住まいの絵本の魅力 第4回

おばあちゃんとバスにのって


 作:マット・デ・ラ・ペーニャ
 絵:クリスチャン・ロビンソン
 訳:石津 ちひろ

 出版社:鈴木出版

 ジェイはおばあちゃんと教会に行ったあと、バスに乗って「あるところ」に行きます。どこに行くのかな?
 雨の日はバスではなく車に乗っていきたいとジェイは思うのですが、おばあちゃんはバスで行きます。なぜでしょう?
 おばあちゃんはバスの中で誰とでも仲良くします。また美しいものを素早く見つけたり、見えていないものでも何かに役立っていることを教えてくれます。素晴らしいね!
 「あるところ」とは困っている人に食事をしてもらう「ボランティア食堂」でした。食事をする人もボランティアの人達もみんな仲良く助け合っています。
 ジェイ、雨の日だったけど来て良かったね!

 アメリカでは「スープキッチン」と呼ばれている施設があります。善意の人からの寄付や教会活動などで運営されています。
 おばあちゃんがジェイをバスに乗って連れて行くのは、庶民の交通機関には多様な人達が乗り合わせているので、社会体験をさせるためだったのです。

 この絵本は、社会には健常者も体が不自由な人や貧しい人も共に生活をしていることを教えています。そしてお互いが認め合って協力していくことの大切さを発信しています。
 絵本のなかに登場する人物の表情が、貼絵で巧妙に表現されているところも見所ですよ。孫と一緒に楽しみたい一冊です。

(前田 邦江 記)

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