住まいの絵本の魅力 第5回

空から見れば


 作:ユバル・エルアザリィ
 絵:リタル・アミール
 訳:樋口 範子

 出版社:ワールドライブラリー

 主人公は私と息子のヨタム。わたしの家は5階建てのアパートの一室。そこで私はソファーに座って新聞を読んでいる。ヨタムはカーペットに寝そべって怪獣の絵を描いている。

 さあ、今からヨタムが描いた怪獣と一緒に窓の外に出て、建物の周りを見てみよう。自分の家の位置が見え、もっと離れるとアパート周りの建物や、いつも行く公園が見えてくる。さらに高く上がると、いくつもの建物が見えてくる。また、更に高く上がると、町の形が見えてくる。道の線や建物の配置、黒い粒は人間。また、更に高く上がると、土地が線で囲まれて、地図みたい。この絵本はそう、家、町、国、大陸、世界、地球、宇宙へといざないの旅に連れていってくれます。それぞれの視点で絵が描かれていて、地理好きのお子さんにとって、まさにファンタジーであります。

 それから、これは余談ですが、この絵本には日本から遠く離れたイスラエルの住宅事情が描かれていて、5階建てのアパートは日本の団地とよく似ています。違う点といえば、イスラエルの街区は計画的に街づくりが行われていて、建物や公園、道路が適切に配置されています。見ていて、親近感を覚えます。

 さて、話を戻して、どんどんと高い視点で宇宙まで見ていくと最後は何処まで行くのか気になるところですが、それはこの絵本を見てのお楽しみとします。是非、お子様と一緒に見てみて下さい。きっと爽快な気分になることでしょう。

(日高 俊二 記)

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