住まいの絵本の魅力 第15回

おんぶはこりごり


 作:アンソニー・ブラウン
 訳:藤本 朝巳

 出版社:平凡社

 絵の中に面白い「しかけ」が描かれていて、しかけ探しが楽しめる絵本です。
 表紙の絵は、お母さんがお父さんと二人の息子をおぶっていて「お母さんは本当に大変なんだよ!」とメッセージをおくっています。
 一般にお母さんの役目は、家事や育児に+自分の仕事と実に大変ですよね。お母さんにおんぶしてもらうのではなく、家族みんなでジェンダーに関係なく協力しあう暮らしが大切なことを、パロディーとユーモラスな表現で伝えています。
 家族を背負っているお母さんにとっては、家族は「ぶた」です。ですから絵本の中のしかけはみんなぶたに繋がっています。
 お父さんは影がぶたの姿に描かれています。室内の額の絵はムンクの「叫び」ですが、顔はぶた。コンセントやドアノブ、時計や水栓もぶたの顔。さらにお月さままでも。まだまだありそう、ぶた探しに挑戦してみましょう。
 遂にお母さんは家出をします。家族はようやくお母さんのありがたさに気づき、自分のことをするようになりました。そして自分のことだけでなく、協力しあう暮らしに目覚めました。
 戻ってきたお母さんは、これまでとは違う自由で楽しい生活がおくれるようになりました。良かったですね。
 お母さんは毅然と理不尽を主張しましたし、これから子供達も共生、協力や思いやりを身につけて成長していくことでしょう。

(前田 邦江 記)

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