住まいの絵本の魅力 第7回

マクドナルドさんのやさいアパート


 文:ジュディ・パレット
 画:ロン・パレット
 訳:ふしみ みさを

 出版社:朔北社

 マクドナルドさんは古いアパートの管理人。とても働き者です。毎日一生懸命アパートの手入れをしています。
 そんなある日、アパートの持ち主のレンタルさんに内緒で、アパートに野菜を植え始めます。生け垣を取り払ってトマトを植え、3階の住人が引っ越した後の部屋にはキャベツ・人参・サツマイモそしてキノコを植えます。するとその下の階の天井に人参、蛇口からサツマイモのつるが…。住人は怒って引っ越してしまいます。こうして住人が引っ越すたびに新しい野菜を植え、めうしやニワトリまで連れてきて、ついにアパートには一人の住人もいなくなったのです。アパートは4階建ての農場になりました。マクドナルドさんは、住人よりも野菜や動物の方が大好きになってしまったのです。野菜や動物は文句を言いませんからね。

 そんな状態が持ち主のレンタルさんにばれないはずがありません。一時はアパートを去る覚悟をするマクドナルドさんですが、結局アパートで取れた野菜や果物を売る店を開くことになり、レンタルさんも大満足・近所の人たちもおいしい野菜に大喜び、そしてマクドナルドさんもとてもいい笑顔です。

 イラストはモノクロの絵画で描かれていますが、野菜や果物には鮮やかな着色がされていて、室内や動物などの細かな表現がとても印象的な絵本です。

 この絵本から、生き物の世話をすることの楽しみや、自分の好きなものや大切なものに囲まれて暮らすことの意味を学ぶことができます。
 ぜひ一度手にとってみてください。マクドナルドさんの育てた野菜や果物を食べてみたくなるはずです!

(飛田 優子 記)

他の回は<こちら>から