住まいの絵本館 キリンニュース

 住まいの絵本館の強力メンバーだった前田邦江さんが
最近読んでお気に入りの絵本のお話を送ってくださいましたのでご紹介します。

(2024.09.09)


 ももちゃんのねこ

 作:わだ ことみ
 絵:いまばやし ゆか

 出版社:小学館

 本屋さんの絵本コーナーで一冊のかわいらしい本が目にとまりました。帯に「命の大切さを考える家族の絆のお話しです」さらに「相手を想うことはヒトもネコも大きくても小さくても一緒なのです」と書かれており、つい手にとってレジへ向かいました。「ももちゃんのねこ」でした。私も命とか絆とかの言葉をかみしめる年齢になりましたし愛らしい絵にも魅かれました。

 内容を紹介しましょう。主人公のももちゃんは可愛がっていた猫の老死を悲しみます。しかし心の中ではいつまでも共に生きていると感じていて、いつしか愛する我子にその愛情を重ねているのでした。
 ももちゃんと猫の絵がステキです。猫のアップの絵では、大きな目が何かを訴えているように想えます。優しく静かなトーンの絵が読者を魅了し、文字がなくても内容が分かるのです。
 公園で“ミュー”と泣いていたので猫の名前を「ミュー」にしました。 元気なミューに家族は振り回されますが、みんなに可愛がられてやがて年老いていきました。
 ももちゃんも幼児から大人へ、やがて家庭をもちました。そして老いたミューとの最後の別れをむかえました。ミューはももちゃんに抱かれて息をひきとりました。
 お母さんになったももちゃんは壁にかけられたミューの写真を見ながら心の中のミューと対話します。ミューは何時までも家族であり、自分の子ども同様に愛情をそそぐ対象であり続けることを確信するのでした。

 ペットは人間より早く老いていきますので必ず別れが来ます。 ペットを失った人はペットロスの悲しみからなかなか抜け出せません。しかし心の中ではペットは生きていて、癒されているのです。
 作者は次のように訴えています。ペットから人間に訴えたいこととして
 ・飼い主と最後まで一緒にいること
 ・飼い主さんの幸が一番の願であると思っていること
だから飼い主は責任感と深い愛情を持って最後までくらしてほしいのです。どうか殺処分に追いやるようなことは絶対にしないでください―――と。

(前田 邦江 記)