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 64   ■リフィルの自作A
 

前回のの記事で、リフィル自作の元データを3つに分類した
 
@ 画像データ
A 自分がエクセルやワードを使って、入力したデータ
B ホームページや媒体で提供された、HTML、エクセル、テキストデータなどを、PC上のワードやエクセルファイルにコピー&ペーストして利用するデータ。
 
この分類を見ただけで、すでに私が何を言おうとしているのか、予想が付く方も多いと思う。
しかし、あと数回、今回のテーマは続くので、できれば最後までお付き合いいただきたい。
 
   ◇
 
3分類の自作元データのうち
@ 画像データ
A 自分がエクセルやワードを使って、入力したデータ
の2グループのデータを利用してリフィルを作成する場合は、自作のメリットは大きい。
 
画像データの場合、途中でデータがずれたり、無意識に改ざんされる恐れが少ないため、パット見で、元データとリフィル上のデータの整合性が確認できるからだ。
 
複雑な数表データの場合、信頼がおける画像データで提供されていると、加工ができないので、2次活用ができず不便という見かたもあるが、そのまま原本保証された資料として使いやすいというメリットがある。
最低、目的の画像の張り間違えがないかチェックすれば済むからだ。
 
 
あと、自分が枠線を引いたり、自分が考えた言葉をキーボードから入力したAのデータ場合、何かと照合しながらチェックではなく、マスタが自分の頭にあるので、自分がアウトプット自体を見て、チェックができる。
これもチェックの工数はそんなに必要でない。
 
こうしたモノは、読み合わせの工数が、かなり少ないものと考えて良い。
 
   ◇
 
ここで一点、画像データの活用で留意しておきたいことがる。
 
画像データは、Wordなどのソフト上で簡単に大きさを変更でき、一瞬、利便性が高いような気になる。
 
しかし、画像データを印刷する場合、ディスプレイで見た状態は綺麗だが、紙に印刷したらボケて判読不能という場合が多いので注意が必要だ。
 
デジタルデータは野口悠紀雄先生が仰るように、A4を基本としている場合が多い。
数表などを縮小すると、何が書いてあるか読み取れず、縮尺を変えて何度も印刷を試すケースに陥る。
地図なども同じだ。
 
判読不能の数表や地図などは目も当てられない。
 
「画像データを取りこんで、リフィルサイズにする作業」を文章で書くのは簡単そうに見える。
実際、無責任に、字面で簡単さだけを強調したような広告なども目にする事が多い。
 
だが、画像データをリフィルサイズに縮小して、実際に使える状態に印刷するのは、簡単ではなく、かなり面倒くさい作業なので、注意が必要だ。
(年賀状の画像データ印刷を思い出して貰えれば、イメージしやすいだろう。)
 
現在のところ、作業効率を考えたら、便覧のような数表や地図は、デジタルデータを活用するより、コピー機を活用して縮小コピーをする、古典的に見える方法の方が簡単かつ現実的な場合が多い。
 
デジタルやパソコンが便利といった言葉に惑わされずに、本質を見抜くことが大切だ。
 
   ◇
 
3分類の元データのうち、問題は、一番使用頻度が高いと思われる、B ホームページや媒体で提供された、HTML、エクセル、テキストデータなどを、PC上のワードやエクセルファイルにコピー&ペーストして利用するデータだ。
 
このデータについての話は、次回の号にさせてもらうが、今回は、前段として簡単な事例を紹介しておきたい。
 
【事例1】
 
入社3年目のA君が、部長から頼まれて、会議の資料を作成。
日頃からプレゼン資料作成のセンスを買われて、部長直々の依頼だ。
部長は、A君のパソコンのスキルも高く評価している。
 
「内閣府の月例経済報告のタイミングに間に合ったので、最新の景気判断を入れています」と、A君は胸をはって部長に資料を提出。
 
思っていたより、A君の資料作成が早かったのが気になった部長。
 
A君に、「ちゃんと内閣府のホームページからプリントアウトした月例経済報告の原文と、この資料は読み合わせはしているよね?」と確認。
 
A君は、待ってましたとばかりに、自信満々で答える。
「内閣府のホームページから、文章データをコピーして作成したので大丈夫です。
最近は、信頼できる所から、電子データが提供されるので助かります。
パソコンとプリンタがあれば、あっという間に、そうしたデータを活用した資料が作成できますからね。
それに、信頼できるデータを全く手を加えずにコピー&ペーストして作成した試料なので、読み合わせの工数も省略できます(笑)」
 
A君は、やった!と胸を張って、部長のデスクを後にした。
 
この場合、部長は「良くやった!」とA君を評価し、その資料をそのまま使うとは、懸命な皆さんなら決して想像しないであろう。
 
まず、A君の上司の課長を呼び、怒鳴りつけること必至。
若手の面倒をきちんと見ろと、A君が作成した資料を投げ返すだろう。
 
「ホームページからプリントアウトした月例報告の原文と、一字一句きちんと読み合わせをしろ!」
 
   ◇
 
物理的に、信頼できる電子データをコピー&ペーストして、元データの亜種の資料を作るのは、パソコンがあれば簡単だ。
しかし、それだけでは、その資料を使うことはできない。
 
仕事のボリュームを考えると、作成資料をプリントアウトしたあとのチェックの方が、多大な時間がかかる場合がほとんどだ。
 
もし、信頼できるデジタルデータをパソコンに取りこんで作成した資料を、読み合わせを怠たり、そのまま会議で配布した場合を想定してみよう。
誤った資料で、誤った判断がされた場合、たいていは、下流の工程でミスが発覚する。
そのリカバリは、資料のチェック以上に工数が必要となる場合が多い。
 
製造業の場合、お客に商品が渡ったあとに不具合が起きれば、とてつもない損害になる。
 
このように、リフィルや資料を作成する場合、どんなに信頼が置ける元データを利用しても、それをコピー&ペーストして作成したら、全く別ものになってしまう。
プリンタから出たら「ハイ完成!」とはいかないのである。
 
プリンタから出力した後が、本当の勝負。
 
信頼できるデジタルデータを、自分が使うソフトに取りこむのは、作業としては誰が見ても簡単だ。
それをプリントアウトするのも、場合によっては取りこみ以上に簡単かもしれない。
しかし、ビジネスの世界では、それをもって、資料作成が簡単などという「安直な発想」では、高品質なアウトプットはできない。
 
そうした、簡単な取りこみ作業を含む資料作成からプリンタ出力までの過程をもって、資料作成が簡単と言えば、【事例1】入社3年目のA君となり、笑えない話になってしまう。
 
   ◇
 
余談になるが、データのチェックの考え方で参考になる話なので、あと2つ、事例を紹介させてもらう。
 
 
【事例2】
データのボリュームが大きいものに、法令データがある。
最近は、Web六法など、信頼できる法令データの提供も進み、法令を調べたりする場合、関連法令へのハイパーリンクなどが付加され、検索性がとても高まっている。
これまで、法規集をペラペラめくっていたことを考えると、とても便利な世の中になった。
 
先日、こうした法律を使う立場ではなく、改正する立場の人から興味ある話を聞いた。
 
法令改正作業の中で、改正前の法律と「この部分」が変わったという、新旧の比較表を作成するそうだ。
 
その場合、旧にあたる改正前の法律の条文は、法規集(紙ベース)をコピーして切り貼りしたものを使うとのこと。
 
電子六法など、信頼できる電子データから、コピー&ペーストをして作成すると、一瞬、作成作業がとても効率良さそうに思える。
しかし、信頼できる電子データをペーストしたものまで、すべて法規集と読み合わせチェックしなければならないので、実際の作業は途方もない工数になってしまう。
 
正確さを追求する作業は、どうしてもコピー機を使った作業になるとのこと。
 
信頼できるデジタルデータの利用が方が、コピー機を使うより簡単・効率的などとという「安直な発想」を持ち込むと大変なことになるのだ。
 
これは、法令改正の作業がなにも特殊というのではない。
法令改正作業などとは異なるが、わたしが日常に取り組んでいる仕事も、同じようにコピー機を活用している。
原本保証がなされているからだ。
 
この話を聞いた時、正確なアウトプットを求める仕事の姿勢全般に通ずる話だと、わたしは受け止めた。
 
 
【事例3】
印刷の方法で、ダイレクト印刷という方法がある。
安いコストで印刷できる方法なのだが、低コスト以外に、もう一つ別の魅力がある。
 
コピー機でコピーを取るイメージで印刷を行うことができるのだ。
ちなみに、汚れた原稿を渡せば、汚れたページのまま製本されてくる。
 
シンクタンクなどが定期的に発行するレポート冊子、このダイレクト印刷を使うケースが多い。
電子データと違い、読み合わせを大幅に省略できるからだ。
 
通常、電子データで原稿を提供した場合、いくらPDFであっても、ゲラがあがってきたらそれを読み合わせしなければならない。
これが、便覧のような統計資料を含むと、莫大な数値を読み合わせという工数が発生する。
 
信頼できる電子データであろうと、それを別のソフトに取りこんだ時点で別物になるので、きちんとした仕事をする人達は、読み合わせをするのだ。
 
なので、マスタ原稿を渡してダイレクト印刷にすれば、通常、ページは印刷会社が振ることがおおいので、普通はページがとんでいないかのチェックでOKだ。
 
(06/07/05)



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