです。

 合併時においては、合併市町の中でサービスは最も高いところに、負担は最も低いところに合わせた上で、もしもサービスと負担の見直しが必要となるのであれば、合併後に、一つ一つの政策制度について議会と市民の議論を経て、一つ一つ改めていくべきです。

 実質1年間の合併協議会でサービスの引き下げや負担の引き上げを実質的に決めてしまうということは、一つ一つの政策制度については市民や議会での議論を経ないということになるのであって、それは合併そのものに対する市民の不信を招きます。

 既に市長は、新市の名称と市役所の位置については、どのように主張していくかを市民に公約しているのであって、その他の基本的な政策制度についても、どのように進めていくかを市民に明らかにしながら、合併協議に入るべきです。
 行政事務局の立場としては、他町と協議して決める、財政を勘案しながら決めると言わざるをえないとしても、田中市長が合併という最大究極の政治にあたっては、市長の政治判断を最大限発揮すべきです。

 もう一つは、合併の最終段階において、住民投票を実施することは本来はあたりまえのことであるはずです。久喜市自治基本条例に規定してあって、久喜市にとって合併以上の課題はあるはずもなくて、4年前にも実施したことからすれば、今回実施しないという選択があろうはずはないのです。
にもかかわらず住民投票を実施するという明確な約束がいまだになされないということは、政治的には姑息と言うしかありません。住民投票を約束しないということ自体が、市長が合併協議を進めるにあたっての政治姿勢に不信を増幅させるのであって、早期に住民投票の実施を約束すべきです。

 私は、田中市長が、住民投票を行うことを明確にした上で、合併協議に臨む方針を明確に示し、合併協議の中で実行していってこそ、住民投票において市民の理解を得ることができる、市民の理解を得ての合併を実現できると思っています。

 一般質問においても議案質疑においても、住民投票の実施についてだけでも約束していただきたかったと思っています。住民投票の実施を明確にした上で合併協議を進めるということを約束してほしかったのですが、残念ながらなされませんでしたので、合併協議会の設置の議案に反対します。

1市3町合併協議会を設置へ
『声と眼』351号  2008/2/25

 久喜市・菖蒲町・栗橋町・鷲宮町の合併協議会の設置が提案されました。
委員は市長・町長と副市長・副町長、各議会議長と議員各1名、「学識経験者」各3名、県職員1名の29名で構成します。事務局は久喜市役所に置き、事務局長(県職員)の他、4市町から職員3名ずつを派遣します。

 これと別に、合計28名の住民で「新市まちづくり懇話会」を設置し、まちづくりや住民サービスについて調査研究・提案するとしています。

 今後のスケジュールは、
▲4月以降、合併協議会で新市の名称、市役所の位置、一部事務組合の取り扱い、新市基本計画の策定、事務事業の調整などについて協議決定し、
▲2009年4〜7月に「新市基本計画」等の配布、住民説明会、“合併に関する住民意識調査等”の実施、
▲8月に合併協定調印、
▲9月に1市3町の各議会で合併議決、
▲12月に県議会での議決、総務大臣への届出を経て、
▲2010年3月に新市発足としています。

 合併推進の予算は、久喜市の新年度一般会計に1272万円が計上されました。

 執行部が公表したスケジュールによると、協議開始から来年4月まで、合併の中身について市民の意見を聞く場はまったくありません。
すべて市長と行政におまかせ、市民には決定してから知らせればいいと考えているようです。
また、「住民投票の実施」も明記されていません。
“合併に関する住民意識調査等”という項目がありますが、田中市長は住民投票から逃げて、単なる市民アンケートですませようという考えでしょうか。


合併アンケートで、賛成が52%
『声と眼』350号  2008/2/11

 2月1日、合併に関する市民意識調査の開票が行われました。

久喜市 有権者数 58324人
回答者数 36058人 61.8%
1.合併を進めるべきである 18845人 52.3%
2.合併を進めるべきではない 12047人 33.4%
3.どちらでもよい 4928人 13.7%
無効 238人 0.7%

 回答率が61.8%というのは事前の予想よりも高い数字でした。ちなみに菖蒲町は66%、鷲宮町は64%、昨年の栗橋町は57%でした。

 「合併を進めるべきである」の52%は、他市町の「賛成」票に比べてかなり低い数字です。

 これが何を意味するのかは評価が分かれるところですが、多くの市民にとって、これまでに配付された資料や説明だけでは、このまま合併を進めるべきか否か判断できないということではないでしょうか。
市長や多数の議員はしゃにむに合併を進めようとしていますが、まだまだ合併しなければならない理由やメリットの説明は不十分であり、市民に理解されたとはいえません。
今回のアンケートの「過半数の賛成」を絶対的な信任を得たとするのは早計といわざるをえません。

 また現在の枠組みは久喜・菖蒲・鷲宮・栗橋の1市3町ですが、アンケートの説明でも『さらに近隣市町が加わる場合もある』と書かれていた通り、枠組み自体が変化するかもしれないという不確定要素もあります。
ある意味では市長も当局も不透明な中での意向調査で、市民は先行きも見えない中で回答せざるをえませんでした。
議員にとっても、合併のメリットやデメリット、合併の将来的な効果、財政見通しなどは、今後の合併協議会で示される内容ですから、十分にわかっているとは言えないのが実情です。

菖蒲町 有権者数 17716人
回答者数 11763人 66.4%
1.合併を積極的に進めるべきだ 5112人 43.5%
2.合併はやむをえない 4900人 41.7%
3.合併は進めるべきではない 1710人 14.5%
無効 41人 0.3%

鷲宮町 有権者数 28474人
回答者数 18231人 64.0%
1.賛成 14033人 77.0%
2.反対 2455人 13.5%
3.どちらでもよい 1698人 9.3%
無効 45人 0.2%

 なお、独自にアンケートを行った幸手市の回答率は過半数ギリギリの50.4%で、その中では約7割弱が合併賛成、さらにその7割強が久喜市などとの合併枠組みを選択しました。

合併問題は2月議会の中心的課題に

 2月定例市議会に合併協議会を設置する議案が提出され、代表質問や一般質問、議案質疑でも合併問題が中心になると見られます。可決されれば6月頃から合併協議会の審議が始まります。

★合併論議の課題 
@合併後の財政見通し、
Aどのようなまち作りを進めるかの基本方針、
B公共事業の大盤振る舞いや議員の居座りをさせない、
C最後は住民投票で決めること★


合併アンケート回答率61%、賛成は52%
2008/2/1

 合併に関する市民意識調査は、2月1日午後2時から青毛のはなみずき会館で集計作業が行われました。

有権者数 58324人
回答者数 36058人 61.8%
1.合併を進めるべきである 18845人 52.3%
2.合併を進めるべきでない 12047人 33.4%
3.どちらでもよい 4928人 13.7%
無効 238人 0.7%

 回答率が61%というのは予想よりもかなり高い数字といえます。
 その内、「合併を進めるべきである」の52%は、昨年の栗橋町(合併賛成票77%)や、30日の幸手市(合併賛成68%)に比べて、かなり低くなっています。

 これが何を意味するのかについては評価が分かれるところです。
 ただ言えることは、これまでに配付された資料や市長らによる説明だけでは、合併を進めるべきか否か判断できない、「合併しなければならない」あるいは「合併を進めるべき」という理由やメリットがわからないということではないでしょうか。

 市長や一部の議員、当局はしゃにむに合併を進めようとしていますが、市民にとってはいまだに理解できない、実感が湧かない、理解するところまでいっていないということは確かだと言えるでしょう。

 また、現在いわれている枠組みは久喜・菖蒲・鷲宮・栗橋の1市3町ですが、今回のアンケートの説明の中にも「さらに近隣市町が加わる場合もある」と書かれていたとおり、枠組み自体が不透明で変化するかもしれないという不確実な条件の下での調査でした。
 当局自身が不透明で、ある意味では市長も当局も無責任な意向調査実施だったし、ましてや市民は、枠組みさえもどうなるかわからない中で回答せざるをえませんでした。

 合併を推進する立場の議員だって、本当の意味で、合併のメリットやデメリット、合併の将来的な効果、財政見通しについて理解しているとは思えません。

 2月定例市議会には合併協議会を設置する議案が提出され、可決されれば具体的な合併協議が始まります。

菖蒲町 有権者数 17,716人
回答者数 11,763人 66.40%
1 合併を積極的に進めるべきだ 5,112人 43.50%
2 合併はやむをえない 4,900人 41.70%
3 合併を進めるべきではない 1,710人 14.50%
無効 41人 0.30%
鷲宮町 有権者数 28,474人
回答者数 18,231人 64.00%
1 賛成 14,033人 77.00%
2 反対 2,455人 13.50%
3 どちらでもよい 1,698人 9.30%
無効 45人 0.20%


幸手市 有権者数 45,511人
回答者数 22,917人 50.4%
1.合併は必要である 15,678人 68.40%
2.合併は必要ではない 4,350人 19.00%
3.どちらでもよい 2,712人 11.80%
無効 177人 0.80%



1市3町の合併に関する市民意向調査(市民アンケート)、私はこう考えます
『声と眼』349号  2008/1/21

市民意向調査で、議会審議は省略

 20歳以上の市民56000人を対象に「合併に関する市民意向調査」が行われています。本当は、久喜市・菖蒲町・鷲宮町・栗橋町の1市3町の枠組みを決める前に、意見を聞くべきだったと思います。

 調査票やハガキの印刷代・郵送料等約800万円の経費がかかり、補正予算を組まなければならないのですが、市は予備費を流用してまかなう方針です。臨時議会で補正予算審議を通じて、「市民意向調査」の啓発や実施方法、市民の声を正確に反映させ、公平性、公正性の確保についてきちんと審議する必要があったと思いますが、そうした議論は省略されてしまいました。
合併という大問題の出発点で市民の意見を聞くのに、市長はもっと慎重であるべきではないでしょうか。

 鷲宮では1月に臨時議会を開いて補正予算を審議しており、久喜でもできたはずですが、田中市長は、議会での審議を避け、“市長の判断だけで実施してしまいたい”というのが本音のようです。

回答ハガキの選択肢に疑問あり

 市民意向調査(アンケート)の「意向調査実施のお願い」と返信用のハガキが郵送されました。

 回答欄は『1.合併を進めるべきである 2.合併を進めるべきでない 3.どちらでもよい』の三択となっていますが、『進めるべきである』『べきでない』というのは強硬な推進派、逆に絶対反対という強いイメージです。
選択肢としては普通は「賛成・反対」でよかったのではないでしょうか。

 第3の選択肢は『どちらでもよい』ですが、これに ○ を付けたら、「反対」ではない⇒“賛成票”に算入してしまうつもりでしょうか。

 普通のアンケートでは「その他」という項目があります。今は合併そのものではなく、「合併協議に入る」ことの是非を問う段階なのですから、条件付き賛成とか、今の段階では判断できない、わからないという人もいるはずです。そうした多様な意見を吸い上げる努力をすべきです。

「新市も久喜市」は市長の公約か

 回答欄のすぐ下に、【合併協議に臨む久喜市の基本姿勢】として、「新市の名称は久喜市」「本庁舎の位置は久喜市」と明記されています。

 田中市長は合併に賛成してほしいために、市民にこの2つだけを約束したわけですが、それでは不十分です。
@合併時に公共料金や市民サービスの統一、
A久喜市の基本政策の継続、
B合併と同時に議員定数を減らして選挙を実施、
C合併協議の最終段階で住民投票の実施も公約すべきです。

 心配なこと−同時に住民アンケートを行っている菖蒲町や鷲宮町の住民は、合併後の新市の「名前は久喜市」というのを知っているのでしょうか。

回答ハガキにどう記入したらいいか

 私は“どうしても合併が必要だ”とは考えません。
現在の久喜の市民サービスより悪くなる危険性があれば当然「反対」ですが、市民サービスを維持し向上していく可能性があれば反対ではありません。
しかし議会でもまだ合併後の基本的な政策についての議論は行われていませんから、現在の段階では、「合併すべきである」「すべきでない」のいずれにも ○ を付けるわけにはいきません。

 かといって「どちらでもよい」というような無責任な立場を取るわけにもいきません。さて…。

★私は、回答ハガキに適正な選択肢がないので、どうしたらいいか考えている。@全部の選択肢に × を付けて出す、A自分で「4.その他」を作って記入する、B出さない。★


幸手市からの「久喜市と合併」の申し入れ、1市3町側は「継続協議」を確認したと
28日、久喜市議会全員協議会で市長が報告

2007/12/31

 12月28日に、久喜市議会全員協議会が開かれ、合併に関わって、幸手市からの「申し入れ」とそれに対する1市3町側の対応について、説明がありました。

 12月6日に、幸手市長、副市長、総務部長が久喜市を訪れ、幸手市長として「久喜グループへの参加」の意向が伝えられました。この時は「町田幸手市長個人としての意向」と説明されています。
 21日に、幸手市長、副市長、担当課長が久喜市を訪問し、「幸手市としては、これから住民アンケートを実施すること、市議会合併推進協議会が設置されたこと」の報告と、さらに重ねて「1市3町合併協議に、幸手市も参加させていただけないか」とのお願いがなされました。
 25日には、幸手市長、副市長、市議会議長、担当課長が久喜市を訪問し、市町と議長の連名の文書で1市3町合併協議への参加を申し入れてきました。

 26日に久喜市において、1市3町合併推進会議(首長会議)が開かれ、幸手市への対応について意見交換を行いました。
 各首長からは、「1市3町を第1に考えるべき」「議会の意向を聞いてから」「これからアンケート調査を行うというのに、参加を申し入れてくるのは矛盾している」「申し入れが遅い」などの意見が出され、結論が出ず、継続協議とすることを確認したといいます。

 今後、幸手市の動きを見守りつつ、1市3町で協議していくということになったという報告でした。

 しかし考えてみれば、今回の合併騒ぎで住民アンケートを行ったのは栗橋町だけであって、久喜市も住民の意向調査やアンケートは行っていないで、首長や議会の多数の意志だけで、合併の協議を実質的にどんどん進めてしまっています。
 これも曲がりなりにも「市民参加の市政」「市民の目線に立った市政運営」「市民の眼の高さの市政」を掲げてきた田中市政としては、大いに矛盾した話なのです。
 田中市長がみずからの原点に立ち帰って、まず、市民の意思を確かめるところからやり直すことを望みます。

 もう一つ、私は、田中市長の政治姿勢について、懸念が払拭し切れていません。
 それは、田中市長はいつまで久喜市長を続けるつもりなのだろうか、ひたすら長く、長期政権を続けていくつもりだろうかということです。
 最近では、市民の立場から、「改革」を掲げて、先進的な行政を追及する首長ほど、「2期8年」とか「3期12年」などと期限を切ってみずからの政治方針を実現する首長が目立っています。
 それは彼らが、市長自身がどんなに能力があり、清廉を期しても、「権力は長くやっていると必ず腐敗する」ということを自覚しているからでもあります。
 「腐敗」とまでは言えなくても、行政の権力構造が固定化し、議会との関係も固定化し、業者などとの関係も固定化し、政治と行政がよどんでいくのは避けられません。
 それを避けるためにも、みずから終わりを定めてやめていく、身の処し方を知っているということです。
 志木市の保坂市長の潔さは周囲を驚かせましたし、鳥取の片山知事、三重県知事、高知の橋本知事の引き際も見事でした。

 田中市長は現在3期目ですが、2011年夏に任期を迎えて、4期目に立候補するのは確実と見られています。
 次回の選挙の翌年に「合併」という目標ですから、合併と同時の新市の市長選挙にも出ると見られています。その後はどうするでしょう。


久喜市をとりまく合併問題の経過
久喜市議会議員全員協議会

2007/12/12

12月12日午後、久喜市議会全員協議会が開かれました。
そこの場での田中市長による経過報告から、合併に関する協議経過を整理しました。

2005年
11月18日 
〜2006年
4月27日 
「利根南部都市圏3市6町の合併を考える会」、3回開催
構成は、3市6町の地域の6県議、市町、議長
2006年
 6月30日 
〜10月30日
3市6町の首長、合併担当者による意見交換会、3回開催

具体的な議論には至らず、大きな進展はなし

10月30日  3市6町の首長、合併担当者による3回目の意見交換会において、「合併の枠組みについては個別に検討していくことも必要である」と確認した。
今後は、各市長が個別に協議していくことについてはこれを否定しない、お互いに認め合うということである。
2007年
6月26日  1市3町の意見交換会
「合併新法の期限内合併をめざし、久喜市と同一歩調で取り組んでいく意向のある、白岡町、菖蒲町、鷲宮町の1市3町の首長、合併担当者」
8月10日、10月5日、11月19日、11月28日の5回開催。白岡町長は第4回、第5回とも欠席
11月27日  栗橋町長が久喜市を訪問し、「1市3町の枠組への参加の意向」
11月28日  第5回目の意見交換会で、「栗橋町の取り扱いについては、各市町議会の意向を踏まえた上で、改めて協議する」
「合併の枠組みについては、年内に決定する方向で再確認を行った。」
12月 6日  白岡町長が久喜市を訪問
「1市3町の協議にこれ以上加わることは、足を引っ張ることになるので脱会させてほしい」との申し出。
12月 6日  幸手市長が久喜市を訪問
「あくまで幸手市長の考えでありますが、「20万都市を目指すためには、是非、久喜グループに加わりたい」との意向が伝えられたところでございます」
12月12日  久喜市、菖蒲町、鷲宮町の1市2町の首長会議、栗橋町の取り扱いについて協議
その後、栗橋町を加えた1市3町の首長会議を開催
「栗橋町を加えた新たな1市3町の枠組で取り組んでいく旨の合意をした後、共同記者会見

合併枠組みは久喜・菖蒲・鷲宮・栗橋の1市3町
『声と眼』347号  2007/12/12

 12日に久喜市役所で久喜市・菖蒲町・鷲宮町・栗橋町の首長会議が開かれ、1市3町の枠組みで合併協議を進めることが確認されました。
来年の2月定例議会に「合併協議会」設置の議案を出し、2010年3月の合併をめざすとしています。

 6月から久喜市、白岡町、菖蒲町、鷲宮町の首長の意見交換会で合併の話し合いが続けられてきました。
しかし、◆白岡町長は『3年前の住民投票で示された蓮田市との合併が住民の意思』という立場で、12月6日に久喜市など1市3町の枠組からの離脱、蓮田市との合併の意向を表明しました。

 一方、◆栗橋町では10月に行った住民アンケートで、回収率57%、合併賛成77%、その内54%が「久喜市など」との合併を選択。これを踏まえて、11月28日に栗橋町長から久喜市を含む枠組みへの参加申し入れがありました。
◆宮代町では11月に行った住民アンケートが回収率58%、その内43%が「春日部市を含む枠組み」を選択、「久喜市を含む枠組み」は21%でした。
11月28日には宮代町長が久喜市を訪問して『春日部との合併をめざす』との意思を明らかにしています。

幸手市も入れて20万都市ってホント?

 幸手市議会では、今年再選された市長の合併方針についての質問が集中しました。
町田市長は6日に久喜市に来て、市長個人の考えとして久喜市との合併の意向を伝えてきました。
しかし市議会では反市長派が強いことや、幸手総合病院の久喜移転問題に対する市民の反発もあって、正式には“久喜市との合併”を打ち出せないようです。
幸手市ではこれから市民の意向調査を行い、その結果によって方針を決めるそうです。


合併は住民投票で決めるべき
2007年11月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』347号  2007/12/12

 合併は最終的に住民の判断によるべきです。合併協議を始める前の今の段階で、市長が最終段階で住民投票の実施を約束するよう求めました。

 久喜市自治基本条例は第23条で「市長は、市政に関し住民の意向を聴くべき重要な案件が生じたときは、住民投票を実施することができる」と規定しています。
自治体の存立そのものの問題である合併以上に重要な案件があるはずはなく、また3年前にも住民投票を実施したわけで、政策の一貫性を保つ意味からも、今回も当然、住民投票を実施するべきです。
住民自治の市政を標榜するならば、住民投票は避けて通ることはできません。

 最終的に住民投票で市民の判断を尊重するべきだと、市長の見解をただしましたが、田中市長は答弁で、「合併の枠組みの決定が先決であり、市民の意向確認の方法については枠組みの決定後に協議していきたい」と答え、住民投票をするかどうかについては答弁することを避けました。

 結局、今の段階では住民投票を行うかどうかを言えない、“やらないかもしれない”ということになりますが、市長はやらないかもしれない理由を市民にどう説明できるのでしょうか。
3年前には住民投票で「反対多数」となりました。
今度も住民投票をやると否決されるかもしれないから、住民投票で市民の意思を確認したりしないで決定してしまおうというような、『有利か不利か』の損得判断でやるかやらないかを決めるべきではありません。

 住民投票を定めた自治基本条例は久喜市だけが制定しており、他の町には住民投票制度そのものがありません。
しかし田中市長は今は久喜市の市長なのですから、久喜市の条例に従うべきです。


★2月定例市議会に「1市3町の合併協議会」設置の議案が提案する予定ですが、田中市長はその前に久喜市民の意向調査を行う考えを明らかにしました。★


久喜市議会議員全員協議会で、田中市長が経過報告
町田市長の久喜市訪問は、6日だったそうだ

2007/12/12

 12月12日に、市議会全員協議会で市長が合併問題に関する経過報告しました。
 それによると、幸手の町田市長が久喜市役所に来たのは「12月6日」だそうです。
 その場で、「幸手市長からは、あくまで幸手市長の考えでありますが、『20万都市を目指すためには、是非、久喜グループに加わりたい。』との意向が伝えられたところでございます」と述べています。

 町田幸手市長が「久喜との合併」をしたいとの意向を表明したということのようですが、「あくまで幸手市長の考えですが」と断っていることはどういうことか。
 どうもこれは、町田氏の個人的な考えや希望を表明したということであって、幸手市長としての正式な態度表明、あるいは幸手市から久喜との合併の申し入れとは評価できないようです。
 このことが今後、どのような意味を持ってくるのかは不透明です。

7日に幸手市長が久喜市に来たらしいが、合併枠組みは1市3町で12日に決定か
2007/12/8

 12月7日、幸手市長が久喜市役所を訪れ、田中市長に面談していったという。
 ここの所、栗橋町長が「久喜市の合併の枠組みに入れてほしい」との要望、宮代町長が逆に「久喜とはいっしょにやらない」とのお話しと、周辺自治体からの久喜市詣でが続いている。
 ただし幸手市長は、まだ久喜市の合併枠組みに入れてほしいという話までは至らなかったらしい。
それもあたりまえで、幸手市議会では反市長派が強いから、「久喜市との合併」「久喜市の合併協議会への参加」を議会に持ちだしても否決される可能性が強い。
 しかも、市民の間でも、幸手総合病院を強引に久喜市に持ってかれたという反発もあるようだ。
そうした状況の中では、幸手の町田市長もうかつには「久喜市との合併」は打ち出せないでいる。

 幸手市ではこれから、市民の合併意向調査を行うとしているので、その結果次第で、来年に入ってから遅れて久喜市との合併枠組みに参加してくる考えか。

 久喜市周辺市町の首長による合併の話し合いは、12月12日に第6回目の会合を開き、枠組みを決める方向とされている。
 その場で、白岡町の離脱、栗橋町の参加を確認し、久喜、鷲宮、栗橋、菖蒲の1市3町で枠組みを一応確定し、合併協議会を設立することになりそうだ。

合併は最終的に住民投票で、市民の判断を尊重すべき
2007年11月市議会 猪股の一般質問 2007/12/5

 11月定例市議会、4日に一般質問をしました。

 合併は最終的に住民の判断によるべきであり、合併協議を始める前の今の段階で、市長が住民投票の実施を約束するよう求めました。

 久喜市自治基本条例は第23条で「市長は、市政に関し住民の意向を聴くべき重要な案件が生じたときは、住民投票を実施することができる」と規定しています。
自治体の存立そのものの問題である合併以上に重要な案件があろうはずはなく、また3年前の合併問題においても住民投票を実施したわけで、政策の一貫性を保つ意味からも、今回の合併推進の過程においても当然、住民投票を実施するべきです。
また、政治的に「有利か不利か」の判断で住民投票を行うか否かを決めるべきではありません。

 住民投票は避けて通ることはできないのであって、合併は最終的に住民投票を実施して、市民の判断を尊重するべきだと、市長の判断を求めました。

 市長は、1市3町の協議で合併の枠組みの決定が先決であり、市民の意向確認の方法については枠組みの決定後に協議していきたいと答え、住民投票をするかどうかについては答弁することを避けました。

 結局、住民投票を行うかどうかを言えない、やらないかもしれないということになりますが、市長は「やらないかもしれない理由」を説明できるのでしょうか。
3年前には住民投票で「反対多数」で否決されました。
今度も住民投票をやると「反対」が多いかもしれないから、市民の意向を確認しないで合併に突き進んでしまおうというのでは、住民自治の理念に反します。

合併枠組みは、久喜市、鷲宮町、菖蒲町、栗橋町か

 3日の一般質問で、井上議員が合併方針について質問。
 当局の答弁によると、11月27日に栗橋町長と町議会議長が久喜市を訪問し、久喜市を含む合併の枠組みに入れてくれるよう申し入れてきました。
 28日に開かれた市議会の合併推進協議会では、栗橋町を加えることについて、鷲宮や菖蒲町の意向を尊重して協議する、一方で白岡町についてはむずかしいが「窓口は開けておく」ということだそうです。

 12月中に決めるという合併の枠組みは、ほぼ、久喜市、鷲宮町、菖蒲町、栗橋町の1市3町で決まる方向です。

 なお、幸手市議会でも3日に合併についての質問がありましたが、議会では久喜市との合併に対する反発がたいへん強く、町田市長も久喜市との合併は打ち出せないでいるようです。


宮代町の「合併アンケート」は、予想通り春日部派が多数
2007/11/27

 宮代町で実施していた住民の「市町村合併に関する意向アンケート調査」の集計結果が公表されました。
 対象者(15歳以上の住民)は29641人、回答者は17321人、回収率は58.4%でした。

久喜市を含む枠組み    3,707人 21.4%
春日部市を含む枠組み 7,366人 42.5%
その他の枠組み 2,282人 13.2%
合併はしないほうが良い 3,752人 21.7%
有効回答合計 17,107人 98.8%
無効 214人 1.2%

 「その他の枠組み」と回答した2282人(13.2%)の内訳は、

杉戸町 749人 32.8%
白岡町 65人 2.8%
杉戸町・白岡町 289人 12.7%
久喜市+その他 697人 30.5%
春日部市+その他 37人 1.6%
その他 445人 19.5%

 アンケートの回収率そのものが58%というのは選挙の投票率とほぼ同じくらいですから、住民の意志を反映していたと評価はできるでしょう。
 アンケートに回答した人の中で、「合併反対」が22%、「賛成」が70%でした。

 「合併賛成」の70%の中では、予想通り、「春日部を含む枠組み」を選択した住民が42.5%と最も多かったものの、回答者の過半数には届かなかったことになります。
 一方、「久喜市を含む枠組み」を選択した住民は21.4%で、「春日部派」のちょうど半分にとどまりました。

 3年前にも、事前のアンケートでは春日部や庄和町、杉戸町との枠組みを選択する住民が多かったものの、最後の住民投票では「反対多数」で否決されたわけですから、同じような傾向が続いていると言えるのかもしれません。

 宮代町当局はこの結果をもって「春日部市との合併協議」に突っ走るのでしょうか。

 久喜市当局、田中市長は、これを見て、「宮代との合併はもうない」と判断して、宮代町抜きで、鷲宮や菖蒲町との合併に突き進むのでしょうか。


栗橋町では「久喜と合併」が多数
『声と眼』345号 2007/11/12

 栗橋町では10月13日から「市町村合併に関する町民意向調査」が行われました。
20歳以上の全町民21813人を対象として、郵送による回答を集計するという方法で行われ、29日に締め切り、30日に集計結果が公表されました。

回答者数 12433 57.0%
合併を選択することが望ましい 9625  77.4%
  A.久喜市など    5215  54.2%
  B.幸手市など    3208 33.3%
  C.その他       856 8.9%
合併を選択しないことが望ましい 2678 21.5%
  D.当面は望まない 1740 65.0%
  E.将来も望まない 806 30.1%
  F.その他      78 2.9%
無効(無回答 25、その他無効 105) 130 1.1%

  今後、栗橋町では議会などにこの結果を説明した後、合併についての方針を決定する予定です。
 「久喜と合併」派は全回答者中では30%、有権者中では24%で、これを町民の意思とみなすのかどうか、栗橋町長や議会の判断が注目されます。

宮代町でも合併アンケートを実施

 宮代町では15歳以上の住民を対象に、「市町村合併に関する意向アンケート」を実施(11月26日締め切り)、その結果をふまえて町長が最終的な判断を下し、12月議会で合併方針を表明することになっています。
 宮代町のアンケートの選択肢は下の4つです。

1.久喜市を含む枠組み (久喜市、菖蒲町、鷲宮町、栗橋町、宮代町)
2.春日部市を含む枠組み (春日部市、杉戸町、宮代町)
3.その他の枠組み
4.合併はしない方が良い

久喜も市民の意思を問うべきだ

 久喜市では3年前、有権者2000人の抽出調査だけで「市民の理解を得た」と判断して合併協議をスタートしてしまい、新市建設計画などがすべて決定してから住民投票を行って「反対多数」となりました。
市民無視の暴走で失敗した経験を真剣に反省するなら、どのような市町との合併協議をしていくかについて、市民の意向調査が必要ではないでしょうか。
田中市長は、市民の意志をまったく聞かないで、鷲宮、菖蒲などとの合併を進めてしまう考えでしょうか。
−市民参加のために、事前に全市民の意向調査を行うべきです。
合併への賛否と枠組みについて、「加須市・栗橋町・幸手市・鷲宮町・菖蒲町・白岡町・宮代町・蓮田市・杉戸町・春日部市」などから、合併しても良いと思う市町を回答してもらったらどうでしょう。

 なお市議会の一部には、3年前に住民投票で否決されたので「今回は住民投票はやるな」という強硬論も出ています。
しかし合併という行政最大の課題を最終的に判断するのは市民です。合併するかどうかについて、最後は住民投票による市民の判断に従うべきです。


合併枠組みは「1市3町」って、ホント?
またまた、市民の意思と無関係な合併論議

2007/9/11

9月議会の一般質問で、内田、松村議員が、今後の新たな合併の進め方について質問しました。

合併の枠組みについて、田中市長は次のように答えました。

3市6町の同一時期の合併はムリということで、各々の動きをお互いに認めると確認した。
特に結びつきの強い近隣市町に電話したり訪問して働きかけてきた結果、同じ方向にある、久喜市、白岡町、菖蒲町、鷲宮町で6月、8月に2回意見交換会を行った。

今後の枠組みについて合意には至っていないが、期限内合併をめざして取り組んでいくことで合意した。
今年中には枠組みを具体的に示していきたい。

栗橋町長からも「状況によっては合併協議に加えてもらいたい」という話があった。

 合併スケジュールについては、平成19年度中に合併協議会の議会議決、20年4月から合併協議会、21年6月頃に新市基本計画の周知、市民の意向確認を行い、22年3月までに合併というスケジュールが明らかにされました。

白岡町長は「久喜市との枠組みで合併、発言していない」と

 9月11日には白岡町長の議会答弁が報道されました。

 それによると、
「久喜市など1市2町との合併構想について、『具体的な枠組みで合併をめざすというようなことは発言したこともなく、合意した覚えもない』と述べ、久喜市を中軸とした合併に消極的な姿勢を示した」(読売新聞)、
「久喜市長が合併の枠組みについて同町を含めた1市3町を中心にあげたことについて、町議会一般質問で、『現時点では、具体的な枠組みで合併を目指すとは発言していない』と述べた」(朝日新聞)、
毎日新聞では「久喜市、蓮田市、鷲宮町、菖蒲町、宮代町と意見交換した。それぞれ事情があり、合併の推進、枠組みづくりにむずかしい面がある。議会と一体となって推進する』と、枠組みをしぼっていないものの合併協議を進めていることを表明した」と報道されました。

 白岡町が、久喜市長のリードする1市3町の枠組みで合併を進めることには消極的なようです。

 田中久喜市長は1市3町の枠組みで合意されたかのような、自分に都合のよい解釈で主観的な話を流し、議会でも1市3町で枠組みが決まったかのような雰囲気が作られつつあります。
 周辺市町や住民の状況をきちんと把握しないで、合併へ突っ走ってしまうようとすれば、そんな合併は失敗するでしょうし、市政に空白と混乱をもたらすだけでしょう。

 そして最大の問題は、市民の意向を最大限に尊重するという基本的姿勢が欠如していることです。
 市は、市民の意向調査は「21年6月頃」とし、今後合併協議を進めてほとんど決まってから初めて市民の意思を問うという考えです。
市長も市議会も、まず最も大切なことは市民の意向を尊重することだという基本的姿勢がまったく語られていません。

相変わらずの「久喜中心主義」?

 田中市長は、合併の目的について次のように答えました。

合併の目的は夢、希望をもって暮らせるようなまちづくりを進めることである。
その中で、久喜市は今後も名誉ある地位を占めていきたい。
そのために久喜市がリーダーシップを発揮していく。
私を先頭に、職員一丸となって取り組んでいく。

合併は、将来へ向かって夢の持てるまちづくり、次世代に引き継いでいく、新しい市においても、将来に夢の持てる地域経済の活性化、自治能力の向上を図っていく、新しいまちづくりに期待の持てる合併を進めていく。

久喜市はこれまで近隣の自治体の中で中心的な役割を担ってきた。
特に道路網の優位性は他自治体に誇れるものである。
道路網、鉄道網、交通網の優位性、総合病院の誘致、大学の誘致、下水道の整備、福祉政策においても他市をリードする高い施策を実現してきた。教育政策でも2学期制など、周辺の自治体をリードする施策を、勇気を持って取り組んできた。
質の高い、グレードの高いまちづくり、都市作りを進めてきたと自負している。
合併によりそれらの優位性を生かしていく。

もちろん周辺には、農業基盤整備や景観など、久喜市よりも優れた自治体もある。
それらの特性を生かせるような合併にすべきである。

 いちばん気になるのは、相変わらずの「久喜中心主義」がぷんぷん臭ってくることです。
 3年前の合併騒ぎで、最初3市6町の合併をめざしながら他市町が次々と離れていった原因の一つに、「久喜中心主義」への反発があったといわれています。
 公式の政治的な理由ではないとしても、周辺のそれぞれの市町の首長、議会(議員)、住民に対して、感情的な反発や違和感を抱かせたのではないかといいます。

 今また、田中市長が合併を進めると大上段に振りかぶり、その合併を進めていくスタート地点における市長のスタンスとして、「久喜市はこれまで中心的な役割を担ってきた」「久喜市の優位性」「久喜市が名誉ある地位を占めたい」「久喜市のリーダーシップ」を語るとき、それは周辺他市町の首長や議会、住民に対して、かえって久喜市との合併を躊躇させることは間違いありません。
 それは合併に対する久喜市の基本的スタンスに対する疑問さえ抱かせるのではないでしょうか。


久喜市議会合併推進協議会が再開されました
自由な議論は保障されない?

2007/6/25

 4年前の合併騒ぎの時に市議会に合併推進協議会が設置されていましたが、幸手、鷲宮との合併が住民投票で否決されてから、“休業”状態が続いていました。
 最近になって田中市長や何人かの議員が「菖蒲町との合併」を言い出していて、市長と歩調を合わせるため、議会でも再度、合併推進協議会を設置することになりました。
 今回の呼びかけは改選前に推進協議会副会長だった鈴木松蔵氏が呼びかける形をとり、6月15日(金)議案質疑終了後に22名中19名の議員が集まりました。

「合併に賛成の議員だけが集まってほしい」という呼びかけで、私は参加しませんでした。
 「合併に賛成の議員だけ」というのでは、どんな形の合併でも、また枠組に関係なく、合併それ自体を目的とすることになります。私は「いかなる形でも合併そのものに反対」ではありませんが、最初から「合併ありき」で進めることには反対です。
 本当に合併が必要なのか、どのような合併を進めようとするのか、どのようなまちづくりを進めるために合併しようとするのかについて、きちんと論議を深めていって、市民の意向も確認しながら協議を進めていくべきではないでしょうか。
 最初から「合併ありき」、「合併できるならどことでもどんな形でもいい」というような進め方では、また4年前の失敗を繰り返して、大切な時期に市政の空白を招くことになります。

 結局、参加した議員は、新政議員団全員、公明党全員、改進の岸、井上、大地からは石川、春山、矢野、無会派の松村、鈴木、鈴木の18名。
 猪股、川辺、共産党の木村、渡辺の4名は参加しませんでした。

 会長に鈴木松蔵、副会長に内田、会計は公明党から、会計監査は石川と改進から選出することになりました。
 会議の中で、特にある議員から強い意見がでて、「一人で勝手に動くことはしない」「みなと歩調をあわせて動けない状況になったら、退会する」ことを確認したそうです。
 これは、今のところ、菖蒲や鷲宮とのきわめて小規模な合併の方向で話が出ているのに対して、「大規模な合併」を主張する動きがあって、そうした動きを牽制するためにわざわざ申し合わせることになったようです。
 「大規模な合併」とは、春日部市まで含めた中核市をめざそうというもので、事実上、春日部市への吸収合併を期待する意見です。

 しかし議員がいろいろな考え方を持ち、それぞれの信念に従って行動するのは当然のことであって、それを、「合併推進協議会が一枚岩で行動する」ことを申し合わせ、議員がそれぞれの考え方や信じるところにしたがって行動してはいけない」と規制をかけるということが許されるのでしょうか。
 「全体に従えないなら退会しろ」とは!?
 議員がお互いに、合併について、さまざまな見解や政治信念が存在するということを認め合えないとすれば、議会で合併についての自由な議論もできないということです。
 市民に対しても、合併についての自由な議論を否定するのでしょうか。


 4年前に合併が失敗した原因は、単に合併の枠組や新市の名称の問題ではありません。どのようなまちづくりを進めるために合併するのか」という合併の基本が欠落していたからに他なりません。今度の合併協議会も、その最も基本的な議論と市民自治で決定していくということを忘れているようです。


青年会議所による市町合併のアンケート結果の公表
このアンケートは「久喜市、菖蒲町、鷲宮町の合併推進」を意図するか

2007/4/2

3月に、久喜青年会議所(理事長・大熊研一)から、「市町合併に対する公開アンケートご協力のお願い」が来ました。
久喜青年会議所が活動エリアとする1市5町(久喜市・栗橋町・菖蒲町・白岡町・宮代町・鷲宮町)の議員に対して、公開アンケートを実施するので、回答願いたい、という内容。
回答は議員の実名で公開する、協力いただけない場合は無回答として公開する、ということも書かれていました。
アンケート設問は以下の通りです。

市町合併に関するアンケート

設問1 合併特例法期限内(平成22年3月末迄)の市町合併に賛成ですか。反対ですか。
  1.賛成
  2.反対
(理由)

設問2 合併をする場合、合併後の自治体の規模は、どの程度が望ましいと思いますか。
  1.10万人未満
  2.10万人以上〜20万人未満
  3.20万人以上〜30万人未満(特例市)
  4.30万人以上〜50万人未満(中核市)
  5.50万人以上 

設問3 枠組みについて、下記のうちどの枠組みが望ましいと思いますか。
  1.3市6町の範囲内
  2.3市6町
  3.5市9町の範囲内
  4.5市9町
  5.5市9町を超える枠組み

合併推進運動において(社)久喜青年会議所に期待すること、その他合併に関するご意見やお考え等があれば、ご自由にお書きください。

 このアンケートの前文には、「会員に対し意識調査を行った結果、今後のまちづくりを進める上で、将来的な合併は避けて通れないだろうという結論に至りました。」「そこで当会議所として、今後市町合併にどのように関わっていくか模索する中で、まず、まちづくりの専門家であります議会議員の皆さまのご意見をお伺いし、多くの地域の皆さまに発信するとともに、私たち自身も今後のまちづくろを進めていく上での一つの判断材料にさせていただきたいと思います」と書かれていました。
 つまり、青年会議所が合併推進運動を進めていくためという、一方の立場に立ったアンケートで、実際にこの回答をどのように生かしていくのか、疑問もありましたが、私も回答しました。
 私の回答は以下の通りです。

青年会議所「公開アンケート」への回答

久喜市議会議員  猪股和雄

設問1
 2.反対

〈理由〉
@「3年以内」と期限を切っての合併の進め方そのものに反対です。
A今より規模が大きくなればいいというような合併論には反対です。
B合併は、合併が必要か、どのような基本政策に基づいたまちづくりを進めるために合併しようとするのかについて、市民の間で議論の深まりがあって初めて進められることです。今現在、また3年の間にそのような議論を深め、市民の多くの合意を形成することは困難または不可能だと考えます。
Cもしそうした合意形成を経ないとしたら、市民の意向や議論の深まりなしに、合併そのものを自己目的化することになります。それは3年前の失敗と市民の亀裂を繰り返すことになります。

〈自由記入欄〉
 「設問2、3」を見ると、合併を規模の拡大の面からのみとらえているようですが、まちづくりの基本的な政策論議が先にあるべきではないでしょうか。

★「設問1」の「理由」記入欄が狭すぎます。一言で語れることではありません。そのため別紙で記入させていただきましたが、「公開アンケート」とありますので、公開の際には私の回答の全文を掲載してくださるようお願いします。

 3月28日、アンケートの集計結果の報告がありました。

青年会議所アンケート集計結果はこちら

 結果は、予想通り、回答した議員の中では、「反対」が私(猪股)と共産党の議員だけで、他の方は全員、「賛成」でした。

 この結果について、たいへん気になったことがあります。
 青年会議所は活動エリアである1市5町の議員全員にアンケートを送ったらしいのですが、「栗橋町・白岡町・宮代町の議会議員の皆様には残念ながらアンケートのご協力を頂けませんでした」と書いてありました。

 結局、アンケートの回答をしたのは、久喜市、菖蒲町、鷲宮町の1市2町の議員だけだったのです。
【疑問1】
 宮代町、栗橋町の議員に、なぜ「ご協力をいただけなかった」のでしょうか。
 全員にアンケートを送付したけれども、宮代、栗橋の全議員が回答をしなかったということなのか。
 それとも、宮代、栗橋の議会全体が「協力しない」ということで、アンケートの送付もしなかったのか。
 その両町の議会、議員に「ご協力」を求めるために、どのような努力をしたのでしょうか。
 アンケート実施主体である青年会議所は、その点を明らかにする責任があるのではないでしょうか。
(青年会議所に問い合わせしようとしたのですが、ホームページに、青年会議所の問い合わせ先メールアドレスが書いてありませんでした。)

【疑問2】
 久喜市、菖蒲町、鷲宮町というのは、3年前の合併論議の時の最初の枠組でした。
 今回のアンケートの回答があったのが、その枠組にとどまった、そしてその結果だけをホームページで「公開」したということは、青年会議所として最初の1市2町の枠組による合併協議を進めることを良しとしていることを表明したということになるのでしょうか。
 少なくとも、このアンケート集計結果の公表の仕方を見れば、そのような枠組誘導の意図を感じます。

【疑問3】
 回答状況からすれば、アンケートの設問3には、「下記のうちどの枠組が望ましいと思いますか」として、「3市6町」とか「5市9町」という選択肢が書かれていましたが、この枠組はまったく意味をなさないものとなります。
 青年会議所としては、この集計結果(回答状況)について、どのように考えているのでしょうか。

【疑問4】
 久喜青年会議所は活動エリアを1市5町とするといいます。宮代町や栗橋町にも会員がいるということになりますが、その会員の方々も、宮代、栗橋を含めた合併が必要だと考えているのでしょうか。
 「疑問2」と重複しますが、久喜青年会議所として、同様に広域合併を進めるべきと考えているのでしょうか。
 それとも、久喜市、菖蒲町、鷲宮町だけの合併を考えているのでしょうか。

なお、アンケートにある
「3市6町」というのは、久喜市、蓮田市、幸手市、宮代町、白岡町、菖蒲町、鷲宮町、杉戸町、
「5市9町」というのは、加須市、羽生市、久喜市、蓮田市、幸手市、騎西町、北川辺町、大利根町、宮代町、白岡町、菖蒲町、鷲宮町、杉戸町
ですが、このいずれの枠組もありえないのは自明のことです。
 杉戸町は春日部市との合併を目指す方向を明確にしていますし、
 3市6町の首長さんたちが集まって合併についての話し合い(勉強会)をしていましたが、昨年、何らの成果も合意も見いだすことができず、これ以上の集まりを持たないことになりました。


菖蒲町と合併? 市民の意向は?
2007年2月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』231号 2007/3/12

 1月29日に開かれた商工会のフォーラムで、田中市長が『菖蒲町と3年以内の合併をめざす』と表明したと報道されたので、真意をただしました。
市長は『1市1町の合併でなく、枠組みをどうするかは今後の課題である。合併できる自治体から合併協議していく。菖蒲町は欠くことのできない相手である』と答弁しました。
合併が必要だとする理由は、『スケールメリット、規模を拡大しないと生き残れない』など大きな自治体をめざすということが強調され、どういうまちづくりをめざすのかは語られていません。
 市は今年中には合併の枠組みについて明らかにするとしています。
私はその前に市民に問うべきだと求めましたが、市民意向調査をいつごろどのように行うかは明らかにしませんでした。

 また代表質問でも、最終的には市民が判断することであり、住民投票を実施するべきであると主張しましたが、市長は『総合的に判断して検討する』と、住民投票を行うかどうかも明言を避けました。
−−3年前に住民投票で合併を否決されたので、今回は市民に問うこともなく合併協議を進めてしまう考えでしょうか。

【毎日新聞 1月30日】
 田中暄二久喜市長は「合併新法期限内(10年3月)に合併を目指す」との意向を表明した。

 田中市長は「市、町のよいところを認め合えば合併はできる。07年度に市民の意向を聞くなどの取り組みを始めたい。2次、3次合併を経て県合併推進構想(5市9町)が示す大きな合併」にステップアップさせる考えを示した。また、中山町長は「広域的な視点での町づくりが必要。現状のまちづくりも合併を想定し進めている」と述べた。
 久喜市は、04年9月に行われた幸手市、鷲宮町との合併の是非を問う住民投票で反対が賛成を上回り、合併が白紙に戻った経緯がある。

【埼玉新聞 2月1日】

今後の街づくりに関して、田中市長は「菖蒲町は欠くことのできない相手」と語り、中山町長も「久喜市と違う道を歩むことは考えられない」と応じた。


【2月13日、市議会における田中市長の施政方針演説から】

さらに申し上げさせていただきますと、市町村合併についてでございます。
平成17年4月に施行されました「市町村の合併の特例等に粥する法律」、いわゆる合併新法におきまして、都道府県は、総務大臣が定める指針に基づき、市町村の合併の推進に関する構想を策定することとされており、これを受けて、昨年4月に、埼玉県におきましても、「埼玉県市町村合併推進構想」が策定されました。
私は、久手市の招来を考えたとき、合併は避けて通れない最も重要な課題のひとつであると考えております。
新年度を迎えるにあたりまして、決意を新たに取り組んでまいりたいと考えております。
もちろん、合併は相手のあることでございますので、周辺自治体の動向や、市民・議会の皆様のご意向等を十分に伺いながら、慎重かつ冷静に進めてまいります。

合併問題の進め方?を示すべき
2005年6月市議会 猪股の一般質問 『声と眼』294号 2005/6/27

 田中市長は相変わらず「合併は必要だという考えに変わりない。合併問題は久喜市の最重要課題である」と強気姿勢ですが、今後の実際の取り組み方針についてはまったく語ろうとしません。そこで、まちづくりの将来像をどう打ち出すのか、これまでのように合併枠組み優先でいくのか、検討の方針を明らかにするよう求めました。
 市長は「5月に田園都市協議会、3市6町の意見交換があった。今後も合併は必要という首長が多かったが、直ちに協議に入ろうという首長はほとんどいなかった」「行政だけで進められるものではない。ゆっくり腰を据えて進めていく」と答弁しました。−しかしこんなことは、今さら言うまでもない、あたりまえのこと! 昨年、市民の意志を無視して市長が突っ走って失敗したのを反省して、今後の合併を検討するというなら、@当面は単独でやっていける体力を付け、A市民の意思を把握した上で、Bどのようなまちづくりが必要なのか、周辺市町との協議もしていかなければなりません。田中市長は、具体的な方針も示さず、“時機を待つ”だけで、政治の責任が果たせると考えているのでしょうか。−合併問題に対する政策方針をあいまいにしたままで市長選挙に臨もうとする姿勢は無責任です。


合併推進パンフは市民へのオドシ−−当局は『たとえばのイメージ』と答弁
『声と眼』282号 2004/12/13

 久喜市が全戸配布した「将来への選択−活力あふれる16万人都市を目指して」で、《合併しないと、…18年度から赤字。10年間で102億円の赤字』。1年間で10億円の経費節減するためには、『市単独福祉サービスの見直し 4000万円、受益者負担の適正化 1億円、国民健康保険税の引き上げ1億5000万円》などと市民負担増、サービス引き下げの施策が具体的に書かれていました。
 これらは市民に対するオドシ以外の何ものでもありません。撤回を要求しましたが、当局は、「これまで通りの支出を続けていけば赤字になるという意味」で、市民負担増やサービス切り下げは「たとえば」の話で、「あくまでイメージとして記述したもの」などとノラリクラリ…。私が「白紙ということですね」と念押しすると、「市民に考えてもらうために書いた。決定でも何でもない」とも…。つまり、『合併しないと、市民に痛みの伴う改革が必要』という、このパンフレットの説明は、“合併しないとたいへんですよ〜”と市民をあおる文句だったわけです。−それにしても、“障害者の福祉タクシー助成や難病見舞金、介護サービス利用者負担助成など、社会的弱者への福祉サービスを真っ先に切り捨てる”と市民を脅迫してみせた当局の人権感覚はオドロキです。−万が一、福祉サービスに手をつけるとしても、他のすべての財政対策をとった後、最後の手段で慎重に検討すべきことです。
 財政危機下の財政運営は、
(1)市民負担の引き上げ、(2)サービスの切り下げ、(3)行政費用の引き下げ、(4)公共事業の削減・繰り延べの4つしかありません。どこに基本をおいて進めていくかについて、市長は「久喜市の福祉サービスは全国に誇りうるもの。どうしてもの場合にはこういうことも想定されるというという意味で記載したものだ。基本的に市民サービスを低下させないで、行政コストの削減をまず考えていく」と答弁しました。
 市は来年度予算編成へ向けて、各課からの予算要求で前年度比5%カットや新規事業の厳選などの対策を打ち出しています。しかしこうした一般的な支出節減策だけでなく、市からの補助金・助成金の制度そのものの見直しや、公共事業の縮減、入札方式の改革、公共施設の管理運営など、市の財政支出のあり方から抜本的に変えていくよ
う求めました。

行政コスト=人件費削減から始めよ

 合併する、しないに関わりなく、スジの通らない支出を廃止し削減するのはあたりまえのことです。特に、市長や特別職職員など、自らの判断でできること−以下の人件費の削減から始めるよう求めました。答弁はいずれも「検討」で、なかなか決断しようとしないのは理解できません。
◆まず、市長ら特別職職員の給与引き下げから始めるべきです。市長は「特別職給与引き下げも視野に入れながら今後検討する」とアイマイ答弁。
◆議員や審議会委員などの非常勤特別職職員は報酬の他に、会議に出席するたびに2000〜3000円の“費用弁償”を支給されますがこれは廃止すべきです。答弁は「削減、縮小を検討する。その場合、実費弁償を検討する。医師などについて一律に削減できない」「議員についても検討課題」と答弁。
◆市長も議員も衛生組合や消防組合などの管理者や議員を兼ねていて、そちらからも報酬と費用弁償が支給されています。私たちは久喜市の議員の仕事の一部として一部事務組合議会にも出ているので、重複報酬・費用弁償は廃止すべきです。
◆市長や職員は、久喜市に隣接する市町以外に出かけると、交通費の他に「日当」が支給されています。日帰り出張の日当は廃止するよう求めました。これも「検討」と答弁しています。

これらの質問中、『撤回する必要はない』『合併に反対したんだから仕方ないんだ』などと、合併推進で運動した議員たちからさかんにヤジが飛びました。−当局ですら、これらの施策は“たとえばのイメージにすぎない”と、事実上否定しているのに、“市民に痛みを与えるのは当然”とあおるような議員がいるとは残念です。

「合併協議会の廃止」を決定
『声と眼』280号 2004/11/15

 9月19日の住民投票で幸手、鷲宮との合併が否決されて以降、1か月以上も合併協議会も議会も開かれず、どうなっているのか不信感が募っていましたが、やっと10月26日に最後の合併協議会が開かれ、「合併協議会の廃止」と合併協議会の決算(見込み)を承認。−11月1日に臨時市議会が開かれました。議案は「久喜市・幸手市・鷲宮町合併協議会の廃止に関する協議について」の1件だけ。全員一致で可決されました。
 廃止期日は11月30日。今後、「廃止の告示」、「埼玉県知事へ廃止の届出」などの手続きの後で、最終的な収支決算が各市町に報告されます。
 2年間の合併協議に費やした費用は、6085万円(15年度3680万、16年度2404万)、久喜市からの派遣職員6名分の人件費、7155万円(15年度4460万、16年度2694万)、その他、久喜市で独自に作成したパンフレットなどの宣伝物資など。−合計で、久喜市の支出分だけでも1億円以上にのぼる見込み。これらが、市長の見通しの甘さによって、結果的にムダ遣いとなったわけです。
 また、市はチラシやパンフレットの中で、『18年度から赤字』『合併しないと市民負担増、サービス低下』などと合併をあおっていました。11月市議会では、“事実”を明らかにさせ、今後の久喜市の行財政運営のあり方について議論していかなければなりません。

「来年度予算編成方針」の問題点

 すでに久喜市では市長名で、「平成17年度予算の編成について」という文書を各部署に通知し、@施策全般について創意と工夫、優先順位の厳しい選択、財源の重点的・効率的配分、A事務事業の徹底した見直しと廃止、B新規事業の限定、C受益者負担の適正化、使用料・手数料、分担金・負担金の見直し、D一般経費は前年度比5%削減、E新規事業の重点化、優先順位など、厳しい財政節減策を指示。−さらに庁内に、「久喜市行財政改革戦略会議」を設置しました。

税金のムダ遣いをなくすのが先決

 市は財源難を理由に、個別の事業の支出の節約だけでなく、市民サービスの切り下げや負担増に踏み込む構えも見せています。しかしその前に、15万人口の市の水準に近い市長給与の引き下げを初め、税金のムダ遣いをなくすのが先決です。
◆議員などの特別職は、会議出席ごとに、報酬とは別に“費用弁償”が支給されます。この第2の報酬を廃止すること。
◆市長も議員も、久喜市からの報酬以外に、衛生組合や消防組合など一部事務組合からも報酬が支給されています。重複報酬を廃止すること。
◆団体への補助金の多くが前年踏襲で既得権化しています。補助金・助成金は、原則として毎年ゼロベースで査定すること。団体の運営費に対する補助はやめて、事業費の助成金に切り替えさせていくこと。
◆工事などの入札で、久喜市の落札率(予定価格に対する比率)は90%以上と高くなっています。先進自治体では、談合防止策の強化によって落札率を80%台に押し下げています。久喜でも入札方式の改善で数億円の請負委託契約金額の削減ができるはずです。
−これらは、これまでも議会で取り上げてきた問題で、来年度からでも実現可能です。
 その上で、
▼公共事業を大幅に繰り延べ、
▼総合文化会館など公共施設の管理(委託)のあり方について見直し、市民参画で行うこと、
▼市役所のタテワリ組織を見直し、弾力的・機動的な機構に編成替えすることも必要です。

★現在、久喜の議員定数は名。議会改革も必要です。次回の市議選では議員定数削減、政策や条例を作れる議会へと変えていかなければなりません。★


臨時市議会で、合併協議会の廃止を可決
来年度予算編成へ本格始動

2004/11/1

 11月1日、臨時市議会が開かれました。議案は、「久喜市・幸手市・鷲宮町合併協議会の廃止に関する協議について」の1件だけで、討論はなし、全員一致で可決されました。
 合併協議会の廃止期日は、11月30日。会長であった久喜市長が収支決算を行う、事務文書等については久喜市長が保存することなどが定めらています。
 幸手市議会は11月11日、鷲宮町議会は11月9日に臨時議会を開いて、同様の議案を審議する予定で、全部で可決されれば、「廃止の告示」、「埼玉県知事へ廃止の届出」を行い、廃止後に最後の収支決算をし、各市町へ決算報告を行い、すべて終わりとなります。
 今日の本会議で、質疑に立ったのは後上議員のみ。昨年以来の合併協議会でかかった経費、人件費などの他、「久喜市秘書政策室」名で、市民に合併を誘導するようなパンフレットを作成・配布した、その内容等について質問していました。
 答弁は、(1)合併協議に要した費用は、6085万円(15年度3680万、16年度2404万)、(2)派遣職員の人件費は、久喜市からの派遣職員6名分で、7155万円(15年度4460万、16年度2694万)、その他、久喜市で独自に作成・配布したチラシやパンフレットなどの宣伝物資があります。
 宣伝パンフレットの内容については、「財政シミュレーションで、今後の歳入予測を出し、これまで通りの歳出を続けるとすれば、10年間で102億円の赤字になるという計算となる」ということを示しただけで、「実査には歳出をカットすれば赤字にはならないが、現状のまま続けると赤字になるということだ」と、要するに“数字のマジック・からくり”であることを認めた形です。
 この間、久喜市行政が、『合併しないと久喜市はダメになる』というような、市民に「大きな誤解」を招くような宣伝・扇動を行ってきたことは事実です。
 私は、これらの問題点や、今後の久喜市の行財政運営のあり方について、12月議会で問題にしていく予定です。

 すでに久喜市は「平成17年度予算編成方針」について、10月17日に財政課から市役所の全部署に通知し、予算編成作業に入っています。
 それによると、11月5日が各課からの予算要求書提出期限、11日〜24日が各担当課ヒアリング、12月下旬に市長査定、1月上旬に内示の予定です。

 なお、久喜市から合併協議会に派遣されていた5名の職員は、すでに派遣を解かれ、11月1日には久喜市役所へ戻り、各部課へ配属されています。


最後の合併協議会…傍聴記
2004/10/26

 10月26日、午後5時半から、鷲宮町役場の会議室で、最後の「久喜市・幸手市・鷲宮町合併協議会」が開かれた。
 議題は、(1)合併協議会の廃止について、(2)歳入歳出決算(見込み)について、の2件、いずれも、質疑は全くなく、了承された。

 と、これで終われば、きれいな散り際となったのだが、まだ、未練たっぷりな人々がいた。
 一応、委員から発言があるかということで、議長(田中市長)が形だけ投げかけたのだが、幸手の鴨田委員(市民・学識経験者選出)が、わざわざ発言を求めた。
『… 残念であるが、くどくど言うつもりはない。…しかし今後、久喜周辺で新たな合併問題の展開が動き出した場合には、2市1町の枠組みを基本にしていきたいと、これまでも3首長が言ってきた。合併は避けて通れないと言ってきた。再度、このことについて、3首長から見解を聞きたい』と。
 …つまり、この人は、2市1町の合併を復活させてほしいと言っているわけだ。この人自身は、なぜ、久喜市民の多数が、2市1町の合併を拒否したのか、その総括も反省も、そして、久喜市民の心の内を想像し、思いめぐらせることがまったくできないらしい。そのために、3首長から、2市1町合併への言質を取っておきたかったということか。

 最後のあいさつで、田中市長は、
『… 久喜市民に適切な情報提供できなかった、自分の力不足を、委員の皆さまに深くお詫びする。… この間、2市1町の協議を通じて信頼関係を作ってきた。… 自分自身としては、合併は避けて通れないという思い、意欲は衰えてはいない。しかし、現状では白紙である。』
 やっぱり、久喜市民、特に、久喜市民の民意「2市1町の合併に反対」の態度を示した多数の市民を思いやる言葉が、最後まで聞かれなかったのは、大変残念であった。この人は、合併に賛成が得られなかったのは、“正しい説明を説得的にできなかったこと”が唯一の原因だと思っているのだろうか。その前提である、合併協議の進め方や、内容、さらにさかのぼって、枠組み自体が適切だったのかどうか、市民がその核心的課題に対して、「NO」を突きつけたのではないか、ということについても、考察し、分析してみたらいい。そんなことは考えたくもないだろうが、市民の心の内に思いを致すことは、政治家にとって、今最も大事なことではないか。

 町田幸手市長のあいさつは、彼らしい独断で、
『今後の方向性は簡単に出せる状況にないが、合併の必要性は十分認識している。久喜・幸手・鷲宮を根幹とする合併が最も望ましいと考えている』と言い切ったものだ。
 そもそも昨年、最初に合併協議を開始したのは、久喜と鷲宮の「1市1町を基軸」とした合併であって、そこに幸手は後から加わってきたことを忘れているらしい。もともと、久喜にとっての合併協議は、久喜・幸手・鷲宮を最善としたものでも、根幹としたものでもなかった。
 “2市1町の合併枠組みが最も望ましい”というのはいったいどのような根拠に基づいているのだろう。行政、政治は、状況に応じて方向性も政策も変化していくものだ。最初から、この枠組みを根幹としてなどという、固定的な選択はあり得ない。万、万が一、将来、合併の動きが出てきたとき、他の枠組みの選択が当然あり得るではないか。久喜にとっても、鷲宮にとっても、より望ましい枠組みも出てくるかもしれない。(そこに幸手を加えるのがベストかどうかもわからない)。行政としては、そういうニュートラルな状況にしておかなければなるまい。
 ましてや、もし仮に(仮にである)、将来、新たなより大きな枠組みが浮上してきて、その中に久喜・幸手・鷲宮が入っていたとしても、その場合においては、2市1町が根幹ではなく、みな対等でなくてはなるまい。最初から、2市1町の枠組みを根幹として、プラスアルファで…、などという態度では、この先の行政の選択肢を自ら狭めていくことになる。それに何より、「この2市1町中心の合併の枠組みに入れてください」などという、誇りを捨てた自治体が出てくることは考えられないではないか。
 幸手市長さんには、何よりも、この2市1町の枠組みは、久喜市民に拒否されたのだということを、お忘れにならぬよう、願いたいものだ。
 …その点、田中市長の「現状では白紙」という態度は、政治家として、まったく正しい。

 鷲宮の本多町長も謙虚であった。
『合併の必要性がなくなったわけではない。合併が最良の選択肢である。引き続き合併実現のため努力していきたいが、議会や関係者のみなさんの意見を聞きながら、どうすることが最善か、考えていきたい』と、この“枠組み”については、触れなかった。

 すべてが終わって、閉会は午後6時であった。


合併破綻後の市政運営は?
『声と眼』279号 2004/10/25

 久喜・幸手・鷲宮の合併協議会の「解散」は3首長で合意したものの、いまだに次の合併協議会が、いつ開かれるのかもわかりません。−早期に合併協を解散した上で、田中市長の政治責任を含め、今後の久喜市政の方向を、市民に示すべきです。
【その後、合併協議会が、10月26日(火)午後5時半〜、鷲宮町役場で開かれることが決まりました。また、11月1日(月)午前9時〜、久喜市議会臨時会が開かれて、「合併協議会の解散」を議決することになりました。】

 秘書政策室が作った「将来への選択」というパンフレットは市民へのオドシそのものでした。
 《合併しない場合》…10年間で102億円の赤字…1年間平均で10億円の赤字を埋めるには…
◆人件費の削減(職員人件費10%削減)約3億4000万円、
◆公共事業の削減(道路、水路整備など普通建設事業の単独分)約3億7000万円、
◆市単独サービスの見直し(福祉タクシー利用料助成事業、難病見舞金事業、介護サービス利用者負担助成制度などの各種福祉サービスの廃止)約4000万円、
◆受益者負担の適正化(戸籍手数料、幼稚園保育料、総合体育館、市民プールなど使用料、手数料の50%増)約1億円、
◆国民健康保険税の引き上げ(一般会計からの赤字補填ができない場合、一世帯当たり年間約12000円の増税)約1億5000万円。
−−合併推進のために大げさに書いたのは明白で、率直に撤回すべきです。それとも市長は、こんなしわ寄せを、本気で市民に押し付けるつもりでしょうか。−来年度の予算編成に注目。
 そもそも久喜市では、平成13年に「久喜市総合振興計画」、14年に「緑の基本計画」、15年に「高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」などの行政計画が策定されています。これらの基本計画を、“合併が壊れたからご破算”にできるはずもありません。市長は、市長自身が作ったこれらの計画を実行していく責任を負っています。


久喜市の民主主義が問われた2週間
2004/10/20

 久喜市議会議員  猪 股 和 雄

 9月19日、久喜市・幸手市・鷲宮町の合併に関する住民投票。幸手と鷲宮は賛成多数だったが、久喜では「反対」多数。久喜市民の「民意」は明確に合併反対を示した。……そして、問題はその後にあった。21日の市議会全員協議会、28日の市議会最終日、緊急質問でも、市長は『合併協からの離脱』を言わず、逆に、『合併自体が否決されたとは考えない』『幸手や鷲宮の首長の強い意向がある。熟慮したい』と合併に固執し続けた。市内には“まさか強行?”という危惧と、“市長は合併継続を掲げて選挙に打って出る構えだ”という観測も広がった。もしそうなれば、久喜市は、合併の住民投票結果を無視して強行した全国初・唯一の市として日本中に名を馳せていたことだろう。
 一部の市民グループは対抗措置の準備に入っていた。……市長が『合併協の解散』を表明したのは10月5日になってからである。16日間の空白、それは、田中市長が、久喜市民の意志よりも、市議会多数派や幸手・鷲宮の首長の意向を尊重し優先させて画策していた時間だったか。あるいは単なる優柔不断だったのか。いずれにしろ、久喜市政はこの間、住民自治と民主主義の重大な分岐点に立っていたことは間違いない。

「地方政治改革ネット会報」に掲載


「久喜市長・田中暄二」名で、「市民の皆様へ」のチラシ

10月15日、市民に対してやっと、「久喜市・幸手市・鷲宮町合併協議会を解散します」というお知らせが配布されました。
住民投票から、すでに、25日間がたって、ようやく、『広報くき・お知らせ版』(回覧)といっしょにです。
市長は、市民に対する「説明責任」をどう考えているのでしょうか。

2市1町の合併協議会解散へ
市長が市議会全員協議会で説明

『声と眼』278号 2004/10/12

 10月5日、緊急に市議会全員協議会が開かれ、田中市長が、ようやく、やっと、「住民投票結果を尊重して、久喜市・幸手市・鷲宮町の合併協議会の解散」を表明しました。
 市長は、「9月19日の住民投票は、久喜市で反対が賛成を上回り、たいへん残念」「4日に幸手市長、鷲宮町長と首長会議を開き、2市1町の合併協議会の解散を申し入れ、やむを得ないと了解していただいた」。「当面は、久喜市は単独で市政運営を行うことになる」と説明。−私は、「この間、市長が方向性をまったく示さずにきたため、市民の間には、“市長が辞職・再立候補して、この合併を継続するのではないか”というウワサも広がっている。それもないのですね」と確認したのに対して、市長は「そのようなことは考えていない。任期中、せいいっぱい務めていきたい」と答えました。
 これで、これまで進められてきた2市1町の合併協議は終結します。

半月間の空白は何だったのか

 住民投票が実施され、市民の多数が反対して、明確な結論が出たにもかかわらず、田中市長は16日間も『合併協議会からの離脱という結論』を先延ばししてきました。この間、“民意”を無視する行動をとり続けた田中市長…。その政治的道義的責任は免れません。
 ◆全国の自治体どこでも、合併の住民投票で「反対多数」の結果が出たら、1〜2日後には『合併断念』を宣言しているのがあたりまえ。半月間もの優柔不断は何だった?
 ◆住民投票で、反対が多数という明白な結論が出た後も、合併継続を画策し、「2市1町でいっしょになれる他の方法がないか模索した」(6日・毎日新聞記事)というのです。
 ◆幸手市長や鷲宮町長の「合併継続の強い意向があるから」と、久喜の民意よりも、よその意向を尊重したのです。この間、田中市長の目線はいったいどこを向いていたのでしょう。
 田中市長は、「賛成していただいた市民のみなさん、幸手市及び鷲宮町のみなさんに深くお詫びする」と言います。合併賛成の人にはお詫びするが、久喜市民の多数意思=民意であった「反対」の意志を示した人々に対する謝罪も、反省の弁もありません。本来なら、『この間、多数の民意を無視して申し訳なかった。みなさんの民意に従います』と言うべきではないでしょうか。
 しかもいまだに、「合併自体が否決されたとは考えていない」、「今後も2市1町の枠組みを基本として」合併を追求すると言って、多数の市民の“2市1町の合併反対”の意向に反する言動をとり続けています。−田中市長は、今回の合併を“民意にしたがって”やめたのでしょうか、それとも保身のためだったのでしょうか。

合併は「白紙」から出発すべきだ

 周辺地域では、春日部・庄和・杉戸・宮代の合併協議会が解散、栗橋・大利根・北川辺も住民投票で否決、蓮田・白岡・菖蒲グループも難航し、県内の多くの地域で合併協議は白紙に戻っています。
 久喜市も今後、あらためて「白紙」の状態から議論を始めるべきです。(1)まず、国頼み・補助金だよりでない“自立”した自治体へ、市政と行財政のあり方の根本的見直し、(2)久喜市にとって、本当に合併が必要なのか、(3)もし必要だとしたら、どのようなまちづくりのために、どのような枠組みが望ましいのか。−こうした基本的なことから検討していかなければなりません。

★反省しない人々……田中市長の与党議員の一人は住民投票後もなお、『市民の判断が間違っているんだ』と公言していました。いったい何を考えている?★


「合併協議会解散、久喜市は当面は単独で市政運営」
田中市長が、10月5日、市議会全員協議会で明言
2004/10/5

 10月5日(火)午後2時から、久喜市議会全員協議会が開かれました。
 急に(?)決まったそうで、電話連絡での招集です。
 以下、市長の「合併問題についての説明」です。

 まずは、落ちつくべきところに落ちついた、と言えるでしょう。
 しかし、この半月間、久喜市民の意思よりも、幸手市長や鷲宮町長の意向の法を優先しようとした、そして、市民に対して、まったく方向性を出さず、市民の市政と市長への疑惑の念、不信を招いてきた、その政治責任は重いと言わざるをえません。政治不信をこれだけ大きくしてしまった原因と責任は、すべて、この間の市長の優柔不断にあります。
 田中市長は、この際、みずから市政から退くくらいの姿勢を見せてもよかったのではないでしょうか。

 今日の市長の発言を聞いていても、『賛成していただいた市民のみなさん、幸手市及び鷲宮町のみなさんに深くお詫び申し上げる』と、賛成した人と幸手・鷲宮への「お詫び」はしました。ところが、「反対」の意志を示した、久喜市民の多数の人々対しては、いまだに「自分はこの合併が正しい、この合併協議、協定項目がいちばんいいと信じている」と強弁し続けているのです。
 多数の市民の民意に対して、「みなさんの民意に従います。この間、多数の民意を無視して申し訳なかった」という謝罪の言葉も心遣いもないのです。この間、どれだけの市民が心を痛めてきたかについて思いやる、人間的想像力というものが、田中市長には欠けているのでしょうか。

市長
「9月19日の住民投票は、久喜市で、反対が賛成を上回り、たいへん残念に思っている。
「市民の意向を重く受け止めて、投票の結果を尊重したい。
「10月4日、幸手市長、鷲宮町長と首長会議を開き、2市1町の合併協議会の解散を申し入れた。
 幸手市長、鷲宮町長も同様の考えであり、残念だがやむを得ないと了解していただいた。
「これまで2市1町の合併に全力で取り組んできたが、反対が賛成を上回った。賛成していただいた市民のみなさん、幸手市及び鷲宮町のみなさんに深くお詫び申し上げる。
「その結果を尊重し、合併協議会の解散を決断した。
「しかし、合併自体を否定されたとは考えていない。
「当面は、久喜市は単独で市政運営を行うことになる。」

猪股
『市長が辞職して再立候補、当選すれば再度、2市1町合併の復活という、市民の間に広がっている疑心暗鬼、ウワサについては、はっきりないということでよいですね』

市長
「そのようなことは考えていない。任期中せいいっぱい務めていきたい」

田中市長は、なおも、住民投票の結果を覆そうとしているのか
2004/10/4

 住民投票の明々白々たる結果にも関わらず、9月28日の市議会本会議で、田中市長は、『合併自体が否決されたわけではない』と言い張っています。
 今回の合併をいったん白紙に戻すこともできずに、久喜市・幸手市・鷲宮町の合併に未練を残し、来年3月の合併特例法の期限までに再度復活させようと、なおも画策を続けるのでしょうか。
 《田中市長が辞職して、再度立候補。2市1町の合併復活を公約にして当選すれば、住民投票の結果をひっくり返せる》と述べた人もいます。
 市長の与党議員の中には『市民の判断が間違っているんだ』と公言している議員もいます。
 しかし、自分で定めた住民投票条例の結果が気に入らないからといって、勝手にもう一度、延長戦・再試合を仕掛ける市長がどこにいるでしょうか。
 「民主主義の、イ、ロ、ハ」がわかっていないようでは、政治家は務まりません。
 全国どこでも住民投票の結果は、市民の最終的意思判断として、最大限に尊重されています。田中・久喜市長はそれを覆そうというのでしょうか。
 もしもそんなことをしたら、田中市長は全国で初・唯一の住民投票を無視した市長になります。久喜市も全国的に有名になるでしょう。
 田中市長がこれからどんな行動をとるのか、政治家としての、自制心…自省心…モラルが問われています。
 政治家ならば、わかるはずです。「合併賛成」「反対」で混乱した市民の人間関係…。となり同士の家で、「賛成」「反対」のポスターを貼りあって傷ついた地域の関係…。
 これを修復するのに、いくらかの時間が必要だということ。今は、これ以上、市内の混乱、市民同士の対立関係を広げてはいけないということ。……田中市長はおわかりになりませんか。

住民投票直前の『広報くき』9月1日号(5ページ)にも、こんな文章が載っていました

質問 住民投票はどのような方法で行われるのですか。その結果は、どう取り扱われるのですか。
回答 …《略》… 住民投票は、幸手市、鷲宮町でも9月19日に実施します。二市一町ではそれぞれ「合併することの是非を問う住民投票条例」を定めていますが、その中で「首長は住民投票の結果を尊重しなければならない」と定めていますので、住民投票の結果は、尊重されます。
 二市一町のそれぞれの住民投票で賛成が得られ、それぞれの議会で合併議案が議決されれば、県に合併の申請をすることになります。二市一町のうち、どこか一つでも住民投票の結果が合併反対になったり、また、議会で否決されれば、この合併は成立しません。

「久喜市長あての申入書」を提出してきました
街頭でのチラシ配布に、市民の大きな関心

2004/10/3

 10月1日、私たち「市民有志」7名で、市役所へ行き、下の「申入書」を市長あてに提出してきました。
 当日は市長は消防組合議会で不在でしたが、緊急にどうしても週内には出しておこうという判断から、助役に手渡して、市長に伝えるよう、依頼しました。

 助役は「だいたい、みなさんもわかっている方向に行くと思うが」と微妙な言い回しをした上で、「早く結論を出さなければいけないことはわかっているが、幸手市長や鷲宮町長との調整もあるので、時期ははっきりとは言えない」と答えました。

 また、10月2日の夕方、ヨーカドー前で、住民投票後、初めてのチラシ配布をしました。
 《久喜市長は、住民投票の結果を尊重し、2市1町の合併協議から直ちに離脱を表明すべきです》と訴えるもの。
 市民の関心は大きく、1000枚のチラシが1時間でなくなってしまいました。
 『エッ、まだやっていたの』、『もう、決着がついたものと思っていた』、『とにかくいったん終わりにしなけりゃおかしい』、『市長はどうなっているの?』などという驚きの声が上がっていました。

久喜市長 田中暄二様

2004年10月1日
久喜市・幸手市・鷲宮町の合併NO! 市民有志
代 表  津 田 道 夫

久喜市長は、直ちに、久喜市・幸手市・鷲宮町合併協議会から久喜市が離脱することを表明するよう求めます

去る9月19日に、久喜市・幸手市・鷲宮町の合併に関する住民投票が実施されてから、すでに10日が経過しました。
 住民投票の結果、久喜市では投票率53.53%で、「賛成」45.85%、「反対」55.15%と、反対多数で「否定」されました。
 久喜市が幸手市及び鷲宮町と合併することの是非に関する住民投票条例第14条は「市長は、住民投票条例の結果を尊重しなければならない。」として、市長の結果尊重義務を定めています。
 したがって久喜市長は、住民投票の結果を尊重して、直ちに、久喜市が久喜市・幸手市・鷲宮町合併協議会から離脱することを宣明する義務を負っているにもかかわらず、住民投票実施後10日を経た現時点においても、「合併協議会からの離脱」を表明せず、また「住民投票の結果を尊重する」との当然の見解すら表明していません。
 これは、田中市長自身が、住民投票条例第14条に違反していることになりかねません。

 住民投票の結果を受けて当然のこととして、多くの市民は、久喜市・幸手市・鷲宮町の合併は「白紙」に戻ったものと理解しています。新聞各紙が「合併枠組み白紙に」「久喜市は合併協議から離脱する」(20日毎日新聞)、「事実上破綻となった」(21日朝日新聞)「2市1町合併住民投票でご破算」(21日埼玉新聞)と報じたのも当然のことです。にもかかわらず、いまだに、久喜市・幸手市・鷲宮町の合併協議会に固執することは、市民の信頼を裏切る行為であり、市政への不信にもつながっていきます。
 また、久喜市政にとって、現在は来年度予算編成へ向けて予算編成方針を出し、各部署が来年度事業や予算要求をまとめなければならない大切な時期にあたります。この段階において、住民投票結果にも関わらず合併に固執して今後の方針も示さずにいるとすれば、久喜市政にとって取り返しもつかず、時間を無為に失うことにもなりかねません。

 したがって、久喜市長は、直ちに、久喜市・幸手市・鷲宮町合併協議から久喜市が離脱することを表明し、離脱へ向けての事務手続きに着手するよう求めます。

合併の住民投票をひっくり返す、とんでもない謀略が進んでいるのか!?
2004/9/30

  今朝(9月30日)の埼玉新聞、毎日新聞の埼玉版の記事をご覧になった方は、「エッ、まさか」と思ったか、それとも「やっぱり」と思ったでしょうか。

 新政議員団の松村議員が議員辞職した記事の中に、以下の記述があります。

『(松村氏は)…今後の方針を表明していない田中暄二市長に対して、「辞職して改めて(現枠組みでの合併の)信を問うべきだ、と進言した」と述べた。』(毎日新聞)
『(松村氏は)…「久喜市の住民投票の結果を分析して、改善できるかどうか三首長で協議して打開策を市民に示すべきだと思う。それをもって市長は辞職して出直し市長選挙するという考え方もある。こうした意見は田中市長にも伝えた」と語った』(毎日新聞)

 さて、これがどういう意味を持つか。
 つまり、田中・久喜市長は、28日の市議会最終日の見解表明と緊急質問に対しても、とうとう《合併協議会からの離脱》という結論を言いませんでした。
 そのことと、松村氏の《田中市長への進言》とを重ね合わせると、以下のようなシナリオが見えてきます。

(1)住民投票の「否決」を無視して、久喜市は合併協議会から離脱をせずにこのまま継続しておいて、
(2)新市名、議員の在任特例など、特に評判の悪かった協定項目を手直しする。
(3)その上で、田中市長がいったん市長を辞職し、「2市1町の合併の継続・実現」を公約にして、再度立候補に打って出る(早ければ11月早々に市長選挙となる)
(4)当選すれば、「信任を得た」と言って、堂々と、住民投票結果を無視して合併を押し進める
(5)11月に臨時議会を開くか、12月定例会に、合併議案を提案し、「与党絶対多数」の議会で可決。
というシナリオで動いていることになります。
 このように考えれば、なぜ田中市長がいつまでも態度表明をしないで引き延ばしているのか、すべての説明がつくわけです。

 そのために、今はひたすら、「死んだフリ」をして態度表明を遅らせて時間かせぎをし、《辞職→再立候補》の根回しをしているのでしょうか。
 実際、3人の首長は公式には24日の「行政連絡会」で会っただけですが、それ以外にも、非公式に会って話をしているという事実があります。
 それらの場で、合併協議会でこれまでに決定した協定項目の手直しができるかどうか、相談しているのでしょうか。

 《辞職→再立候補》というのは、ルール無視・おきて破りの奥の手ですが、政治家として、そのような手段に訴えることを「恥」と思わない人ならできるでしょう。
 しかしそれでも、辞職の前に、「現在の合併協議の中止、合併協議会からの離脱」は絶対に実行してもらわなければなりません。それが、現在の久喜市長である田中氏の「条例に定められた義務」であるからです。

 それでも、こんな謀略的手法で、住民投票の結果をくつがえすなどということが許されるはずはありません。
 それに、市長選挙になった場合、田中市長が再選される可能性はきわめて低い、と思われます。
 《住民投票の結果を尊重しなければならないという、市長の義務を無視した、全国初・唯一の市長》の汚名を着て市長選挙に立候補する気があればです。
 こんな謀略的やり方を取った場合、おそらく、良識ある市民は、住民投票で「合併賛成に○」を付けた市民でさえ、田中市長から離れることは確実ではないでしょうか。


久喜市が全戸配布したパンフレット、 「合併に関する住民説明会」でも、『住民投票で否決したら、合併はない』と説明していた
2007/9/30

2市1町の合併協議会が作成した、「合併に関する住民説明会結果表」という公文書があります。
http://www.kusawa.jp/download/setumei/0801fureai_kuki.pdf

日時/平成16年8月1日(日)午前9時30分〜12時20分
場所/久喜市ふれあいセンター久喜

Q 住民投票の結果をどのように反映させるのですか。
A 住民投票は2市1町で9月19日に行われます。住民投票条例には、首長は住民投票の結果を尊重しなければならないと定められています。2市1町のどこか一つでも住民投票で合併反対となったり、もしくは、どこかの議会で合併を承認しないことになれば成立はしないということになります。

当局自身が、これほど明確に説明しているのです。
今になって、『あれはウソでした』とは言いませんよね。


久喜市当局が作成、全戸に配布したパンフレットでも、明快な説明
2004/9/30

下の図は、昨年2月に全世帯に配布された、「久喜市・鷲宮町の1市1町を基軸とした、合併協議会の設置を提案します」と題したパンフレットに掲載されていたものです。
(このパンフレットは、昨日の緊急質問の際に、木村議員が取り上げたもので、私も、「そういえば」と思い出して、書類棚から探し出しました)。
当然のことながら、久喜市が作製したもので、「久喜市秘書政策室」と明記してあります。
このパンフレットの14ページに掲載されている、「Y 合併までの手順」という項目の説明です。
当時は、久喜市と鷲宮町の1市1町をめざしていましたが、後から幸手が加わっても、この手順が変わるわけはありません。

まさに、【最終的市民意向の確認(合併の是非)】が、9月19日の住民投票にあたるわけで、これで【否定】となったら、【合併しない】となるという説明を、久喜市がしていたわけです。
これほど明快な説明をしていた久喜市=田中・久喜市長が、今さら、何を躊躇しているのか。この全戸配布された最初のパンフレットからして「ウソ」だったのか。市長の引き延ばし戦術はあまりにも姑息です。

Y 合併までの手順
1市1町で合併枠合意
1市1町合併協議会市民説明会・市民意向調査
市議会の議決(合併協議会設置議案)
否決




↓可決
協議会だより
市民説明会
市民意識調査
合併協議会での協議
○新市のまちづくり計画策定
○合併協定項目の検討・調整

協議不調
↓協議成立
最終的市民意向の確認(合併の是非)
否定
↓肯定
市議会の議決(合併等の議案)
否決
↓可決
県議会の可決(合併の議案)・総務大臣告示
新市誕生(合併の成立)


 もう一つ、この説明図、および、住民投票条例から言えることがある。
 それは、住民投票条例の「第14条 市長は、住民投票の結果を尊重しなければならない。」という規定は、たとえ市長が交代して、別の人が市長になっても、同じように、「尊重義務」を負うのは同じである。今の2市1町の合併協議会の協議結果そのものが「否定」されたのだから、たとえ誰が市長になっても、久喜市は2市1町合併協議会から離脱しなければならないということになる。


幸手市長と鷲宮町長は、久喜市の住民投票結果を無視するよう、田中・久喜市長に迫っているのか
2004/9/29

 昨日の市長の答弁を見ていて、改めて、たいへんなことに気が付きました。
 田中市長は、久喜市長としての結論が出せないでいる理由に、『幸手、鷲宮の首長から、合併はぜひ続けていきたいという強い意向がある。今後、3首長で協議を重ねて、熟慮して方向性を定めていきたいと言っているのだが、「幸手市長や鷲宮町長から合併をぜひ続けてほしいという強い意向」とは何を意味するか。
 幸手市長と鷲宮町長が、久喜市の住民投票が、反対多数になったことを承知の上で、なおかつそれを無視して、2市1町の合併をこのまま継続するよう、田中市長に迫っているということになるではないか。
 そして田中・久喜市長は、幸手市長と鷲宮町長の、「強い意向」に引っ張られて、住民投票条例の14条に反して、久喜市の住民投票結果を無視して合併を強行するかどうか、『熟慮している』ということになるではないか。
 こんなことが許されるのか。
 幸手市長と鷲宮町長が、田中・久喜市長に対して、本当にそのような意向を述べて、実行を迫っているのだとしたら、▼まず第1に、他市の自治に対する内政干渉であり、▼第2に、幸手市長と鷲宮町長は、田中・久喜市長に対して「条例第14条の無視=投票結果の無視」、ということは無法行為を迫っていることになる。
 そして、田中・久喜市長は、そのような無法な誘惑を断固として断れないでいて、ズルズル延ばしていると言うことになる。これが政治家か。田中市長は昨日の緊急質問の答弁で、『小なりといえども私も政治家の端くれ』と述べたが、それこそ政治家の片隅にも風上にも置いておけないではないか。
 幸手市長と鷲宮町長が、本当に条例違反行為をするよう、田中・久喜市長に迫っているのか、それとも、田中市長が、2人の首長の名前を出して、久喜市議会での言い訳に使っているだけなのかはわからない。
 しかし、田中市長が、「幸手市長と鷲宮町長の強い意向」を議会本会議で述べたことは事実なのだ。


9月議会最終日、合併に関わる住民投票の結果を受けて、市長見解表明と緊急質問
2004/9/29

 9月28日、市議会本会議が開かれました(9月定例会最終日)。
 私たちは、開会冒頭に市長への緊急質問をしようと用意していましたが、市長から「発言」があるということで、いったんそれを待つことにしました。

 その市長発言の概要は、
「住民投票で反対が賛成を上回った。推進した私としては残念である。2市1町の合併実現のため、運津尾を展開した市民の皆様、議員のみなさんにお礼する。この結果は私の責任である。
「投票結果を厳粛に受け止め、今議会において、合併5議案の追加提案を断念した。
「55%の反対の意向が示された。市民の意向は重く受け止める。
「9月24日に、3首長会議を開いて意見交換した。幸手、鷲宮の首長からは、今後ともぜひ合併を実現させたいという強い意向が示されたが、結論を得るに至っていない。
「住民投票結果に関わらず、合併の必要性までなくなってはいない。私としては合併自体が否決されたとは考えていない。合併が必要だという考え方は変わっていない。
「今後の方向性を出すのに苦慮している。鷲宮、幸手の首長とも協議し推進していきたい。」というもの。

 大勢の傍聴者が詰めかけている中で、誰もが最も聞きたかったはずの、これまで進めてきた2市1町の合併協議をどうするのか、「合併協議の白紙撤回」「合併協議会からの離脱」、また、「田中市長の政治責任」については、ついに一言も触れませんでした。

 これに対して、緊急質問の動議を提出。5名の議員が緊急質問を行うことになりました。(質問に立ったのは、砂川、鈴木精一、木村、猪股、福垣の各議員です)。

 当然のことながら、質問は「市長が、住民投票の結果を尊重すると表明し、合併協議会から離脱すべき」ということに集中しました。

 市長答弁の概要は、
「久喜だけが反対多数となったことを残念に思っている。全力で説明してきたが理解を得られなかった。
「結果を厳粛に重く受け止めている。
「今後の方向性については、幸手、鷲宮の首長と相談していく。
「相手方があることなので、今後のことは、現時点では確定していない。
「合併というのは相手方があるものであり、単独で構成市が発言できるものではなく、その結果はたいへんな問題につながるので、3首長が集まって議論して結論を出していきたい。」と、何回も何回も同じことを繰り返すだけ。
「早急に結論を出していきたいというのは、できるだけ早くということだ。」とも…。

 …田中市長は、久喜市民から選ばれた久喜市の市長であるはずです。
 そして、住民投票という、最も重い市民の意思判断の結果を突きつけられているにもかかわらず、その久喜市の合併をどうするかについて、市長が自分で判断できないという、みっともない姿をさらけ出しているわけです。

 私の主要な質問と、市長の答弁は次の通り。(私のメモですから、やっぱり自分の質問・答弁について、最もきちんとメモしてありますので、それを記します。なお、実際の質疑ではいっぺんに多数の質問をまとめて出して、答弁もまとめて答えますが、わかりやすいように、それぞれの質問と答弁に分けて記しました。)

猪股「住民投票条例第14条で、市長は、住民投票の結果を尊重しなければならない、という規定に従う義務がある。法的拘束力がないから従わなくてもいいという考えか。」
市長「住民投票条例の結果尊重義務については、もちろん、条例通り尊重するという立場である。」
猪股「条例通り尊重するということであれば、今回の投票結果を尊重するということを表明すべきである。」
市長「条例通り尊重するということである。」
    …★19日の投票結果を尊重するという言葉はとうとう出ませんでした。

猪股「今回の住民投票で、市民に問うたものは何だと考えているのか。市民が否決したものは何だと考えているのか。それは、この間、2市1町の合併協議会で協議し、決定してきた事項に基づいて合併してよいかを市民に問い、市民がそれを否決したのである。」
市長「市名に対する不満、久喜市の財政状態が幸手や鷲宮よりもよいのになぜということ、議員の在任特例などについて、特に新市名についての不満が多かったと思う。」
猪股「それは一人一人の市民が反対行動をとった理由についていっているだけである。私が質問しているのは、今回の住民投票で、市長が市民に問うたものは何か、その問うたものが否決されたということではないかと聞いている。」
市長「新市名、議員の特例、財政状態…。」
    …★意図的に同じ答弁の繰り返し。質問にまともに答えたくないための、明らかなすり替え答弁です。

猪股「合併協議会の解散とか白紙撤回とかは、協議会で話し合わなければならないだろう。しかし久喜市が合併協議会から離脱するということは、直ちに表明すべきである。全国どこの合併でも、住民投票で否決されて、1〜2日後には『離脱』を表明している。1週間も9日間も態度を明らかにしない首長は聞いたこともない。田中市長は、住民投票結果を無視した全国初めての市長になりたいのか。」
市長「関係首長の信頼関係があってはじめて成り立つのであって、一方的に発言すべきでなく、合意の上で決定すべきものである。早急に結論を定めていきたい。」
猪股「相談して結論を出していくと言うが、住民投票条例と、住民投票の結果、結論は出ている。その結果に従う以外にないのであって、問題は田中市長がその結論を表明するかどうかだけだ。
 信頼関係を言うなら、市民との信頼関係こそ大切にすべきである。
 幸手、鷲宮との関係は、合併協議会離脱を表明した後の問題だろう。」
市長「幸手、鷲宮の首長から、合併はぜひ続けていきたいという強い意向がある。今後、3首長で協議を重ねて、熟慮して方向性を定めていきたい。
 方向性が定まったときに市民に示すことが市民への責任であると考える。今この場で明らかにすることが責任を果たすことにはならない。
 自分は協議会の会長も務めているので、合意の上で進めていく。
 幸手、鷲宮では賛成多数であった。言い出しっぺの久喜で足元が崩れた。お詫び申し上げるほかない。賛成していただいた市民にも申し訳ない。」
    …★反対の市民には、何の釈明もないのか!

猪股
「市長の取るべき道は2つしかない。住民投票結果に関わらず、合併を強行するか、投票結果に従うかである。いずれなのか。」
市長「強行か、従うか、…。できるだけ早く結論を出していきたい。」
猪股「いずれとも言わないということは、田中市長は『強行する』という選択肢があると考えているのか。」
市長「小なりといえども私も政治家の端くれ。自分なりの政治信念に基づいて取り組み、自分なりの主張をしていきたい。3首長で相談し、それらの合意を得た上で結論を出していきたい。」
   …★まともに答えず!

 なお、この後、新政議員団の福垣議員が質問しましたが、「反対が多かったとしても、幸手、鷲宮との合併を進めるしかない。住民に理解を求めて、2市1町の合併を進めていくべきである」と、“住民投票の結果を無視して、条例も無視して合併を強行せよ”という驚くべき発言(質問)でした。
 さすがに市長も困って、「合併そのものが否決されたとは思っていない。今後とも合併は重要課題であり、積極的に進めていかないとならないが、19日の住民投票結果については、厳粛に重く受け止めている。」と、わけのわからない答弁で、福垣議員も1回の質問だけで引っ込んでしまいました。

 今回の、市長の見解表明、緊急質問と答弁を通じて言えることは、いかに久喜・田中市長が当事者能力に欠けているかということです。
 久喜市の住民投票で結果が明らかになったのですから、久喜市の取るべき道は一つしかありません。幸手市長や鷲宮町長と相談することではないのです。
 信頼関係というなら、市民との信頼関係をこそ最優先にすべきであって、1日1日、結論を表明するのを遅らせる中で、市民の中に、憶測と、政治不信が増幅していきます。田中市長は、久喜市の政治が泥沼化し、取り返しのつかない事態になる前に、最低限の結論、つまり「久喜市は合併協議会から離脱する」ということを宣明する責務があります。住民投票運動の中で発生した市民間の対立構造をこれ以上深めずに修復する時間も必要です。
 もう一つは、結論を遅らせることによって、大切な行政の時間を無駄にしていることです。例年なら、今はもう来年度の予算編成作業に入る時期であって、各部課で予算要求をまとめなければなりません。それが、来年度も久喜市単独で予算編成するのか、合併するのか、最高責任者である市長が明確に示さない状態が続けば、来年度の行政はいったいどうなるでしょう。
 田中市長が、一刻も早く、その責任を果たすよう、注視しましょう。

 もし、田中市長がその責任を果たそうとしなかったり、住民投票の結果を無視するような行動に出た場合にどうするか。−−《まさか!?》−−
 合併反対運動を進めてきた私たちとしては、次の相談と準備も進めておく必要がありそうです。


合併住民投票で、「反対」多数
『声と眼』277号 2004/9/27

有権者数 57,907人
投票数 30,999 投票率 53.53%
賛成 13,747 44.85%
反対 16,904 55.15%
無効 347

 久喜市・幸手市・鷲宮町の合併に関する住民投票は、「合併反対」の市民の意思を明確にしました。
(1)議会勢力は、賛成派19、反対派6。推進の「市民の会」は地域の区長や、市内の主だった団体・組織を網羅し、市長みずから団体や地域、企業まわり、市長選以上の取り組みで、宣伝カー2台、議員が交代で連日の街宣活動、駅頭やヨーカドー前でも組織動員。毎日のように新たなチラシが作られて、全世帯に何回も入るなど、地域ぐるみ、組織ぐるみの物量作戦でした。

(2)一方、反対派はそれぞれ行動しました。
◆「合併を考える会」、
◆私が参加したのは「合併NO!市民有志」。初めは自然発生的に集まって、市街地中心にチラシ配布や駅頭などでの宣伝を続けていましたが、どんどん新しいグループが出てきました。
◆「合併を考え直す会」、
◆「合併に反対する市民の広場」、
◆「久喜市を守る会」、
◆告示後には、後上市議が「反対」を表明、議会報告の合併特集を市内全戸に配布しました。

(3)こうしたさまざまな動きは、大きな連携の流れにはなりませんでしたが、市民が自らの思いを何らかの形で表明しようというエネルギーの噴出のように思えました。それぞれは小さな力でしたが、市民の潜在的な「反対」の声を引き出すには十分でした。▼「桜宮」の名称への素朴な反感、▼議員の居座りへの不信、▼「財政的には久喜市がいちばんいいのに、なぜ幸手や鷲宮と合併しなくちゃならないの」という素朴な疑問、▼ごみ行政などの先進的な政策が本当に継続されるかという疑問、▼市行政の一方的な説明への不信、▼「ちょっと待てよ、何かあやしいぞ」という、官僚不信、議会不信、政治不信です。

(4)こうした正当な市民感覚と、いくつかのグループによって展開された論理的な合併批判が重なって、久喜市長と行政、合併推進派が一体となった『合併しないと生き残れない』論の虚妄をうち砕いていきました。市民は、そのバランス感覚と判断力で、行政権力の側のウソを見抜き、1人1人の市民が自立した判断を下した結果が、3000票もの差を付けたといえるでしょう。

(5)「合併の否決」を受けて、久喜市の新たなまちづくりを進める上で、最も大事なことは、行政や議会、一部の人にまかせるのでなく、これまでの市民参加の市政を発展させていくこと、そして《自立した自治体づくり》がキーワードです。

「自立した自治体」づくりを進める

 《合併の否決》を受けて、これから久喜市で、自立した自治体づくりを進めていかなければなりません。これは本当は、合併するか否かに関わりなく、取り組むべき課題に他なりません。
《第1段階》市長報酬の引き下げ(すでに県内16万人口市の報酬に近い)、議員削減、
《第2段階》すべての公共事業、公共施設、補助金・交付金の再評価、行政組織機構の見直し、
《第3段階》その上に、市民参画で、「自立した自治体・久喜市」をどう作っていくか、国頼み・補助金だよりでない、「自立」とは何かを検討する場を作っていかなければなりません。
 一つの方向性として考えられることは、
◆環境と福祉、教育に特化した自治体政策、市民と行政との協働による新たな自治の創出です。
【自立した自治体づくりを進めている、宮代町、志木市の取り組みが大いに参考になります。】

田中市長は「投票結果」を尊重し
直ちに合併協離脱表明を

『声と眼』277号 2004/9/27

 投票結果で「市民の意思」は明らかになったにもかかわらず、田中市長はいまだに『合併協議会からの離脱』を宣明していません。21日の市議会全員協議会でも『議員をはじめ多くの市民の皆様、また、幸手市長、鷲宮町長とも相談し、久喜市のこれから歩むべき方向性について誤りのないよう熟慮していきたい』と述べただけでした。
−−“もしや田中市長は、住民投票結果を無視して合併を強行するのではないか”との憶測も出ています。その場合、合併の住民投票結果を無視した全国初・唯一の市長になります。(まさか!?)
 市長はまず、久喜市民に対して、『投票結果を尊重します』と宣言する義務があります。それさえもしようとしないのは異常です。


★【久喜市の住民投票条例】「第14条 市長は、住民投票の結果を尊重しなければならない。」★
★27日現在、市長は、住民投票結果を受けての方針を出していません。28日の市議会最終日までに、市長が「合併協議会離脱」を明言するのかどうか。★


田中市長は、住民投票の結果を尊重すべきだ
この上、2市1町合併への固執は許されない

2004/9/22

 田中市長は、住民投票条例第14条(下)の規定にしたがって、住民投票の結果を尊重する義務があります。
 これは「住民投票の結果に従わなければならない」とは書いてありません。現行の地方自治法の下では、住民投票に強制力を持たせることができないために、こういう規定になっているのですが、「尊重しなければならない」というのは、まさに市長の「義務」なのです。
 田中市長は直ちに、『住民投票の結果を尊重します』、『所定の手続きを経て、2市1町の合併協議から離脱します』と宣言する責務を負っているのです。

○久喜市が幸手市及び鷲宮町と合併することの是非に関する住民投票条例

(目的)
第1条 この条例は、久喜市が幸手市及び鷲宮町と合併することの是非について、市民の意思を確認することを目的とする。
(住民投票)
第2条 市長は、前条の目的を達成するために、市民による投票(以下「住民投票」という。)を行う。
2 住民投票は、市民の自由な意思が反映されるものでなければならない。

《第3条〜13条まで、省略》

(住民投票の結果の尊重)
第14条 市長は、住民投票の結果を尊重しなければならない。

 この住民投票結果について、一部に誤解、あるいは曲解する向きがあるようです。
 それは、久喜では「反対が多数」でも、2市1町の全体で合計すると「賛成」票の方が多かった、「だから合併していいんだ」という論理です。

久喜市 賛成 13,748 反対 16,904
幸手市 15,488 11、874
鷲宮町 12,089 2,532

 しかしこれは住民投票条例に対する、全くの誤解、あるいは意図的な曲解による主張と言わざるをえません。
 住民投票条例は、久喜市、幸手市、鷲宮町で、ほぼ同時期に議会で成立しましたが、本来(あたりまえのことですが)、それぞれの市町の別々の条例です。
 条例の名前も、久喜市の条例の名称は「久喜市が幸手市及び鷲宮町と合併することの是非に関する住民投票条例」で、主語は「久喜市」であり、幸手市の条例の主語は「幸手市」であり、鷲宮町の条例の主語は「鷲宮町」です。
 つまり、それぞれの市・町が他の市・町と合併することについて、それぞれの市民・町民の意思を確認するものです。
 別々の条例に基づいて、別々の住民投票を、同時に実施したと言うことなのです。
 (隣の、栗橋町・大利根町・北川辺町では、住民の意思の確認法法自体から異なります。栗橋と北川辺が住民アンケートで、大利根は住民投票です。つまり、住民意思の確認は、それぞれの自治体が行うということです。)
 したがって、2市1町の賛成・反対は別々に計算すべきであって、2市1町の賛成・反対票を合計して、「全体では賛成票が多かった」などというのは、住民投票条例の目的および趣旨をねじ曲げるものと言わざるをえません。そのような解釈のもとに、久喜市の条例の14条を無視することはできません。
 いずれにしても、久喜市民は、その多数の意志を「合併反対」と示したということです。
 そして、田中市長は、今は「久喜市の」市長ですから、久喜市の条例を遵守する義務があります。【今回の住民投票条例は、田中市長が提案して可決したのです。】

 なんで、こんなあたりまえのことを、改めて書かなくちゃならないのか、情けないですね。


問題はまだ終わらない
住民投票結果を受けて、21日の市議会全員協議会での市長発言
「撤回」も「離脱」も「市民の意思の尊重」も言わないのはなぜ?

2004/9/21

 住民投票では、投票率53%という中で、3000票差を付けての「反対」多数。
 これで、2市1町の合併はなくなると思ったのですが、久喜市は驚くべき事態になるかもしれません。

 各新聞では、
●「合併枠組み白紙に」「久喜市は合併協議から離脱する」(20日毎日新聞)、●「事実上破綻となった」(21日朝日新聞)●「2市1町合併住民投票でご破算」(21日埼玉新聞)
と報じられましたが、不思議なことに、肝心の田中市長の「撤回」という見解が、どこにも載っていないのです。 逆に、田中市長の話としては、「久喜はどうするか、今後協議して方向性を決めたい」というだけです。

 久喜市議会全員協議会が21日、10時から開かれました。
 田中市長が「報告」をしましたが、そこでも『今後につきましては、議員の皆様をはじめ多くの市民の皆様、また、幸手市長、鷲宮町長とも相談し、久喜市のこれから歩むべき方向性について誤りのないよう熟慮していきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします』(市長の話の原稿原文通り)というだけでした。
 みんながまず第1に聞きたいことは、住民投票の結果を受けて、どうするのかということです。合併は白紙に戻す、(いったん)撤回して検討する、久喜市は離脱する、という言葉です。
 せめて「市民の判断を尊重する」くらいのことは言うかと思ったのですが、そうした評価や判断、方向性については、ついに一言も語らずじまいでした。

 幸手市長や鷲宮町長でなく、厳粛な判断を下した市民に対して、まず「その意思を尊重します」と宣言するのが、政治家たるべき、久喜市長としての田中暄二氏の取るべき行動ではないでしょうか。
 それに一言も触れようともしない、ということは、もしかしたら、住民投票の結果に関わらず強行するつもりだろうか、あるいは、いったん辞職してでも、再度「2市1町合併」を公約に選挙に立って、当選したら「信任を得た」といって、強行するつもりだろうか、などの、憶測が出ています。
 10時半から、市議会の合併推進協議会(推進派議員の任意の集まり)が開かれましたが、延々と12時近くまでかかったもよう。

 はたして、久喜市長が、合併問題の住民投票で、市民の判断を無視する全国初、唯一の市長になるのかどうか。
 「まさか」とは思いつつ、「もしかしたら」という危惧を拭いきれないでいます。
 みなさん、ご注目ください。


久喜・幸手・鷲宮の合併住民投票は否決
権力の横暴を、市民の力ではね返した。ヤッタ!!!
2004/9/20
開票結果
賛成 反対 有効投票数 無効 投票者総数 投票率 有権者数
13,748 16,904 30,652 347 30,999 53,53% 57,907

久喜・幸手・鷲宮の合併を、住民投票で否決。とりあえずの感慨と、今後への決意を込めて
2004/9/20 久喜市議会議員 猪股和雄

 久喜市・幸手市・鷲宮町の合併に関する住民投票は、久喜市が反対16000,賛成13000(投票率53%)で否決しました。
市民の間でも、議会の同じ会派の中でも(大地、みらい、市政会が、会派内で意見が分かれました)、態度や評価の分かれることですが、私としては、「本当によかった」と思っています。

(1) 久喜市議会では、賛成派19、反対派6(共産3,他3)。推進の「市民の会」は事実上の官製組織、地域の区長や、市内の団体を網羅して、「盤石の体制」でした。
市長の日程表を見ると、毎日毎日、団体や地域、企業まわりで合併賛成を訴えて歩くなど、市長選挙並、いやそれ以上の取り組みでした。
 賛成の宣伝カーが2台(市長と県議の選挙カー?)、議員が1日3交代で連日、街頭宣伝、駅頭やヨーカドー前でも毎日のように大動員して、演説会とビラまき。チラシは、毎日のように新たなチラシが印刷され、反対派のチラシに一つ一つ「反論」して、ポスティング業者に依頼して、全世帯に2〜3回は入ったようです。
 私の把握しただけでも、10種類、のべ20万枚以上が配布されたようです。

(2) 一方、反対派は、バラバラの状態でした。
 ◆「考える会」がチラシ4種類を市街地だけ全戸配布3回?と宣伝カー。
 ◆私が参加した「市民有志」がチラシ2種類(市街地中心)、駅頭宣伝5回、ヨーカドー前2回、細々と続けていたのですが、途中からどんどん新しいグループが出てきました。
 ◆「合併を考え直す会」、若者グループ、チラシ数千枚?を戸別配布
 ◆「合併に反対する市民の広場」、ネットで緻密な合併批判を展開、チラシ15000枚をポスティング、
 ◆「久喜市を守る会」、独自のチラシを戸別配布
 ◆後上市議が、13日にようやく「反対」を表明、議会報告の合併特集を市内全戸にいっせいに配布

 最後に、これはまともな反対運動とは、とても評価できませんが、「久喜市の誇りを守る会」と名のるチラシが、「桜宮は大阪の風俗街の名前だ」という内容のチラシを新聞折り込みしました。これはほとんどの新聞販売店で断られ、一部の新聞だけに入りました。連絡先も責任者名もなく、怪文書と同じ、しかも、18日の朝、市内あちこちの道路上に数十枚ずつまとまって散乱しているのが見つかり、これは「反対派の評判を落とすための謀略ビラではないか」という憶測も出ました。

(3) こうしたさまざまな動きは、大きな連携の流れにはならないけれども、市民が自らの思いを何らかの形で表明しようという、久喜市民のエネルギーが、ボコボコと噴出し始めた現れではないかと感じました。浅間山の小噴火のように、ボコボコとであって、大爆発とまで行かなかったので、賛成派の組織戦の前には敗れるかな、と思ったのですが、潜在的な市民の反対の声を引き出すには十分だったようです。

 「潜在的な」と書いたのは、◆桜宮という名前への反感(久喜の久の字も入っていないじゃないかという、素朴な「反感」、◆議員居座りへの反感(金額の問題ではなく、議員の保身以外の何ものでもないことを直感的に感じ取った議員不信)、◆「財政的にも政策的にも久喜がいちばんいい(と思う)、なぜ幸手や鷲宮と合併しなくちゃならないの?」という、一面では久喜のエリート意識、ある意味では誇りと自立心、◆それに加えて、市行政の一方的な推進論とその説明への不信、市民の直感的な、「ちょっと待てよ、何だかあやしいぞ」という思いが広くあったことです。
 もっと一般化していえば、官僚不信、議会不信、政治不信かもしれません。

(4) そうした、直感的な、そして潜在的な、市民の感情があって、その上に、私たちも含めて、「市民の広場」のような緻密な合併批判が理論付けをし、合併推進派の単なる「財政破綻」「合併しないと生き残れない」論の虚妄をうち砕いていったということです。市民は、その正当なバランス感覚、判断力によって、行政権力の側のウソを見抜いたということでしょう。
 まさに市民の多数が、正当な、一人一人の自立した判断を下し、それが過半数(3000票もの差を付けた)を獲得したということです。

(5) 賛成派の運動がこれを払拭できるものでなかったということ、押しつけでは人は言うことを聞かない、反発を強めただけ、反対派がバラバラであったことで、かえって、政党のひも付きでない、いろんな反対派がいるんだということが伝わった、(賛成派は一生懸命、「反対派は共産党だ」とレッテルはりして回ったが、これも逆効果でした)。
 おおよそこんなようすではなかったかと思います。

(6) さて、こうした市民のエネルギーの噴出の仕方と、バランス感覚を、前向きに評価しつつ、これから大変だなあ、という思いを抱えています。
 久喜は一応、相対的に「健全財政」ではあっても、富裕財政ではありませんから…。
 ◆市長報酬(すでに16万人口市並に近い)の引き下げと、◆議員削減??あたりから、まず身をただして、◆すべての公共事業のストップと繰り延べ、再評価、◆すべての補助金・交付金のゼロベース化、再評価、から始める必要があるのかな、と思っています。
 それにしても、久喜市で、今年から施行した、合併を前提とした駆け込み的な次長職の新設、管理職手当の大幅増額は、議会でもっと慎重に審議すべきでした(反省しています)。

 その上で、「自立した自治体・久喜市」をどう作っていくか、国頼み、補助金だよりの市政でない、「自治体の自立」とは何なのか、もう一度考えるところから、始めなければなりません。その意味では、「合併の否決」で、久喜市は自ら本当の自治を作っていく、新たな道に踏み込んだと言えるでしょう。
 
 とりあえずの感慨と、今後への決意を込めて


久喜の合併(1) 2002〜2004年9月 住民投票の前まで
久喜の合併(2) 2004年9月〜2008年12月
久喜の合併(3) 2009年1月〜


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